小学生でも分かる意匠法 / A. 登録要件・意匠 #5
デザインは、お店に並べたり、展示会に出したり、SNSに載せたりした時点で「みんなが知っているもの」になり、原則として意匠登録を受けられなくなります。でも、それではあまりに厳しいので、意匠法第4条は「一定の条件を満たせば、その公開はなかったものとみなす」という救済の道を用意しています。この記事では、その条件(1年・書面・証明書30日)と、特許法第30条との違いを整理します。
レベル2条文の骨格 ― 第1項(意に反して)、第2項(自分の行為)、第3項(書面と証明書)、第4項(救済)
レベル3要件・例外・試験での問われ方 ― 効果の範囲、公報掲載の除外、令和5年改正、特許法第30条との対比
LEVEL 1イメージでつかむ
「先に見せたら登録できない」が原則
たとえば、あなたが新しい形のコップをデザインしたとします。意匠登録(デザインの登録)を受けるには、そのコップの形が「まだ世の中に知られていない」ことが必要です。ところが、うれしくて出願の前に文化祭で展示したり、SNSに写真を載せたりすると、その瞬間にコップの形は「みんなが知っているもの」になってしまいます。すると、あとから出願しても「もう知られているからダメ」と言われてしまうのが原則です。
でも、1年以内なら「なかったこと」にしてもらえる
それでは、展示会でお客さんの反応を見てから出願したい人や、うっかり見せてしまった人がかわいそうです。そこで意匠法第4条は、「自分で見せた日から1年以内に出願して、決められた手続をすれば、その公開はなかったことにする」というルールを置いています。まるで「見せちゃった」を取り消せるカードのようなものです。
ただし、このカードには使い方があります。出願と同時に「カードを使います」と紙で言うこと、そして出願の日から30日以内に「自分が見せたものですよ」という証明の紙を出すことです。
図は左右にスクロールできます。
【図1】「見せた日」から1年以内に出願し、出願と同時に紙を出し、出願の日から30日以内に証明書を出す、という3つの動き。(時間軸は縮尺なし)※1年・30日は2026年9月時点の意匠法第4条第1項〜第3項によります。日数の数え方(初日不算入等)は省略しています。
「他人に勝手に見せられた」ときは?
自分ではなく、デザインを盗んだ人が勝手にネットに載せた、というときもあります。この場合も、知られてしまった日から1年以内に出願すれば救ってもらえます。しかも、自分で見せた場合とちがって、「カードを使います」の紙を出願と同時に出す決まりはありません(→レベル3)。
カードが使えない場合もある
自分の別の出願が「公報」という国の本に載って知られた
紙や証明書を出さなかった(自分で見せた場合)
- デザインは、出願前に見せてしまうと原則として登録できない。
- でも、見せた日から1年以内に出願して、決められた紙を出せば「なかったこと」にしてもらえる。
- 自分で見せたときは「出願と同時の紙」と「30日以内の証明書」が必要。盗まれて見せられたときは、この紙の決まりはない。
※「なかったこと」になる範囲(どの条文との関係で救われるか)、「公報」に載った場合の除外、証明書が遅れたときの救済、複数回見せたときの扱いなどは、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。
LEVEL 2条文の骨格
意匠法第4条は4つの項からできています。第1項と第2項が「どんな公開が救われるか」、第3項が「救われるための手続」、第4項が「手続が遅れたときの救済」です。
第1項 ― 意に反して公開された場合
意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠は、その該当するに至つた日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
第2項 ― 権利者の行為に起因して公開された場合
意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項第一号又は第二号に該当するに至つたものを除く。)も、その該当するに至つた日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
| 要素 | 第1項 | 第2項 |
|---|---|---|
| 誰の意匠か | 「意匠登録を受ける権利を有する者」の意匠 | 同左 |
| 公開の原因 | その者の「意に反して」(例:盗用・漏えい) | その者の「行為に起因して」(例:展示・販売・ウェブ掲載) |
| どの条文に該当したか | 第3条第1項第1号又は第2号(公然知られた/刊行物記載・電気通信回線) | 同左 |
| 除外 | なし | 「発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたこと」による公開は除く |
