MENU

小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第4条・第4条の2 登録を受けることができない考案・仮通常実施権 ― 「世の中に害があるもの」は登録しない、「登録前の使わせる約束」は仮通常実施権だけ

小学生でもわかる実用新案法:不登録事由(4条)

小学生でも分かる実用新案法 / A. 登録要件・考案(実体規定) #4

PR この記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

実用新案法第4条は、「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある考案」は登録を受けられない、という短い条文です。無審査登録の実用新案でも、この条文だけは登録前に特許庁がチェックします(基礎的要件)。第4条の2は、登録前の段階で他人に「使ってよい」と約束できる仮通常実施権のしくみです。特許法とちがい、実用新案法には「仮専用実施権」の規定がありません。

条文:実用新案法第4条、第4条の2関連:実用新案法第6条の2第2号、第37条第1項第2号、第10条、特許法第32条、第33条、第34条の3、第34条の5参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

その1:世の中に害があるものは、どんなにうまくできていても登録しない

実用新案は「物の形や構造のちょっとしたくふう」を守るしくみです。ふつうは、新しくて、考えつくのがかんたんすぎなければ登録されます。でも、たとえば「人をだますためのイカサマの道具」や「みんなの健康をこわすおそれのある道具」だったらどうでしょう。国が「これは守ってあげる」と登録するのは、おかしいですよね。

そこで実用新案法第4条は、「公の秩序(社会のきまり)」「善良の風俗(みんなの道徳)」「公衆の衛生(みんなの健康)」を害するおそれがある考案は、登録を受けられない、と決めています。むずかしい言葉ですが、「世の中に害があるもの」と覚えておけば十分です。

実用新案は「無審査」といって、中身をくわしく調べずに登録されます。でもこの第4条だけは、登録の前に特許庁が「一見してあきらかにダメ」かどうかをチェックします。門番が入口で見るイメージです。

第4条が挙げる3つの語 あてはまる考案の例(たとえ) 公の秩序(社会のきまり) 社会のきまりを乱す道具 善良の風俗(みんなの道徳) 人をだますイカサマの道具 公衆の衛生(みんなの健康) 健康をこわすおそれのある道具 × どれかを害するおそれがあれば、実用新案登録を受けることができない(第4条) 登録前:一見して明らかなら補正命令 (第6条の2第2号)直らなければ却下 登録後:無効理由として争える (第37条第1項第2号)

図は左右にスクロールできます。

凡例
第4条が挙げる3つの語(要件。縦に積む)
白い枠あてはまる考案の例(右の列に固定)
× 実用新案登録を受けることができない

【図1】実用新案法第4条の3つの語を縦に積み、あてはまる考案の例を右の列にそろえた。第4条は無審査登録の「入口チェック」(基礎的要件)でもあり、登録後に「無効」にする理由でもある(最下段の2つの枠)。※右の列の例は、この記事が読者向けに作ったたとえであり、審査基準に掲げられた例ではない。※新規性・進歩性は登録前には審査されない(無審査登録)。

その2:できあがる前に「使ってもいいよ」と約束する ― 仮通常実施権

お店で「来月できあがるケーキを、予約しておく」ことがありますね。実用新案でも、まだ登録される前に、「登録されたら、あなたにこのくふうを使わせてあげますよ」と他の人に約束できます。これが第4条の2の仮通常実施権(かりつうじょうじっしけん)です。「仮」は「登録される前の」、「通常実施権」は「使ってもいい権利」という意味です。

そして登録が終わると、この「仮」の約束は、自動的にふつうの「通常実施権」に変わります。予約券が、本物のケーキと引きかえになるようなものです。

出願 「使わせる」と約束 =仮通常実施権の許諾 設定の登録 仮通常実施権(予約券) 通常実施権(本物) 登録があると自動的に 「許諾されたものとみなす」

図は左右にスクロールできます。

凡例
●丸=時点(出願・許諾・設定の登録)
横線=時間の流れ
登録前の「仮」の権利
登録後の本来の権利

【図2】仮通常実施権は登録前の「予約券」。設定の登録があると、通常実施権が許諾されたものとみなされる(第4条の2第2項)。※約束できる範囲は「願書に最初に添付した明細書・実用新案登録請求の範囲・図面に記載した事項の範囲内」だけ(第4条の2第1項)。※時間軸は縮尺なし。

レベル1のまとめ

  • 「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生」を害するおそれがある考案は、登録を受けられない(第4条)。無審査の実用新案でも、これは登録前にチェックされる。
  • 登録される前でも、他の人に「使ってよい」と約束できる。これが仮通常実施権(第4条の2)。登録されると通常実施権に変わる。

