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小学生でも分かる商標法|商標法第44条・第55条の2 拒絶査定に対する審判 ― 「登録できません」と言われたら、3月以内に「もう一度見て」と言える

小学生でもわかる商標法 第38回「拒絶査定に対する審判」。拒絶査定を見直してもらう。

小学生でも分かる商標法 / D. 登録異議・審判・訴訟 #38

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特許庁の審査官(しんさかん)に「この目じるしは登録できません」と言われても、それで終わりではありません。3か月以内なら、べつのチーム(審判官)に「もう一度見てください」とお願いできます。この記事では、そのお願いのしかた(商標法第44条)と、見直しの中での特別ルール(商標法第55条の2)を、3つのレベルで説明します。特許法とのいちばん大きなちがいは、商標法には「前置審査(ぜんちしんさ)」がないことです。

条文:商標法第44条・第55条の2(関連:第56条第1項、第63条、第68条の40)特許庁資料:審判便覧 61―03・61―05・61―07参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

「登録できません」は、最後の答えではない

パン屋さんの「ほしぞらパン」(架空のお店)が、お店の目じるし(商標=しょうひょう)を特許庁(とっきょちょう)に登録しようとしました。

ところが、しらべる係の人(審査官)から「この目じるしは登録できません」という返事がとどきました。この返事を「拒絶査定(きょぜつさてい)」といいます。

でも、審査官も人です。見落としや考えちがいがあるかもしれません。そこで、「もう一度、べつの人たちに見直してもらう」しくみが用意されています。これが「審判(しんぱん)」です。

① 審査官の返事 「ほしぞらパンの目じるしは 登録できません」 (架空のパン屋さん) ② 3か月以内に申し出 「なっとくできません。 もう一度見てください」 返事がとどいた日から3か月 ③ 審判官が見直す 3人か5人のチーム (審査官とはべつの人たち) 審判官=しんぱんかん 結果A 登録してよい 審査官の返事を取り消して 登録をみとめる 結果B 審査官へもどす 審査官の返事を取り消して 「もう一度しらべ直して」 結果C やはり登録できない なっとくできなければ 裁判所(さいばんしょ)へ

図は左右にスクロールできます。

  • 赤の枠:登録できないという結論(①の返事・結果C)
  • 橙の枠:出願した人がする手続
  • 藍の枠:特許庁の中で手続がつづく(見直し・審査官へもどす)
  • 青緑の枠:登録してよいという結論

【図1】「登録できません」と言われたあとの見直しのイメージ。「ほしぞらパン」は架空のお店。本記事作成者が模式化したもの。

しめきりは「3か月」

見直しのお願いには、しめきりがあります。「登録できません」の返事(の写し)がとどいた日から3か月です。3か月をすぎると、ふつうはもうお願いできません。

ただし、大きな災害(さいがい)など、自分のせいではない理由で間に合わなかったときは、特別にあとからお願いできることがあります。

時間の流れ → 「登録できません」の 返事がとどく 3か月:見直しのお願いができる しめきり ふつうは、もうお願いできない (自分のせいでない理由のときだけ 特別ルールあり)

図は左右にスクロールできます。

  • 橙の枠:見直しのお願いができる期間
  • 赤の枠:ふつうはお願いできない期間
  • 赤い縦の破線:しめきり(3か月の終わり)
  • 赤い丸:期間の数えはじめ(返事がとどいた日)

【図2】見直しのお願いができる期間のイメージ。本記事作成者が模式化したもの。特別ルールの日数は、レベル2・レベル3で正確に説明します。

見直しの中での「特別ルール」

審判官のチームは、審査官がやったことを引きつぎながら、もう一度しらべます。そのとき、次のようなルールがあります。

  • 審査官が言っていなかった「べつの、登録できない理由」を見つけたら、いきなり「だめ」とは言わない。まず出願した人に知らせて、意見を言うチャンスをあげる。
  • 「登録してよい」と決めたら、審判官が自分で「登録します」と決めることができる。
  • 出願した人が願書を直した(補正=ほせい)けれど、その直し方が「中身をすっかり変えてしまう」ものだったら、審判官はその直しをみとめない。
① 「登録できません」の返事がとどく② 3か月以内に「見直して」と申し出る③ 審判官3人か5人が見直す④ 登録OK/審査官へもどす/やはりだめ
レベル1のまとめ
  • 審査官に「登録できません」と言われても、3か月以内なら、審判官に見直しをお願いできる。
  • 審判官は3人か5人のチームで見直す。
  • 結果は3通り。「登録してよい」「審査官のところへもどす」「やはり登録できない」。
  • 「やはり登録できない」になっとくできなければ、裁判所にうったえることができる。

