小学生でも分かる意匠法 / B. 出願・審査・登録の手続 #16
意匠登録出願は、出すと自動的に審査官の審査に回ります。特許のように「審査してください」とお願いする手続(出願審査請求)はなく、出願の内容が途中で公開されることもありません。審査官は、条文に列挙された拒絶理由(意匠法第17条)に当たれば拒絶査定、当たらなければ登録査定をします。この記事では、第16条から第19条までの「審査の骨格」と、特許法・実用新案法との違いを整理します。
レベル2条文の骨格 ― 第16条(審査官による審査)、第17条(拒絶査定)、第18条(登録査定)、第19条(特許法の準用)
レベル3要件・例外・試験での問われ方 ― 第17条の限定列挙、拒絶理由と無効理由の対比、特許法・実用新案法との対比、拒絶理由通知の手続
LEVEL 1イメージでつかむ
出願は「宿題の提出」、審査は「先生のチェック」
新しいコップのデザインを考えて、特許庁に「このデザインを登録してください」と願書と図面を出します。これが意匠登録出願です。出すと、特許庁の審査官(しんさかん)という専門の人が、そのデザインが登録してよいものかを調べます。これが審査です。
審査官は「ルールブック(意匠法)に書いてあるダメな理由」に当てはまるかどうかだけを調べます。当てはまれば「登録できません」(拒絶査定)、当てはまらなければ「登録します」(登録査定)と決めます。ただし、いきなり「ダメ」とは言いません。先に「ここがダメだと思うけど、どうですか?」と手紙(拒絶理由通知)を送って、言い分(意見書)を聞いてから決めます。
図は左右にスクロールできます。
【図1】意匠登録出願の審査の流れ(イメージ)。「拒絶理由通知」をはさんでから査定が出る。主経路(審査が進む道)を上から下に、例外(拒絶に向かう枝)を右に出し、終端の箱(登録査定・拒絶査定)は右端の同じ列に揃えた。凡例は図中に記載。※出願の中身は、登録されるまで公開されない(意匠法には出願公開の制度がない)。※図では、意見書・補正のあとに拒絶理由が解消したかどうかを審査官が判断する段階を1つの枝にまとめている。(2026年9月時点の意匠法による)
特許・実用新案とここがちがう
特許は、出願しただけでは審査してもらえません。「審査してください」と別にお願い(出願審査請求)して、はじめて審査が始まります。しかも出願から1年6か月たつと、中身が公開されます。実用新案は、逆にほとんど中身を審査せずに登録されます。意匠は、その中間ではなく「お願いしなくても自動で全部審査、でも中身は登録まで秘密」という独特のしくみです。デザインは見られたらすぐまねされてしまうので、登録前に公開しないのです。
実用新案:中身をほとんど審査せずに登録
意匠:自動で全部審査/登録まで公開されない
- 出願すると、審査官が自動で全部審査する(お願いはいらない)。
- 審査官は、法律に書いてある「ダメな理由」の一覧に当てはまるかだけを見る。当てはまれば拒絶査定、当てはまらなければ登録査定。
- 拒絶する前には、必ず「拒絶理由通知」で言い分を聞く。
- 出願の中身は、登録されるまで公開されない。
※「ダメな理由」の正確な一覧、通知なしで進む場合の有無、査定のあとに何ができるかは、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。
LEVEL 2条文の骨格
第16条 ― 審査官による審査
特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。
特許法第47条第1項「特許庁長官は、審査官に特許出願を審査させなければならない。」と同じ構造です。違いは、特許法には出願審査請求(特許法第48条の3)があり、請求があった出願だけが審査されるのに対し、意匠法にはその制度がなく、すべての意匠登録出願が審査されることです。
逐条解説は、第16条について、審査官による審査を規定したものであり、趣旨は特許法第47条の解説を参照するよう述べています(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』1299頁)。
第17条 ― 拒絶査定
審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その意匠登録出願に係る意匠が第三条、第三条の二、第五条、第八条、第八条の二、第九条第一項若しくは第二項、第十条第一項、第四項若しくは第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
三 その意匠登録出願が第七条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。
