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小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第10条 出願の変更 ― 「特許・意匠」から「実用新案」へ乗り換える

小学生でもわかる実用新案法:出願の変更(10条)

小学生でも分かる実用新案法 / B. 出願・登録・評価の手続 #11

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特許出願や意匠登録出願として出したものを、あとから実用新案登録出願に「変更」できます。変更しても出願日は元の出願の日のまま。そのかわり元の出願は取り下げたことになり、変更と同時に登録料を納めなければなりません。特許法第46条(特許出願への変更)と向きが反対の規定です。

条文:実用新案法第10条関連:実用新案法第3条の2、第15条、第32条第1項、特許法第46条、第46条の2、第44条参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

特許の電車から、実用新案の電車へ

アイデアを守るしくみには「特許」「実用新案」「意匠(デザイン)」の3つの電車があります。特許の電車は、特許庁が「本当に新しいか」をじっくり調べてから権利をくれる、時間のかかる路線です。実用新案の電車は、中身をくわしく調べずに、はやく登録してくれる路線です。

特許の電車に乗ったあとで、「特許庁に『これは特許にはならない』と言われそうだ」「もっと早く権利がほしい」と思うことがあります。そんなとき、途中の駅で実用新案の電車に乗り換えることができます。これが出願の変更です。意匠(デザイン)の電車から乗り換えることもできます。

特許出願 意匠登録出願 実用新案登録出願 ① 第10条第1項 ② 第10条第2項 参考:特許⇔意匠の変更

図は左右にスクロールできます。

凡例
本記事で扱う変更(実用新案法第10条)
参考。本記事では扱わない(特許法・意匠法の規定)
①②矢印の番号(第10条の項に対応)

【図1】実用新案法第10条は「特許出願→実用新案登録出願」(①=第1項)と「意匠登録出願→実用新案登録出願」(②=第2項)の2本の矢印。※逆向きの出願変更(実用新案登録出願→特許出願)は特許法第46条第1項。設定登録後の実用新案登録に基づく特許出願は第46条の2の別制度。※説明の都合上、特許出願と意匠登録出願の間の変更(点線)は内容を省略した。

乗り換えのルール3つ

乗り換えには、かんたんに言うと3つのルールがあります。

  • 切符の日付はそのまま:乗り換えても、最初に出願した日が「出願した日」として使えます(例外あり)。早く出した人が勝ちの世界なので、これはとても大事です。
  • 元の電車からは降りる:乗り換えたら、元の特許出願や意匠登録出願は「取り下げた」ことになります。2つの電車に同時には乗れません。
  • 乗り換えるときにお金をはらう:実用新案の電車は「登録料」(権利をもらうためのお金)を、乗り換えと同時にはらわないといけません。

それから、乗り換えには「いつまで」という期限があります。特許庁から「特許にはできません」という手紙(拒絶査定)が届いたら、そこから3か月。手紙が届かなくても、特許出願の日から9年6か月を過ぎたらもう乗り換えられません。

レベル1のまとめ

  • 特許出願や意匠登録出願を、実用新案登録出願に「変更」できる(実用新案法第10条)。
  • 変更しても出願日はそのまま(例外あり)。元の出願は取り下げたことになる。登録料は変更と同時にはらう。
  • 期限は「拒絶査定の手紙から3か月」と「元の出願の日から9年6か月」。

※「出願日がそのまま」には例外があり、変更できない出願もあります。正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

