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小学生でも分かる意匠法|意匠法第3条の2 先願意匠の一部と同一・類似する意匠 ― まだ公報に出ていない「先の出願の一部」と同じ・似ているデザインは登録できない

小学生でもわかる意匠法 4:先願意匠の一部(第3条の2)

小学生でも分かる意匠法 / A. 登録要件・意匠 #4

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先に出願されたデザインが、まだ意匠公報に載っていない間に、そのデザインの「一部」だけを取り出したようなデザインを別の人が出願したら、どうなるでしょうか。第3条第1項(新規性)では止められません。先の出願はまだ公開されていないからです。第9条(先願)でも止めにくいことがあります。全体と一部では「似ている」といえないことが多いからです。このすき間をふさぐのが意匠法第3条の2です。この記事では、条文を分解したうえで、同じ出願人のための例外(ただし書)、関連意匠の特則(第10条第3項)、特許法第29条の2・意匠法第9条との違いを整理します。

条文:意匠法第3条の2、あわせて第10条第3項・第17条・第20条・第48条・第66条審査基準:意匠審査基準 第III部 第4章「先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠の保護除外」参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

「セット全部」を先に出した人と、「カップだけ」を後から出した人

Aさんが、ティーポットとカップがそろった「ティーセット」のデザインを考えて、4月1日に特許庁へ出願しました。ところが、意匠の出願は、登録されて意匠公報(とうろくされたデザインをみんなに知らせる本)に載るまで、だれにも見せてもらえません。だから、Aさんの出願は8月1日に公報に載るまで、世の中には知られていない状態です。

そのあいだの6月1日に、Bさんが「カップ」のデザインを出願しました。Bさんのカップは、Aさんのティーセットの中のカップと、そっくりでした。

ここで問題です。Bさんのカップは登録できるでしょうか。

  • 「新しくないからダメ」といいたいところですが、Bさんが出願した6月1日には、Aさんのデザインはまだ公報に載っていません。世の中に知られていないものと同じでも、「新しくない」とはいえません。
  • 「Aさんのほうが先に出願したからダメ」といいたいところですが、「セット全部」と「カップだけ」を並べると、見た目はかなりちがいます。「同じ」とも「似ている」ともいいにくいのです。

それでも、Bさんのカップは、Aさんがすでに出願していたデザインの一部をそのまま取り出しただけで、新しい工夫がありません。そこで意匠法は、こういう場合には登録できない、と決めました。それが第3条の2です。

Aさんの先の出願(4月1日)「ティーセット」

ポット

カップ(セットの一部)

そっくり

Bさんの後の出願(6月1日)「カップ」 カップだけ

先の出願の「一部」と同じ・似ている + 先の出願はあとで公報に載った ⇒ 後の出願は登録できない(第3条の2)

先の出願(Aさん) 後の出願(Bさん) 破線=先の出願の「一部」(取り出した部分)

図は左右にスクロールできます。

【図1】先の出願の「一部」と、後の出願の関係(架空の例)。ティーセットとカップは説明用の想像上のデザインです。

時間の流れで見ると

timeline
  title 図1の例を時間の流れで見る
  4月1日 : Aさん「ティーセット」を出願(まだ誰にも見えない)
  6月1日 : Bさん「カップ」を出願(Aさんの一部とそっくり)
  8月1日 : Aさんのデザインが登録され、意匠公報に載る
  その後 : 審査官がBさんの出願を見て「Aさんの一部と同じ」と分かる → Bさんは登録できない

図は左右にスクロールできます。

【図2】先の出願が公報に載るまでのあいだに後の出願がされる、という第3条の2の場面のタイムライン。(時間軸は縮尺なし)

でも、Aさんがあとからカップだけをもう1回出すのはOK

もし、6月1日にカップだけを出願したのが、BさんではなくAさん本人だったらどうでしょう。ティーセットを作った人が、「やっぱりカップだけでも守っておきたい」と思って、あとから出願することはよくあります。自分で考えたデザインの一部を、自分で出願するのをじゃまする理由はありません。そこで意匠法は、先の出願をした人と同じ人が、先の出願が公報に載る日より前に出願したときは、第3条の2で登録できないことにはしない、という例外(ただし書)を置いています。

先の出願が公報に載る前でも、その「一部」をまねした後の出願は登録できない
「全体」と「一部」だから、第9条(先願)では止めにくい場面
同じ人が、公報に載る前に出願するならOK(例外)
レベル1のまとめ

