MENU

小学生でも分かる商標法|商標法第9条の4・第16条の2・第17条の2・第68条の40 補正と要旨変更 ― 出した後の「書き直し」はどこまで許されるか

小学生でもわかる商標法 第16回「補正と要旨変更」。書き直せる範囲と手続。

小学生でも分かる商標法 / B. 出願・審査・登録の手続 #16

PR この記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

特許庁に出した書類は、あとから直すことができます。これを「補正(ほせい)」といいます。けれども、目じるしそのものを別のものに変えたり、使う商品を広げたりする書き直しは、みとめられません。この記事では、書き直しができる時期、やってはいけない書き直し(要旨変更)、それをしてしまったときの3つの道を、図と表で順番に見ていきます。

条文:商標法第9条の4・第16条の2・第17条の2・第68条の40審査基準:商標審査基準〔改訂第17版〕 第13 第16条の2及び第17条の2参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

申しこみ用紙は、あとから直せる。でも「別もの」にはできない

パン屋さんが、「ほしぞらパン」という目じるしを、特許庁(とっきょちょう)に申しこみました。目じるしを登録してもらう申しこみを「出願(しゅつがん)」といいます。

出願の用紙には、2つの大事なことを書きます。1つは「どんな目じるしか」。もう1つは「その目じるしを、どの商品やサービスに使うか」です。

出したあとで、まちがいに気づくことがあります。そのときは、用紙を書き直せます。この書き直しが「補正(ほせい)」です。

でも、なんでも書き直せるわけではありません。商標は「先に出した人が勝ち」というルールです。あとから中身を広げたり、別の名前に変えたりできると、順番を守ってならんでいるほかの人が、こまってしまいます。

さいしょに出した用紙 目じるし ほしぞらパン 使う商品 パン、ケーキ ○ 商品をへらす 「パン、ケーキ」→「パン」だけにする さいしょの中におさまっている。だれもこまらない × 商品をふやす・別の商品にかえる 「パン、ケーキ」→「パン、ケーキ、ジュース」 さいしょに書いていないものを、あとから足している × 目じるしをかえる 「ほしぞらパン」→「ゆうやけパン」 別の目じるしになっている。順番ぬかしになる

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の枠:さいしょに出した用紙(書き直しの出発点)
  • 橙の枠:みとめられる書き直し(○)
  • 赤の枠:みとめられない書き直し(×=要旨を変更する補正)

【図1】書き直し(補正)の○と×のイメージ。「ほしぞらパン」「ゆうやけパン」は架空の例です。×の書き直しを、法律では「要旨(ようし)を変更する補正」とよびます。

×の書き直しをしたら、どうなる?

×の書き直しをすると、審査官(しんさかん=特許庁でチェックをする人)が、「この書き直しはみとめません」と決めます。これを「補正の却下(きゃっか)」といいます。却下されると、その書き直しはなかったことになります。

そのあと、パン屋さんには3つの道があります。

「この書き直しはみとめません」 道① 言い返す 「みとめないのはおかしい」と 別の人たちに、もう一度 はんだんしてもらう そのあいだ、元の審査は ストップして待つ 道② 出し直す 書き直したあとの内容で 新しく出願する 順番は「書き直しの紙を 出した時」にならんだあつかい 元の出願は取り下げたことになる 道③ 何もしない 書き直しをあきらめる 書き直す前の内容のまま 審査が進む

図は左右にスクロールできます。

  • 赤の枠:審査官の「みとめません」という決定(出発点)
  • 藍・橙・青緑の枠:出願人が選べる3つの道(色のちがいに優劣の意味はありません)

【図2】書き直しがみとめられなかったあとの3つの道(イメージ)。道①と道②は、どちらも「3か月以内」という期限があります。

① 書き直し=補正は、審査などが続いているあいだだけできる② へらすのは○、ふやす・かえるは×③ ×なら「却下」。そのあと3つの道
レベル1のまとめ
  • 出願の用紙は、あとから書き直せます(補正)。ただし、特許庁でその件をあつかっているあいだだけです。
  • 使う商品をへらす書き直しはできます。商品をふやす・別の商品にかえる・目じるしをかえる書き直しは、みとめられません。
  • みとめられない書き直しは「却下」されます。そのあとは、①言い返す、②書き直したあとの内容で出し直す、③何もしない、の3つの道があります。
  • ②の出し直しは、「書き直しの紙を出した時」にならんだあつかいになります。さいしょの出願の日までは、さかのぼりません。