※ 「3か月」の数え方、しめきり後の特別ルール(14日・2月・6月)、願書の直し(補正)がみとめられなかったときの手続は、正確には条件があります(→レベル3)。ここでは分かりやすさのために単純化しています。

LEVEL 2条文の骨格

商標法第44条 ― 審判を請求できる人と期間

商標法第44条(拒絶査定に対する審判)(原文) 第1項 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。
第2項 前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
部品条文の文言意味
だれが拒絶をすべき旨の査定を受けた者審査官から「登録できない」という結論(拒絶査定は通称)を受けた商標登録出願人
どんなときその査定に不服があるとき結論になっとくできないとき
いつまでにその査定の謄本の送達があつた日から三月以内査定の写し(謄本)が届いた日から3月以内
何ができる審判を請求することができる特許庁の審判官に見直しを求めることができる
間に合わなかったとき(第2項)その責めに帰することができない理由自分のせいではない理由で3月以内に請求できなかったときは、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ、3月の期間の経過後6月以内なら請求できる

〔表1〕商標法第44条の部品分解。条文の原文をもとに本記事作成者が整理。

この審判は、特許法では拒絶査定不服審判という名前が条文にあります(特許法第121条第1項)。商標法第44条第1項の本文には名前がなく、単に審判と書かれています(見出しは「拒絶査定に対する審判」)。ほかの条文からは「第四十四条第一項の審判」と呼ばれます。

査定の謄本 の送達 三月以内(第1項) 3月の期間の経過 その期間の経過後六月以内(第2項の外わく) ここまで 理由が なくなつた日 十四日 在外者にあつては二月

図は左右にスクロールできます。

  • 橙の枠:第1項の期間(三月以内)
  • 青緑の枠:第2項の外わく(3月の期間の経過後六月以内)
  • 藍の枠:第2項の内わく(十四日・在外者は二月)
  • 赤い縦の破線:期間の区切り(3月の経過・第2項の限界)
  • 丸印:期間の起算日(赤=査定の謄本の送達、藍=理由がなくなつた日)

【図3】商標法第44条第1項・第2項の期間のタイムチャート。条文をもとに本記事作成者が図にしたもの。第2項は「理由がなくなつた日から14日(在外者2月)以内」と「3月の期間の経過後6月以内」の両方をみたす必要があります。時間軸に縮尺はありません。

商標法第55条の2 ― 審判の中での特則

商標法第55条の2(拒絶査定に対する審判における特則)(原文) 第1項 第十五条の二及び第十五条の三の規定は、第四十四条第一項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
第2項 第十六条の規定は、第四十四条第一項の審判の請求を理由があるとする場合に準用する。ただし、第五十六条第一項において準用する特許法第百六十条第一項の規定によりさらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない。
第3項 第十六条の二及び意匠法第十七条の三の規定は、第四十四条第一項の審判に準用する。この場合において、第十六条の二第三項及び同法第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十六条の二第四項中「第四十五条第一項の審判を請求したとき」とあるのは「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。

「準用(じゅんよう)」とは、もともと別の場面のために作られたルールを、必要な言いかえをして、この場面にも当てはめることです。第55条の2は、「審査官のためのルール」を「審判官の見直し」にも使うための条文です。

項どんな場面使うルール(準用される条文)役割
第1項審判で、査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した商標法第15条の2(拒絶理由の通知)、商標法第15条の3(先願の未登録商標がある場合の通知)不意打ちの防止。新しい理由は、まず通知して意見書を出す機会を与える
第2項本文審判の請求に理由がある(=拒絶査定は維持できない)商標法第16条(商標登録の査定)審判官が自分で「商標登録をすべき」という結論を出せる
第2項ただし書審査に差し戻す審決をするとき(第16条を準用しない)審査官にもう一度審査させるので、審判では登録の結論を出さない
第3項審判の中でされた補正が要旨を変更する商標法第16条の2(補正の却下)、意匠法第17条の3(補正後の新出願)審判官が補正を却下する。期間と不服申立て先を読み替える

〔表2〕商標法第55条の2の項ごとの役割。条文の原文をもとに本記事作成者が整理。

準用される条文の中身

準用される条文原文(要点部分)審判での姿
商標法第15条の2審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。審判で査定と異なる拒絶の理由を発見したときは、その理由を通知して、意見書を提出する機会を与える
商標法第15条の3第1項…当該他人の商標が商標登録されることにより当該商標登録出願が第十五条第一号に該当することとなる旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。(抜粋)先に出願された他人の商標がまだ登録されていない段階でも、あらかじめ通知できる
商標法第16条審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。請求に理由があるときの結論(差戻しの場合を除く)
商標法第16条の2第1項願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。審判の中でされた補正が要旨変更なら、決定をもって却下
意匠法第17条の3第1項…却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。(抜粋)審判では「三月」を「三十日」と読み替える(商標法第55条の2第3項後段)