  • 先に出願されたデザインの「一部」と同じ・似ているデザインを、そのデザインが公報に載る前に別の人が出願しても、登録できない。
  • 先に出願した人と同じ人が、公報に載る日より前に出願するなら、この決まりでは止められない。

※「一部」の意味、どの公報が対象か、秘密意匠のとき、関連意匠のときなど、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。

LEVEL 2条文の骨格

条文の全文 ― 本文とただし書

意匠法第3条の2(原文・本文)
意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
意匠法第3条の2(原文・ただし書)
ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。

本文を5つの部品に分ける

部品 条文の文言 意味(やさしく)
① 先の出願があること 「当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願」 後の出願の日より前の日にされた、別の意匠登録出願があること。同じ日の出願は「日前」ではないので、この条文の対象外。
② 先の出願が後から公報に載ったこと 「当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの」 後の出願のあとで、先の出願が意匠公報に載ったこと。載る根拠は第20条第3項(登録された意匠の公報)か第66条第3項(同日競願で協議不成立などのため拒絶が確定した出願の公報)。
③ 比べる相手は「願書+図面等に現された意匠」 「願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠」 先の出願の書類に表れているデザインそのもの。登録された範囲(意匠登録を受けようとする部分)だけではなく、書類に現れた意匠が対象。
④ その「一部」と同一又は類似 「意匠の一部と同一又は類似であるとき」 先の意匠の全体ではなく一部と、後の意匠が同じか似ていること(全体同士なら第9条の話)。
⑤ 効果 「前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない」 第3条第1項(工業上利用性・新規性)を満たしていても、登録できない。

〔表1〕意匠法第3条の2本文の分解。「意味」欄は本記事作成者の言い換えです。

部品②:対象になる2つの公報

意匠法第20条第3項(原文・本文と第4号)
前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。
四 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。第1号〜第3号・第5号は省略。
意匠法第20条第4項(原文)
第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
意匠法第66条第3項(原文・前段)
前項に規定するもののほか、第九条第二項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。後段(秘密意匠の場合の掲載時期)と各号は省略。
公報 根拠 どんなときに出るか 第3条の2との関係
登録意匠の公報 第20条第3項 意匠権の設定登録があったとき 本文の「先の意匠登録出願」の公報になる。ただし書の「公報の発行の日」もこの公報が基準(秘密意匠の場合の扱いはレベル3)。
拒絶確定出願の公示公報 第66条第3項 同日の競願で協議が成立せず・できず(第9条第2項後段)、拒絶が確定したとき 本文の「先の意匠登録出願」の公報になる。登録されなかった出願でも、その一部をまねした後願は排除される。

〔表2〕第3条の2で「先の意匠登録出願」となるための2種類の意匠公報。

意匠法には出願公開がない。特許法とちがい、意匠法には出願公開制度がありません。出願の内容が世の中に出るのは、登録後の意匠公報(第20条第3項)か、第66条第3項の公示公報が最初です。だから第3条の2は「公報に掲載されたもの」を基準にしています。

ただし書を3つの部品に分ける

部品 条文の文言 意味(やさしく)
㋐ 出願人が同一 「当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者」 後の出願の出願人と、先の出願の出願人が同じ人(会社)であること。
㋑ 基準になる公報 「第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」 先の出願の登録公報(第20条第3項)。秘密意匠の場合に、秘密期間が明けてから図面等の内容を載せた公報(第20条第4項によるもの)は除く。第66条第3項の公示公報はここには出てこない。
㋒ 公報発行の日前の出願 「発行の日前に当該意匠登録出願があつたとき」 後の出願が、その公報の発行日より前の日にされていること。

〔表3〕意匠法第3条の2ただし書の分解。㋐㋑㋒がそろうと「この限りでない」=本文による拒絶にならない。

flowchart TB
  A["後の意匠登録出願に係る意匠"] --> B{"後願の日より前の日に
他の意匠登録出願(先願)があり、
後願の後に第20条第3項・第66条第3項
の公報に載ったか?"} B -- "はい" --> C{"先願の願書・図面等に現された
意匠の「一部」と同一又は類似か?"} C -- "はい" --> D{"ただし書:出願人が同一で、
先願の登録公報(第20条第3項)の
発行の日前に後願がされたか?"} D -- "はい" --> Y["ただし書適用:第3条の2では拒絶されない"] D -- "いいえ" --> N["第3条の2:意匠登録を受けることができない"] B -- "いいえ" --> X["第3条の2の対象外
(第3条第1項・第9条などで検討)"] C -- "いいえ" --> X style Y fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style N fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style X fill:#F3F4F6,stroke:#6B7280,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