※ 「へらすのは○、ふやす・かえるは×」は単純化した説明です。目じるしの中の一部を消す書き直しがみとめられる場合や、②の出し直しに書面の提出が必要なことなど、正確には条件があります(→レベル3)。また、まちがった書き直しが見のがされたまま登録されたときのルールもあります(→レベル2・レベル3)。

LEVEL 2条文の骨格

4つの条文は「時期」と「場面」で役割が分かれている

この記事であつかう4つの条文は、ばらばらの場所に置かれています。しかし、「補正」という1つの流れでつながっています。まず全体の地図を見ましょう。

時間の流れ → 出願 設定の登録 第68条の40 補正ができる時期 審査・登録異議の申立てについての審理・審判・再審に係属中 第16条の2 補正の却下 審査中に要旨変更と分かった → 決定で却下 第17条の2 補正後の商標についての新出願 却下されたあとの出し直し(意匠法第17条の3の準用) 第9条の4 登録の後に要旨変更と 分かった → 出願の時が「手続補正書を 提出した時」にくり下がる 要旨変更の補正が「いつ見つかったか」で、働く条文が変わる

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の枠:補正が「いつ」できるかを定める条文
  • 赤の枠:審査中に要旨変更と分かったときの条文
  • 橙の枠:却下されたあとの出し直しの条文
  • 藍の枠:設定の登録の後に要旨変更と分かったときの条文

【図3】4つの条文の役割分担(相関図)。本記事作成者が条文を整理して図にしたものです。

条文条見出し一言でいうと働く場面
商標法第68条の40手続の補正補正が「いつ」できるかすべての手続(出願・請求など)
商標法第16条の2補正の却下要旨変更の補正は、審査官が決定で却下する審査中
商標法第17条の2意匠法の準用却下された補正後の商標で出し直せる。出願の時は手続補正書の提出時却下の決定のあと
商標法第9条の4指定商品等又は商標登録を受けようとする商標の補正と要旨変更見のがされて登録されたら、出願の時がくり下がる設定の登録のあと

〔表1〕4つの条文の役割一覧。条見出しはe-Gov法令検索の表示によります(2026年9月参照)。

第68条の40 ― 補正ができる時期

商標法第68条の40(原文) 商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。(第1項)
商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第四十条第一項又は第四十一条の二第一項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。(第2項)
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
部品第1項第2項
だれが商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他の手続をした者商標登録出願をした者
いつ事件が「審査」「登録異議の申立てについての審理」「審判」「再審」に係属している場合に限り登録料の納付(商標法第40条第1項)または分割納付(商標法第41条の2第1項)と同時
何をその手続の補正商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正
位置づけ原則「前項の規定にかかわらず」=第1項の時期の例外

〔表2〕商標法第68条の40の部品分解。

「係属(けいぞく)している」とは、特許庁がその件をまだあつかっている途中、という意味です。登録してよいという査定が出ると、審査は終わります。そのあとは、原則として補正ができません。ただし、登録料をはらうときに「区分(商品・サービスのグループ)の数をへらす」補正だけは、第2項で特別にみとめられています。区分の数は登録料の計算のもとになるからです。

第16条の2 ― 要旨変更の補正は決定で却下

商標法第16条の2(原文) 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。(第1項)
前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。(第2項)
第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。(第3項)
審査官は、商標登録出願人が第一項の規定による却下の決定に対し第四十五条第一項の審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその商標登録出願の審査を中止しなければならない。(第4項)
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
項だれがどんなときどうする
第1項審査官願書に記載した「指定商品若しくは指定役務」または「商標登録を受けようとする商標」についてした補正が、これらの要旨を変更するものであるとき決定をもってその補正を却下しなければならない(義務)
第2項審査官却下の決定をするとき文書で行い、理由を付す
第3項審査官却下の決定があったとき決定の謄本の送達があった日から3月を経過するまで、査定をしてはならない
第4項審査官出願人が商標法第45条第1項の審判を請求したとき審決が確定するまで、その出願の審査を中止しなければならない

〔表3〕商標法第16条の2の項ごとの役割。第3項の「3月」は、出願人が次の手を考えるための「待ち時間」です(商標法第16条の2第3項、2026年9月参照のe-Govによる)。

第3項で3月のあいだ査定を止めるのは、出願人が「審判を請求するか」「新しく出し直すか」を決める期間と重なっています。どちらも、決定の謄本の送達があった日から3月以内という期限だからです(商標法第45条第1項、商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3第1項)。