| 号 | 拒絶理由 | 根拠条文 | 内容(テーマ) |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 意匠が「意匠登録をすることができないもの」 | 第3条 | 工業上利用性・新規性(第1項)、創作非容易性(第2項) |
| 第3条の2 | 先願意匠の一部と同一又は類似する意匠 | ||
| 第5条 | 不登録事由(公序良俗、混同、機能的形状) | ||
| 第8条 | 組物の意匠の要件 | ||
| 第8条の2 | 内装の意匠の要件 | ||
| 第9条第1項・第2項 | 先願(異日・同日) | ||
| 第10条第1項・第4項・第6項 | 関連意匠の要件(本意匠の出願日からの期間等、関連意匠のみに類似する意匠、本意匠に専用実施権が設定されている場合) | ||
| 第15条第1項で準用する特許法第38条 | 共同出願違反 | ||
| 第68条第3項で準用する特許法第25条 | 外国人の権利の享有 | ||
| (上記の条文に限る) | 限定列挙。ここにない条文(例:第6条)は第1号の拒絶理由にならない | ||
| 第2号 | 条約違反 | 条約の規定 | 条約により意匠登録をすることができないもの |
| 第3号 | 一意匠一出願違反 | 第7条 | 「意匠ごとに」出願されていない |
| 第4号 | 冒認出願 | ― | 出願人が意匠登録を受ける権利を有していない |
〔表1〕意匠法第17条の各号の分解。第1号の条文列挙は限定列挙。
第18条 ― 登録査定
審査官は、意匠登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、意匠登録をすべき旨の査定をしなければならない。
「拒絶の理由を発見しないとき」は登録査定をしなければなりません。審査官に裁量はなく、第17条に当たるか当たらないかで結論が決まる構造です。
逐条解説は、意匠は物品の外観について成立するもので流行に左右される等の関係から迅速に権利を設定することが実情に即するため、特許法等とは異なり、現行法(昭和34年法)の制定当初から出願公告をすることなく権利を付与することにしたと説明しています。したがって拒絶の理由が発見されない場合には本条によって直ちに登録査定が行われ、査定の方式は第19条で準用する特許法第52条によることになります(青本〔第22版〕1306頁)。なお、同書は、特許法・商標法についても平成6年・平成8年の一部改正により出願公告を経ずに特許査定・登録査定が行われることとなった旨を付記しています(同1306頁)。
flowchart TB
subgraph S1["レーン:出願人"]
A["意匠登録出願"]
end
subgraph S2["レーン:特許庁(審査官)"]
B["第16条:特許庁長官が審査官に審査させる(審査請求は不要)"]
C{"拒絶の理由を発見しないか
(第17条各号のいずれにも該当しないか)"}
E["第19条で準用する特許法第50条:拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して意見書提出の機会"]
end
subgraph S3["レーン:出願人"]
F["意見書・補正書(第60条の24)"]
end
subgraph S4["レーン:特許庁(審査官)"]
G{"拒絶の理由が解消したか"}
D["第18条:意匠登録をすべき旨の査定(登録査定)"]
H["第17条:拒絶をすべき旨の査定(拒絶査定)"]
end
subgraph S5["レーン:出願人"]
J["第20条:設定登録へ(登録料納付)"]
I["第46条:査定の謄本の送達があつた日から3月以内に拒絶査定不服審判"]
end
A --> B
B --> C
C -- "はい" --> D
C -- "いいえ(拒絶理由あり)" --> E
E -.-> F
F --> G
G -- "はい(解消した)" --> D
G -- "いいえ(解消せず)" --> H
D --> J
H -.-> I
style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
style H fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
