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小学生でも分かる特許法|特許法第38条 共同出願 ― みんなで作った発明は、みんなで出願する

小学生でもわかる特許法:共同出願(特許法第38条)

小学生でも分かる特許法 / A. 特許要件・発明 #11

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特許を受ける権利を複数人で共有しているときは、出願も全員でしなければなりません。条文は1文だけですが、共有をめぐる他の規定(第33条、第73条、第132条第3項、第74条)とセットで理解すると、試験で問われるポイントがはっきりします。

条文:特許法第38条関連:第33条第3項・第4項、第14条、第49条第2号、第74条、第123条第1項第2号・第2項、第132条第3項参照時点:2026年9月

LEVEL 1イメージでつかむ

3人で作った発明

A・B・Cの3人が協力して1つの発明をしました。特許を受ける権利は3人の共有です。ここでAが、BとCに黙って、自分1人の名前で特許庁に出願したらどうなるでしょう。

3人で作った作品を、1人が勝手に自分の名前でコンクールに応募するようなものです。これは認められません。特許法は「共有なら、全員で出願しなさい」と決めています。

OK:全員で出願 A B C 願書(出願人 A・B・C) NG:Aだけで出願 A B C 願書(出願人 A) → 拒絶

【図1】共同出願のイメージ。共有者全員が出願人にならなければならない。

なぜ全員なの?

特許は、その発明を独占できる強い権利です。Aだけの名前で特許になってしまうと、BとCは自分たちの発明なのに特許権者になれず、Aに使わせてもらう立場になってしまいます。それでは不公平です。だから、出願の段階から全員の名前を出すことにしています。

レベル1のまとめ
  • 特許を受ける権利を共有しているときは、共有者全員で出願しなければならない。
  • 1人で勝手に出願すると拒絶される。

※違反した出願が特許になってしまった場合の扱い、出願後の手続で単独でできること、などは正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。

LEVEL 2条文の骨格

条文を読む

特許法第38条(原文) 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)、2026年9月参照。
部品意味
特許を受ける権利が共有に係るとき共同発明の場合、または権利の一部(持分)が譲渡された場合など
各共有者は共有者の一人ひとりに向けた義務
他の共有者と共同でなければ共有者全員が出願人となること
特許出願をすることができない違反すると拒絶理由(第49条第2号)・無効理由(第123条第1項第2号)

〔表1〕第38条の分解。

共有をめぐる規定の相関図

flowchart TB
  S["特許を受ける権利の共有"] --> A["第33条第3項
持分の譲渡には他の共有者の同意"] S --> B["第33条第4項
仮専用実施権の設定・仮通常実施権の許諾には同意"] S --> C["第38条
出願は全員で"] C --> D["第14条
出願後の手続は、原則として各人が全員を代表
(例外:出願の取下げ・放棄、審判請求など不利益行為は全員で)"] C --> E["第132条第3項
審判の請求は全員で"] S -. "特許になると" .-> F["第73条 特許権の共有
持分譲渡・実施権設定に同意、自己実施は自由"] style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

【図2】共有に関する規定の相関図。第38条は「出願」の場面、第14条は「出願後の手続」の場面。

根拠と補足:第14条本文で各人の相互代表から除かれるのは、出願の変更・放棄・取下げ、存続期間延長登録出願の取下げ、請求・申請・申立ての取下げ、国内優先権の主張と取下げ、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求です。同条ただし書は届け出た代表者がいる場合の規定です。特許後の自己実施は第73条第2項により原則各自でできますが、契約の別段の定めには従います。第14条・第73条。
レベル2のまとめ
  • 第38条:特許を受ける権利が共有なら、出願は共有者全員で。違反は拒絶理由・無効理由。
  • 第33条(持分譲渡・仮実施権に同意)、第14条(出願後の手続の代表)、第132条第3項(審判請求は全員)、第73条(特許権の共有)とセットで覚える。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 違反の効果と救済

flowchart TB
  A["共有者の一部だけで出願(第38条違反)"] --> B["審査段階:拒絶理由(第49条第2号)"]
  A --> C["登録後:無効理由(第123条第1項第2号)
請求人は特許を受ける権利を有する者に限る(第123条第2項)"] A --> D["登録後:出願人になれなかった共有者は、
自己の持分について特許権の移転を請求できる(第74条)"] B --> B1["権利帰属を整え、対応する出願人名義の手続を行う"] style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

