小学生でも分かる実用新案法 / A. 登録要件・考案(実体規定) #8
実用新案法第11条は、実用新案法に自前の条文を置くかわりに、特許法の条文を「準用」(じゅんよう=必要な読み替えをして借りて使う)することを定めた条文です。第1項は実用新案登録出願について(新規性喪失の例外・共同出願・パリ条約による優先権の手続・出願の分割)、第2項は実用新案登録を受ける権利について、第3項は職務考案について、それぞれ特許法のどの条文を借りるかを列挙しています。この記事では、借りてくる条文の一覧と、「借りていない部分」が何を意味するかを整理します。
レベル2条文の骨格 ― 第1項・第2項・第3項が借りる条文の一覧表
レベル3要件・例外・試験での問われ方 ― 借りていない部分(第34条第3項・仮専用実施権)の意味、読替えと差分
LEVEL 1イメージでつかむ
「となりのクラスのルール」を借りて使う
学校で、1組と2組がとてもよく似た活動をしているとします。2組が自分たちのルールブックを作るとき、「あいさつのしかた」や「そうじの当番」のように1組とまったく同じでよいルールは、わざわざ書き写さずに、「ここは1組のルールブックの第○ページを使います」と書いておけば十分です。これが準用です。
実用新案法(2組)は、特許法(1組)とよく似た法律です。そこで実用新案法第11条は、「新しさをうっかり失ったときの救い」「みんなでいっしょに出願すること」「外国で先に出願したときの手続」「出願を分けること」「出願する前の権利」「会社ではたらく人が考えたアイデア」について、特許法の条文を必要な読み替えをして借りると決めています。
図は左右にスクロールできます。
【図1】実用新案法第11条が特許法から借りてくる条文の地図。第1項・第2項・第3項で借りる相手(出願/権利/考案)が違い、第2項・第3項には「借りない部分」が明示されている。※図では条文名を短く書いた。正式な括弧書きの見出しは〔表1〕を参照。※準用された条文は「発明」を「考案」、「特許出願」を「実用新案登録出願」と読みかえて使う。(2026年9月時点)
ぜんぶ借りるわけではない
ただし、1組にはあって2組にはない活動もあります。たとえば、特許には「特許になる前に、他の人にアイデアを使わせる約束」(仮専用実施権といいます)のしくみがありますが、実用新案にはありません。そこで実用新案法第11条は、そういう部分は借りないと、わざわざ書いています。「借りるところ」と「借りないところ」の両方を見ることで、実用新案法らしさが分かります。
- 実用新案法第11条は、特許法の条文を借りて使う(準用する)ことを決めた条文。
- 第1項は「出願」について、第2項は「登録を受ける権利」について、第3項は「会社の人が考えたアイデア(職務考案)」について、それぞれ借りる条文を列挙している。
- 実用新案にないしくみ(仮専用実施権など)に関する部分は、借りていない。
※借りた条文を実用新案でどう読みかえるか、借りていない部分がなぜ借りていないかには、細かい決まりがあります。正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。
LEVEL 2条文の骨格
第11条の原文
特許法第三十条(発明の新規性の喪失の例外)、第三十八条(共同出願)、第四十三条から第四十四条まで(パリ条約による優先権主張の手続等及び特許出願の分割)の規定は、実用新案登録出願に準用する。
特許法第三十三条並びに第三十四条第一項、第二項及び第四項から第七項まで(特許を受ける権利)の規定は、実用新案登録を受ける権利に準用する。
特許法第三十五条(仮専用実施権に係る部分を除く。)(職務発明)の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした考案に準用する。
準用対応表 ― どの項が、特許法のどの条文を、何に準用するか
| 実用新案法第11条 | 準用する特許法の条文 | 条文の見出し(第11条の括弧書きどおり) | 準用先(何に当てはめるか) | 関連記事 |
|---|---|---|---|---|
| 第1項 | 第30条 | 発明の新規性の喪失の例外 | 実用新案登録出願 | 特許法第30条 新規性喪失の例外 |
| 第38条 | 共同出願 | 特許法第38条 共同出願 | ||
| 第43条から第44条まで(第43条、第43条の2、第43条の3、第44条) | パリ条約による優先権主張の手続等及び特許出願の分割 | 特許法第43条〜第43条の3 パリ条約優先権の手続、特許法第44条 分割 | ||
| 第2項 | 第33条 | 特許を受ける権利 | 実用新案登録を受ける権利 | 特許法第33条 特許を受ける権利の移転 |
| 第34条第1項、第2項及び第4項から第7項まで | 特許法第34条 特許を受ける権利の承継 | |||
| 第3項 | 第35条(仮専用実施権に係る部分を除く) | 職務発明 | 従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした考案 | 特許法第35条 職務発明 |