【図2】第16条〜第19条の審査フロー。主体ごとにレーン(出願人/特許庁の審査官)を分け、「はい」が登録査定に向かう主経路、「いいえ」が拒絶側の枝。終端の査定(登録査定・拒絶査定)は同じレーンに並べ、主経路側(登録査定)を左、例外側(拒絶査定)を右に置いた。凡例:緑=登録査定/赤=拒絶査定。実線=必ず行われる手続/点線=出願人の任意の手続(意見書の提出・補正、拒絶査定不服審判の請求)。補正の条文番号(第60条の24)は、意匠法における手続の補正の一般規定として挙げた(e-Gov法令検索で確認。見出しは「手続の補正」。2026年9月参照)。(2026年9月時点の意匠法による)
第19条 ― 特許法の準用
特許法第四十七条第二項(審査官の資格)、第四十八条(審査官の除斥)、第五十条(拒絶理由の通知)、第五十二条(査定の方式)及び第五十四条(訴訟との関係)の規定は、意匠登録出願の審査に準用する。
| 準用される特許法の条文 | 原文(e-Gov、2026年9月参照) | 意匠登録出願の審査での意味 |
|---|---|---|
| 第47条第2項(審査官の資格) | 「審査官の資格は、政令で定める。」 | 意匠の審査官の資格も政令で定まる |
| 第48条(審査官の除斥) | 「第百三十九条(第六号及び第七号を除く。)の規定は、審査官について準用する。」 | 審判官の除斥事由(特許法第139条)が審査官にも及ぶ(第6号・第7号を除く) |
| 第50条(拒絶理由の通知) | 「審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。」 | 拒絶査定の前に、拒絶理由の通知と「相当の期間」を指定した意見書提出の機会が必須。「特許出願人」は意匠登録出願人と読む |
| 第52条(査定の方式) | 第1項「査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。」 第2項「特許庁長官は、査定があつたときは、査定の謄本を特許出願人に送達しなければならない。」 | 登録査定・拒絶査定とも文書+理由。謄本は出願人に送達(送達日が第46条の3月の起算点) |
| 第54条(訴訟との関係) | 第1項「審査において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。」 第2項「訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。」 | 審査と審判・訴訟の手続の相互中止(任意的) |
〔表2〕意匠法第19条で準用される特許法の条文と、その原文。
- 第16条:特許庁長官は審査官に意匠登録出願を審査させなければならない(審査請求なし=全件審査)。
- 第17条:拒絶査定をすべき場合の限定列挙(第1号 実体要件の条文列挙、第2号 条約、第3号 第7条、第4号 冒認)。
- 第18条:拒絶の理由を発見しないときは登録査定をしなければならない。
- 第19条:特許法第47条第2項・第48条・第50条・第52条・第54条を準用。拒絶理由通知(相当の期間)、査定は文書+理由、謄本の送達。
LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方
1. 第17条の「限定列挙」― 拒絶理由にならないものを押さえる
第17条各号は限定列挙です。審査官は、ここに挙がっていない条文を根拠に拒絶査定をすることはできません。受験生が特に注意すべきは、第6条(願書・図面の記載要件)が第17条に挙がっていないことです。図面が不明確で意匠が特定できない出願は、第6条違反として拒絶されるのではなく、「工業上利用することができる意匠」(第3条第1項柱書)に当たらない(意匠が具体的でない)ものとして、第17条第1号の第3条違反で拒絶されます。意匠審査基準 第III部 第1章は「3. 意匠が具体的なものであること」の項でこの判断を扱っています。
| 条文 | 第17条に挙がっているか | 扱い |
|---|---|---|
| 第3条、第3条の2、第5条、第8条、第8条の2、第9条第1項・第2項、第10条第1項・第4項・第6項、特許法第38条(第15条第1項準用)、特許法第25条(第68条第3項準用) | 第1号 | 意匠が登録できないもの |
| 条約 | 第2号 | 条約違反 |
| 第7条(一意匠一出願) | 第3号 | 出願の要件違反 |
| 意匠登録を受ける権利がない(冒認) | 第4号 | 出願人の要件違反 |
| 第6条(願書・図面の記載) | なし | 意匠が特定できない場合は第3条第1項柱書(工業上利用性)で処理。方式上の不備は方式審査(補正命令等) |
| 第4条(新規性喪失の例外) | なし | 要件を満たさなければ第3条第1項で新規性なしとして拒絶 |
| 第14条(秘密意匠) | なし | 秘密請求の不備は拒絶理由ではない |