【図3】意匠法第3条の2の判断の分岐図(条文の要件を本記事作成者がフロー化したもの。秘密意匠・関連意匠の特則はレベル3)。凡例:緑=第3条の2では拒絶されない/赤=第3条の2で登録を受けられない/灰=第3条の2の対象外(他の条文で検討)。

レベル2のまとめ

  • 本文:①後願の日前の先願が、②後願の後に第20条第3項または第66条第3項の公報に載り、③④先願の願書・図面等に現された意匠の「一部」と後願の意匠が同一又は類似なら、⑤第3条第1項を満たしていても登録できない。
  • ただし書:㋐出願人が同一で、㋒先願の登録公報(㋑第20条第3項。秘密意匠の秘密期間明けの内容掲載公報は除く)の発行の日前に後願がされていれば、本文は適用されない。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 制度趣旨 ― 逐条解説と審査基準の説明

意匠審査基準 第III部 第4章は、本条の趣旨を「先願の意匠の一部がほとんどそのまま後願の意匠として意匠登録出願されたときのように、後願の意匠に何ら新しい意匠の創作が見受けられない場合は、意匠登録を受けることができない旨を規定したもの」と説明しています。

逐条解説は、本条が平成10年改正で新設されたものであるとしたうえで、新設の理由として次の3点を挙げています(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』1257頁)。(1) 先願の意匠の一部と同一又は類似の後願の意匠は、先願の意匠が設定登録され意匠公報が発行される前に出願された場合であっても新しい意匠を創作したものとすることはできないため、新しい意匠の創作を保護しようとする意匠制度の趣旨(第1条)からみて意匠権を与えるのは妥当でないこと。(2) 先願として完成品の意匠が出願された後、その先願が意匠公報に掲載される前に、その完成品を構成する部品の意匠が出願された場合、平成10年改正前の拒絶条項によっては拒絶されず、いずれの出願も登録され得たため、権利関係の錯綜を招来していたこと。(3) 平成10年改正で部分意匠制度が導入されたこと、及び組物の意匠の登録要件が緩和され組物として登録される対象が拡大されたことにより、先願の意匠の一部と同一又は類似の意匠が後願として出願されるケースが増大すると考えられたこと。

また、ただし書(同一出願人の例外)は平成18年改正で加えられたものです。逐条解説は、平成10年の本条制定当初は、後願の出願人が先願の出願人と同一人であるか他人であるかを問わず本条を一律に適用していたが、デザイン開発において製品全体・個々の部品の順に順次デザインが決定されていく開発実態に合わせて適時に出願することが困難であったこと、模倣品被害の増加を背景に、市場で成功した製品デザインの独自性の高い部分のみを模倣する行為に対抗するための部品の意匠・部分意匠の権利取得が戦略的に行えなかったことを挙げ、同一出願人の場合は権利の錯綜の問題が生じないこと、後日の出願が先願の意匠権の実質的な権利期間の延長につながらないよう一定程度の出願の期限を設けるべきことを考慮して、先願の意匠公報の発行の日前までに同一人がした後願の部品の意匠・部分意匠は本条により拒絶されないこととした、と説明しています(青本〔第22版〕1257〜1258頁)。

秘密意匠との関係についても、逐条解説は〔字句の解釈〕で説明しています。ただし書の趣旨は同一の出願人が完成品の意匠と部品の意匠又は部分意匠の両方の意匠権を取得できるようにすることであるから、その適用は先願が登録されたことが前提となり、意匠公報に掲載される根拠条文として第20条第3項のみを挙げている、とします。そのうえで、先願が秘密意匠である場合に、秘密の期間の経過後に掲載される意匠公報の発行の日前までも同一人の後願が意匠登録を受けられることとするものではない、と述べ、その理由として、秘密の期間は最長3年であるため長期間にわたる後日出願が可能となり実質的に先願の意匠権の権利期間の延長につながる懸念があること、先願が長期にわたって秘密とされている間にさらに先願の一部の意匠について登録を受けられると他人の出願意匠や公知意匠との間で権利関係が抵触する蓋然性が高まることを挙げています(青本〔第22版〕1258〜1259頁)。