第17条の2 ― 意匠法第17条の3の準用

商標法第17条の2(原文) 意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第十七条の三(補正後の意匠についての新出願)の規定は、第十六条の二第一項の規定により、決定をもつて補正が却下された場合に準用する。(第1項)
意匠法第十七条の四の規定は、前項又は第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する同法第十七条の三第一項に規定する期間を延長する場合に準用する。(第2項)
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
準用される意匠法第17条の3(原文) 意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。(第1項)
前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは、もとの意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。(第2項)
前二項の規定は、意匠登録出願人が第一項に規定する新たな意匠登録出願について同項の規定の適用を受けたい旨を記載した書面をその意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出した場合に限り、適用があるものとする。(第3項)
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。

商標法第17条の2第1項には、「○○とあるのは△△と読み替える」という読替規定が置かれていません。そこで、準用するときは、意匠法の言葉を商標法の言葉に置きかえて読むことになります。次の表は、本記事作成者が当てはめて読んだものです(条文そのものではありません)。

意匠法第17条の3の文言商標法での当てはめ(本記事作成者による整理)
意匠登録出願人商標登録出願人
前条第一項の規定による却下の決定(=意匠法第17条の2第1項)商標法第16条の2第1項の規定による却下の決定
その補正後の意匠について新たな意匠登録出願その補正後の商標について新たな商標登録出願
その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす同じ(新たな商標登録出願は、手続補正書を提出した時にしたものとみなされる)
もとの意匠登録出願は、取り下げたものとみなすもとの商標登録出願は、取り下げたものとみなされる
適用を受けたい旨を記載した書面を出願と同時に特許庁長官に提出同じ(新たな商標登録出願と同時に提出した場合に限り適用)

〔表4〕意匠法第17条の3を商標法で読むときの当てはめ。商標法第45条第1項ただし書が「第十七条の二第一項において準用する意匠法第十七条の三第一項に規定する新たな商標登録出願」と書いていることから、「新たな商標登録出願」と読むことが条文上も確認できます。

第2項が準用する意匠法第17条の4は、特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、前条第一項に規定する期間を延長することができる。(第1項)という規定です。つまり、「3月以内」の期間は、遠隔または交通不便の地にある者のために延長されることがあります。

第9条の4 ― 登録の後に要旨変更と分かったとき

商標法第9条の4(原文) 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものと商標権の設定の登録があつた後に認められたときは、その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
部品文言意味
何について願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正商標法第16条の2第1項と同じ対象
いつ分かった商標権の設定の登録があつた後に認められたとき審査では見のがされ、登録後に要旨変更と認められた場合
どうなるその商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす出願の時がくり下がる。登録そのものが直ちに消えるとは書かれていない

〔表5〕商標法第9条の4の部品分解。

flowchart TB
  A["出願人が手続補正書を提出
(商標法第68条の40の時期内)"] --> B{"指定商品・指定役務または商標の
要旨を変更する補正か"} B -- "はい(審査中に判明)" --> D["審査官が決定をもって却下
(商標法第16条の2第1項)
文書+理由(第2項)"] B -- "はい(見のがされて登録)" --> G["設定の登録の後に要旨変更と認められる"] B -- "いいえ" --> C["要旨変更には当たらない
ほかの手続要件は別途判断"] D --> E["謄本送達の日から3月は査定不可
(第3項)"] E --> F["出願人の選択へ
(レベル3の図6)"] G --> H["出願は手続補正書を提出した時に
したものとみなす
(商標法第9条の4)"] style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style H fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:補正がそのまま有効になる結論
  • 赤の箱:要旨変更としてあつかわれる結論(却下/出願の時のくり下がり)

【図4】補正から却下・出願時のくり下がりまでの流れ。本記事作成者が条文をフロー化したものです。

レベル2のまとめ
  • 補正ができるのは、事件が「審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審」に係属している場合に限られます(商標法第68条の40第1項)。例外として、登録料の納付と同時に、区分の数を減ずる補正ができます(同条第2項)。
  • 指定商品・指定役務または商標の要旨を変更する補正は、審査官が決定をもって却下します(商標法第16条の2第1項)。決定の謄本の送達があった日から3月は査定ができません(同条第3項)。
  • 却下された補正後の商標で新たな商標登録出願をすると、その出願は手続補正書を提出した時にしたものとみなされ、もとの出願は取り下げたものとみなされます(商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3)。
  • 要旨変更の補正が見のがされ、設定の登録の後に認められたときは、出願の時が手続補正書を提出した時にくり下がります(商標法第9条の4)。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 「要旨変更」の判断 ― 商標審査基準の例