| 第10条第2項・第3項等(第1号に挙がっていない項) | なし | 関連意匠に関する規定のうち第1号に挙がっていない項は、それ自体は拒絶理由でない(各項の内容は関連意匠の記事を参照) |
〔表3〕第17条に挙がっている条文と挙がっていない条文。
2. 拒絶理由(第17条)と無効理由(第48条第1項)の対比
その意匠登録が第三条、第三条の二、第五条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定に違反してされたとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。
| 根拠 | 拒絶理由(第17条) | 無効理由(第48条第1項) | メモ |
|---|---|---|---|
| 第3条(工業上利用性・新規性・創作非容易性) | ○ | ○ | 両方 |
| 第3条の2 | ○ | ○ | 両方 |
| 第5条(不登録事由) | ○ | ○ | 両方 |
| 第7条(一意匠一出願) | ○(第3号) | × | 拒絶理由のみ。登録後に争う実益に乏しい手続的要件 |
| 第8条(組物)・第8条の2(内装) | ○ | × | 拒絶理由のみ |
| 第9条第1項・第2項(先願) | ○ | ○ | 両方 |
| 第10条第1項・第4項(関連意匠の要件) | ○ | × | 拒絶理由のみ |
| 第10条第6項(本意匠に専用実施権) | ○ | ○ | 両方(第10条のうち無効理由になるのは第6項のみ) |
| 特許法第38条(共同出願) | ○ | ○ | 両方。無効理由は第26条の2第1項の請求に基づく移転登録があったときを除く |
| 特許法第25条(外国人の権利の享有) | ○ | ○ | 両方。無効理由は後発的違反(第4号)も含む |
| 条約違反 | ○(第2号) | ○(第2号・第4号) | 両方。無効理由は後発的違反も含む |
| 冒認 | ○(第4号) | ○(第3号) | 両方。無効理由は第26条の2第1項の請求に基づく移転登録があったときを除く |
| 後発的事由(登録後の権利享有能力喪失・条約違反) | × | ○(第4号) | 無効理由のみ |
〔表4〕拒絶理由と無効理由のマトリクス。「拒絶理由のみ」は第7条・第8条・第8条の2・第10条第1項・第4項、「無効理由のみ」は後発的事由。
図は左右にスクロールできます。
【図3】拒絶理由と無効理由の集合関係。重なりの部分が「両方に当たるもの」。凡例は図中に記載。〔表4〕に挙げた条文のうち代表的なものだけを書き込んでおり、全部は挙げていない。(2026年9月時点の意匠法による)
3. 特許法・実用新案法との対比 ― 審査請求なし・出願公開なし
| 項目 | 特許法 | 実用新案法 | 意匠法 |
|---|---|---|---|
| 審査の開始 | 出願審査請求が必要。「特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。」(特許法第48条の3第1項) | 実体審査なし。「実用新案登録出願があつたときは、その実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、又は却下された場合を除き、実用新案権の設定の登録をする。」(実用新案法第14条第2項)。基礎的要件のみ審査(実用新案法第6条の2) | 審査請求不要。全件を審査官が審査(意匠法第16条) |
| 出願公開 | 「特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。」(特許法第64条第1項) | 出願公開制度なし(登録後に実用新案公報) | 出願公開制度なし。設定登録後に意匠公報(第20条)。秘密意匠(第14条)ならさらに秘匿 |
| 拒絶理由の列挙 | 特許法第49条第1号〜第7号(補正要件違反、第36条の記載要件、外国語書面出願など手続・記載に関する号を含む) | ―(登録後の無効審判、技術評価書) | 意匠法第17条第1号〜第4号。記載要件(第6条)は号に含まれない |
| 拒絶理由通知 | 特許法第50条。最後の拒絶理由通知(特許法第17条の2第1項第3号)の制度あり。他の出願の拒絶理由通知の援用(特許法第50条の2)あり | ― | 意匠法第19条で特許法第50条を準用。「最後の拒絶理由通知」・特許法第50条の2に相当する制度なし(第19条は第50条の2を準用していない) |
| 登録査定 | 特許法第51条 | ― | 意匠法第18条 |
| 査定の方式 | 特許法第52条 | ― | 意匠法第19条で特許法第52条を準用 |
