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小学生でも分かる商標法|商標法第10条 商標登録出願の分割 ― 1つの申しこみを「2つに分ける」と、ならんだ順番はそのまま

小学生でもわかる商標法 第17回「出願の分割」。一つの出願を分ける手続。

小学生でも分かる商標法 / B. 出願・審査・登録の手続 #17

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目じるしを登録してもらう申しこみには、使う商品をいくつも書けます。その中の1つにだけ「だめ」と言われたら、ほかの商品まで足止めされてしまいます。そんなときは、申しこみを2つに分けられます。分けて作った新しい申しこみは、もとの申しこみと同じ時に出したことになります。この記事では、分けられる時期、分けるときの決まり、裁判中に分けたときの注意を、図と表で順番に見ていきます。

条文:商標法第10条第1項〜第3項審査基準:商標審査基準〔改訂第17版〕 第10 第10条(出願の分割)参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

1つの申しこみに、商品をいくつも書ける

パン屋さんが、「ほしぞらパン」という目じるしを、特許庁(とっきょちょう)に申しこみました。目じるしを登録してもらう申しこみを「出願(しゅつがん)」といいます。

出願の用紙には、「この目じるしを、どの商品に使うか」を書きます。パン屋さんは「パン」「ケーキ」「ジュース」の3つを書きました。

ところが、特許庁の人から知らせがとどきました。「ジュースについては、よくにた目じるしが先に出されています。このままでは登録できません」。

こまりました。だめと言われたのはジュースだけです。でも、出願は1つのかたまりです。1つでもだめな商品がのこっていると、パンもケーキも、いっしょに足止めされてしまいます。

だから、申しこみを2つに分ける

こんなとき、パン屋さんは出願を2つに分けることができます。これを「出願の分割(ぶんかつ)」といいます。

たとえば、「ジュース」だけを取り出して、新しい出願を作ります。もとの出願には「パン」と「ケーキ」がのこります。もとの出願は、もう問題がないので、先に進めます。ジュースのほうは、新しい出願の中で、じっくり話し合えます。

もとの出願(1つのかたまり) 目じるし「ほしぞらパン」 パン ○ ケーキ ○ ジュース × 分ける もとの出願(のこり) パン、ケーキ 問題のある商品がなくなった → 先に進める 新しい出願 ジュース こちらで、じっくり話し合う 出した時は、もとの出願と同じあつかい

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の枠:分ける前のもとの出願
  • 橙の枠:問題のない商品と、それがのこったもとの出願
  • 赤の枠:「このままでは登録できません」と言われた商品
  • 藍の枠:分けて作った新しい出願

【図1】出願を2つに分けるイメージ。「ほしぞらパン」は架空の例です。どの商品を新しい出願に移すかは、出願した人がえらべます(ここではジュースを移す例をえがいています)。

分けても、「ならんだ順番」はそのまま

商標(しょうひょう=お店や商品の「目じるし」)は、先に出願した人が強い、というルールです。だから「いつ出したか」がとても大事です。

新しい出願は、あとから作ったものです。でも、もとの出願と同じ時に出したことにしてもらえます。行列にたとえると、先頭のほうにならんでいた人が、列を2つに分けても、うしろにならび直さなくてよい、ということです。

時間の流れ → 4月 もとの出願 7月 ほかの人の出願 10月 分けて作った新しい出願 4月に出したことにしてもらえる 7月のほかの人より「先」のまま

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の丸:もとの出願(4月)
  • 赤の丸:ほかの人の出願(7月)
  • 橙の丸:分けて作った新しい出願(10月)
  • 橙の破線の矢印:出した時が、もとの出願の時(4月)にさかのぼること

【図2】新しい出願は、もとの出願の時に出したあつかいになる(月は説明のための架空の例)。

いつでも分けられるわけではない

分けられるのは、出願がまだ「しらべてもらっている最中」のときです。特許庁でしらべている間、そして特許庁の最後のはんだんに「おかしい」と裁判所(さいばんしょ)にうったえている間です。

もう1つ、大事な決まりがあります。もとの出願の「申しこみ料金」を、きちんとはらっていることです。料金をはらわないまま、次から次へと出願を分けて時間をかせぐことは、できません。

① 商品が2つ以上ある出願を分けられる② 新しい出願は、もとの出願の時に出したあつかい③ しらべてもらっている最中だけ④ もとの出願の料金をはらっていること
レベル1のまとめ
  • 1つの出願に商品をいくつも書いたとき、その一部を取り出して、新しい出願にできる。
  • 新しい出願は、もとの出願と同じ時に出したことになる。ならんだ順番はそのまま。
  • 分けられるのは、しらべてもらっている最中で、もとの出願の料金をはらっているときだけ。