〔表3〕商標法第55条の2が準用する条文の要点。原文はe-Gov法令検索(2026年9月参照)。「審判での姿」は本記事作成者による説明。準用にあたり「審査官」等の語をどう読むかは、レベル3で触れます。

全体の流れ

flowchart TB
  A["拒絶をすべき旨の査定
商標法第15条"] --> B["査定の謄本の送達"] B --> C["審判の請求
送達があつた日から3月以内
商標法第44条第1項"] C --> D["3人又は5人の審判官の合議体が審理
商標法第56条第1項で準用する特許法第136条第1項
(前置審査はない)"] D --> E{"査定の理由と異なる
拒絶の理由を発見したか"} E -- "発見した" --> F["拒絶の理由を通知し意見書の機会
商標法第55条の2第1項"] F --> G{"請求に理由があるか"} E -- "発見しない" --> G G -- "ある(自判)" --> H["商標登録をすべき旨の審決
商標法第55条の2第2項本文"] G -- "ある(差戻し)" --> I["さらに審査に付すべき旨の審決
商標法第56条第1項で準用する
特許法第160条第1項"] G -- "ない" --> J["請求は成り立たない旨の審決"] J --> K["東京高等裁判所への訴え
審決の謄本の送達があつた日から30日
商標法第63条"] style H fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style I fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style J fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:原査定が取り消される審決
  • 赤の箱:拒絶査定が維持される(請求が認められない)審決

【図4】審判の請求から審決・訴訟までの流れ。商標法第44条、第55条の2、第56条第1項、第63条、特許法第136条・第160条・第178条に基づき本記事作成者がフロー化したもの。「自判」「差戻し」は講学上・実務上の呼称。

レベル2のまとめ
  • 商標法第44条第1項:拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、査定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求できる。
  • 商標法第44条第2項:責めに帰することができない理由があるときは、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、3月の期間の経過後6月以内。
  • 商標法第55条の2:審査のルール(第15条の2、第15条の3、第16条、第16条の2、意匠法第17条の3)を審判に準用する。第3項には「三月→三十日」「第45条第1項の審判→第63条第1項の訴え」の読替えがある。
  • 商標法には、特許法第162条のような前置審査の規定がない(→レベル3)。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 請求の要件 ― 請求人・対象・期間

項目内容根拠
請求人拒絶をすべき旨の査定を受けた者。商標登録出願により生じた権利が共有のときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない商標法第44条第1項、商標法第56条第1項で準用する特許法第132条第3項
対象拒絶をすべき旨の査定(商標法第15条)。審判便覧は、拒絶査定がされていないのに請求したときは審決をもって却下すると説明している商標法第44条第1項、審判便覧61―03
請求期間(原則)査定の謄本の送達があった日から3月以内商標法第44条第1項(2026年9月時点の現行条文)
期間の延長特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で延長することができる商標法第77条第1項で準用する特許法第4条(同法第四条中「第百二十一条第一項」とあるのは、「商標法第四十四条第一項若しくは第四十五条第一項」と読み替える)
追完(例外)責めに帰することができない理由:理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、3月の期間の経過後6月以内商標法第44条第2項
相手方いない(請求人だけの手続)。特許法第134条第1項〜第3項(答弁書等)、第148条・第149条(参加)は適用されない商標法第56条第1項で準用する特許法第161条(読替え後:商標法第四十四条第一項又は第四十五条第一項の審判には適用しない)

〔表4〕商標法第44条第1項の審判の請求の要件。条文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)と審判便覧61―03(改訂H27.2の表示)をもとに本記事作成者が整理。