【図3】第38条違反への対処。平成23年改正で第74条(移転請求)が導入され、無効にするだけでなく持分を取り戻せるようになった。

根拠と補足:共同出願違反の特許も第74条第1項の移転請求の対象です。無効審判は特許を受ける権利を有する者に限られ、移転登録による解消は第123条第1項第2号の括弧書きに定められています。審査中は権利の帰属を整え、それに対応する出願人名義の手続が必要です。単に名前を足すだけで共有者の権利を無視できる制度ではありません。第34条第4項・第38条・第74条・第123条/特許庁・出願人名義変更。

2. 共有者が単独でできること・できないこと

場面単独でできるか根拠
特許出願できない第38条
持分の譲渡同意が必要第33条第3項
仮専用実施権の設定・仮通常実施権の許諾同意が必要第33条第4項
出願後の一般の手続(補正、意見書など)できる(各人が全員を代表)第14条本文
出願の取下げ・放棄、出願の変更全員で第14条本文の相互代表からの除外
拒絶査定不服審判の請求全員で第132条第3項
出願審査の請求できる(何人も)第48条の3第1項
(特許後)自己の実施できる(契約で別段の定めがある場合を除く)第73条第2項
(特許後)持分譲渡・質権設定・実施権許諾同意が必要第73条第1項・第3項

〔表2〕共有者が単独でできること・できないこと。第14条・第73条は条文で確認。

3. 共有になる場面

場面説明
共同発明複数人が実質的に協力して発明を完成させた場合。単なる補助者・管理者・資金提供者は共同発明者にならない(一般的な理解。裁判例で確認)
持分の譲渡発明者が権利の一部を譲渡した場合
共同研究契約企業間・産学連携で、契約により特許を受ける権利を共有と定めた場合
相続発明者が死亡し、複数の相続人が承継した場合
職務発明の共同発明異なる使用者に属する従業者による共同発明で、それぞれの使用者が権利を取得した場合(第35条第3項)

〔表3〕共有が生じる場面。共同発明者の判断基準は本記事では扱っていない。

4. 冒認出願との関係

第38条違反(共有者の一部による出願)と冒認出願(権利を持たない者の出願。第49条第7号)は別の拒絶理由ですが、どちらも「特許を受ける権利を有する者」以外による出願という点で共通し、無効審判の請求人適格(第123条第2項)や第74条の移転請求の対象になる点も共通しています。

第38条違反冒認出願
出願人共有者の一部(権利は持っている)権利を持たない者
拒絶理由第49条第2号第49条第7号
無効理由第123条第1項第2号第123条第1項第6号
無効審判の請求人特許を受ける権利を有する者(第123条第2項)同左
移転請求第74条(持分)第74条(全部)
異議申立て理由××

〔表4〕第38条違反と冒認出願の比較。第49条第2号・第7号、第123条第1項第2号・第6号及び第2項を照合。

5. 試験での問われ方

試験種別問われ方の傾向気をつける点
短答式「共有者の一人が単独で出願できるか」「第38条違反は無効理由か、異議申立て理由か」「無効審判を請求できる者」「出願後に共有者の一人が単独でできる手続」「第74条の移転請求」〔表2〕〔表4〕
論文式共同発明の事例で、出願人の範囲、違反した場合の救済(無効審判・移転請求)を論じさせる【図3】
口述「共同出願の要件は」「違反した場合の効果は」第38条を原文で

〔表5〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

根拠と補足:令和8年度短答式(特許・実用新案)問19では、肢1で単独出願と共同出願の出願人の異同(第29条の2)が扱われています。問19全体の公式正解は5です。公式問題/公式解答。
レベル3のまとめ
  • 第38条違反は拒絶理由・無効理由(異議申立て理由ではない)。無効審判の請求人は特許を受ける権利を有する者に限る。第74条で持分の移転請求ができる。
  • 出願は全員、審判請求も全員(第132条第3項)、不利益行為も全員(第14条)。それ以外の出願後の手続は各人が代表。
  • 特許権の共有(第73条)では、自己実施は契約の別段の定めがなければ各自ででき、持分譲渡・質権・実施権には同意が必要。

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確認判決に基づく名義変更では、確認判決書の正本と確定証明書を権利承継の証明として添付します(方式審査便覧45.25)。方式審査便覧45.25。

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