商標法には「要旨」の定義規定がありません。実務上の判断の目安は、商標審査基準〔改訂第17版〕「第13 第16条の2及び第17条の2」に例示されています。以下の表は、同基準の例示を整理したものです(審査基準は審査官の判断の基準であり、条文そのものではありません)。

補正の内容(指定商品・指定役務)要旨変更か審査基準が挙げる例
指定商品・指定役務の範囲の変更要旨変更第32類「ビール」から第33類「洋酒」への補正
指定商品・指定役務の範囲の拡大要旨変更第12類「貨物自動車」から第12類「自動車」への補正
包括的な表示を、その中に含まれる個別の表示にする要旨変更でない第21類「食器類」から「コップ,茶わん」への補正
包括的な表示を、個別の表示+「その他の…」に分ける要旨変更でない第41類「娯楽施設の提供」から「カラオケ施設の提供,その他の娯楽施設の提供」への補正
範囲の減縮、誤記の訂正、明瞭でない記載を明瞭なものに改める要旨変更でない―
小売等役務:総合小売等役務 ⇔ 特定小売等役務の変更要旨変更―
小売等役務 ⇔ 商品の変更要旨変更―
特定小売等役務の取扱商品の範囲の変更・拡大要旨変更―
特定小売等役務の取扱商品の範囲の減縮要旨変更でない―

〔表6〕指定商品・指定役務の補正と要旨変更。出典:商標審査基準〔改訂第17版〕 第13 第16条の2及び第17条の2(特許庁、2026年9月参照)。「総合小売等役務」「特定小売等役務」は審査基準上の呼称です。表の左列は本記事作成者による要約です。

補正の内容(商標)要旨変更か備考
商標中の文字、図形、記号又は立体的形状を変更・削除する要旨変更原則
商標に文字、図形、記号又は立体的形状を追加する要旨変更
商標の色彩を変更する要旨変更
商標中の付記的部分の削除要旨変更でない審査基準の原文:「『JIS』、『JAS』、『プラマーク』、『エコマーク』、『特許』、『実用新案』、『意匠』等の文字、記号若しくは図形又は商品の産地・販売地若しくは役務の提供の場所を表す文字がある場合、これらを削除することは、要旨の変更ではないものとする。」
標準文字である旨の記載の追加・削除要旨変更(原則)願書に記載した商標が標準文字と同一と認められる場合に、標準文字である旨の記載を追加することは要旨変更でない
商標登録出願後に、第5条第6項ただし書による色彩の適用を受けようとする要旨変更商標審査基準第13・1(2):出願後にこの色彩の適用を受ける補正は要旨を変更する

〔表7〕商標の補正と要旨変更。出典:同上。商標そのものの補正は、付記的部分の削除などの限られた場合を除き、要旨変更となるのが審査基準の整理です。

商標のタイプ要旨変更でない例要旨変更である例
共通(立体・動き・ホログラム・色彩のみ・音・位置)願書に記載した商標と商標の詳細な説明から、その商標としてしか認識できない場合に、その商標である旨の記載を追加するその商標である旨の記載の追加・削除(原則)
立体商標願書に記載した商標が平面の商標としてしか認識できない場合に、立体商標である旨の記載を削除する/詳細な説明を願書の商標に合わせる―
動き商標・ホログラム商標願書の商標にはあるが詳細な説明にない標章・変化・表示面の説明を、詳細な説明に追加する―
色彩のみからなる商標詳細な説明の色彩・色彩の数・割合を、願書に記載した商標に合わせる―
音商標楽曲名、作曲者名など、音商標を構成する言語的要素・音の要素以外の記載を削除する/願書が「ピアノ」で物件が「ギター」の場合に物件を「ピアノ」に直す願書に歌詞がないのに物件に歌詞を追加する/願書に楽器の記載がなく物件が「ギター」の場合に物件を「ピアノ」に変える
位置商標願書が「眼鏡のつる」で詳細な説明が「眼鏡のレンズフレーム」の場合に、詳細な説明を「眼鏡のつる」に直す―

〔表8〕新しいタイプの商標等の補正と要旨変更(要約)。出典:同上。考え方は「願書に記載した商標を基準に、説明や物件のほうを合わせるのは要旨変更でない」という方向で整理されています(本記事作成者の要約)。