ポイント(文言の区別):商標法第44条第2項の救済の要件はその責めに帰することができない理由です。期間を過ぎた場合の救済の要件は条文ごとに文言が異なることがあるので、他の手続(存続期間の更新登録の申請など)の救済規定と混同しないよう、条文ごとに原文で確認してください。
実務の取扱い(審判便覧):審判便覧61―03は、期間の延長について、特許出願の拒絶査定不服審判についての期間を除き、原則として延長はしない旨を説明しています(実務上の取扱いであり、条文の要件そのものではありません)。
立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』は、商標法第44条の〔趣旨〕については特許法第121条の〔趣旨〕を参照するよう述べるにとどめています。その特許法第121条の項では、①旧法は拒絶査定に対する場合だけでなく特許査定に対しても審判を請求する場合があることを予定していたが、現行法では特許査定に対しては審判を請求することができないものとし、拒絶査定に不服があるときにのみ審判を請求することができるものとしたこと(特許査定に不服を有する第三者は無効審判を請求することになる)、②平成20年の一部改正前は請求期間を査定の謄本の送達があった日から30日以内としていたが、拒絶査定を受けた出願人に対する手続保障の充実の観点から3月に拡大したこと、③第2項の追完は、手続の迅速な解決という立場からは期間中に審判の請求がなければ手続は終了すると考えるべきであるが、当事者の側の事情によってはそのまま終了させることが著しく不当な場合もあるので、特定の場合に限って救済を認めたものであること、が説明されています(立法担当者の説明であり、条文解釈の確定根拠ではありません)。
逐条解説〔第22版〕1731頁(商標法第44条)、447頁〜448頁(特許法第121条)。

2. 商標法には「前置審査」がない ― 第56条第1項の準用列挙で確認する

特許法第162条は、拒絶査定不服審判の請求と同時に明細書等の補正があったときに、審査官にその請求を審査させなければならないと定めます(前置審査は通称)。商標法にこの制度があるかどうかは、商標法第56条第1項の準用列挙を見れば分かります。

商標法第56条第1項前段(原文) 特許法第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項(第二号及び第三号を除く。)、第百三十二条から第百三十三条の二まで、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十四条まで、第百五十五条第一項及び第二項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百五十八条、第百六十条第一項及び第二項、第百六十一条、第百六十七条並びに第百六十八条から第百七十条まで(審決の効果、審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係及び審判における費用)の規定は、審判に準用する。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。後段(読替え)は省略。
特許法の条文(拒絶査定不服審判の特則)内容商標法第56条第1項の列挙
特許法第158条審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。準用あり
特許法第159条補正の却下(特許法第53条)、拒絶理由通知(特許法第50条・第50条の2)、特許査定(特許法第51条)等の準用準用なし(代わりに商標法第55条の2が置かれている)
特許法第160条第1項・第2項第1項拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。/第2項前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。準用あり
特許法第160条第3項第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。準用なし(同じ役割を商標法第55条の2第2項ただし書が果たす)
特許法第161条特許法第134条第1項〜第3項、第134条の2、第134条の3、第148条、第149条を適用しない準用あり(読替えあり)
特許法第162条〜第164条前置審査(通称)。審判請求と同時に補正があったときに審査官に審査させる手続準用なし(列挙は第161条の次が第167条)

〔表5〕特許法の拒絶査定不服審判の特則(特許法第158条〜第164条)と、商標法第56条第1項の準用の有無。各条文の原文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)を本記事作成者が照合して作成。

ポイント(条文上の帰結):商標法第56条第1項の列挙は「…第百六十条第一項及び第二項、第百六十一条、第百六十七条…」と続き、特許法第162条〜第164条は含まれません。商標法の本則にも同旨の規定はありません。したがって、商標法第44条第1項の審判では、補正の有無にかかわらず、審判官の合議体が最初から審理します。審判便覧61―05も、前置審査を「特許出願について」の手続として説明しています。なお、意匠法第52条の準用列挙にも特許法第162条〜第164条は含まれていません。
立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):逐条解説〔第22版〕は、商標法第56条の項で、特許法の審判手続のうち、商標法にない訂正審判及び審査前置に関するものを除いてほとんど全てを準用している、と説明しています。前置審査そのものの趣旨は特許法第162条の項にあり、拒絶査定に対する審判において拒絶査定が覆るものの大部分は拒絶査定後に明細書等について補正があったことによるものであるという実情に鑑み、そのような事件の処理をその拒絶査定をした審査官に再審査させることにより、審判官が処理すべき事件の件数を減らし、審判の促進を図ろうとするもの、と説明されています。意匠法についても、第52条の項で、昭和45年の一部改正において特許法で採用された審査前置制度は意匠法においては採用しないこととしたので、該当条文を準用規定から除外する旨の改正を行った、と説明されています。もっとも、商標法において審査前置制度を採用しなかった理由そのものの説明は、逐条解説〔第22版〕の商標法の該当箇所には見当たりませんでした。
逐条解説〔第22版〕1765頁(商標法第56条)、549頁〜551頁(特許法第162条)、1369頁(意匠法第52条)。