※ 「同じ時に出したことになる」には、正確には例外があります(→レベル3の2)。「しらべてもらっている最中」の正確な内容(→レベル3の1)、分けるときに必要な「もとの出願の書き直し」と、裁判中に分けたときの注意(→レベル3の3)も、レベル3で説明します。行列のたとえは、分かりやすくするために単純化したものです。

LEVEL 2条文の骨格

第1項:いつ、何を分けられるか

商標法第10条第1項(原文) 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。条見出しは「商標登録出願の分割」。

長い1文ですが、部品に分けると、つくりは単純です。「係属(けいぞく)」とは、その手続がまだ終わらずに続いている、という意味です。

部品条文の文言意味
だれが商標登録出願人出願をした本人(出願人)
いつ(時期)審査、審判若しくは再審に係属している場合
又は 拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合
特許庁で手続が続いている間。
または、「登録できない」という審決に対する裁判が続いている間
かつ(手数料)第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合もとの出願の手数料をはらっていること
しばりに限り時期と手数料の両方を満たすときだけ
何を二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部商品・役務(サービス)を2つ以上書いた出願の、一部の商品・役務
どうできる一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる新しい出願を1つ、または2つ以上作れる

〔表1〕商標法第10条第1項を部品に分解した表(本記事作成者が整理)。

第2項・第3項:分けたあと、どうなるか

商標法第10条第2項(原文) 前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第九条第二項並びに第十三条第一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
商標法第10条第3項(原文) 第一項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類(第十三条第一項において準用する特許法第四十三条第二項(第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出された場合には、電磁的方法により提供されたものを含む。)であつて、新たな商標登録出願について第九条第二項又は第十三条第一項において準用する同法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
項役割ひとことで言うと
第1項分割の要件(だれが・いつ・手数料・何を)「手続が続いている間」で「手数料をはらっている」ときに限り、指定商品・指定役務の一部を新しい出願にできる
第2項本文分割の効果(出願時の遡及(そきゅう)=さかのぼり)新しい出願は、もとの出願の時にしたものとみなす
第2項ただし書さかのぼらない場面商標法第9条第2項の手続と、優先権の主張の手続(商標法第13条第1項で準用する特許法第43条第1項・第2項)の期間は、もとの出願の時から数えない
第3項書類の出し直しを不要にするもとの出願で出した上記の書面・書類は、新しい出願と同時に出したものとみなす

〔表2〕商標法第10条の項ごとの役割一覧(本記事作成者が整理)。

手続の流れ

flowchart TB
  A["もとの商標登録出願
(指定商品・指定役務が2つ以上)"] --> B{"審査・審判・再審に係属中
又は 拒絶をすべき旨の審決に
対する訴えが裁判所に係属中?"} B -- "はい" --> C{"もとの出願について
第76条第2項の手数料を
納付している?"} B -- "いいえ" --> X["第10条第1項の分割はできない"] C -- "はい" --> D["指定商品・指定役務の一部について
新たな商標登録出願をする"] C -- "いいえ" --> X D --> E["同時に、もとの出願の願書を補正する
(分割した商品・役務をもとの出願から除く)"] E --> F["新たな出願は
もとの出願の時にしたものとみなす
(第10条第2項本文。例外あり)"] style F fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style X fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:分割ができたときの効果
  • 赤の箱:分割ができないという結論

【図3】出願の分割の流れ。商標法第10条と、商標法施行規則第22条第2項で準用する特許法施行規則第30条をもとに、本記事作成者がフロー化したもの。「同時の補正」の詳細はレベル3の3。

分けられる時期を、時間の流れで見る

時間の流れ → 出願 拒絶をすべき旨の査定 審判の請求 拒絶をすべき旨の審決 訴えの提起 審査に係属 ○ 審判に係属 ○ 訴えが裁判所に 係属 ○ どの時期でも共通:もとの出願の手数料(第76条第2項)を納付していること

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の丸:出願人がする手続の時点
  • 赤の丸:特許庁の「拒絶をすべき旨」のはんだん
  • 橙の枠:第10条第1項で分割ができる時期
  • 青緑の枠:どの時期でも共通して必要な要件