補足:逐条解説〔第22版〕が第3条の2に付している改正経過は、平成10年法律第51号(本条追加)と平成18年法律第55号(改正)の2つだけで、令和元年改正は挙げられていません(青本〔第22版〕1256頁)。なお逐条解説〔第22版〕は令和4年10月の刊行であり、それ以後の改正は反映されていません。

2. 「願書の記載及び願書に添付した図面等に現された意匠」の範囲

意匠審査基準 第III部 第4章は、本条で対比の基礎となる先願の意匠を「先願の出願人が創作し、願書の『意匠に係る物品』欄等に開示した意匠」とし、使用状態図や参考図の中の当該意匠以外の部分は含めない、としています(補正で変動しうる不安定なものだから、という理由が示されています)。先願の意匠を特定する図面は、次のように整理されています。

先願の意匠の種類 特定に用いる図面(審査基準 第III部 第4章 4.)
全体意匠(立体) 正面図・背面図・左右側面図・平面図・底面図またはこれらに代わる図(一組の図面)+展開図・断面図・拡大図・斜視図・画像図等の必要な図。参考図は除く。
全体意匠(平面的なもの) 表面図・裏面図+必要な図
部分意匠(物品等の部分について意匠登録を受けようとする意匠) 「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」を含む全体の形状等の一組の図面+必要な図
組物・内装の意匠 構成物品等ごとの一組の図面、または組み合わせた状態の一組の図面+必要な図

〔表4〕先願の意匠を特定する図面の範囲(意匠審査基準 第III部 第4章 4. を本記事作成者が整理)。

ポイント:先願が部分意匠のときは、「意匠登録を受けようとする部分」だけでなく「その他の部分」(破線部分)も含めた全体が「現された意匠」になります。だから、先願の破線部分の一部と同一・類似の後願も、第3条の2で排除されえます。

3. 「意匠の一部」の意味 ― 「一つの閉じられた領域」

意匠審査基準 第III部 第4章 5. は、「意匠の一部」を「先願に係る意匠として開示された意匠の外観の中に含まれた一つの閉じられた領域」と定義しています。ここから、次の2つが「一部」に当たらないものとして示されています。

「一部」に当たるか 内容 審査基準の説明
当たる 先願の意匠の外観の中の「一つの閉じられた領域」 例:ティーセットの中のカップ、洗面化粧台の中の棚の部分(10. の事例参照)
当たらない 形状・模様・色彩のうちの一つを観念的に分離したもの 先願が形状と模様の結合意匠なら、「模様を除いた形状のみ」は一部ではない
当たらない 先願が部分意匠のとき、その「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」を含む全体の形状等を表した後願 後願が先願の全体をそのまま表しているなら、それは「一部」ではない(全体同士なので第9条の問題)

〔表5〕「意匠の一部」に当たるもの・当たらないもの(意匠審査基準 第III部 第4章 5.)。

閉じられた領域 → 一部 先願の意匠の中の 「ここ」だけを取り出す 第3条の2の対象

要素の観念的分離 → 一部でない 形状+模様の意匠から 「模様を除いた形状」だけ 第3条の2の対象外

先願(部分意匠)の全体 → 一部でない 実線部+破線部を含む 全体形状をそのまま出願 第3条の2の対象外(第9条で検討)

「一部」に当たる 「一部」に当たらない 紫の破線=取り出す部分 黒の破線=「その他の部分」

図は左右にスクロールできます。

【図4】「意匠の一部」に当たるかどうかの相関図。意匠審査基準 第III部 第4章 5. の3類型を模式化したもので、図形は架空です(2026年9月参照)。中央の細い横線は模様を表しています。

4. 類否判断 ― 先願の「一部」と後願(全体意匠/部分意匠)の対比

意匠審査基準 第III部 第4章 6. および 7. は、類否判断の前提と手法を次のように示しています。

後願の種類 前提(開示の要件) 類似と判断する場合 問わないこと
全体意匠 後願の全体意匠が、先願の意匠の中に、対比可能な程度に開示されていること 先願の一部と後願の意匠とで、用途・機能が同一又は類似で、形状等が同一又は類似 先願が全体意匠か部分意匠か、先願の物品と後願の物品が同一か非類似か
部分意匠 後願の「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形状等が、先願の意匠の中に、対比可能な程度に開示されていること 先願の一部のうち後願の「意匠登録を受けようとする部分」に相当する部分と、後願のその部分とで、用途・機能が同一又は類似で、形状等が同一又は類似 同上。部分意匠の該当事例は 第III部 第2章 第1節(新規性)の事例1〜6を、公知意匠を先願と読み替えて参照