3. 補正の時期 ― 審判に係属していれば補正できる

商標法第68条の40第1項は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができると定めます。審判に係属している間は、補正の時期の面では補正が可能です(内容の面では、要旨を変更する補正は商標法第55条の2第3項で準用する商標法第16条の2第1項により却下されます)。

これに対し特許法は、拒絶理由の通知を受けた後の補正の時期を限定しており、審判との関係では拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき(特許法第17条の2第1項第4号)が挙げられています。特許法では「請求と同時の補正」が前置審査(特許法第162条)の引き金になります。商標法ではこの組合せ(請求と同時の補正→前置審査)がそもそもありません。

審判便覧の説明:審判便覧61―05(改訂R5.12の表示)は、商標登録出願について、願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標について商標法第68条の40第1項の規定により補正することができ、補正が要旨を変更するものであるときは商標法第55条の2第3項で準用する商標法第16条の2第1項の規定により却下する、と説明しています。

4. 審判の中での補正の却下 ― 「三十日」と「第63条第1項の訴え」

審査段階で補正が却下されたとき(商標法第16条の2)と、審判の中で補正が却下されたとき(商標法第55条の2第3項)では、その後の選択肢の期間と不服申立ての相手が変わります。

項目審査段階の補正の却下商標法第44条第1項の審判の中での補正の却下
根拠商標法第16条の2第1項商標法第55条の2第3項で準用する商標法第16条の2第1項
却下する主体審査官審判官(第55条の2第3項による準用)
結論を待つ期間(第16条の2第3項)決定の謄本の送達があった日から3月を経過するまで査定をしてはならない「三月」とあるのは「三十日」と読み替える → 30日
補正後の商標についての新出願の期間決定の謄本の送達があった日から3月以内(商標法第17条の2第1項で準用する意匠法第17条の3第1項)30日以内(商標法第55条の2第3項で準用・読替えする意匠法第17条の3第1項)
不服申立て商標法第45条第1項の審判(決定の謄本の送達があった日から3月以内)商標法第63条第1項の訴え(東京高等裁判所)。出訴期間は決定の謄本の送達があった日から30日(商標法第63条第2項で準用する特許法第178条第3項)
手続の中止(第16条の2第4項)商標法第45条第1項の審判を請求したときは審査を中止「第四十五条第一項の審判を請求したとき」とあるのは「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」と読み替える
新出願の期間の延長商標法第17条の2第2項が、意匠法第17条の4を前項又は第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する同法第十七条の三第一項に規定する期間を延長する場合に準用すると定める

〔表6〕補正の却下:審査段階と審判段階の比較。商標法第16条の2、第17条の2、第45条、第55条の2第3項、第63条、意匠法第17条の3、特許法第178条第3項の原文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)をもとに本記事作成者が整理。

商標法第63条第1項は、訴えの対象として第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する第十六条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴えを明示し、東京高等裁判所の専属管轄としています。審判の中での補正の却下の決定には、もう一段上の「審判」はなく、直接、裁判所に行くことになります。

flowchart TB
  A["審判の中で補正が却下された
商標法第55条の2第3項で準用する
商標法第16条の2第1項"] --> B{"出願人はどうするか"} B -- "決定を争う" --> C["東京高等裁判所に訴え
決定の謄本の送達があつた日から30日
商標法第63条第1項・第2項"] C --> C2["訴えを提起したときは手続を中止
読替え後の商標法第16条の2第4項"] B -- "補正後の商標で出直す" --> D["新たな商標登録出願
決定の謄本の送達があつた日から30日以内
読替え後の意匠法第17条の3第1項"] D --> D2["手続補正書を提出した時に出願したものとみなす
もとの出願は取り下げたものとみなす
意匠法第17条の3第1項・第2項"] B -- "何もしない" --> E["補正前の内容で審理が続く
30日を経過するまでは結論を出さない
読替え後の商標法第16条の2第3項"] style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:出願人が30日の期間内に自分から動く選択肢(この図では赤の箱は使っていません)