【図4】商標法第10条第1項が定める「分割できる時期」のタイムチャート(条文の文言をもとに本記事作成者が図にしたもの。再審は省略)。拒絶をすべき旨の査定に対する審判は、査定の謄本の送達があった日から3月以内に請求できます(商標法第44条第1項、2026年9月参照。例外あり)。※ 再審に係属している場合も分割できる(図では省略)。※ 査定・審決の謄本の送達後、次の手続までの間のあつかいは、レベル3の1の「特許庁に係属している間」という条件の説明を参照。時間軸に縮尺はありません。

レベル2のまとめ
  • 第1項=要件。時期(審査・審判・再審に係属中、又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属中)と、手数料の納付の両方が必要。
  • 分ける対象は「二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部」。商標そのものを分けるのではなく、指定商品・指定役務を分ける。
  • 第2項本文=新たな出願は、もとの出願の時にしたものとみなす。ただし書に例外がある。
  • 第3項=もとの出願で出した一定の書面・書類は、出し直さなくてよい。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 要件の詳細 ― 時期・手数料・対象

要件条文の文言(商標法第10条第1項)補足
① 主体商標登録出願人もとの出願の出願人。
② 時期(特許庁)商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合補正ができる時期を定める商標法第68条の40第1項は「審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合」。出願の分割の時期には「登録異議の申立てについての審理」がなく、代わりに③がある点が異なる。
③ 時期(裁判所)商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合審決に対する訴えは東京高等裁判所の専属管轄(商標法第63条第1項)。条文は「裁判所に係属」とするのみで、どの審級かを限定する文言はない。
④ 手数料当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合「当該商標登録出願」=もとの出願。②③の時期要件と「かつ」で結ばれる。レベル3の4。
⑤ 対象二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部指定商品・指定役務が1つだけの出願は、条文の文言上、対象にならない(包括表示の場合は下記審査基準)。

〔表3〕商標法第10条第1項の要件の整理(本記事作成者が整理)。

ポイント(審査基準):商標審査基準〔改訂第17版〕 第10 第10条(出願の分割)は、2点を定めています。
1. 指定商品又は指定役務が類似商品・役務審査基準における包括表示で記載されている場合でも、その包括表示に含まれる個々の商品又は役務に出願を分割することができるものとする。
2. 国際商標登録出願については、第68条の12の規定により、本条の規定は適用しない。
つまり、願書の記載が1つの包括表示(大きなくくりの表示)であっても、その中に含まれる個々の商品・役務を取り出して分割できる、というのが審査基準上の取扱いです。
立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』(以下「逐条解説〔第22版〕」)は、この時期の要件について、次のように説明しています(要約)。
平成8年の一部改正の前は、分割のできる時期は改正前の第2項に、査定又は審決の確定までと定められていた。同改正でこれを、審査・審判・再審に係属している場合又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に改め、第1項の中に規定した。したがって、改正前は、拒絶査定から審判請求までの間、拒絶審決から東京高等裁判所への出訴までの間、東京高等裁判所の判決から最高裁判所への上告までの間も出願の分割ができたが、改正後は、これらの期間は分割できないことになった。
同書は、このように分割の時期に制限を設けた理由として、次の2つを挙げています。
① 出願が審査や審判等の手続に何ら係属していない時期に分割されても、いたずらに手続を複雑にするだけであること。
② このように制限をしても、拒絶査定や拒絶審決等に対する不服申立てと同時に、又はその後に分割をすることにより同一の効果を得られるのであるから、出願人は何ら不利益を被るものではないこと。
さらに同書は、この改正により、商標法条約第7条(1)が規定する分割の時期とも一致し、裁判所に係属している期間を除けば補正をすることができる時期(商標法第68条の40)とも一致することとなって、分割も補正の一種であるとする特許出願の分割の場合と考え方の軌を一にすることができる、と説明しています。
出典:逐条解説〔第22版〕1597頁〜1598頁。立法担当者による解説であり、有権解釈ではありません。
第10条の分割は、元の出願が審査・審判・再審又は訴訟に係属していることが必要です。青本1597頁は、拒絶査定後から審判請求までの間など、係属していない期間には分割できないと説明しています。拒絶査定後は審判請求と同時又はその後の係属中に行います。登録査定後というだけで、特許法の「査定後30日」の制度を商標へ当てはめることはできません。第10条/青本1597頁
出願の種類商標法第10条の適用根拠条文
通常の商標登録出願適用あり商標法第10条
防護標章登録出願準用あり商標法第68条第1項(「第九条の二から第十条まで」を準用)
国際商標登録出願適用なし商標法第68条の12(国際商標登録出願については、第十条の規定は、適用しない。)