〔表1〕実用新案法第11条の準用対応表(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。「第四十三条から第四十四条まで」に第43条の2・第43条の3が含まれるのは条番号の並び上の帰結。各条文の内容は関連記事を参照。
借りていない部分の一覧
| 借りていない部分 | 第11条のどこで分かるか | その部分の内容(特許法の原文または要旨) |
|---|---|---|
| 特許法第34条第3項 | 第2項が「第三十四条第一項、第二項及び第四項から第七項まで」としており、第3項が抜けている | 「同一の者から承継した同一の発明及び考案についての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも、前項と同様とする。」(原文) |
| 特許法第35条のうち仮専用実施権に係る部分 | 第3項の括弧書き「(仮専用実施権に係る部分を除く。)」 | 特許法第35条第2項の「使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約」のうち仮専用実施権の部分、第4項の「使用者等のため仮専用実施権を設定した場合」の部分(要旨) |
〔表2〕実用新案法第11条が明示的に準用していない部分(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。
第1項の3つのグループを図で
flowchart LR J["実用新案法第11条第1項
実用新案登録出願に準用"] --> A["① 特許法第30条
発明の新規性の喪失の例外"] J --> B["② 特許法第38条
共同出願"] J --> C["③ 特許法第43条・第43条の2・第43条の3
パリ条約による優先権主張の手続等"] J --> D["④ 特許法第44条
特許出願の分割"] A --> A1["第30条の対象となる公開から1年以内に出願
第2項は出願時の申出+30日以内の証明書(救済あり)"] B --> B1["実用新案登録を受ける権利が共有なら共同で出願"] C --> C1["優先権主張の書面・証明書類の提出手続"] D --> D1["分割と同時に登録料を納付
実用新案法第32条第1項"] style J fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style A fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style B fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
準用する側(実用新案法第11条第1項)
準用される特許法の条文
①〜④条文の並び順
必須(準用の効果として当然に及ぶ)
【図2】実用新案法第11条第1項が準用する4つのグループと、実用新案登録出願に当てはめたときの要点(特許法第30条第1項〜第3項、第38条、第43条、第44条、実用新案法第32条第1項、e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。※右端の箱は要点の抜き書きであり、条文の全文ではない。※説明の都合上、特許法第43条〜第43条の3の救済規定(第43条第6項〜第9項、第43条の2)は図から省略した。(2026年9月時点)
- 第11条第1項:特許法第30条(新規性喪失の例外)、第38条(共同出願)、第43条〜第44条(パリ条約による優先権主張の手続等、出願の分割)を実用新案登録出願に準用。
- 第11条第2項:特許法第33条、第34条第1項・第2項・第4項〜第7項を実用新案登録を受ける権利に準用。第34条第3項は準用していない。
- 第11条第3項:特許法第35条を職務考案に準用。ただし仮専用実施権に係る部分は除く。
- 第11条には読替えの表(「○○とあるのは△△と読み替える」)は置かれていない。
LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方
1. なぜ第34条第3項は準用されていないのか
特許法第34条第2項は「同一の発明について同日に二以上の特許出願があったとき、承継人の間で協議して定めた者以外は第三者に対抗できない」という趣旨の規定で、第3項はこれを「同一の者から承継した同一の発明及び考案について、同日に特許出願及び実用新案登録出願があったとき」に広げています。つまり、第34条第3項は特許法の条文でありながら、はじめから実用新案登録出願を含む場面を規律しているので、実用新案法側であらためて準用する必要がない、と読むことができます(本記事作成者の整理)。
同一の者から承継した同一の発明及び考案についての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも、前項と同様とする。
flowchart TD S["同一の者から承継した権利について
同日に2以上の出願がある"] --> T{"出願の組合せは"} T -->|"① 実用新案登録出願どうし"| U["◎ 実用新案法第11条第2項において
準用する特許法第34条第2項"] T -->|"② 特許出願どうし"| V["○ 特許法第34条第2項