【図5】審判の中で補正が却下された後の選択肢。商標法第55条の2第3項、第16条の2、第63条、意匠法第17条の3に基づき本記事作成者がフロー化したもの。

新出願の注意(条文上の帰結):意匠法第17条の3第3項は、新たな出願について同条第1項の規定の適用を受けたい旨を記載した書面をその意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出した場合に限り、適用があると定めます。準用される商標法でも、この書面を同時に提出しなければ、出願時のさかのぼり(手続補正書を提出した時)の効果は得られません。なお、国際商標登録出願には補正後の新出願の規定が適用されません(商標法第68条の18。詳細は関連記事)。
立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):逐条解説〔第22版〕は、商標法第55条の2を、平成5年の一部改正において拒絶査定に対する審判における特則を定めたものとし、その後、平成6年の一部改正(特許法の出願公告制度及び特許前の異議申立制度の廃止に伴う所要の改正)、平成8年の一部改正(商標法においても出願公告制度及び登録前の異議申立制度を廃止したことに伴い、これらの制度と関連する部分を削除する等の改正)を経た、と説明しています。各項については、第1項は、審判において審判官が原査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に新たに拒絶理由を通知することとする規定であり、その根拠規定を平成8年の一部改正前は特許法第50条の準用としていたものを、同改正で商標法に新設した第15条の2及び第15条の3に改めたもの、第2項は、拒絶査定に対する審判において原査定を取り消し、商標登録をすべき旨の審決をする場合について規定したもの、第3項は、審判における補正の却下及び補正却下後の新出願について規定したもの、と説明しています。第3項の読替えによって30日が維持された理由についても、下の注と同じ趣旨の説明がされています。
逐条解説〔第22版〕1762頁〜1763頁。
拒絶査定不服審判では、第55条の2第2項が第15条の2・第16条などを準用し、審判官の審理・審決に対応させて適用します。第16条の期間については、商標法施行令第3条が第55条の2での準用を明記し、原則として認定された出願日から1年6月と定めています。補正で一出願一商標違反を解消した場合の起算点、出願日の遡及を用いない場合、国際登録に基づく出願には同条所定の特則があります。審判請求日から新たに1年6月を数える規定ではありません。第55条の2/施行令第3条
30日のまま残された理由(改正解説書の説明):平成20年法律改正(平成20年法律第16号)解説書 第2章「不服審判請求期間の拡大」は、審判請求期間を30日から3月に拡大した一方で、審判の中での補正の却下の決定に関する期間を30日のまま維持した理由について、審判においては審査と比べてより慎重な審理が行われるため、取消訴訟を行うかどうかの判断は比較的容易に行うことができると考えられる、という趣旨の説明をしています(立法担当者の説明であり、条文解釈の確定根拠ではありません)。

5. 審決の種類 ― 自判か、差戻しか

flowchart TB
  S["商標法第44条第1項の審判の請求"] --> Q0{"請求は適法か
(期間・請求人など)"} Q0 -- "適法" --> Q1{"原査定の拒絶の理由は
妥当か"} Q0 -- "不適法で補正できない" --> R0["審決をもつて請求を却下
商標法第56条第1項で準用する特許法第135条"] Q1 -- "妥当" --> R1["請求は成り立たない旨の審決"] Q1 -- "妥当でない" --> Q2{"さらに審査に付すか
(審判官の裁量)"} Q2 -- "付す" --> R2["原査定を取り消し
さらに審査に付すべき旨の審決
特許法第160条第1項の準用"] R2 --> R2b["審決の判断は審査官を拘束
特許法第160条第2項の準用"] Q2 -- "付さない" --> Q3{"ほかに拒絶の理由を
発見したか"} Q3 -- "発見した" --> N["拒絶の理由を通知・意見書の機会
商標法第55条の2第1項"] N --> Q4{"拒絶の理由は
解消したか"} Q4 -- "解消した" --> R3["原査定を取り消し
商標登録をすべき旨の審決
商標法第55条の2第2項本文"] Q4 -- "解消しない" --> R1 Q3 -- "発見しない" --> R3 style R3 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style R2 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style R1 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style R0 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:原査定が取り消される審決
  • 赤の箱:拒絶査定が維持される、又は請求が却下される審決

【図6】審決の種類の分岐図。商標法第55条の2、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条・第160条、審判便覧61―07の整理をもとに本記事作成者がフロー化したもの。実際の審理の順序は事件により異なります。

審決の種類どんなとき根拠その後
請求は成り立たない旨の審決原査定の理由が妥当なとき。又は、審判で通知した別の拒絶の理由が解消しないとき商標法第55条の2第1項(別の理由の場合は通知が必要)商標法第63条第1項の訴え(審決の謄本の送達があった日から30日。被告は特許庁長官=商標法第63条第2項で準用する特許法第178条第3項・第179条本文)
原査定を取り消し、商標登録をすべき旨の審決(自判)請求に理由があり、拒絶の理由がないとき商標法第55条の2第2項本文で準用する商標法第16条登録料の納付を経て商標権の設定の登録へ(関連記事)
原査定を取り消し、さらに審査に付すべき旨の審決(差戻し)査定を取り消すが、審査官にあらためて審査させるとき商標法第56条第1項で準用する特許法第160条第1項。商標法第55条の2第2項ただし書により商標法第16条は準用されない審査官が再び審査する。審決の判断は審査官を拘束する(特許法第160条第2項の準用)
請求を却下する審決不適法な請求で、その補正をすることができないとき商標法第56条第1項で準用する特許法第135条商標法第63条第1項の訴え