〔表6〕先願の一部と後願の類否判断(意匠審査基準 第III部 第4章 6.・7. を本記事作成者が整理)。

先願の種類 審査基準の事例(10.) 結論
全体意匠 先願「洗面化粧台」の一部(棚の部分)と、後願「洗面化粧棚」の全体が類似 適用(登録不可)
分離可能な物品を表した全体意匠 先願「コーヒーわん及び受け皿」の一部(コーヒーわん)と、後願「コーヒーわん」の全体が類似 適用(登録不可)
全体意匠(対比できない場合) 先願「噴霧器」の一部と、後願「ポンプ」。噴霧器の図面ではポンプの形状が対比できる程度に開示されていない 適用なし
部分意匠 先願「電気掃除機本体」(部分意匠)の一部(ホース取付口)と、後願「ホース取付口」の全体が類似 適用(登録不可)
組物の意匠 先願「飲食用具セット」の構成物品「スプーン」と、後願「飲食用スプーン」の全体が類似 適用(登録不可)

〔表7〕意匠審査基準 第III部 第4章 10. の適用事例の整理。物品名は審査基準の事例に従い、図面は掲載していません。

第III部第4章10.の図面と説明では、洗面化粧台と洗面化粧棚、のこぎりとその柄、コーヒーわん及び受け皿とコーヒーわん、部分意匠の電気掃除機本体とホース取付口、組物の飲食用具セットとスプーンなどが適用例です。噴霧器と押し出しポンプの例は、容器内部にあるポンプの形状等が先願の図面に十分表れておらず、後願のポンプ全体と対比できないため適用できません。 出典

5. ただし書(同一出願人の例外)の細部

論点 審査基準の取扱い(第III部 第4章 8.)
出願人同一の判断時点 本条の適用を判断する時、すなわち査定の謄本又は拒絶理由通知書の送達時における、それぞれの願書の出願人の記載に基づいて判断する。それ以外の時点での出願人の異同や、後願の出願人と先願に係る意匠権者との異同は考慮しない。
共同出願の場合 「同一の者」とは、全ての出願人が一致すること。
基準となる公報 先願の登録意匠公報の発行の日前に後願がされていること。秘密意匠については、秘密期間経過後に願書・図面等の内容を掲載した公報(第20条第4項によるもの)は基準にならない。
国際公表(ハーグ協定の国際意匠登録出願) ただし書の「意匠公報」に国際公表の国際意匠公報は含まれない。ただし、国際公表された意匠は第3条第1項第2号(刊行物記載・電気通信回線)の意匠に該当しうることに注意。

〔表8〕ただし書の各論点と審査基準の取扱い。

6. 秘密意匠のときの「公報発行の日」 ― 本文・ただし書・関連意匠でズレる

秘密意匠(第14条)の場合、登録公報は2段階で出ます。設定登録時に第20条第3項の公報(ただし第4号の願書・図面等の内容は載らない)が出て、秘密期間の経過後に第20条第4項により第4号の内容が掲載されます。第3条の2は、この2つの公報のどちらを基準にするかで、扱いが分かれます。

先願の出願日 設定登録・登録公報① (第20条第3項。図面等は非掲載) 秘密期間経過後・公報② (第20条第4項。図面等の内容を掲載)

ただし書(同一出願人):①の発行の日前まで 関連意匠の出願(第10条第3項の読替):②の発行の日前まで 本文(他人の後願):②の発行日後に拒絶理由通知(審査基準 9.3。それまで待ち通知)

丸=時点(出願日・公報の発行日) 帯=期間(左端=起算、右端=限度)。色は帯の中の場面の別

図は左右にスクロールできます。

【図5】先願が秘密意匠のときの2つの公報と、第3条の2の各場面の基準のタイムライン。(時間軸は縮尺なし)※丸と帯の位置は模式的で、実際の日数を表すものではありません。根拠:意匠法第20条第3項・第4項、意匠審査基準 第III部 第4章 9.3(2026年9月参照)。