第10条は10個の項でできている

項 内容(要旨) 期限・条件
第1項 特許出願人は、その特許出願を実用新案登録出願に変更できる 最初の拒絶査定の謄本の送達日から3月経過後、または特許出願の日から9年6月経過後は不可。実用新案登録に基づく特許出願(特許法第46条の2第1項)等は対象外
第2項 意匠登録出願人は、その意匠登録出願を実用新案登録出願に変更できる 期限は第1項と同じ(3月/9年6月)。一定の意匠登録出願は対象外
第3項 変更後の実用新案登録出願は、元の出願の時にしたものとみなす(出願日の遡及) ただし書:拡大先願(実用新案法第3条の2、特許法第29条の2)の「他の出願」となる場合、新規性喪失の例外の証明書提出(特許法第30条第3項の準用)については遡及しない
第4項 パリ条約優先権の証明書類の提出期限(特許法第43条第2項の準用)の読替え 「最先の日から1年4月」を「1年4月又は変更に係る実用新案登録出願の日から3月のいずれか遅い日まで」と読み替える
第5項 変更があったときは、元の特許出願・意匠登録出願は取り下げたものとみなす
第6項 第1項の「3月」は、特許法第4条により拒絶査定不服審判の請求期間(特許法第121条第1項)が延長されたときは、その延長された期間だけ延長されたものとみなす
第7項 第2項の「3月」について、第6項と同じ扱い(意匠法第68条第1項で準用する特許法第4条、意匠法第46条第1項の期間)
第8項 元の特許出願で提出した書面・書類のうち、新たな実用新案登録出願で提出すべきものは、変更出願と同時に提出されたものとみなす 特許法第44条第4項(分割)に相当する規定
第9項 特許出願に仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り第1項の変更ができる
第10項 第8項を第2項(意匠→実用新案)の変更に準用

〔表1〕実用新案法第10条の項ごとの内容(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。

原文で読む(第1項・第3項・第5項)

実用新案法第10条第1項特許出願人は、その特許出願(特許法第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(同法第四十四条第二項(同法第四十六条第六項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)を除く。)を実用新案登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後又はその特許出願の日から九年六月を経過した後は、この限りでない。

括弧の中がややこしいので、はずして読むと「特許出願人は、その特許出願を実用新案登録出願に変更することができる。ただし、(3月または9年6月を過ぎた後は)この限りでない」となります。括弧の中は「実用新案登録に基づく特許出願(特許法第46条の2第1項)とその分割・変更出願は、実用新案登録出願に変更できない」という除外です。いったん実用新案から特許に乗り換えたものを、また実用新案に戻すことは認めない、ということです。

実用新案法第10条第3項前二項の規定による出願の変更があつたときは、その実用新案登録出願は、その特許出願又は意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、その実用新案登録出願が第三条の二に規定する他の実用新案登録出願又は特許法第二十九条の二に規定する実用新案登録出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び次条第一項において準用する同法第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。
実用新案法第10条第5項第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、その特許出願又は意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。

期限のタイムライン

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gantt
    title 特許出願を実用新案登録出願に変更できる期間(実用新案法第10条第1項)
    dateFormat YYYY-MM-DD
    axisFormat %Y年
    todayMarker off
    section ①出願の日から
    ◆ 特許出願の日(起算点) :milestone, m1, 2026-04-01, 0d
    ○ 変更できる 出願の日から9年6月 :done, a1, 2026-04-01, 2035-10-01
    × 変更できない 9年6月の経過後 :crit, a2, 2035-10-01, 2037-04-01
    section ②拒絶査定から
    ◆ 最初の拒絶査定の謄本の送達(起算点・例) :milestone, m2, 2029-04-01, 0d
    ○ 変更できる 送達の日から3月 :done, b1, 2029-04-01, 2029-07-01
    × 変更できない 3月の経過後 :crit, b2, 2029-07-01, 2037-04-01

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 変更できる期間
× 変更できない期間
◆期間の起算点となる出来事
①②2つの期限(どちらか一方でも経過すると変更できない)

【図2】実用新案法第10条第1項の期限。①「特許出願の日から9年6月」と②「最初の拒絶査定の謄本の送達から3月」のどちらか一方でも過ぎると変更できない(条文は「三月を経過した後又は…九年六月を経過した後は、この限りでない」)。意匠登録出願からの変更(第2項)も同じ期限。※日付は説明用の例で、拒絶査定の送達日は事案による。※時間軸は縮尺なし。※説明の都合上、第6項による「3月」の延長(特許法第4条)は図に描いていない。(2026年9月時点)

変更と同時に登録料を納める(第32条第1項)