(準用ではなく、そのまま適用)"] T -->|"③ 特許出願と実用新案登録出願"| W["○ 特許法第34条第3項
(準用ではなく、そのまま適用)
だから実用新案法で準用する必要がない"] style U fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style V fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style W fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
◎ 実用新案法第11条第2項の準用で処理する
○ 特許法の条文がそのまま適用される
①②③場合分けの番号
【図3】特許法第34条第2項・第3項と実用新案法第11条第2項の役割分担(本記事作成者の整理)。③で特許法第34条第3項がそのまま働くことが、同項を準用していない理由と読める。※両条の適用関係を整理した図であり、青本の立法理由の引用ではない。(2026年9月時点)
特許法第34条第3項は、同一人から承継した同一の発明・考案について同日に特許出願と実用新案登録出願がある場合を、条文自体で定めています。この場面は同項の直接適用で処理できます。実用新案法第11条第2項は同項を準用対象に含めていません。この説明は両条の適用関係の整理であり、青本に記された独立の立法理由を引用したものではありません。 特許法第34条第2項・第3項 実用新案法第11条第2項
2. 「仮専用実施権に係る部分を除く」の意味
仮専用実施権(特許法第34条の2)は、特許出願中の発明について設定できる実施権で、実用新案法にはこれに対応する制度がありません。第11条第2項は特許法第34条の2・第34条の3を準用していませんし、第3項は第35条のうち仮専用実施権に係る部分を除いています。したがって、職務考案について、特許法第35条第2項(職務発明以外の発明についての予約承継等の無効)や第4項(相当の利益を受ける権利)を実用新案に当てはめるときは、「仮専用実施権を設定した場合」を除いて読むことになります。
| 特許法第35条の項 | 内容(要旨) | 準用の有無(実用新案法第11条第3項) |
|---|---|---|
| 第1項 | 従業者等又はその承継人が職務発明について特許を受けたとき、使用者等は通常実施権を有する | 準用(「特許」を実用新案登録と読む) |
| 第2項 | 職務発明以外の発明について、あらかじめ使用者等に権利を取得させたり、仮専用実施権・専用実施権を設定することを定めた契約等の条項は無効 | 準用。ただし「仮専用実施権」の部分は除く |
| 第3項 | 職務発明について、あらかじめ使用者等に権利を取得させると定めたときは、発生時から使用者等に帰属 | 準用 |
| 第4項 | 従業者等は権利の承継等をさせたときに相当の利益を受ける権利を有する(「使用者等のため仮専用実施権を設定した場合」を含む文言) | 準用。ただし「仮専用実施権を設定した場合」の部分は除く |
| 第5項〜第7項 | 相当の利益の定めの不合理性判断、指針、定めがない場合の算定 | 準用 |
〔表3〕特許法第35条各項の要旨と実用新案法第11条第3項による準用の範囲(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。「仮専用実施権」の語が現れる項は第2項・第4項(取得した原文による)。
従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。
実用新案法にも第4条の2の仮通常実施権があります。第11条第2項で準用する特許法第33条第4項により、実用新案登録を受ける権利が共有のときは、他の共有者の同意なく仮通常実施権を許諾できません。青本第11条は、平成23年改正で仮通常実施権を導入したことに伴い、第33条を準用することにしたと説明しています。仮専用実施権の制度は実用新案にはありません。 実用新案法第4条の2・第11条 特許法第33条第4項 青本第22版982頁
3. 読替え・差分の整理 ― 第1項の4グループ
第11条には読替え表がありません。そこで、準用された特許法の条文を実用新案登録出願に当てはめるときに、特許法どおりに動く部分と、実用新案法の他の条文や制度の違いで結果が変わる部分を分けて整理します。
| 準用条文 | 特許法どおりに当てはまる部分 | 実用新案では違ってくる部分(差分) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 特許法第30条(新規性喪失の例外) | 権利者の意に反する公知(第1項)・権利者の行為に起因する公知(第2項)から1年以内の出願で救済。第2項(公報掲載による公開を除く)の適用では、申出書面を出願と同時に、証明書を出願日から30日以内に提出(第3項)。第4項の救済期間 | 「発明」を「考案」、「特許出願」を「実用新案登録出願」と読む。実用新案法第8条第2項は、準用特許法第30条第1項・第2項について国内優先権の効果を列挙している。第30条第3項の書面は、実用新案法第2条の2第1項ただし書きの補正制限の対象書面には列挙されていない(同項が列挙するのは第8条第4項・準用第43条第1項の書面等) | 実用新案法第2条の2第1項、第8条第2項、特許法第30条 |