〔表7〕商標法第44条第1項の審判の審決の種類。条文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)と審判便覧61―07(改訂R5.12の表示)をもとに本記事作成者が整理。「自判」「差戻し」は講学上・実務上の呼称。

審判便覧の説明(実務):審判便覧61―07は、差戻しをするかどうかは審判官の裁量にまかされているとしつつ、原査定で実質的な判断がされていない場合や、単に形式的な理由で拒絶された場合など、審判で自ら判断することが適当でない場合に差し戻すべきである、という趣旨の説明をしています。
Q. 審判で、査定の理由(例:商標法第3条第1項第3号)は妥当でないと判断した。しかし審判官は、別の理由(例:商標法第4条第1項第11号)に気づいた。通知なしに「請求は成り立たない」と審決できるか。
A. できません。商標法第55条の2第1項は、査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に商標法第15条の2を準用しており、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければなりません(条文上の帰結)。
Q. 審判の請求と同時に指定商品を減縮する補正をした。審査官がもう一度審査するか。
A. しません。特許法第162条に当たる規定は商標法になく、商標法第56条第1項も特許法第162条〜第164条を準用していません。補正の有無にかかわらず、審判官の合議体が審理します(条文上の帰結)。

6. 特許法・意匠法・商標法の比較

項目特許法意匠法商標法
根拠条文・名称特許法第121条拒絶査定不服審判意匠法第46条拒絶査定不服審判商標法第44条(見出し「拒絶査定に対する審判」。本文は審判)
請求期間査定の謄本の送達があった日から3月以内同左同左
追完理由がなくなった日から14日(在外者2月)以内で期間の経過後6月以内(特許法第121条第2項)同じ(意匠法第46条第2項)同じ(商標法第44条第2項)
前置審査あり(特許法第162条〜第164条)なし(意匠法第52条の列挙に含まれない)なし(商標法第56条第1項の列挙に含まれない)
審判との関係での補正の時期審判の請求と同時(特許法第17条の2第1項第4号)ほか、拒絶理由通知に対する指定期間内等事件が審査、審判又は再審に係属している場合(意匠法第60条の24)事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合(商標法第68条の40第1項)
審判での別の拒絶の理由の通知特許法第159条第2項(特許法第50条・第50条の2の準用)意匠法第50条第3項(特許法第50条の準用)商標法第55条の2第1項(商標法第15条の2・第15条の3の準用)
請求に理由があるとき特許法第159条第3項(特許法第51条等の準用)意匠法第50条第2項(意匠法第18条の準用。差戻しのときはこの限りでない)商標法第55条の2第2項(商標法第16条の準用。差戻しのときはこの限りでない)
審判の中での補正の却下特許法第159条第1項(特許法第53条の準用・読替え)意匠法第50条第1項(意匠法第17条の2・第17条の3の準用。「三月」→「三十日」、不服は意匠法第59条第1項の訴え)商標法第55条の2第3項(商標法第16条の2・意匠法第17条の3の準用。「三月」→「三十日」、不服は商標法第63条第1項の訴え)
審査段階の補正の却下に対する独立の審判なし(特許法第53条第3項。拒絶査定不服審判の中で争う)あり(補正却下決定不服審判)あり(商標法第45条第1項の審判)
差戻しの審決特許法第160条意匠法第52条で準用する特許法第160条第1項・第2項商標法第56条第1項で準用する特許法第160条第1項・第2項

〔表8〕拒絶査定に対する審判の三法比較。特許法第17条の2・第53条・第121条・第158条〜第164条、意匠法第46条・第50条・第52条・第60条の24、商標法第44条・第55条の2・第56条・第68条の40の原文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)を本記事作成者が照合して作成。実用新案法は実体審査をせず拒絶査定の制度がないため、表に含めていません(詳細は実用新案法の関連記事)。

ポイント:商標法第55条の2は、条文の並べ方こそ違いますが、意匠法第50条とほぼ同じ構造です(補正の却下・新出願の準用と「三十日」への読替え、登録査定の準用と差戻しのただし書、別の拒絶の理由の通知)。商標法に固有なのは、商標法第15条の3(先願の未登録商標がある場合の通知)も準用している点です。