〔表4〕出願の種類ごとの商標法第10条の適用(e-Gov、2026年9月参照)。

2. 効果 ― 出願時の遡及と、ただし書の例外

第2項本文により、新たな商標登録出願は「もとの商標登録出願の時にしたものとみなす」とされます。これは条文上の帰結です。先願(商標法第8条)や、他人の登録商標との先後(商標法第4条第1項第11号)を、もとの出願の時を基準に判断してもらえることになります。

ただし、何でももとの出願の時にさかのぼらせると、不都合が出る手続があります。「出願と同時に」「出願の日から○日以内に」書面を出さなければならない手続です。新たな出願をした時には、もとの出願の時から数えた期間はとっくに過ぎているからです。そこで、ただし書と第3項がセットで手当てをしています。

場面もとの出願の時にさかのぼるか根拠
先願・他人の商標との先後など、実体的な登録要件の判断さかのぼる商標法第10条第2項本文
商標法第9条第2項(出願時の特例の適用を受けるための書面の提出。証明する書面は「商標登録出願の日から三十日以内」)さかのぼらない商標法第10条第2項ただし書
商標法第13条第1項で準用する特許法第43条第1項・第2項(優先権の主張の手続。特許法第43条の3第3項で準用する場合を含む)さかのぼらない商標法第10条第2項ただし書
上記の書面・書類で、もとの出願について提出済みのもの新たな出願と同時に提出されたものとみなす(出し直し不要)商標法第10条第3項

〔表5〕第2項本文・ただし書・第3項の関係(本記事作成者が整理。「30日」は商標法第9条第2項、e-Gov、2026年9月参照)。

立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):逐条解説〔第22版〕は、商標法第10条第2項について、特許法第44条の〔趣旨〕を参照するよう述べるにとどめ、第3項については、平成11年の一部改正において新たに規定されたものであり、特許法第44条第4項と同趣旨のものである、と説明しています。
そこで同書の特許法第44条の項を見ると、第2項ただし書について、次のように説明されています(要約)。本文の規定は出願人の利益のための規定であるにもかかわらず、この規定を書類の提出期間の起算にまで適用すると、事実上これらの規定を活用し得ない場合も生じてくる。そこで、これらの場合に限って、新たな出願の時点から書類の提出期間を起算することとした。
また、特許法第44条第4項(商標法第10条第3項に対応する規定)については、分割出願における手続の簡素化について規定するものであり、もとの出願に対して提出した書面又は書類の一部については、分割出願についてもその出願時に提出したものとみなすもの、と説明されています。
出典:逐条解説〔第22版〕商標法第10条=1598頁、特許法第44条=191頁〜193頁。上の段落の「不都合」の説明は、条文の構造から本記事作成者が整理したものです。
第3項の括弧書が加わった改正:第3項の「電磁的方法により提供されたものを含む。」の括弧書は、令和5年法律第51号による改正で加わったものです。特許庁「令和5年法律改正(令和5年法律第51号)解説書」は、第1章を「優先権証明書のオンライン提出のための規定整備」とし、商標法第10条の改正について、特許法第44条と同趣旨の改正である、と説明しています。特許法第44条第4項の改正については、同条第4項で新たな特許出願と同時に提出されたものとみなす書類に特許法第43条第2項の書類が含まれるところ、同項の改正により書類だけでなく電磁的方法で提供されたものも提出可能となることから、みなす対象にも電磁的方法で提供されたものを含む旨を規定することとした、と説明しています(要約)。
出典:令和5年改正解説書 第1章(PDF p.4、p.8、p.10)。なお、逐条解説〔第22版〕は令和4年10月刊のため、この括弧書は収録されていません。
優先権証明書の写し・オンライン提出に対応する改正は、2024年1月1日施行です。第10条第3項でも、元の出願について提出した証明書等の取扱いがこの改正に対応しています。特許庁「優先権証明書の写しの提出及びオンライン提出」。

3. 分割と同時にする「もとの出願の補正」と最高裁判決

商標法第10条は、新たな出願について定めるだけで、もとの出願から分割した商品・役務をどう消すかは定めていません。そこを受け持つのが省令です。

商標法施行規則第22条第2項(原文・抜粋)と、準用される特許法施行規則第30条(原文) 特許法施行規則第二十六条第三項から第六項まで、第二十七条第一項から第三項まで、第二十七条の四第一項、第三項及び第四項、第二十八条及び第三十条(信託、持分の記載等、パリ条約による優先権等の主張の手続、特許出願の番号の通知及び特許出願の分割をする場合の補正)の規定は、商標登録出願又は防護標章登録出願に準用する。(第1文)
第2文の読替え(抜粋):特許法施行規則第三十条中「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのは「願書」と読み替えるものとする。