| 拒絶査定への不服 | 拒絶査定不服審判(特許法第121条) | ― | 拒絶査定不服審判。「その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に」(意匠法第46条第1項) |
〔表5〕三法の審査手続の対比。特許法第51条(見出し「特許査定」)、第121条(見出し「拒絶査定不服審判」)、第17条の2第1項第3号(拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合の補正の時期)、第50条の2(見出し「既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知」)は、いずれもe-Gov法令検索で条文番号・見出しを確認した(法令ID 334AC0000000121、2026年9月参照)。
gantt title 三法の「審査が始まるまで」と「公開」の違い(イメージ) dateFormat YYYY-MM axisFormat %Y年%m月 section 特許 出願 :milestone, p0, 2026-04, 0d 出願公開(出願から1年6月) :milestone, p1, 2027-10, 0d 審査請求できる期間(出願から3年以内) :p2, 2026-04, 2029-04 section 実用新案 出願 :milestone, u0, 2026-04, 0d 基礎的要件の審査のみで設定登録 :u1, 2026-04, 2026-07 section 意匠 出願 :milestone, i0, 2026-04, 0d 審査官が審査(審査請求なし・出願公開なし) :i1, 2026-04, 2026-12 登録査定→設定登録→意匠公報 :milestone, i2, 2026-12, 0d
図は左右にスクロールできます。
【図4】三法のタイムチャート(イメージ)。凡例:ひし形=時点(出願・出願公開・意匠公報)/横棒=期間(審査請求できる期間、審査・登録までの期間)。実用新案・意匠の登録までの期間は説明用の仮の長さで、実際の審査期間を示すものではありません。「出願から3年以内」(特許法第48条の3第1項)「出願から1年6月」(特許法第64条第1項)は2026年9月時点の条文による。(時間軸は縮尺なし)
4. 拒絶理由通知から査定までの手続
| 段階 | 根拠 | ポイント |
|---|---|---|
| 拒絶理由の通知 | 第19条で準用する特許法第50条 | 「拒絶をすべき旨の査定をしようとするとき」は必ず通知。「相当の期間」を指定(法定期間ではなく指定期間) |
| 意見書の提出 | 同上 | 指定期間内に意見書を提出する機会が与えられる |
| 補正 | 第60条の24(手続の補正)、第9条の2(要旨変更の補正の扱い) | 願書・図面等の補正は「要旨を変更するもの」であれば補正却下(第17条の2) |
| 補正の却下 | 第17条の2 | 「願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。」(第1項)。却下決定の謄本の送達から「三月を経過するまでは、当該意匠登録出願について査定をしてはならない」(第3項) |
| 補正却下後の新出願 | 第17条の3 | 却下決定の謄本の送達があつた日から3月以内に補正後の意匠について新出願をすれば、手続補正書を提出した時にしたものとみなす(第1項) |
| 拒絶査定 | 第17条、第19条で準用する特許法第52条 | 文書で行い、理由を付す。謄本を出願人に送達 |
| 登録査定 | 第18条、第19条で準用する特許法第52条 | 同上。登録料の納付を経て設定登録(第20条) |
| 拒絶査定不服審判 | 第46条第1項 | 「拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。」 |
〔表6〕拒絶理由通知から査定・審判までの手続。
5. 意匠審査基準における審査の流れ
意匠審査基準は、第I部「審査総論」に第1章「審査の基本方針と審査の流れ」、第2章「意匠審査の手順」を置き、意匠の認定(第II部)、登録要件の判断(第III部以下)へ進む構成をとっています(特許庁ウェブサイトの目次による。令和5年12月改訂、令和6年1月1日以降の出願に適用)。
このうち第I部 第2章「意匠審査の手順」は、審査の手順を8つの項目に分けて示しています。すなわち、1. 意匠登録出願に係る意匠の認定、2. 先行意匠等の調査、3. 新規性、創作非容易性等の検討、4. 拒絶理由の通知、5. 協議指令、6. 国際意匠登録出願の場合の拒絶の通報、7. 意見書又は手続補正書が提出されたとき、8. 査定、の順です。