※登録前のチェックは「一見してあきらか」な場合に限られること、仮通常実施権の約束の範囲や、出願を変更したときの扱いなど、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

第4条の原文と、特許法第32条との文言対比

実用新案法第4条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある考案については、第三条第一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない。
特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
部分 実用新案法第4条 特許法第32条 ちがい
対象 「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある考案」 「公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明」 「考案」か「発明」かだけ。3つの語は同じ
「にかかわらず」の相手 「第三条第一項の規定にかかわらず」 「第二十九条の規定にかかわらず」 実用新案法は第3条第1項を指定。特許法は第29条全体(第1項・第2項)を指定
効果 「実用新案登録を受けることができない」 「特許を受けることができない」 ―

〔表1〕実用新案法第4条と特許法第32条の文言対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。3つの語(公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生)は完全に同じ。

第4条の2の3つの項

実用新案法第4条の2第1項実用新案登録を受ける権利を有する者は、その実用新案登録を受ける権利に基づいて取得すべき実用新案権について、その実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
実用新案法第4条の2第2項前項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について実用新案権の設定の登録があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、その実用新案権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。
実用新案法第4条の2第3項特許法第三十三条第二項及び第三項、第三十四条の三第四項から第六項まで及び第八項から第十項まで並びに第三十四条の五の規定は、仮通常実施権に準用する。この場合において、同法第三十四条の三第八項中「実用新案法第四条の二第一項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について、第四十六条第一項」とあるのは「第一項又は前条第四項の規定による仮通常実施権に係る特許出願について、実用新案法第十条第一項」と、同条第九項中「第四十六条第二項」とあるのは「実用新案法第十条第二項」と読み替えるものとする。
項 内容(要旨) キーワード
第1項 実用新案登録を受ける権利を有する者は、取得すべき実用新案権について、当初明細書等に記載した事項の範囲内で、他人に仮通常実施権を許諾できる 誰が/何について/どの範囲で
第2項 その出願について設定の登録があったときは、仮通常実施権者に対し、設定行為で定めた範囲内で通常実施権が許諾されたものとみなす 登録→通常実施権へ自動転換
第3項 特許法の仮通常実施権に関する規定(第33条第2項・第3項、第34条の3第4項〜第6項・第8項〜第10項、第34条の5)を準用。変更出願に関する第8項・第9項は実用新案法第10条第1項・第2項に読み替え 特許法の準用と読み替え

〔表2〕実用新案法第4条の2の項ごとの整理。

仮通常実施権がある期間 通常実施権 実用新案登録出願 出願書類を提出 仮通常実施権の許諾 当初明細書等の範囲内(第1項) 出願の変更など 特許へ変更後も権利(第3項) 実用新案権の設定の登録 通常実施権とみなす(第2項)

図は左右にスクロールできます。

凡例
●ぬりつぶしの丸=必ず通る時点(出願・設定の登録)
○白丸=してもしなくてよい行為(許諾・出願の変更)
仮通常実施権がある期間
通常実施権になってからの期間

【図3】仮通常実施権のタイムライン(実用新案法第4条の2)。出願から登録までの間に許諾され、登録で通常実施権に変わる。「出願の変更など」は、準用する特許法第34条の3により、変更後の出願等についても仮通常実施権があるものとみなされる場面(第3項)。※時間軸は縮尺なし。

レベル2のまとめ

  • 第4条の文言は特許法第32条と同じ3つの語。ちがいは「考案/発明」と、「第3条第1項/第29条」の指定先。
  • 第4条の2第1項:当初明細書等に記載した事項の範囲内で仮通常実施権を許諾できる。第2項:設定の登録で通常実施権が許諾されたものとみなす。第3項:特許法の規定を準用(変更出願は実用新案法第10条に読み替え)。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 第4条は「基礎的要件」でもあり「無効理由」でもある

実用新案は無審査登録ですが、実用新案法第6条の2に定める基礎的要件だけは登録前に審査されます。第4条違反はその第2号です。さらに、登録後は第37条第1項第2号の無効理由にもなります。二重の位置づけを条文で確認します。

実用新案法第6条の2(柱書・第2号)特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
実用新案法第6条の2第2号その実用新案登録出願に係る考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
実用新案法第37条第1項第2号その実用新案登録が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条、第三条、第三条の二、第四条、第七条第一項から第三項まで若しくは第六項又は第十一条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされたとき(その実用新案登録が同項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
場面 根拠条文 第4条の位置づけ 比較:第3条(新規性・進歩性)・第3条の2
登録前(基礎的要件の審査) 実用新案法第6条の2第2号 基礎的要件。該当すれば補正命令 第6条の2各号に含まれない(登録前には審査されない)
実用新案技術評価 実用新案法第12条第1項 評価の対象に含まれない 第3条第1項第3号・同号に基づく第2項、第3条の2、第7条第1項〜第3項・第6項は評価の対象
登録後(無効審判) 実用新案法第37条第1項第2号 無効理由 第3条、第3条の2も同号の無効理由