特許法施行規則第30条:特許法第四十四条第一項第一号の規定により新たな特許出願をしようとする場合において、もとの特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を補正する必要があるときは、もとの特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正は、新たな特許出願と同時にしなければならない。
出典:e-Gov法令検索(商標法施行規則=法令ID 335M50000400013、特許法施行規則=法令ID 335M50000400010)、2026年9月参照。

つまり、商標では「もとの出願の願書の補正は、新たな出願と同時にしなければならない」と読むことになります。分割した商品・役務を、もとの出願の指定商品・指定役務から除く補正です。

判例:最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日判決(平成16年(行ヒ)第4号 審決取消請求事件、民集59巻6号1617頁。「eAccess事件」と通称されます)。
裁判所ウェブサイトに掲載された裁判要旨:商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,分割出願がされ,もとの商標登録出願について指定商品等を削除する補正がされたときには,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはない。
参照法条として、商標法第10条第1項・第2項、商標法第68条の40第1項、商標法施行規則第22条第4項(当時)、特許法施行規則第30条が掲げられています。現行の商標法施行規則では、特許法施行規則第30条の準用は第22条第2項に置かれています(e-Gov、2026年9月参照)。

判決文から直接読み取れる理由づけは、次のとおりです。

  • 商標法第10条は、新たな商標登録出願について定めるが、新たな出願がされた後のもとの商標登録出願については何ら規定していない。
  • 訴えが裁判所に係属している間にされた、もとの出願の指定商品等を削除する補正は、商標法第68条の40第1項が規定する補正ではない(同項の時期に「訴訟に係属」は含まれない)。したがって、同項によって効果が出願の時にさかのぼることはなく、ほかに遡及効を定める規定もない。
  • さかのぼるとすると、商標法第68条の40第1項が補正のできる時期を制限している趣旨に反する。
  • 拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について分割出願をすれば、その新たな出願は、もとの出願の時にしたものとみなされる。だから、補正に遡及効を認めなくても、一部の指定商品等に拒絶理由があるために全体が拒絶されるという不利益は免れることができる。
  • 結論として、補正によって審決が結果的に指定商品等に関する判断を誤ったことにはならない(原判決を破棄し自判)。
審査・審判・再審に係属中の分割 新たな出願 もとの出願の時にしたものとみなす もとの出願を減らす補正 商標法第68条の40第1項の時期内の補正 (補正の詳細は関連記事へ) 減らした後の指定商品・指定役務で 審査・審理が続く 訴えが裁判所に係属中の分割 新たな出願 もとの出願の時にしたものとみなす(同じ) もとの出願を減らす補正 商標法第68条の40第1項の補正ではない 効果は出願の時にさかのぼらない 審決が結果的に判断を誤ったことには ならない(補正を理由に審決は取り消されない)

図は左右にスクロールできます。

  • 橙の枠:審査・審判・再審に係属中の分割
  • 赤の枠:訴えが裁判所に係属中の分割(分割そのものはできるが、もとの出願を減らす補正の効果が異なる)

【図5】分割の時期による「もとの出願を減らす補正」の効果の違い。右側は最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日判決(平成16年(行ヒ)第4号)の判示を、本記事作成者が図にしたもの。

Q. 裁判中に分割しても意味がないのですか。
A. 意味はあります。新たな出願が、もとの出願の時にしたものとみなされる点は、裁判中の分割でも変わりません(商標法第10条第2項本文)。上記判決は、もとの出願を減らす補正によって審決を取り消してもらうことはできない、と述べたものです。判決自身が、拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について分割出願をすれば不利益を免れることができる、と述べています。

4. 手数料の要件と改正 ― 改正前/現行

第1項の「かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合」の部分は、平成30年法律第33号による改正で加わったものです。特許庁の「平成30年法律改正(平成30年法律第33号)解説書」は、第6章を「商標における分割出願の要件強化」としています。

改正前(平成30年6月8日までの分割出願)現行(平成30年6月9日以降の分割出願)
時期の要件ありあり
もとの出願の手数料の納付要件として書かれていなかった要件(「かつ、…手数料を納付している場合に限り」)
もとの出願の手数料が未納のまま分割した場合―特許庁の説明:分割出願について出願日が親出願をした日に遡及しないこととなる