場面 基準となる公報 根拠
本文:他人の後願が「先の意匠登録出願」の一部と同一・類似か(拒絶理由通知の時期) 審査基準は、秘密期間経過後で、掲載すべき事項のすべてが掲載された公報(図5の②)の発行日後に拒絶理由を通知し、それまでは待ち通知を出すとしている 意匠審査基準 第III部 第4章 9.3
ただし書:同一出願人の通常の後願 第20条第4項により第4号事項が掲載された公報(②)は除かれるので、設定登録時の公報(①)の発行の日前に出願していなければならない 第3条の2ただし書のかっこ書
関連意匠(第10条第1項)としての後願 先願が秘密意匠なら、第20条第4項により第4号事項が掲載された公報(②)「に限る」と読み替えられる。つまり②の発行の日前まで関連意匠の出願ができる 第10条第3項

〔表9〕秘密意匠の先願に対する第3条の2の基準の使い分け。

意匠法第10条第3項(原文)
第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条の二ただし書の規定の適用については、同条ただし書中「同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、「当該先の意匠登録出願について第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求したときは、第二十条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
審査基準の表現との関係。意匠審査基準 第III部 第4章 1. および 8.2 は、「同一人による意匠登録出願が関連意匠の意匠登録出願である場合も、この規定の適用の対象外となる(意匠法第10条第3項)」と述べています。条文上は第10条第3項がただし書の「公報」を読み替える規定であり、関連意匠の出願なら秘密意匠の先願についても図面等の内容が公報に載る日の前まで、ただし書が使えるという構造です。関連意匠の出願は本意匠の出願人と同一人がするものなので(第10条第1項「自己の」)、㋐出願人同一は前提になっています。

7. 時期的要件と判断の基準日

論点 審査基準の取扱い(第III部 第4章 9.)
適用される後願の範囲 先願の出願日後から、先願に係る意匠公報(登録意匠公報、または同日競願の協議不成立・不能による拒絶確定出願の公示公報)の発行日(同日を含む)までに出願された後願(ただし書適用のものを除く)。
公報発行の時以降の後願 第3条の2ではなく、第3条第1項第2号又は第3号(刊行物記載等の意匠・それに類似する意匠)を適用。
分割・変更・補正却下後の新出願 適法なら、もとの出願の時(補正後の新出願は手続補正書の提出時)にしたものとみなされる。第3条の2は日単位で判断するので、遡及したもとの出願の出願日(又は手続補正書の提出日)が基準日。
パリ条約による優先権等の主張 主張が適正なら、第一国の出願日が基準日。
国際意匠登録出願(ハーグ) 第60条の6第1項により意匠登録出願とみなされる国際登録の日が基準日(優先権主張が適正な場合を除く)。
拒絶理由通知の時期 先願の公報発行日後。秘密意匠は〔表9〕のとおり。

〔表10〕第3条の2の時期的要件と基準日。

8. 第9条・第3条第1項との使い分け

flowchart TB
  A["後願の出願日と、先願の公報発行日の関係は?"] --> B{"後願は、先願の公報発行の時
より前にされた?"} B -- "はい" --> D{"後願の意匠と先願の意匠の
重なり方は?"} D -- "先願の意匠の「一部」と同一・類似" --> G{"ただし書(同一出願人・
登録公報発行の日前)?"} G -- "はい" --> I["第3条の2では拒絶されない"] G -- "いいえ" --> H["第3条の2で登録不可"] D -- "全体同士で同一・類似" --> E["第9条(先願)で処理
異日なら最先の出願人のみ、同日なら協議"] D -- "どちらでもない" --> J["第3条の2・第9条のいずれも該当しない"] B -- "いいえ(公報発行後)" --> C["第3条第1項第2号・第3号(新規性)で処理"] style I fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style H fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style C fill:#F3F4F6,stroke:#6B7280,color:#22303F style E fill:#F3F4F6,stroke:#6B7280,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

【図6】第3条第1項・第9条・第3条の2の使い分けの決定木(本記事作成者の整理)。第9条は同日出願も対象ですが、第3条の2は「日前」の先願に限られます。凡例:緑=第3条の2では拒絶されない/赤=第3条の2で登録を受けられない/灰=第3条の2以外の条文で処理する場面。