表6〜表8は、商標審査基準第13・1及び3の例示に対応します。付記的部分の削除では、ほかに識別機能を持つ部分があり、それと構成上一体でないことが判断の目安です。また、説明や物件の補正は、商標がまだ特定されていないときは願書の商標の構成・態様の範囲、すでに特定されているときはその特定された範囲に含まれるかで判断します。説明を直す補正がすべて許されるわけではありません。

flowchart TB
  S["補正の対象は?"] --> T{"指定商品・指定役務"}
  S --> U{"商標"}
  T -- "範囲の減縮・誤記の訂正・明瞭化" --> OK1["要旨変更でない"]
  T -- "包括表示を中身の個別表示に" --> OK1
  T -- "別の商品・役務に変更/範囲を拡大" --> NG1["要旨変更
(他の類似の商品・役務への変更でも同じ)"] T -- "小売等役務と商品の入替え等" --> NG1 U -- "文字・図形等の変更・追加・削除
色彩の変更" --> NG2["要旨変更"] U -- "付記的部分の削除
(別の識別部分と構成上一体でない等)" --> OK2["要旨変更でない"] style OK1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style OK2 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style NG1 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style NG2 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

【図5】要旨変更かどうかの判断の目安。商標審査基準の例示を本記事作成者がフロー化したものです(審査基準そのものではなく、すべての場合を尽くすものでもありません)。

2. 補正却下後の3つの選択肢

flowchart TB
  A["補正の却下の決定の謄本の送達
(商標法第16条の2第1項・第2項)"] --> B{"出願人の選択
(送達の日から3月以内)"} B -- "決定に不服" --> C["商標法第45条第1項の審判を請求"] C --> C1["審決確定まで審査を中止
(商標法第16条の2第4項)"] B -- "補正後の商標で権利化したい" --> D["補正後の商標について
新たな商標登録出願
+適用を受けたい旨の書面を同時に提出"] D --> D1["新出願は手続補正書を提出した時に
したものとみなす"] D --> D2["もとの出願は
取り下げたものとみなす"] D --> D3["商標法第45条第1項の審判は
請求できない(同項ただし書)"] B -- "何もしない" --> E["3月経過後、補正前の内容で
審査が進む"] style D1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D2 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style D3 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:新出願をした出願人が受けられる効果
  • 赤の箱:新出願をしたことで失われる・できなくなること

【図6】補正却下後の3つの選択肢の分岐図。本記事作成者が条文(商標法第16条の2、第17条の2、第45条第1項、準用する意匠法第17条の3)をフロー化したものです。

① 第45条第1項の審判② 補正後の商標についての新出願③ 何もしない
根拠商標法第45条第1項商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3(直接の規定なし)
期限決定の謄本の送達があった日から3月以内決定の謄本の送達があった日から3月以内(遠隔・交通不便の地にある者のための延長あり=商標法第17条の2第2項において準用する意匠法第17条の4)―
もとの出願審決確定まで審査中止(商標法第16条の2第4項)取り下げたものとみなされる(準用する意匠法第17条の3第2項)補正前の内容で審査が続く
出願の時もとの出願の時のまま(審判で決定が取り消されれば補正後の内容で審査)手続補正書を提出した時(準用する意匠法第17条の3第1項)もとの出願の時のまま
必要な手続審判請求新たな商標登録出願+適用を受けたい旨を記載した書面を同時に特許庁長官に提出(準用する意匠法第17条の3第3項)―
両立②をしたときは①は請求できない(商標法第45条第1項ただし書)―

〔表9〕3つの選択肢の比較。期間は2026年9月参照のe-Gov法令検索による。③の「補正前の内容で審査が続く」は、却下された補正が効力を生じないことからの本記事作成者の整理です。③の場合でも、事件が審査に係属している限り、要旨を変更しない別の補正をすることは商標法第68条の40第1項により可能です。

時間の流れ → もとの出願 手続補正書の提出 (要旨変更の補正) 却下の決定の 謄本の送達 3月:査定不可/審判・新出願の期限 新出願(実際の日) 新出願は「手続補正書を提出した時」に したものとみなす ここまではさかのぼらない もとの出願は、新出願があったとき取り下げたものとみなされる

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の丸:もとの出願
  • 橙の丸・橙の枠:手続補正書の提出と新出願(出願の時のみなしに関わるできごと)
  • 赤の丸・赤の枠:却下の決定の謄本の送達と、そこから3月の期間
  • 藍の枠:さかのぼる先ではない時点を示す注記
  • 橙の破線の矢印:新出願が「したものとみなされる」時点
  • 灰色の点線:同じ時点をそろえる補助線