| 期間 | 該当するに至った日から1年以内の出願 | 同左 |
| 出願人 | 「その者」(権利者)がした出願 | 同左 |
| 効果 | 第3条第1項及び第2項の適用について、第1号・第2号に該当しなかったものとみなす | 「前項と同様」 |
| 手続要件 | 条文上の定めなし | 第3項の書面・証明書が必要 |
〔表1〕第4条第1項と第2項の分解。両者の骨格は同じで、公開の原因・除外・手続要件がちがう。
第3項 ― 書面と証明書の提出
前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(以下この条及び第六十条の七において「証明書」という。)を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同一又は類似の意匠について第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至る起因となつた意匠登録を受ける権利を有する者の二以上の行為があつたときは、その証明書の提出は、当該二以上の行為のうち、最先の日に行われたものの一の行為についてすれば足りる。
flowchart TB
A["意匠登録出願"] --> B["同時:適用を受けようとする旨の書面"]
A --> C["出願の日から30日以内:証明書"]
C --> D{"同一又は類似の意匠について
権利者の二以上の行為があるか"}
D -- "はい" --> E["最先の日の一の行為について
証明すれば足りる(ただし書)"]
D -- "いいえ" --> F["その行為について証明"]
図は左右にスクロールできます。
【図2】第3項の手続の流れ。本文の2つの提出と、ただし書の「最先の日の一の行為」。
第4項 ― 証明書が遅れたときの救済
証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。
| 項目 | 内容(第4項) |
|---|---|
| 救済される者 | 「証明書を提出する者」 |
| 理由 | 「その責めに帰することができない理由」により30日以内に提出できないとき |
| 提出できる期間(両方を満たす必要) | ①理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ ②30日の期間の経過後6月以内 |
| 救済の対象 | 「証明書」の提出のみ(出願と同時に出す「書面」や、1年の出願期間は対象外) |
〔表2〕第4項の救済の分解。
gantt title 第4条の各期間(模式) dateFormat YYYY-MM-DD axisFormat %Y-%m section 公開から出願 公開日から出願まで1年以内 :a1, 2025-01-10, 365d section 出願後 証明書(出願の日から30日以内) :a2, 2026-01-09, 30d 第4項の救済上限(30日経過後6月以内) :a3, 2026-02-08, 181d
図は左右にスクロールできます。
【図3】期間のタイムチャート(模式)。日付は架空の例で、日数の計算方法(初日不算入等)は簡略化しています。(時間軸は縮尺なし)※根拠:意匠法第4条第1項〜第4項(2026年9月参照)。第4項の「理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内」は起算日が事案ごとに異なるため、この図では上限(30日の経過後6月以内)のみを示しています。
- 第1項:意に反する公開 → 1年以内の出願で、第3条第1項・第2項の適用上「なかったもの」とみなす。手続の定めなし。
- 第2項:自らの行為に起因する公開 → 同じ効果。ただし公報掲載による公開は除外。第3項の手続が必要。
- 第3項:出願と同時の書面 + 出願の日から30日以内の証明書。複数行為があれば最先の日の一の行為で足りる(ただし書)。
- 第4項:責めに帰することができない理由があれば、理由消滅から14日(在外者2月)以内かつ30日経過後6月以内に証明書を提出できる。
LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方
1. 効果の範囲 ― 「第3条第1項及び第2項の適用について」に限られる
第4条の効果は、条文上「同項及び同条第二項の規定の適用については」と限定されています。つまり、新規性(第3条第1項)と創作非容易性(第3条第2項)の判断でだけ「該当しなかったもの」とみなされます。公開の事実そのものが消えるわけではないので、次の点に注意が必要です。
| 場面 | 第4条の効果が及ぶか | 理由 |
|---|---|---|
| 第3条第1項第1号・第2号(新規性) | 及ぶ | 条文が明示 |
| 第3条第1項第3号(類似する意匠) | 結果として及ぶ | 第3号は「前二号に掲げる意匠に類似する意匠」なので、第1号・第2号に該当しなかったものとみなされれば第3号にも該当しない |