〔表6〕手数料要件の改正前/現行。出典:特許庁ウェブサイト「商標登録出願の分割要件が強化されます」(2018年5月30日更新、https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/bunkatu_kyouka.html、2026年9月参照)。同ページは、施行日を平成30年6月9日とし、改正後の商標法第10条第1項は同日以降の分割出願に適用されると説明しています。「親出願」は同ページの用語で、本記事の「もとの商標登録出願」にあたります。

ポイント:同ページは、改正の目的を「商標登録出願手続の適正化を図る」こととし、もとの出願の出願手数料の納付を要件に加えた、と説明しています。要件を満たさない分割は、特許庁の説明によれば「出願日がさかのぼらない」というあつかいになります。商標法第15条の拒絶理由の列挙に第10条は含まれていません。
改正の背景(平成30年法律改正解説書 第6章):特許庁「平成30年法律改正(平成30年法律第33号)解説書」第6章「商標における分割出願の要件強化」は、改正の必要性を次のように説明しています(要約。同書は、もとの出願を「親出願」、新たな出願を「子出願」と呼んでいます)。
① 分割出願制度の課題。分割を行うと、商標法第10条第2項により子出願の出願日が親出願の出願日に遡及する効果が生じ、出願人は他の商標登録出願の出願人に対して先願の地位を確保できるという利益を受ける。同時に、他の商標登録出願の出願人からすれば、自身の出願により生じた権利について一定の制約を受けるといえる。他方、商標法の規定上、出願手数料が納付されなかった場合でも出願の受理自体を行わないことは予定されておらず、まず商標法第77条第2項で準用される特許法第17条第3項第3号によって特許庁長官が補正命令を発令し、それでもなお出願手数料が納付されなかったときは、商標法第77条第2項で準用される特許法第18条第1項によってその出願を却下している。出願日の遡及の利益と他の出願人に対する制約が生じることに鑑みれば、分割をしようとする者が親出願の出願手数料の納付義務を果たしていない場合にもこれを認めることは適切ではない。
② 商標以外の産業財産権法との関係。分割と出願日の遡及の規定は特許法第44条、実用新案法第11条、意匠法第10条の2にもあり、いずれも先願の地位確保の利益を与えている。発明・考案・意匠は出願人が新たに考え出す必要があるため、実際にこれらを実施している者の出願が第三者の出願より後になることは稀である。一方、商標については、公表されている世間一般の文字や図形等を調査することにより誰でも容易に出願が可能であるため、特許や意匠に比べ、実際に使用している者の出願が第三者の出願より後になり、その後、出願の分割により先願の地位が確保される可能性が高い。こうした事情に鑑みれば、分割出願手続の適正化が特に必要な商標法においては、先願の地位確保の利益を受けるための要件を設けることが適当である。
同書は、改正条文の解説として、要件を満たしていない子出願は、適法な出願の分割とは認められず、出願日が親出願をした日に遡及しないこと、本改正は出願日の遡及という利益を認めないだけであり、その子出願は商標法第10条の規定が適用されず、親出願とは別個の商標登録出願として扱われるため、実際に出願された日が出願日となること、を説明しています。
施行期日と経過措置。同書は、施行期日を改正法附則第1条第2号により改正法の公布の日から起算して10日を経過した日からとし、平成30年6月9日に施行された、としています。経過措置は改正法附則第14条に置かれ、改正法の施行前にした子出願については改正後の商標法第10条の規定を適用せず、なお従前の例によることとした、と説明しています。同書は、改正法の施行前に出願した親出願をもとに分割をしようとする場合であっても、施行後に子出願をするときは改正法の規定が適用されるため、親出願の出願手数料を納付しなければならない点に注意が必要である、としています。
出典:平成30年改正解説書 第6章 91頁〜94頁。立法担当者による解説であり、有権解釈ではありません。なお、逐条解説〔第22版〕1598頁も、同趣旨の説明をしています。
2026年9月21日に確認した国内の商標登録出願料は、1件につき3,400円+8,600円×区分数です。分割の新出願にも出願料が必要で、元の出願の出願料納付も第10条第1項の要件です。特許庁料金一覧。
分割の時期や指定商品・指定役務の範囲などの要件を満たさない場合、新出願に元の出願日への遡及は認められません。特許庁の「商標審査の進め方」は、その旨を通知し、新出願を通常の出願として扱うと説明しています。新出願に元の指定範囲を超える商品・役務を含めた場合も、適法な分割として扱うことはできません。商標審査の進め方・出願の分割