【図7】補正後の商標についての新出願のタイムチャート。本記事作成者が条文を図にしたものです。もとの出願と手続補正書の提出の間に他人の出願が入っていた場合、その他人の出願より後の出願としてあつかわれることになります。時間軸に縮尺はありません。

ポイント:新出願の出願の時は「もとの出願の時」ではなく「手続補正書を提出した時」です。分割出願(商標法第10条)や出願の変更(商標法第11条等)のように、もとの出願の時までさかのぼる制度とは、さかのぼる先が異なります(例外・詳細は各関連記事)。

3. 第9条の4 ― 出願の時がくり下がると何が起きるか

商標法第9条の4の効果は、条文上は「その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす」ことだけです。登録が当然に無効になる、とは書かれていません。

時間の流れ → 出願X(要旨変更の補正あり) Xの出願 手続補正書の提出 設定の登録 要旨変更と認められる 出願の時がくり下がる 他人の出願Y(同一・類似の商標) Yの出願 くり下がった結果、YのほうがXより先の出願としてあつかわれる

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の線・青緑の丸:出願X(要旨変更の補正をした出願)の時間軸
  • 藍の線・藍の丸:他人の出願Yの時間軸
  • 赤の丸:要旨変更の補正に関わるできごと(手続補正書の提出/登録後に要旨変更と認められたこと)
  • 赤の破線の矢印:出願の時がくり下がる先(商標法第9条の4)
  • 灰色の点線:Yの出願の時点をXの時間軸に合わせる補助線

【図8】商標法第9条の4による出願の時のくり下がり(本記事作成者による模式図。X・Yは架空の出願)。

出願の時がくり下がると、出願の時や先後願を基準にする規定の当てはめが変わります。たとえば図8のように、もとの出願と手続補正書の提出の間に他人の出願Yがあった場合、Xは後願になります。その結果、先願に関する規定(商標法第8条第1項)や、他人の先願に係る登録商標との関係(商標法第4条第1項第11号)に該当し、無効理由(商標法第46条第1項)を持つことになる場合があります。これは条文の組合せから導かれる本記事作成者の整理であり、個別の当てはめは事案によります。

見る場面要旨変更の補正そのものが理由になるか処理のしかた
拒絶理由(商標法第15条)非該当拒絶ではなく、補正の却下(商標法第16条の2第1項)で処理
異議理由(商標法第43条の2)非該当商標法第9条の4により出願の時がくり下がる。その結果として他の異議理由・無効理由(商標法第8条第1項、商標法第4条第1項第11号等)に該当する場合がある
無効理由(商標法第46条第1項)非該当
除斥期間(商標法第47条)―くり下がりの結果として主張する無効理由が商標法第47条第1項の対象(商標法第8条第1項、商標法第4条第1項第11号等)であれば、除斥期間の適用を受ける

〔表10〕要旨変更の補正と拒絶理由・異議理由・無効理由の対応。各条の列挙はe-Gov法令検索(2026年9月参照)による。特許法では新規事項を追加する補正そのものが拒絶理由(特許法第49条第1号)・無効理由(特許法第123条第1項第1号)とされているのと対照的です。

4. 特許法・意匠法との三法比較

項目特許法意匠法商標法
補正の時期(一般)事件が特許庁に係属している場合に限り(特許法第17条第1項本文。明細書等は同項ただし書・特許法第17条の2以下で制限)事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り(意匠法第60条の24)事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り(商標法第68条の40第1項)。登録料納付と同時の区分の数を減ずる補正(同条第2項)
内容の制限願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内(特許法第17条の2第3項。いわゆる新規事項の追加の禁止)ほか願書の記載・図面等の要旨を変更しないこと(意匠法第17条の2第1項)指定商品・指定役務または商標の要旨を変更しないこと(商標法第16条の2第1項)
審査中に違反が判明拒絶理由(特許法第49条第1号)。最後の拒絶理由通知後の補正等は決定で却下(特許法第53条第1項)決定で却下(意匠法第17条の2第1項)決定で却下(商標法第16条の2第1項)
却下の決定への不服独立の不服申立て不可。拒絶査定不服審判で争う(特許法第53条第3項)補正却下決定不服審判(意匠法第17条の2第4項に文言あり。詳細は意匠法シリーズ)商標法第45条第1項の審判
補正後の内容での新出願制度なし意匠法第17条の3商標法第17条の2(意匠法第17条の3を準用)
登録後に違反が判明無効理由(特許法第123条第1項第1号。外国語書面出願を除く)出願の時のくり下がり(意匠法第9条の2)出願の時のくり下がり(商標法第9条の4)