| 第3条第2項(創作非容易性) | 及ぶ | 条文が明示 |
| 第3条の2(先願意匠の一部と同一・類似) | 及ばない | 条文が「同項及び同条第二項」に限定。公開の事実は消えないので、第三者が公開後・出願前に別途出願していれば第3条の2や第9条の適用を受け得る |
| 第9条(先願) | 及ばない | 同上 |
| 出願日の繰上げ | なし | 第4条は出願日を公開日に遡らせる制度ではない(パリ条約優先権とは異なる) |
〔表3〕第4条の効果の及ぶ範囲。第3条の2・第9条に及ばないことは、条文の限定から導かれる帰結。
2. 公開日と出願日の間に第三者が公開した場合
意匠審査基準 第III部 第3章 5.1 は、「該当するに至った日」と意匠登録出願の間に第三者が公開した場合には、原則として、その意匠は第三者の公開によって公知意匠に該当したものとする、と述べています。ただし、権利者が公開した意匠に基づいて第三者が公開したことが明らかなときは、その限りでない、としています。
flowchart TB
A["権利者が公開(第2項)"] --> B["1年以内に出願+第3項の手続"]
B --> C{"公開日と出願日の間に
第三者の公開があるか"}
C -- "はい(第三者の公開がある)" --> D{"権利者の公開に基づく
第三者の公開であることが明らかか"}
D -- "はい(明らか)" --> OK["権利者の公開は第3条第1項・第2項の
適用上なかったものとみなす"]
D -- "いいえ(明らかでない)" --> NG["第三者の公開により
公知意匠に該当(原則)"]
C -- "いいえ(第三者の公開がない)" --> OK
style OK fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
style NG fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
【図4】第三者の公開が介在した場合の分岐(意匠審査基準 第III部 第3章 5.1 の整理、2026年9月参照)。凡例:緑=権利者の公開が第4条の適用を受けられる場面/赤=第三者の公開により公知意匠に該当する場面(原則)。
3. 「公報に掲載されたこと」による公開の除外(第2項かっこ書)
第2項は、「発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより」公知となった意匠を除外しています。たとえば、権利者が先に特許出願をしていて、その出願公開により意匠が公報に載った場合、その公報掲載を第4条第2項で「なかったこと」にはできません。この除外は第1項(意に反する公開)にはありません。
逐条解説は、このかっこ書について、平成23年改正前から、意匠登録を受ける権利を有する者の内外国特許庁への出願行為に起因して特許公報等に掲載されたことにより新規性を喪失した場合には新規性の喪失の例外の対象とならないものと解釈・運用してきたところ、平成23年改正でこれを明文化したものであると説明しています(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』1261頁)。なお同解説は、特許法・実用新案法においても平成23年改正で同じ明確化を行ったとしたうえで、その改正の趣旨そのものについては特許法第30条の〔趣旨〕を参照するよう述べています(青本〔第22版〕1261〜1262頁)。
4. 第1項(意に反する公開)の手続 ― 条文上の時期的制限なし
意匠審査基準 第III部 第3章 7. は、第4条第1項の適用を受けるための手続について、時期的制限等の規定はなく、意匠登録出願人は、公開意匠が意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開された事実が判明した時に、意見書又は上申書等により主張・立証できる、という趣旨を述べています。「意に反して」の典型例として、同基準 6. は「創作者の創作した意匠が窃取盗用によって第三者に公開されたような場合」を挙げています。
5. 第3項ただし書 ― 令和5年改正で追加された「最先の一の行為」ルール
第3項ただし書は、令和5年法律改正(令和5年法律第51号)で追加され、令和6年1月1日以後の出願に適用されます(特許庁「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について」2026年9月参照)。特許庁の同ページは、複数の公開行為がある場合、最先の公開の日のいずれかの公開行為について証明することで、その日以後に公開した同一又は類似の意匠についても例外規定の適用が受けられるようになった、と説明しています。
| 改正前(令和5年12月31日以前の出願) | 現行(令和6年1月1日以後の出願) | |
|---|---|---|