5. 一部の指定商品・指定役務だけに拒絶理由があるとき ― 分割の使いどころ

上記の最高裁判決が述べるとおり、商標登録出願は、指定商品等の一部について拒絶理由があると、全体が拒絶されます。そこで、出願人の選択肢を分岐図にします。

flowchart TB
  A["拒絶理由の通知を受けた"] --> B{"拒絶理由は
一部の指定商品・指定役務
だけに向けられている?"} B -- "はい(一部)" --> D{"その商品・役務を
あきらめてよい?"} B -- "いいえ(全部)" --> C["意見書・補正などで対応
(分割しても解消しない)"] D -- "はい" --> E["その商品・役務を削除する補正
→ のこりで登録をめざす"] D -- "いいえ(争いたい)" --> F{"いまの段階は?"} F -- "審査・審判・再審に係属中" --> G["分割する
(同時に、もとの出願の願書を補正)"] G --> H["拒絶理由のない商品・役務の出願は
先に登録をめざす
争う商品・役務の出願で意見書などを出す"] F -- "審決に対する訴えが
裁判所に係属中" --> I["拒絶理由のない商品・役務を
新たな出願に移す"] I --> J["新たな出願は
もとの出願の時にしたものとみなす"] I --> K["もとの出願を減らす補正をしても
効果は出願の時にさかのぼらない
→ それを理由に審決は取り消されない"] style E fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style H fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style J fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style K fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:登録に向けて進めるという結論
  • 赤の箱:注意が必要な結論(効果がさかのぼらない)

【図6】一部の指定商品・指定役務だけに拒絶理由があるときの分岐図。商標法第10条、商標法第68条の40第1項および最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日判決をもとに、本記事作成者がフロー化したもの。どの対応を選ぶかは事案によります。いずれの場合も、もとの出願の手数料の納付が前提です。

ポイント:審査・審判の段階では、拒絶理由のある商品・役務と、ない商品・役務の、どちらを新たな出願に移すかについて、商標法第10条は制限を置いていません。これに対し、訴えが裁判所に係属している段階では、もとの出願を減らす補正の効果がさかのぼらないため、判決が述べるように「拒絶理由があるとされた指定商品等以外」を新たな出願に移す形になります(これは判決の理由から本記事作成者が整理したものです)。

6. 「出願の分割」と「商標権の分割」のちがい

名前がにていますが、商標法第24条の「商標権の分割」は、登録された後の権利を分ける制度です。

項目出願の分割(商標法第10条)商標権の分割(商標法第24条)
分けるもの商標登録出願商標権
段階登録前(出願が係属している間)登録後
分ける単位「二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部」「その指定商品又は指定役務が二以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとに」(第24条第1項)
時期のしばり審査・審判・再審に係属中、又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属中商標権の存続中。消滅後も、商標法第46条第3項の審判(消滅後の無効審判)の請求があったときは、その事件が審判、再審又は訴訟に係属している場合に限り可(第24条第2項)
手数料の要件もとの出願の商標法第76条第2項の手数料の納付が要件第24条にこのような要件の文言はない
効果新たな出願は、もとの出願の時にしたものとみなす(第10条第2項)分割は、登録しなければ効力を生じない(商標法第35条で読み替えて準用する特許法第98条第1項第1号)
国際登録関係国際商標登録出願には適用しない(商標法第68条の12)(関連記事へ)

〔表7〕出願の分割と商標権の分割の比較(e-Gov、2026年9月参照。本記事作成者が整理)。商標権の分割の詳細は関連記事へ。

7. 四法比較 ― 「訴訟係属中に分割できる」のは商標法だけ

項目特許法第44条実用新案法第11条第1項意匠法第10条の2商標法第10条
分ける対象二以上の発明を包含する特許出願の一部特許法第44条を準用二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部
時期第1項各号:①明細書等について補正をすることができる時又は期間内、②特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内(括弧書の除外あり)、③拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内準用(読み方の詳細は関連記事へ)審査、審判又は再審に係属している場合に限り審査、審判若しくは再審に係属している場合又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合
訴訟係属中の分割規定なし規定なし規定なし規定あり
もとの出願の手数料納付の要件条文に文言なし条文に文言なし条文に文言なしあり(第76条第2項の手数料)
効果(本文)もとの特許出願の時にしたものとみなす(第2項本文)準用もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす(第2項本文)もとの商標登録出願の時にしたものとみなす(第2項本文)
ただし書の例外特許法第29条の2・実用新案法第3条の2の「他の特許出願」に該当する場合のこれらの規定の適用、特許法第30条第3項の適用準用意匠法第4条第3項、優先権の主張の手続(意匠法第15条第1項で準用する特許法第43条第1項・第2項等)商標法第9条第2項、優先権の主張の手続(商標法第13条第1項で準用する特許法第43条第1項・第2項等)