〔表11〕補正の制限に関する三法比較。各条はe-Gov法令検索(特許法 334AC0000000121/意匠法 334AC0000000125/商標法 334AC0000000127、2026年9月参照)で確認した範囲で記載。特許法の欄は骨格のみで、目的外補正等の制限は省略しています(例外あり。詳細は特許法シリーズ)。

ポイント:商標法第68条の40第1項には、意匠法第60条の24にない「登録異議の申立てについての審理」が入っています。商標法には登録異議の申立て制度(商標法第43条の2以下)があるためです。
立法趣旨(逐条解説〔第22版〕)― なぜ商標法・意匠法にだけ残っているのか:特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』(以下「逐条解説〔第22版〕」)は、次のように説明しています。
補正の却下(商標法第16条の2)について:本条は平成5年の一部改正で新設されたもので、従来は商標法第17条において特許法第53条を準用していたところ、同改正で同条が改正され商標法で準用することができなくなったため、相当する規定を新設したものです。平成5年の一部改正では、特許法については、制度の国際的調和や迅速な権利付与の実現の観点から、新規事項を追加する不適法な補正がされたときは拒絶理由(特許法第49条第1号)の対象とすることとされました。これに対し商標法では、指定商品(指定役務)または商標が権利の内容そのものであることから、指定商品(指定役務)の範囲または商標に本質的な変更を加えると要旨に変更を加えることとなり、補正が要旨変更に当たるか否かの判断は解釈が入り込む余地が比較的少なく客観的な判断が可能であって、審査の遅延に与える影響も少ないことから、従来の補正却下の制度を存続させることとした、と説明されています。
なお、第3項の期間が3月とされているのは、平成20年の一部改正で補正の却下の決定に対する不服審判の請求期間を30日から3月に拡大したことに伴うものである、とされています。
補正後の商標についての新出願(商標法第17条の2)について:逐条解説〔第22版〕の商標法第17条の2の項は、各項の趣旨について意匠法第17条の3・第17条の4の項を参照するよう指示しています。その意匠法第17条の3の項は、同条が、昭和60年の一部改正により特許法および実用新案法において補正却下後の新出願の制度を廃止したこと、および意匠法において同制度を存続することとしたことに伴い新設されたものである、と説明しています。制度を置く理由としては、補正が要旨変更であるという認定が補正の直後にされるのであれば特例はほとんど必要ないが、実際には補正から期間が経過した後に要旨変更と認定される場合も生じ得るものであり、その却下された補正後の内容について新たな出願をした場合に、その出願の時点が補正をしたときから期間が経過したままの時点であるというのは出願人に苛酷である、という点が挙げられています。
出典:逐条解説〔第22版〕商標法1618頁〜1619頁(第16条の2)・1621頁(第17条の2)、意匠法1303頁〜1304頁(第17条の3)。逐条解説は立法担当者の説明であり、条文解釈を確定するものではありません。

昭和60年法律第41号の施行日は1985年11月1日です。商標登録令の昭和60年政令第287号附則第1項が、同法の施行日をこの日付で明記しています。

5. 審判段階・防護標章・国際商標登録出願での扱い

場面条文内容
拒絶査定に対する審判(商標法第44条第1項)での補正商標法第55条の2第3項商標法第16条の2および意匠法第17条の3を準用。読替えの原文:第十六条の二第三項及び同法第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十六条の二第四項中「第四十五条第一項の審判を請求したとき」とあるのは「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
同上の却下の決定への不服商標法第63条第1項準用する商標法第16条の2第1項の規定による却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄
防護標章登録出願商標法第68条第1項・第2項第1項が「第九条の二から第十条まで」を準用(商標法第9条の4を含む)。第2項が「第十六条から第十七条の二まで」を防護標章登録出願の審査に準用
国際商標登録出願(新出願)商標法第68条の18商標法第17条の2第1項等において準用する意匠法第17条の3の規定は適用しない(第1項)。意匠法第17条の4の準用も適用しない(第2項)
国際商標登録出願(補正の時期)商標法第68条の28商標法第15条の2または第15条の3の規定による通知を受けた後は、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、願書に記載した指定商品又は指定役務について補正ができる(第1項)。商標法第68条の9第2項により商標の詳細な説明とみなされた事項を除き、商標法第68条の40は適用しない(第2項)