| 複数の公開行為があるときの証明 | 原則として各公開行為について証明が必要(審査基準上の運用を含む) | 同一又は類似の意匠については、最先の日に行われた一の行為について証明すれば足りる(第3項ただし書) |
| 最先の公開日以後に公開した同一又は類似の意匠 | 証明していない行為は救済されないおそれ | 意匠審査基準 第III部 第3章 4.3.4:証明書に記載された公開意匠の公開日以降に公開された同一又は類似の公開意匠は、新規性及び創作非容易性の判断において公知意匠に該当するに至らなかったものとみなす |
〔表4〕令和5年改正の前後。改正解説書第5章35〜40頁の旧運用・改正内容・経過措置に基づく整理。
6. 期間「1年」 ― 平成30年改正で6月から延長
第1項・第2項の「一年以内」は、不正競争防止法等の一部を改正する法律(平成30年法律第33号)により、それまでの「六月以内」から延長されたものです。特許庁の意匠向け案内は、平成30年6月9日以後の出願に適用し、平成29年12月8日以前に公開された意匠には適用しないと説明しています。
延長の理由について、逐条解説は、デザインを公開してから市場の評価を確認した後に実際の製品化を行うビジネスモデルが拡大しつつあること、オープン・イノベーションの進展による共同研究や産学連携が活発化する中、多数の者がデザイン開発に関与することから本人以外の者による公開によって新規性を喪失するリスクが高まっていること、米国・欧州・韓国・シンガポール等の諸外国における新規性喪失の例外期間が1年であることを踏まえたものである、と説明しています(青本〔第22版〕1261頁)。
あわせて、第3項の証明書の提出期限「30日」についても、逐条解説は、制定当初は、意匠は具体的な物品の形状、模様等であり抽象的な発明や考案の場合よりも証明書の作成が容易であるとして特許法・実用新案法より短い出願の日から14日とされていたが、意匠法では権利者の行為に起因する新規性の喪失を広く救済するものであり制度の利用も増加していて短期間で証明書を作成することが容易でない場合が少なくなかったこと、30日程度に延長しても審査の運用にほとんど支障がないことから、平成18年改正で30日に延長したと説明しています。また第4項(証明書提出の救済)は平成26年改正で、特許法第30条第4項と同趣旨により新設されたものである、としています(青本〔第22版〕1262頁)。
7. 証明書の記載事項と審査官の判断(審査基準)
意匠審査基準 第III部 第3章 4.1 は、証明書の記載事項として「公開の事実」(公開日、公開場所、公開者、意匠の内容)と「権利の承継等」(創作者、行為時の権利者、出願人、公開者の関係、権利承継の事実等)を挙げています。同 4.1 は、特許庁が示す定型の様式で提出された場合、原則として要件を満たすことが証明されたものと判断するが、疑義を抱かせる証拠を発見した場合には適用を認めない、と述べています。同 4.3.1 は、公開日の認定について、外国での公開は日本時間に換算する旨を述べています。
| 審査基準の項目 | 要点 |
|---|---|
| 3.(1) 申出書面 | 適用を受けようとする旨の書面を出願と同時に提出(願書への記載でも可) |
| 3.(2) 証明書 | 出願の日から30日以内 |
| 4.1/4.2 様式 | 定型式なら原則証明されたものと判断。非定型式でも同程度の内容があれば原則認める |
| 4.3.3 公開意匠の認定 | 証明書で「公開の事実」が明示された公開意匠について適用。分離可能な部品・付属品も含み得る |
| 4.5 部品・部分意匠 | 出願の意匠との対比の対象となる部位に基づいて対比 |
| 5.2 関連意匠 | 本意匠で証明した公開意匠でも、関連意匠の出願で手続をしなければ、関連意匠はその公開意匠について第4条の適用を受けられない。ただし第10条第2項・第8項の適用があれば新規性等の判断資料から除外される |
〔表5〕意匠審査基準 第III部 第3章の手続・判断の要点。第III部第3章3.、4.1〜4.5、5.2を確認。
8. 分割・変更・国際意匠登録出願との関係
意匠法第10条の2第2項ただし書は、分割による新たな出願について、出願日の遡及の効果が「第四条第三項」の適用については及ばないことを定めています。つまり、証明書の「出願の日から三十日」は、分割による新たな出願の現実の出願日から数えます。一方、同条第3項は、もとの出願について提出された書面等で、新たな出願について第4条第3項により提出しなければならないものは、新たな出願と同時に提出されたものとみなす、と定めています。これらは第13条第6項により出願の変更にも準用されます(→ 第13条の記事)。
国際意匠登録出願(ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づくもの)については、第60条の7が特例を置いています。