9. 特許法第29条の2・意匠法第9条との対比

特許法第29条の2(原文)
特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願であつて当該特許出願後に第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第十四条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは、その発明については、前条第一項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)、2026年9月参照。
観点 意匠法第3条の2 特許法第29条の2(拡大された先願) 意匠法第9条(先願)
場面 先願の公報発行前に後願がされ、後願が先願の意匠の一部と同一・類似 先願の公開・掲載公報発行前に後願がされ、後願の発明が先願の当初明細書等に記載された発明・考案と同一 同一・類似の意匠について全体同士で二以上の出願が競合
先願の範囲 他の意匠登録出願のみ(特許出願・実用新案登録出願は含まない) 他の特許出願又は実用新案登録出願 他の意匠登録出願
先願の日付 後願の「日前」(同日は対象外) 後願の「日前」(同日は対象外) 異日(第1項)と同日(第2項)の両方
先願が公になる根拠 第20条第3項の登録公報、第66条第3項の公示公報(意匠法に出願公開はない) 特許掲載公報の発行、出願公開、実用新案掲載公報の発行 公報に載ることは要件ではない(出願の先後で決まる)
対比の対象 「一部」と同一又は類似 「同一」のみ(類似は含まない) 全体が同一又は類似
創作者(発明者)同一の除外 なし あり(発明者が同一の場合を除く) (先後願の問題なので該当なし)
出願人同一の例外 あり。ただし「登録公報の発行の日前」に後願がされたことが必要。審査基準は査定謄本・拒絶理由通知書の送達時の願書の記載で判断 あり。「当該特許出願の時」に出願人同一であれば足りる なし(同一人の同一・類似意匠でも第9条は適用。関連意匠は第10条で救済)
「〜にかかわらず」の対象 前条第1項(意匠法第3条第1項) 前条第1項(特許法第29条第1項) ―
拒絶理由・無効理由 第17条第1号/第48条第1項第1号 特許法第49条第2号/第123条第1項第2号(いずれも第29条の2を列挙) 第17条第1号/第48条第1項第1号

〔表11〕意匠法第3条の2・特許法第29条の2・意匠法第9条の対比表。特許法第49条第2号(拒絶の査定)・第123条第1項第2号(無効理由)がいずれも第29条の2を列挙していることは、e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)で確認しています(2026年9月参照)。

補足(実用新案法第3条の2):実用新案法にも「拡大された先願」の規定があります。e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000123、2026年9月参照)で確認したところ、同条は、先の実用新案登録出願又は特許出願の願書に最初に添付した明細書・実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面に記載された考案又は発明と同一であるときに実用新案登録を受けることができないとし、その考案者・発明者が後願の考案者と同一の場合を除いたうえ、ただし書で当該実用新案登録出願の時に出願人が同一であるときは適用しないとしています。意匠法第3条の2が「意匠の一部と同一又は類似」を対象とし、例外の基準時を先願の意匠公報の発行の日前としている点が異なります。

10. 拒絶理由・無効理由への該当

意匠法第17条第1号(原文)
その意匠登録出願に係る意匠が第三条、第三条の二、第五条、第八条、第八条の二、第九条第一項若しくは第二項、第十条第一項、第四項若しくは第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
意匠法第48条第1項第1号(原文)
その意匠登録が第三条、第三条の二、第五条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定に違反してされたとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
条文 拒絶理由(第17条) 無効理由(第48条第1項) 無効審判の請求人(第48条第2項)
第3条の2 該当第17条第1号 該当第48条第1項第1号 何人も請求できる(第48条第2項本文。ただし書の制限は第3条の2には及ばない)
第9条第1項・第2項(比較) 該当第17条第1号 該当第48条第1項第1号 何人も
第3条(比較) 該当第17条第1号 該当第48条第1項第1号 何人も

〔表12〕第3条の2の拒絶理由・無効理由への該当関係。

11. 改正前/現行の区別

時期 第3条の2に関する内容(逐条解説の説明)
平成10年改正 本条を新設(部分意匠制度の導入、組物の意匠の登録要件緩和への対応)。
平成18年改正 ただし書(同一出願人の例外)を追加。
令和元年改正(令和2年4月1日施行) 意匠の定義が建築物・画像に拡張され(第2条)、関連意匠制度が拡充された(第10条)。逐条解説〔第22版〕が本条に付している改正経過は平成10年・平成18年の2つだけで、令和元年改正は挙げられていない。他方、関連意匠について第3条の2ただし書を読み替える第10条第3項は、逐条解説によれば令和元年改正で新設された規定である。