〔表3〕第4条の二重の位置づけ。第3条・第3条の2との対比で「登録前に見るか」「技術評価で見るか」「無効理由か」を整理。

2. 審査基準 第X部第1章 2.2「公序良俗等違反」

特許・実用新案審査基準 第X部第1章「基礎的要件」の2.2は、判断対象を「請求項に係る考案」とし、請求項に係る考案が公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するものであることが「一見して明らかな場合」に第6条の2第2号に該当する、としています。判断のしかたは「第III部第5章 不特許事由」の2.に準じて判断される、と書かれています。つまり、判断の基準そのものは特許法第32条と同じで、無審査登録の実用新案では「一見して明らか」なものだけを登録前にはじく、という運用です。

flowchart TD
  A["実用新案登録出願"] --> B["基礎的要件の審査(実用新案法第6条の2)"]
  B --> C{"請求項に係る考案が公序良俗・公衆衛生を害することが一見して明らかでないか(審査基準 第X部第1章 2.2)"}
  C -->|はい・明らかでない| F["○ 設定の登録"]
  C -->|いいえ・一見して明らか| D["補正命令(第6条の2第2号)"]
  D -->|補正で解消した| F
  D -->|解消しない| E["× 出願の却下(第2条の3)"]
  F -.->|請求があったときだけ| G["登録後:第4条違反は無効理由(第37条第1項第2号)として争える"]
  style D fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F
  style G fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F
  style E fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F
  style F fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 設定の登録(主経路の終端)
× 出願の却下(例外処理の終端)
例外処理・登録後の場面
必ず行われる手続
請求があったときだけ行われる手続(任意)

【図4】第4条が働く2つの場面。登録前は「一見して明らか」な場合の補正命令、登録後は無効理由。分岐は「はい」を下(主経路)、「いいえ」を右(例外処理)に統一した。※指定期間内に必要な補正をしない場合の却下は第2条の3による。ほかの基礎的要件・方式上の不備がない場合の図。

指定期間内に必要な補正をしない場合、特許庁長官は第2条の3により手続を却下できます。公序良俗等の判断は請求項に係る考案について行い、単に有害な使い方ができるというだけでは足りません。参照先の特許審査基準は、遺伝子操作により得られたヒト自体を不特許事由の例とする一方、国内法で実施が禁止されているという理由だけで不特許と判断してはならないとしています。ヒトの例は特許側の判断例であり、実用新案の保護対象を広げるものではありません。 実用新案法第2条の3・第6条の2 審査基準第III部第5章2.

3. 第4条の沿革(逐条解説の説明)

特許庁の逐条解説(第22版)実用新案法第4条の解説は、旧法では「菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形状ヲ有スル者」も登録しないとしていたが、これは「きわめて容易に考案をすることができるもの」に該当し第3条第2項によって拒絶される、と説明しています。また、その他の点については特許法第32条の趣旨を参照されたい、としています。

4. 第4条の2と特許法第34条の3の対応、仮専用実施権がない点

特許法第34条の3第1項特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
観点 実用新案法(第4条の2) 特許法(第34条の2・第34条の3)
仮専用実施権 規定なし。第4条の2は仮通常実施権のみ 第34条の2に仮専用実施権の規定あり
仮通常実施権の許諾者 実用新案登録を受ける権利を有する者(第1項) 特許を受ける権利を有する者(第34条の3第1項)のほか、仮専用実施権者が許諾する仮通常実施権もある(許諾は第34条の2第4項。登録後のみなし許諾は第34条の3第3項)
許諾できる範囲 願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内
登録後の効果 設定の登録で通常実施権が許諾されたものとみなす(第2項) 特許権の設定の登録で通常実施権が許諾されたものとみなす(第34条の3第2項・要旨)
準用される特許法の規定 第33条第2項・第3項、第34条の3第4項〜第6項・第8項〜第10項、第34条の5(第3項) ―(本体)
準用されない項 第34条の3第3項・第7項・第11項は仮専用実施権に関係する。第12項は第33条第2項・第3項の準用で、実用新案法第4条の2第3項が直接同じ条項を準用している ―
出願の変更との関係 第34条の3第8項・第9項を「実用新案法第十条第一項」「実用新案法第十条第二項」に読み替えて準用(特許出願・意匠登録出願から実用新案登録出願への変更) 第34条の3第8項(実用新案登録出願→特許出願の変更、第46条第1項)、第9項(意匠登録出願→特許出願の変更、第46条第2項)