第四条第二項の規定の適用を受けようとする国際意匠登録出願の出願人は、その旨を記載した書面及び証明書を、同条第三項本文の規定にかかわらず、国際公表があつた日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。この場合においては、同項ただし書の規定を準用する。
9. 特許法第30条との対比
特許法第30条(発明の新規性の喪失の例外)と意匠法第4条は、構造も期間も同じです。違いは主に「どの号を対象にするか」と「国際出願の特例」の置き方です。
| 比較項目 | 意匠法第4条 | 特許法第30条 |
|---|---|---|
| 対象となる公知事由 | 「第三条第一項第一号又は第二号」(第3号=類似意匠は結果として除かれる) | 「第二十九条第一項各号のいずれか」 |
| 効果の及ぶ判断 | 第3条第1項及び第2項(新規性・創作非容易性) | 第29条第1項及び第2項(新規性・進歩性) |
| 期間 | 該当するに至った日から1年以内の出願 | 同じ |
| 公報掲載の除外 | 第2項かっこ書(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報) | 第2項かっこ書(同じ文言) |
| 書面・証明書 | 出願と同時の書面、出願の日から30日以内の証明書(第3項) | 同じ(第3項) |
| 複数行為の特例 | 第3項ただし書(最先の日の一の行為) | 意匠法と同じ「最先の日の一の行為」のただし書はない |
| 証明書の救済 | 14日(在外者2月)以内かつ6月以内(第4項) | 同じ(第4項) |
| 「証明書」の定義の射程 | 「以下この条及び第六十条の七において」 | 「次項において」 |
| 国際出願の特例 | 第60条の7(国際意匠登録出願:国際公表後の省令期間内、国際事務局への提出みなし) | 第184条の14「発明の新規性の喪失の例外の特例」(国際特許出願:第30条第3項にかかわらず、国内処理基準時の属する日後、経済産業省令で定める期間内に書面・証明書を提出できる) |
| 実用新案法 | ― | 実用新案法第11条第1項が特許法第30条を準用 |
〔表6〕意匠法第4条と特許法第30条の対比。特許法第30条・第184条の14の原文は e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)、実用新案法第11条第1項は同(法令ID 334AC0000000123)で確認しています(2026年9月参照)。
図は左右にスクロールできます。
【図5】両条の相関図。骨格は同一で、対象号の書き方と特例規定の置き場所がちがう。図中の条文番号・期間は2026年9月時点のものです。分割・変更に関する条文は代表的なものだけを挙げており、網羅ではありません。
10. 拒絶理由・無効理由との関係
第4条の適用が認められなければ、公開された意匠は第3条第1項第1号・第2号(および同項第3号・第2項)に該当する意匠として扱われ、第17条第1号の拒絶理由(第3条違反)となり、登録後は第48条第1項第1号の無効理由となり得ます。第4条それ自体が独立の拒絶理由・無効理由として列挙されているわけではありません。
11. 試験での問われ方
| 試験種別 | 学習で整理したい論点 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 短答式 | 「意に反する公開でも書面の同時提出が必要か」「公報掲載による公開が救われるか」「証明書は出願の日から30日以内か」「第3条の2・第9条にも効果が及ぶか」の正誤 | 第1項には手続要件がない。効果は第3条第1項・第2項に限られる |
| 短答式(改正) | 複数の公開行為があった場合に、最先の一の行為の証明で足りるか(第3項ただし書) | 令和6年1月1日以後の出願に適用。2026年度は各試験実施日に施行されている法令が出題対象 |
| 論文式 | 展示会で公開後、第三者が模倣品を公開し、その後に出願した事例で、登録可能性と手続を論じさせる | 第三者の公開の介在(審査基準 5.1)、第9条・第3条の2は救われないこと |
| 口述 | 「第4条第1項と第2項の違いを述べよ」「証明書の提出期限は」 | 期間の数字(1年・30日・14日・2月・6月)を正確に |
〔表7〕学習時の論点整理。実際の出題例は下記の過去問紹介に示しています。
- 効果は第3条第1項・第2項の適用に限られ、第3条の2・第9条には及ばない。出願日も遡らない。
- 第2項は公報掲載による公開を除外。第1項(意に反する公開)は手続要件がなく、審査基準上は意見書・上申書等で主張できる。
- 第3項ただし書(最先の一の行為)は令和5年改正で追加、令和6年1月1日以後の出願に適用。
- 「1年」は平成30年法律第33号で6月から延長。
- 特許法第30条と骨格は同一。違いは対象号の書き方と、第60条の7の国際意匠登録出願の特例。
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