〔表13〕第3条の2の改正史(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』1256〜1258頁、1283〜1284頁の説明に基づく)。令和元年改正の施行日は令和2年4月1日です(特許庁「令和元年意匠法改正特設サイト」、2026年9月参照。一部の規定は令和3年4月1日施行)。関連意匠に関する第10条第3項の適用は、改正法附則第2条第1項により2020年4月1日以後の出願が対象です。

補足(第10条第3項):逐条解説は、第10条第2項から第5項までが令和元年改正により新設された規定であるとし、そのうち第3項は関連意匠の登録における第3条の2ただし書の読替規定であると説明しています。その理由として、出願した関連意匠が、秘密意匠として意匠登録を受けようとしている自己の先願意匠の一部と類似する場合、先願が秘密意匠として意匠公報に掲載されるまでの間はただし書により関連意匠の登録が可能であるのに対し、先の意匠公報発行から秘密解除までの期間に関連意匠が出願された場合はただし書が適用されず第3条の2により拒絶されることとなるため、この期間の関連意匠の登録だけができなくなることを避ける必要があったことを挙げています(青本〔第22版〕1283〜1284頁)。したがって、この読替規定に令和元年改正前の項番号はありません。

12. 試験での問われ方

試験種別 学習で整理したい論点 気をつける点
短答式(事例型) 甲の全体意匠の出願日・登録日・公報発行日と、乙の「一部」に相当する意匠の出願日を並べ、乙が登録を受けられるかを問う。出願人が同一の場合、先願が秘密意匠の場合、関連意匠として出願した場合を組み合わせる ①「日前」か、②公報発行日との前後、③全体同士(第9条)か一部(第3条の2)か、④ただし書の3要件(〔表3〕)、⑤秘密意匠なら図5のどの公報か、を順に確定する
短答式(条文知識型) 「創作者が同一なら適用されない」(誤り。意匠法には創作者同一の除外はない)、「出願時に出願人が同一なら足りる」(意匠法は公報発行の日前の出願も要件)などの正誤 特許法第29条の2との違い(〔表11〕)を対で覚える
論文式 部品・完成品、組物・構成物品、部分意匠の場面で、乙の出願の登録可否と、甲がとりうる手段(自己の先願の公報発行前の追加出願、関連意匠の出願)を論じさせる 第3条第1項・第9条・第3条の2の適用順序を図6で整理し、ただし書と第10条第3項を落とさない
口述 「第3条の2の趣旨を述べよ」「特許法第29条の2との違いは」 審査基準の趣旨(「何ら新しい意匠の創作が見受けられない」)と、〔表11〕の差異を言えるようにする

〔表14〕学習時の論点整理。実際の出題例は下記の過去問紹介に示しています。

令和8年度短答式〔意匠〕問4肢2は、先に出願された自転車の全体意匠の一部に類似するハンドルの後願を扱い、第3条の2の適用を検討する問題です。肢3は、先願の内装を構成する机と類似する机2台の組物の後願です。問4の公式正解は1です。問8は同日出願の協議、問9は関連意匠の登録条件を扱い、それぞれ公式正解は3(正しいもの3つ)、1(正しいもの1つ)です。 出典
レベル3のまとめ

  • 「一部」=先願の意匠の外観の中の「一つの閉じられた領域」。形状・模様・色彩の観念的分離や、先願部分意匠の全体そのままは「一部」ではない(意匠審査基準 第III部 第4章 5.)。
  • 類否は、後願の意匠(部分意匠なら「意匠登録を受けようとする部分」)が先願に対比可能な程度に開示されていることを前提に、用途・機能と形状等の同一・類似で判断。先願が全体意匠か部分意匠か、物品の同一・非類似は問わない。
  • ただし書の出願人同一は、査定謄本・拒絶理由通知書の送達時の願書の記載で判断し、共同出願は全員一致。基準は登録公報(秘密意匠の秘密期間明けの内容掲載公報は除く)の発行の日前。
  • 関連意匠の出願は第10条第3項の読替により、先願が秘密意匠でも図面等の内容が公報に載る日の前まで出願できる。
  • 基準日は日単位。分割・変更・補正後の新出願はもとの出願日等、優先権主張は第一国出願日、国際意匠登録出願は国際登録の日。
  • 特許法第29条の2との主な違い:類似も対象/創作者同一の除外なし/出願人同一の例外には「公報発行の日前の出願」が必要/先願は意匠登録出願に限る。
  • 拒絶理由(第17条第1号)・無効理由(第48条第1項第1号)に該当し、無効審判は何人も請求できる。

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