| 特許法第38条(共同出願) | 「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。」 | 「実用新案登録を受ける権利」「実用新案登録出願」と読む。実用新案は無審査登録のため、共同出願違反は拒絶理由(特許法第49条第2号)として審査されるのではなく、無効理由(実用新案法第37条第1項)として扱われる点が特許と違う | 特許法第38条、実用新案法第37条第1項第2号(移転登録による除外あり) |
| 特許法第43条〜第43条の3(パリ条約による優先権の手続等) | 優先権主張の書面(第43条第1項)、優先権証明書類の提出(第43条第2項、優先日から1年4月以内)、提出がない場合の効力喪失と救済(第43条第4項〜第9項)、優先期間経過後の救済(第43条の2)、パリ条約の例による優先権(第43条の3) | 書面の提出期間の省令(特許法施行規則第27条の4の2第3項)は、実用新案法施行規則第23条第2項で「当該実用新案登録出願の日から一月」と読み替えられている。実用新案法第2条の2第1項ただし書きは、準用第43条第1項の書面の補正を省令期間経過後は認めない | 実用新案法第2条の2第1項、実用新案法施行規則第23条第2項、特許法第43条 |
| 特許法第44条(出願の分割) | 2以上の考案を包含する出願の一部を新たな出願にできる。第1項第1号「補正をすることができる時又は期間内」。新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなす(第2項本文)。もとの出願で提出した書面は新たな出願と同時に提出したものとみなす(第4項) | 第1項第2号「特許をすべき旨の査定の謄本の送達」・第3号「拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達」は、査定のない実用新案では使う場面がない。第1号の「補正をすることができる時又は期間内」は実用新案法第2条の2第1項ただし書きの省令期間による。第2項ただし書きの「第三十条第三項の規定の適用」は準用第30条第3項と読む。分割と同時に第1年〜第3年分の登録料の納付が必要(実用新案法第32条第1項括弧書き)。分割による新たな出願は国内優先権の「先の出願」にできない(実用新案法第8条第1項第2号) | 特許法第44条、実用新案法第2条の2第1項、第8条第1項第2号、第32条第1項 |
〔表4〕実用新案法第11条第1項が準用する各条文の「特許法どおりの部分」と「実用新案での差分」(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。差分欄は条文からの帰結を本記事作成者が整理したもの。
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。
共同出願違反は第37条第1項第2号の無効理由です。ただし、第17条の2第1項の請求に基づく実用新案権の移転登録があった場合は、同号の括弧書きによって除かれます。自主的な補正の期間は、施行規則第1条により原則として出願日から1月です。命令に応じた補正は、命令で指定された期間によります(分割・変更・国際出願の起算点には特則があります)。 実用新案法第37条・第2条の2 実用新案法施行規則第1条
4. 分割出願と登録料の接続 ― 実用新案法第32条第1項括弧書き
前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に(第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更又は第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項の規定による出願の分割があつた場合にあつては、その出願の変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない。
実用新案登録出願では、出願と同時に第1年〜第3年分の登録料を納めます。分割によって新しい実用新案登録出願ができたときも、「その分割と同時に」納めることが括弧書きで明記されています。第11条第1項で特許法第44条を準用しただけでは登録料の納付時期は決まらないので、第32条第1項が「第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項の規定による出願の分割」と名指しでつないでいるわけです。
flowchart TD
subgraph SL["レーン:出願人がすること"]
P1["① もとの実用新案登録出願をする
同時に第1年から第3年までの各年分の登録料を納付
実用新案法第32条第1項"] --> P2{"補正をすることができる時
又は期間内か
準用特許法第44条第1項第1号"}
P2 -->|"はい"| P3["② 出願の分割をする
その分割と同時に、新たな出願の第1年から
第3年までの各年分の登録料を納付
実用新案法第32条第1項括弧書き"]
P2 -->|"いいえ"| NG["× 分割できない"]
end