実用新案法第32条第1項前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に(第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更又は第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項の規定による出願の分割があつた場合にあつては、その出願の変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない。

実用新案は無審査で登録されるため、第1年から第3年までの登録料を「出願と同時」に納める制度です。変更出願は元の出願日にしたものとみなされますが、登録料を納めるのは変更の時でよい、と括弧書きで定めています。

flowchart LR
  A["特許出願(または意匠登録出願)"] -. "変更するかは出願人の選択(任意)" .-> B["実用新案法第10条の変更"]
  B --> C["① 新しい実用新案登録出願
出願日は元の出願の日(第3項)"] B --> D["② 元の出願は取下げ擬制(第5項)"] B --> E["③ 第1年〜第3年分の登録料を変更と同時に納付
(第32条第1項括弧書き)"] B --> F["④ 元の出願で出した書面は同時提出とみなす(第8項・第10項)"] style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style F fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
任意の手続(変更するかどうかは出願人が決める)
変更すれば必ず生じる効果
新しい実用新案登録出願についての効果
元の出願についての効果
①〜④説明の順番

【図3】変更をしたときに起こる4つの効果。※説明の都合上、第9項(仮専用実施権者の承諾)と第4項(優先権書類の提出期限の読替え)は図に描いていない(→〔表1〕)。

レベル2のまとめ

  • 第1項:特許出願→実用新案登録出願。第2項:意匠登録出願→実用新案登録出願。期限はどちらも「最初の拒絶査定謄本送達から3月」「元の出願日から9年6月」。
  • 第3項:出願日は遡及(ただし拡大先願の「他の出願」となる場合と特許法第30条第3項の証明書提出は例外)。第5項:元の出願は取下げ擬制。
  • 第4項・第8項・第10項:優先権書類の提出期限の読替えと書面の同時提出擬制。第6項・第7項:3月の期間の延長。第9項:仮専用実施権者の承諾。
  • 登録料(第1年〜第3年分)は変更と同時に納付(実用新案法第32条第1項括弧書き)。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 要件の整理(主体・客体・時期・手続)

観点 特許出願→実用新案登録出願(第1項) 意匠登録出願→実用新案登録出願(第2項)
主体 特許出願人。仮専用実施権者があるときはその承諾が必要(第9項) 意匠登録出願人(第9項に相当する規定は第2項側にはない)
客体(除外) 実用新案登録に基づく特許出願(特許法第46条の2第1項)およびその分割・変更出願(特許法第44条第2項・第46条第6項の準用によりその特許出願の時にしたものとみなされるもの)は除外 意匠法第13条第6項で準用する意匠法第10条の2第2項により「実用新案登録に基づく特許出願の時にしたものとみなされる意匠登録出願」(その分割出願を含む)は除外
時期 最初の拒絶査定謄本送達日から3月経過後は不可。特許出願日から9年6月経過後は不可 同左(意匠登録出願について)
3月の延長 特許法第4条により第121条第1項の期間が延長されたとき、その分延長(第6項) 意匠法第68条第1項で準用する特許法第4条により意匠法第46条第1項の期間が延長されたとき、その分延長(第7項)
登録料 第1年〜第3年分を変更と同時に一時に納付(実用新案法第32条第1項括弧書き)

〔表2〕第1項と第2項の要件比較。除外される出願の内容は括弧書きが長いため要旨で示した。正確な文言は原文(レベル2の引用)を参照。

2. 「9年6月」と存続期間10年

実用新案法第15条実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する。

条文から確認できることは次の2点です。(1)実用新案権の存続期間は「実用新案登録出願の日から十年」(第15条)。(2)変更に係る実用新案登録出願は元の特許出願の時にしたものとみなされる(第10条第3項)ので、存続期間の起算日も元の特許出願の日になる。したがって、期限ぎりぎりの9年6月で変更した場合、実用新案権として使える残り期間は最大でも約6月ということになります。