〔表8〕出願の分割の四法比較(e-Gov、2026年9月参照。期間の「30日」「3月」は特許法第44条第1項第2号・第3号による。特許法第44条には期間の延長等を定める項もあります=例外あり)。各法の詳細は関連記事へ。

審査の段階 審判の段階 審決に対する訴えの段階 特許法第44条 第1項各号の「時又は期間内」に限る 規定なし 意匠法第10条の2 審査、審判又は再審に係属している場合 規定なし 商標法第10条 審査、審判若しくは再審に係属している場合 訴えが裁判所に係属中も可

図は左右にスクロールできます。

  • 橙の帯:商標法第10条で分割ができる段階
  • 青緑の帯:比較する他の法律で分割ができる段階

【図7】出願の分割ができる段階の比較(各条の文言をもとに本記事作成者が図にしたもの。帯の長さは期間の長さを表しません)。※ 実用新案法は第11条第1項で特許法第44条を準用。商標法は全段階で手数料の納付が要件。

8. 拒絶・異議・無効との関係

規定商標法第10条は列挙されているか補足
拒絶理由(商標法第15条)列挙なし分割の要件を欠くこと自体は拒絶理由ではない。出願時がさかのぼらない結果、先願(商標法第8条)や商標法第4条第1項第11号などの別の拒絶理由にあたることはありうる。
異議理由(商標法第43条の2)列挙なし同上(別の理由にあたるかの問題)。
無効理由(商標法第46条第1項)列挙なし同上。
除斥期間(商標法第47条)―第10条違反という無効理由がないため、問題にならない。

〔表9〕商標法第10条と拒絶・異議・無効の理由との対応(本シリーズで確認済みの商標法第15条・第43条の2・第46条第1項・第47条の列挙による。本記事作成者が整理)。

試験での問われ方

条文の構造から、次の点が正誤の分かれ目になりやすいと考えられます(出題を予想・断定するものではありません)。

論点条文上の答え根拠
登録異議の申立てについての審理に係属中に、出願の分割ができるか商標法第10条第1項の時期に「登録異議の申立てについての審理」の文言はない(補正の時期=商標法第68条の40第1項にはある)商標法第10条第1項、第68条の40第1項
拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属中に分割できるかできる(手数料の納付が前提)商標法第10条第1項
手数料の要件は、新たな出願の手数料のことか「当該商標登録出願」=もとの出願の手数料商標法第10条第1項
新たな出願で、優先権の証明書などを出し直す必要があるかもとの出願で提出済みなら、同時に提出されたものとみなす商標法第10条第3項
国際商標登録出願を分割できるか商標法第10条は適用しない商標法第68条の12
防護標章登録出願を分割できるか商標法第10条を準用商標法第68条第1項
訴訟係属中の分割と同時にした、もとの出願を減らす補正の効果出願の時にさかのぼって生ずることはない最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日判決(平成16年(行ヒ)第4号)

〔表10〕条文・判例から整理した確認ポイント(本記事作成者が整理)。

令和8年度の商標全10問を照合したところ、第10条の出願分割を直接問う肢はありません。分割の学習では、第10条第1項の「係属」と元の出願手数料の納付を、第2項の出願日の遡及とは分けて押さえます。 公式問題・公式解答。
レベル3のまとめ
  • 時期の要件は「審査・審判・再審に係属」又は「拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属」。補正の時期(商標法第68条の40第1項)とは、登録異議の審理・訴訟の部分がずれている。
  • もとの出願の手数料(商標法第76条第2項)の納付が要件(平成30年法律第33号、平成30年6月9日以降の分割出願に適用)。未納なら、特許庁の説明によれば出願日がさかのぼらない。
  • 遡及の例外は、商標法第9条第2項と優先権の主張の手続。第3項で書類の出し直しは不要。
  • もとの出願の願書の補正は、新たな出願と同時に(商標法施行規則第22条第2項で準用する特許法施行規則第30条)。
  • 訴訟係属中の分割に伴う、もとの出願を減らす補正の効果は、出願の時にさかのぼらない(最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日判決)。
  • 国際商標登録出願には適用なし(商標法第68条の12)、防護標章登録出願には準用(商標法第68条第1項)。
  • 商標権の分割(商標法第24条)は、登録後の権利を分ける別の制度。

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