| 場面 | 審査基準 第I部 第2章の示す扱い(要旨) |
|---|---|
| 拒絶理由を発見したとき | 出願人に対して拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与える |
| 意見書・手続補正書が提出されたとき | 先に通知した拒絶理由は解消したが、他に拒絶理由を発見したときは、改めて拒絶理由を通知する |
| 査定 | 拒絶理由を発見しないときは登録査定をする。拒絶理由が解消しないときは、すみやかに拒絶査定をする |
〔表7〕意匠審査基準 第I部 第2章「意匠審査の手順」のうち、拒絶理由通知から査定までの流れ(要旨)。原文の逐語引用ではなく、本記事作成時に取得した内容の要約です。出典:特許庁「意匠審査基準」第I部 第2章(令和5年12月改訂、令和6年1月1日以降の意匠登録出願に適用)、2026年9月参照。
審査基準は、審査官が願書と図面等から出願意匠を認定し、先行意匠を調査したうえで登録要件を判断する流れを示しています。拒絶理由通知には、不備の箇所・理由や引用意匠の出典などを、出願人が理解できるよう具体的に記載します。意見書の各主張と補正内容を検討して、先の拒絶理由が解消されたかを判断し、別の拒絶理由が見つかれば改めて通知します。これらの詳しい手順は第I部第1章に続く第2章4・7・8に定められています。審査の基本方針と流れ/意匠審査の手順、6〜11頁。
6. 令和元年改正との関係
第16条〜第19条の骨格は令和元年改正(令和2年4月1日施行)で変わっていませんが、第17条第1号の列挙には、同改正で新設された第8条の2(内装の意匠)と、関連意匠制度の拡充に伴う第10条の項番号が反映されています。改正前の出願(令和2年3月31日以前)については、当時の第17条の列挙で判断されます。施行日は特許庁「令和元年意匠法改正特設サイト」により、改正規定のほとんどが令和2年4月1日、残る一部が令和3年4月1日の施行です(2026年9月参照)。逐条解説も、令和元年の一部改正で、関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認めるために新設された第10条第4項が第1号の拒絶理由として追加されたと説明しています(青本〔第22版〕1300頁)。2020年1月1日時点の旧第17条第1号には第8条の2はなく、第10条は「第一項から第三項まで」でした。現行では内装の第8条の2が加わり、第10条の列挙も改正後の項構成に対応しています。適用は令和元年法律第3号附則第2条第1項により出願日で分かれ、2020年4月1日以後の出願に新規定を適用します。出典:e-Gov意匠法・2020年1月1日時点。
7. 試験での問われ方
| 試験種別 | 学習用の問いの例 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 短答式 | 「第6条違反は拒絶理由か」「第7条違反は無効理由か」「意匠登録出願に出願審査請求が必要か」「拒絶理由通知なしに拒絶査定できる場合があるか」「補正却下決定後、拒絶理由がなければ直ちに登録査定できるか」の正誤 | 〔表3〕〔表4〕のマトリクスで、拒絶理由のみ/無効理由のみ/両方を区別。第17条の2第3項の「3月を経過するまで査定禁止」 |
| 論文式 | 出願から登録までの手続の流れを説明させる。拒絶理由通知への対応(意見書・補正・分割・新出願)の選択肢を挙げさせる | 第19条で準用する特許法第50条を根拠条文として明示。特許法との違い(審査請求・出願公開なし)を一言添える |
| 口述 | 「意匠法第17条の拒絶理由を挙げよ」「第19条で準用される特許法の規定は」 | 第1号の条文列挙と、第2号〜第4号を順に。準用5条文(第47条第2項・第48条・第50条・第52条・第54条) |
〔表8〕学習用の問いと確認点。出題実績や頻度の集計ではありません。
- 第17条は限定列挙。第6条・第4条・第14条は拒絶理由でなく、図面不備による意匠の不特定は第3条第1項柱書で処理。
- 拒絶理由のみ:第7条・第8条・第8条の2・第10条第1項・第4項。無効理由のみ:後発的事由(第48条第1項第4号)。
- 意匠法には出願審査請求・出願公開がなく、全件審査・登録まで非公開。最後の拒絶理由通知・特許法第50条の2に相当する制度もない。
- 拒絶査定の前には必ず拒絶理由通知(相当の期間)。査定は文書+理由、謄本送達。拒絶査定不服審判は送達日から3月以内。
- 補正却下決定の謄本送達から3月を経過するまで査定禁止(第17条の2第3項)。
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