変更期限が9年6月である理由登録には一定の時間がかかるため、存続期間の満了直前まで変更を認めても実益が乏しくなります。平成16年改正で存続期間が6年から10年に延びたことに合わせ、変更可能期間も5年6月から9年6月に延びました。青本第22版・実用新案法10条(978頁)。

3. 出願日遡及の例外(第3項ただし書)

flowchart TB
  Q["変更に係る実用新案登録出願の出願日はいつか?"] --> A["原則:元の特許出願・意匠登録出願の時(第3項本文)"]
  Q --> B["例外1:この出願が拡大先願の『他の出願』側(実用新案法第3条の2・特許法第29条の2)になるとき"]
  Q --> C["例外2:新規性喪失の例外の証明書提出(第11条第1項で準用する特許法第30条第3項)"]
  B --> B1["その適用については遡及しない=現実の変更出願の日で判断"]
  C --> C1["証明書の提出期限は現実の変更出願の日から起算"]
  style A fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
  style B1 fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F
  style C1 fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
原則(出願日が元の出願の日にさかのぼる)
例外(さかのぼらない=現実の変更出願の日で判断)

【図4】第3項ただし書の分岐。「攻める側(後願を排除する先の出願)」として使われるときは遡及しない。特許法第44条第2項ただし書(分割)・第46条第6項(変更)と同じ構造。

拡大先願の「他の出願」として後願を排除する場面では、変更出願自体の出願日はさかのぼりません。元の出願が後願を排除できるかは、元の出願について第3条の2・特許法第29条の2の要件を別に判断します(第10条第3項ただし書)。

4. 特許法第46条(特許出願への変更)との対比

項目 実用新案法第10条(→実用新案登録出願) 特許法第46条(→特許出願)
変更元 特許出願(第1項)、意匠登録出願(第2項) 実用新案登録出願(第1項)、意匠登録出願(第2項)
期限(拒絶査定から) 最初の拒絶査定謄本送達日から3月(第1項・第2項) 実用新案登録出願からの変更(第1項)には拒絶査定基準の期限なし(実用新案登録出願は無審査のため)。意匠登録出願からの変更(第2項)は最初の拒絶査定謄本送達日から3月
期限(出願日から) 元の出願の日から9年6月 元の出願の日から3年(第1項・第2項)
3月の期間と3年・9年6月の関係 「三月を経過した後又は…九年六月を経過した後は、この限りでない」。3月以内の期間を9年6月の制限から除く旨の文言はない 第2項は「三年を経過した後(…三月以内の期間を除く。)」と、3月以内の期間を3年の制限から除いている
出願日の遡及 第3項(例外:拡大先願の他の出願、特許法第30条第3項) 第6項で準用する第44条第2項(同旨の例外)
元の出願の扱い 取下げ擬制(第5項) 取下げ擬制(第4項)
書面の同時提出擬制・優先権書類期限の読替え 第8項・第10項(同時提出擬制)、第4項(読替え)。第10条自身に書き下ろしている 第6項で第44条第3項・第4項を準用
登録時の料金 第1年〜第3年分の登録料を変更と同時に納付(実用新案法第32条第1項) 変更と同時の特許料納付はない(特許料は特許査定後、特許法第108条)
登録後の乗り換え 実用新案権から実用新案登録出願への「戻し」はない 実用新案登録に基づく特許出願(第46条の2)がある

〔表3〕実用新案法第10条と特許法第46条の対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。特許法第46条の詳細は関連記事「特許法第46条・第46条の2 出願の変更」を参照。

二つの期限の関係実用新案登録出願への変更では、元の出願日から9年6月を過ぎると、最初の拒絶査定謄本の送達から3月以内でも変更できません。10条1項・2項には、この9年6月の制限を外す例外がありません。6項・7項の延長は拒絶査定謄本送達後の3月についての規定です。実用新案法10条。

5. 特許法第44条第3項・第4項との関係(準用ではなく書き下ろし)