〔表12〕審判段階・防護標章・国際商標登録出願での扱い。e-Gov法令検索(2026年9月参照)による。審査段階の「3月」が、拒絶査定に対する審判の段階では「30日」に読み替えられる点に注意してください。

国際商標登録出願については、補正できる対象が指定商品・指定役務に限られ(商標そのものは補正の対象として挙げられていません)、補正後の商標についての新出願の制度も使えません。詳細は、マドリッド協定の議定書に基づく特例の記事であつかいます。

6. よくある取り違え

Q. 補正後の商標について新出願をすると、出願日はもとの出願の日までさかのぼりますか。
A. さかのぼりません。「その補正について手続補正書を提出した時」にしたものとみなされます(商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3第1項)。
Q. 新出願をしたうえで、念のため商標法第45条第1項の審判も請求できますか。
A. できません。商標法第45条第1項ただし書は、ただし、第十七条の二第一項において準用する意匠法第十七条の三第一項に規定する新たな商標登録出願をしたときは、この限りでない。と定めています。また、新出願があったとき、もとの出願は取り下げたものとみなされます(準用する意匠法第17条の3第2項)。
Q. 新たな商標登録出願を期間内にすれば、自動的に出願の時のみなしを受けられますか。
A. 自動的ではありません。適用を受けたい旨を記載した書面を、その出願と同時に特許庁長官に提出した場合に限り適用されます(準用する意匠法第17条の3第3項)。
Q. 要旨変更の補正を見のがして登録された商標登録は、そのこと自体を理由に無効にできますか。
A. 商標法第46条第1項の無効理由に「要旨変更の補正」そのものは挙げられていません。商標法第9条の4により出願の時がくり下がり、その結果として他の無効理由に該当するかが問題になります(表10)。
Q. 登録査定の後は、まったく補正ができませんか。
A. 原則としてできませんが、登録料の納付(商標法第40条第1項)または分割納付(商標法第41条の2第1項)と同時に、区分の数を減ずる補正をすることができます(商標法第68条の40第2項)。

試験での問われ方

短答式では、①補正ができる時期(「登録異議の申立てについての審理」を含むか、登録料納付と同時の補正)、②却下後の期間(審査段階の3月と、拒絶査定に対する審判段階の30日)、③新出願の出願の時と、もとの出願の取下げ擬制、④審判と新出願の関係(商標法第45条第1項ただし書)、⑤国際商標登録出願の特例、が条文知識として問われうる箇所です。論文式・口述では、補正の却下を受けた出願人の採りうる手段を、根拠条文とともに挙げられるかが基本になります(出題の頻度について断定するものではありません)。

令和8年度短答式【商標】6の枝3は、補正却下後に新出願をして登録された場合に「常に」先願違反の無効理由があるかを問う問題です。公式正解は3です。新出願の時が補正書提出時になることだけで結論を固定せず、第8条の先願の取扱いなども併せて判断します。出典:公式問題・商標6、公式解答。

令和8年度の出題範囲は「試験が実施される日に施行されている特許法等」です。短答式は2026年5月17日に実施されました。本記事の現行条文(2026年9月21日確認)とは基準日を区別します。出典:令和8年度受験案内・2頁。

レベル3のまとめ
  • 要旨変更の目安(商標審査基準):指定商品・指定役務の範囲の変更・拡大は要旨変更、減縮・誤記の訂正・明瞭化は要旨変更でない。商標そのものの変更・追加・削除は原則として要旨変更、付記的部分の削除は要旨変更でない。
  • 却下後の選択肢は、①商標法第45条第1項の審判(3月以内。審査は中止)、②補正後の商標についての新出願(3月以内。書面の同時提出が必要。もとの出願は取下げ擬制。①は請求不可)、③何もしない(補正前の内容で審査続行)。
  • 新出願の出願の時は「手続補正書を提出した時」。もとの出願の時ではありません。
  • 要旨変更の補正そのものは、拒絶理由・異議理由・無効理由ではありません。審査中は却下、登録後は商標法第9条の4による出願の時のくり下がりで処理されます。
  • 拒絶査定に対する審判の段階では、3月が30日に、審判請求が商標法第63条第1項の訴えに読み替えられます(商標法第55条の2第3項)。
  • 国際商標登録出願には、補正後の商標についての新出願の制度は適用されません(商標法第68条の18)。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次