subgraph SK["レーン:法律上の効果"]
P4["○ 新たな出願は、もとの出願の時に
したものとみなす
準用特許法第44条第2項本文(ただし書きの例外あり)"]
end
P3 --> P4
style P4 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
style NG fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
○ 認められる効果
× できない
必須の手続
①②手続の順番
【図4】分割出願と登録料納付の流れ(実用新案法第32条第1項、準用特許法第44条、e-Gov法令検索、2026年9月参照)。※説明の都合上、準用特許法第44条第1項第2号・第3号(査定の謄本の送達後の分割)は、査定のない実用新案では使う場面がないため図から省略した。※準用特許法第44条第2項ただし書きの例外の内容は本文を参照。(2026年9月時点)
5. 特許法との対比 ― 「自前の条文」か「準用」か
| テーマ | 特許法 | 実用新案法 | 実用新案法での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 新規性喪失の例外 | 第30条 | 第11条第1項で準用 | 準用 |
| 共同出願 | 第38条 | 第11条第1項で準用 | 準用 |
| パリ条約による優先権の手続 | 第43条〜第43条の3 | 第11条第1項で準用 | 準用 |
| 国内優先権 | 第41条・第42条 | 第8条・第9条 | 自前の条文(関連記事「実用新案法第8条・第9条 国内優先権」) |
| 出願の分割 | 第44条 | 第11条第1項で準用 | 準用 |
| 出願の変更 | 第46条・第46条の2 | 第10条 | 自前の条文(関連記事「実用新案法第10条 出願の変更」) |
| 特許(実用新案登録)を受ける権利の移転・承継 | 第33条・第34条 | 第11条第2項で準用(第34条第3項を除く) | 準用 |
| 仮専用実施権・仮通常実施権 | 第34条の2〜第34条の5 | 仮通常実施権は第4条の2。第33条・第34条の3の一部と第34条の5を準用 | 仮専用は制度なし/仮通常は制度あり |
| 職務発明(職務考案) | 第35条 | 第11条第3項で準用(仮専用実施権に係る部分を除く) | 準用 |
〔表5〕特許法の出願・権利に関する規定が、実用新案法では「自前の条文」か「準用」か「制度なし」かの対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。
6. 試験での問われ方
| 試験種別 | 問われ方の傾向(本記事作成者の整理) | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 短答式 | 「実用新案登録出願について、特許法第○条は準用されているか」「準用されていない項(第34条第3項)や部分(仮専用実施権)」「分割出願の登録料の納付時期」の正誤 | 第11条の各項が何に準用するか(出願/権利/考案)を区別する。第44条第1項第2号・第3号が実用新案では使えないこと |
| 論文式 | 共同出願違反や新規性喪失の例外を実用新案登録出願の事例で問い、根拠条文を「実用新案法第11条第1項で準用する特許法第30条」の形で書かせる | 準用の書き方(「実用新案法第11条第1項において準用する特許法第38条」)を正確に |
| 口述 | 「実用新案法第11条第3項の括弧書きは何を除いているか」「なぜ第34条第3項は準用されていないか」を口頭で説明 | 仮専用実施権が実用新案にない制度であること |
〔表6〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。
令和8年度短答式の問5(ホ)は、実用新案登録出願から変更し、さらに分割した特許出願を実用新案登録出願へ変更できる時期を扱います。問16の1〜3・5は特許出願の分割、同4は実用新案登録に基づく特許出願の問題です。公式正答は問5が4、問16が3です。 令和8年度問題 公式解答
- 第11条第1項(出願に準用):特許法第30条・第38条・第43条〜第44条。読替え表はなく、「発明→考案」「特許出願→実用新案登録出願」と読む。
- 第11条第2項(権利に準用):特許法第33条、第34条第1項・第2項・第4項〜第7項。第34条第3項は、特許法の条文自体がはじめから特許出願と実用新案登録出願の同日出願を規律しているため準用不要と読める(本記事作成者の整理)。
- 第11条第3項(考案に準用):特許法第35条。仮専用実施権に係る部分(第2項・第4項の該当文言)は除く。実用新案には仮専用実施権の制度はないが、第4条の2の仮通常実施権がある。
- 差分の要点:第44条第1項第2号・第3号は査定のない実用新案では使う場面がない。分割と同時に第1年〜第3年分の登録料納付(第32条第1項括弧書き)。分割による新たな出願は国内優先権の先の出願にできない(第8条第1項第2号)。パリ条約優先権の書面の省令期間は通常、実用新案登録出願の日から1月(回復には別の期間)(実用新案法施行規則第23条第2項)。
関連記事・参考条文