内容 特許法(分割) 実用新案法第10条(変更)
パリ条約優先権の証明書類の提出期限(特許法第43条第2項)の読替え 特許法第44条第3項:「最先の日から一年四月」→「一年四月又は新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで」(要旨) 第4項:「最先の日から一年四月」→「最先の日から一年四月又は実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願の日から三月のいずれか遅い日まで」
元の出願で提出した書面の同時提出擬制 特許法第44条第4項(要旨:もとの特許出願について提出された書面・書類で新たな特許出願について提出すべきものは同時に提出されたものとみなす) 第8項(特許出願からの変更)、第10項(意匠登録出願からの変更に第8項を準用)

〔表4〕特許法第44条第3項・第4項と実用新案法第10条第4項・第8項・第10項の対応。実用新案法第10条は特許法第44条を「準用」するのではなく、同じ内容を自らの項として定めている(取得した条文の範囲での整理)。

6. 実用新案登録出願の分割・変更に関する周辺規定

場面 根拠 ポイント
実用新案登録出願の分割 実用新案法第11条第1項で準用する特許法第44条 分割と同時に登録料納付(実用新案法第32条第1項括弧書き)
実用新案登録出願→特許出願 特許法第46条第1項 実用新案登録出願の日から3年以内
実用新案登録→特許出願 特許法第46条の2第1項 実用新案権を放棄。3年経過・自己の技術評価請求・他人の評価請求の通知から30日・無効審判の最初の指定期間経過のいずれかの後は不可
実用新案登録に基づく特許出願→実用新案登録出願 実用新案法第10条第1項括弧書き 変更できない(除外)
実用新案登録出願→意匠登録出願 意匠法(本記事のスコープ外) 関連記事参照

〔表5〕出願の乗り換えに関する規定の全体地図。実用新案法第10条は「実用新案登録出願へ入る」矢印だけを扱う。

7. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向 気をつける点
短答式 期限(3月・9年6月)、出願日遡及の例外、元の出願の取下げ擬制、登録料の同時納付、変更できない出願(実用新案登録に基づく特許出願)を肢にした正誤問題 特許法第46条の「3年」と実用新案法第10条の「9年6月」を取り違えない。仮専用実施権者の承諾(第9項)は第1項の変更のみ
論文式 特許出願が拒絶されそうな場面で「実用新案登録出願への変更」を選択肢として挙げ、期限・効果(遡及、取下げ擬制、登録料)を条文に沿って論じる 拡大先願との関係(第3項ただし書)を落とさない
口述 「特許出願を実用新案登録出願に変更できる期間は」「変更の効果は」といった条文確認 「最初の拒絶査定の謄本の送達があつた日から三月」と「特許出願の日から九年六月」を条文の言葉で答える

〔表6〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

令和8年度短答の関連問題問5ハは特許出願から変更した実用新案登録出願の技術評価、ホは変更・分割を経た出願を出願日から4年後に実用新案へ変更できるかを扱います。登録後の乗換えとは区別します。問5の公式正解は4(正しいもの4つ)です。 問題原文/公式正解。公式正解番号と、ここで示した肢の理由の条文照合は区別しています。
レベル3のまとめ

  • 実用新案法第10条第1項・第2項:特許出願・意匠登録出願を実用新案登録出願に変更。期限は「最初の拒絶査定謄本送達日から3月」または「元の出願日から9年6月」を経過した後は不可。3月は特許法第4条の延長に連動(第6項・第7項)。
  • 実用新案登録に基づく特許出願(特許法第46条の2第1項)とその分割・変更出願は、実用新案登録出願に変更できない(第1項括弧書き)。
  • 効果:出願日遡及(第3項。例外は拡大先願の他の出願・特許法第30条第3項)、元の出願の取下げ擬制(第5項)、書面の同時提出擬制(第8項・第10項)、優先権書類期限の読替え(第4項)。
  • 登録料(第1年〜第3年分)は変更と同時に納付(実用新案法第32条第1項括弧書き)。仮専用実施権者の承諾(第9項)。
  • 特許法第46条との違い:期限が「3年」ではなく「9年6月」、特許法第44条第3項・第4項の準用ではなく書き下ろし、登録料の同時納付。

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