〔表4〕実用新案法第4条の2と特許法第34条の2・第34条の3の対比。実用新案法には仮専用実施権の規定がないため、仮専用実施権にかかわる項は準用から外れている。

実用新案法第4条の2は仮通常実施権を定め、仮専用実施権を設けていません。青本は、平成23年改正で仮通常実施権を創設し、当然対抗と、出願変更後の実施継続を確保するみなし許諾を導入したと説明しています。第34条の3第3項・第7項・第11項は仮専用実施権に関係するため実用新案には準用されません。第12項は仮専用実施権の規定ではなく、第33条第2項・第3項の準用規定です。実用新案法はこの2項を第4条の2第3項で直接準用しています。 青本第22版960〜961頁 実用新案法第4条の2 特許法第34条の2・第34条の3

5. 準用される特許法の規定(第4条の2第3項)

特許法第33条第2項特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。
特許法第33条第3項特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。
特許法第34条の5仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
準用される規定 内容 実用新案での読み方(本記事作成者の整理)
特許法第33条第2項 質権の目的とすることができない(原文) 仮通常実施権は質権の目的にできない
特許法第33条第3項 共有の持分譲渡には他の共有者の同意が必要(原文) 仮通常実施権が共有のときの持分譲渡には他の共有者の同意が必要
特許法第34条の3第4項〜第6項 第4項は事業とともにする移転・権利者の承諾を得た移転・一般承継に限定。第5項・第6項は優先権主張・分割後のみなし許諾(設定行為に別段の定めがあれば除外) 実用新案登録出願の分割等でも同様に扱う
特許法第34条の3第8項・第9項 出願の変更があった場合の変更後の出願についてのみなし許諾(要旨) 「第四十六条第一項」→「実用新案法第十条第一項」、「第四十六条第二項」→「実用新案法第十条第二項」に読み替え
特許法第34条の3第10項 設定登録、出願の放棄・取下げ・却下、拒絶査定・審決の確定による仮通常実施権の消滅(特許法の要旨) 実用新案では設定登録、出願の放棄・取下げ・却下により消滅する。設定登録時は第4条の2第2項により通常実施権の許諾をみなす
特許法第34条の5 許諾後に特許を受ける権利等を取得した者にも効力(原文) 許諾後に実用新案登録を受ける権利を取得した者にも効力がある(当然対抗)

〔表5〕実用新案法第4条の2第3項で準用される特許法の規定。第33条第2項・第3項、第34条の3各項・第34条の5の現行条文と照合した要約。

6. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向 気をつける点
短答式 「第4条違反は基礎的要件か」「第4条違反は無効理由か」「実用新案法に仮専用実施権はあるか」「仮通常実施権を許諾できる範囲」の正誤 第4条は第6条の2第2号かつ第37条第1項第2号。第3条・第3条の2は基礎的要件ではない。仮専用実施権は実用新案法にない
論文式 実用新案登録出願中のライセンス事例で、仮通常実施権の許諾と登録後の通常実施権への転換、出願の変更があった場合の扱いを論じる 第4条の2第2項の「みなす」効果と、第3項の読み替え(実用新案法第10条)を条文どおりに書く
口述 第4条と特許法第32条の文言の異同、無審査登録との関係を口頭で説明 「一見して明らかな場合」に限って登録前に見る、という審査基準の運用を説明できるように

〔表6〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

令和8年度短答式の問5(イ)は著しい記載不明確による補正命令と却下後の不服申立てを扱います。公序良俗違反や仮通常実施権を直接問う肢は同問にはありません。公式正答は4です。 令和8年度問題 公式解答

レベル3のまとめ

  • 第4条の3つの語は特許法第32条と同じ。「第3条第1項の規定にかかわらず」と「第29条の規定にかかわらず」がちがう。
  • 第4条違反は基礎的要件(第6条の2第2号)として登録前に「一見して明らか」な場合に補正命令の対象となり、登録後は無効理由(第37条第1項第2号)になる。実用新案技術評価の対象ではない。
  • 第4条の2は仮通常実施権のみ。実用新案法に仮専用実施権の規定はない。当初明細書等に記載した事項の範囲内で許諾でき、設定の登録で通常実施権が許諾されたものとみなす。
  • 第3項で特許法第33条第2項・第3項、第34条の3第4項〜第6項・第8項〜第10項、第34条の5を準用。変更出願の項は実用新案法第10条第1項・第2項に読み替え。

関連記事・参考条文


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次