7. 拒絶・異議・無効の理由との関係

商標法第44条・第55条の2は手続の規定であり、それ自体は、拒絶の理由(商標法第15条)、登録異議の申立ての理由(商標法第43条の2)、無効の理由(商標法第46条第1項)、除斥期間(商標法第47条)のいずれの対象にもなっていません。審判で審理されるのは、「その商標登録出願が商標法第15条各号のいずれかに該当するか」です。拒絶の理由の一覧は関連記事(商標法第14条〜第17条)を参照してください。

8. 準用される場面 ― 防護標章・再審

場面根拠内容
防護標章登録出願についての拒絶査定に対する審判商標法第68条第4項第四十三条の二(第三号を除く。)から第四十五条まで、…及び第五十五条の二から第五十六条の二までの規定は、防護標章登録に係る登録異議の申立て及び審判に準用する。(抜粋)→ 商標法第44条・第55条の2が準用される
再審商標法第63条第1項・商標法第17条の2第2項のかっこ書いずれも第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)と定めており、商標法第60条の2第2項が商標法第55条の2第3項を準用していることが分かる(詳細は再審の関連記事)

〔表9〕商標法第44条・第55条の2が準用される場面。条文の原文(e-Gov法令検索、2026年9月参照)をもとに本記事作成者が整理。

9. 改正前/現行

項目改正前現行(2026年9月時点)
審判の請求期間(商標法第44条第1項)査定の謄本の送達があった日から30日以内3月以内
補正却下決定に対する審判の請求期間(商標法第45条第1項)30日以内3月以内
審判の中での補正の却下に関する期間(商標法第55条の2第3項の読替え)30日30日(審査段階の「三月」を「三十日」と読み替える形で維持)

〔表10〕平成20年法律第16号による改正の前後。特許庁「平成20年法律改正(平成20年法律第16号)解説書」第2章「不服審判請求期間の拡大」の説明をもとに本記事作成者が整理。同解説書は、新規定は施行日以後に謄本が送達される拒絶査定又は補正却下決定に適用され、それ以前のものは従前の例による(改正法附則)と説明しています。

審判請求期間を30日から3月へ拡大した改正は、2009年4月1日以後に拒絶査定謄本が送達された出願に適用されます。現在の第44条第2項は、責めに帰すことができない理由で期間を守れなかった場合に、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ元の期間経過後6月以内の追完を認めています。特許庁の施行案内/第44条

10. 試験での問われ方

試験種別問われうる形(本記事作成者の整理。出題を保証するものではありません)
短答式期間の数字(3月/14日・在外者2月・6月/審判の中の補正の却下は30日)、前置審査の有無、審判の中の補正の却下に対する不服申立て先(審判ではなく商標法第63条第1項の訴え)、別の拒絶の理由を発見したときの通知の要否、差戻しのときに商標法第16条が準用されないこと
論文式拒絶査定を受けた出願人がとりうる措置(審判の請求、審判係属中の補正、分割など)の整理の一部として。措置の全体像は関連記事を参照
口述条文の文言(請求人、起算点、期間)や、特許法との違い(前置審査)を条文に即して答える形

〔表11〕試験種別ごとの問われ方の整理(本記事作成者による)。

問8の肢ホは、終結通知後の補正を受けて審理が再開される場合があるかを問うものです。準用特許法第156条第3項は必要がある場合の再開を認めます。問8全体の正解は2(正しい肢は2つ)です。 公式問題/公式正解。肢の説明は条文による検証であり、公式解答が公表するのは問題全体の正解番号です。
レベル3のまとめ
  • 請求人は拒絶をすべき旨の査定を受けた者。共有のときは全員で(特許法第132条第3項の準用)。期間は謄本の送達があった日から3月。遠隔地等の延長(特許法第4条の準用)と、不責事由による追完(商標法第44条第2項)がある。
  • 商標法に前置審査はない。商標法第56条第1項の列挙は特許法第161条の次が第167条で、特許法第162条〜第164条を含まない。
  • 補正は審判に係属している間できる(商標法第68条の40第1項)。要旨を変更する補正は審判でも却下される(商標法第55条の2第3項)。
  • 審判の中の補正の却下:期間は30日に読み替え、不服は商標法第63条第1項の訴え(東京高等裁判所)。審査段階の「3月」「商標法第45条第1項の審判」と対比する。
  • 査定の理由と異なる拒絶の理由を発見したら通知が必要(商標法第55条の2第1項)。請求に理由があれば商標登録をすべき旨の審決(第2項本文)、差戻しのときは第16条を準用しない(第2項ただし書)。

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