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小学生でも分かる商標法|商標法第40条〜第43条 登録料 ― 「10年分まとめて」か「5年ずつ2回」か、払いわすれたらどうなるか

小学生でもわかる商標法 第23回「登録料」。まとめ払い・分割払いの決まり。

小学生でも分かる商標法 / B. 出願・審査・登録の手続 #23

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商標権をもらうとき、そして続けるときには、国にお金(登録料)をはらいます。特許や意匠は「毎年はらう」しくみですが、商標は「10年分をまとめてはらう」か「5年分ずつ2回に分けてはらう」かを選べます。この記事では、いくらを・いつまでに・どうやってはらうのか、期限を過ぎたらどうなるのかを順番に見ていきます。更新の申請そのもの(商標法第20条〜第23条)は既刊#22で扱いました。

条文:商標法第40条、第41条、第41条の2〜第41条の5、第42条、第43条関係省令:商標法施行規則第18条・第18条の2審査基準:商標審査基準〔改訂第17版〕に第40条〜第43条の項目はありません(目次で確認)参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

目じるしの権利は、お金をはらってはじめてもらえる

町のパン屋さん「ほしぞらパン」(架空のお店です)が、お店の名前を国に登録しようとしています。商標(しょうひょう)=お店や商品の「目じるし」です。国の審査(しんさ)に合格すると、「登録していいですよ」という知らせがとどきます。

でも、知らせがとどいただけでは、まだ権利はもらえません。決められた日までにお金(登録料(とうろくりょう))をはらうと、国が登録をして、そこではじめて権利が生まれます。権利は登録の日から10年つづきます。

はらい方は2つから選べる

スイミング教室の会費を思いうかべてください。「1年分まとめてはらう」こともできるし、「半年分ずつ2回に分けてはらう」こともできる教室があります。商標の登録料も、これに似ています。

「ほしぞらパン」の登録料 はらい方は2つ 登録の日 5年 10年 A まとめ   ばらい はじめに10年分をまとめてはらう あとは10年目の「続けます」の届けまで、はらうものはない B 2回   ばらい 1回目:前の5年分 はじめにはらう 2回目:後ろの5年分 5年たつ前にはらう 2回目のしめきり(のこり5年になる日まで) A:1回ですむ。合計は安い (法律に書かれた上限の額でくらべた場合) B:はじめの負担が軽い。5年でやめるなら 2回目をはらわなければよい

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の枠:A まとめばらい(10年分を1回で)
  • 橙の枠:B 2回ばらい(5年分ずつ)
  • 赤の印と文字:2回目のしめきり
  • 破線のたて線:時間の目もり(登録の日・5年・10年)

【図1】登録料の2つのはらい方(模式図)。「ほしぞらパン」は架空の店名です。条文を単純化して本記事作成者が図にしたものです。

A まとめばらい=10年分を1回でB 2回ばらい=5年分ずつ(前半・後半)特許や意匠は「毎年ばらい」。商標はちがう

どうして2回ばらいがあるの?

たとえば「ほしぞらパン」が、夏だけの新商品「なつぞらメロンパン」(架空)の名前も登録したとします。この商品は、3年でやめるかもしれません。10年分をまとめてはらうと、使わない年の分までお金をはらうことになります。2回ばらいなら、前の5年分だけはらっておき、やめるなら2回目をはらわなければよいのです。

そのかわり、2回ばらいの合計は、まとめばらいより高くなります(法律に書かれた上限の額でくらべた場合)。

はらいわすれたら、どうなる?

さいしょのお金(まとめばらいの10年分、または2回ばらいの1回目)をしめきりまでにはらわないと、登録してもらえません。少しだけ待ってもらえるしくみはありますが、それでもはらわなければ、せっかく合格した申しこみがなかったことにされてしまいます。

2回目のお金をしめきりまでにはらわなかったときは、そこから6か月のあいだなら、まだはらえます。ただし、同じ額の「おくれ料」(割増登録料(わりましとうろくりょう))もいっしょにはらうのが原則です。つまり2倍です。

その6か月のあいだにもはらわなかったら、権利は「のこり5年になる日」にさかのぼって消えていたことになります。10年つづくはずだった権利が、5年で終わるのです。

「わざとはらわなかった」のでなければ、あとから理由を書いた紙を出して、お金をはらい、権利を元にもどせることがあります。ただし、元にもどった権利は、消えていたあいだに他の人がしたことには力がおよびません。ここは、既刊#22で見た「続けます」の届けのルールとそっくりです。

レベル1のまとめ
  • 登録料をはらうと、国が登録をして、権利が生まれる。
  • 商標の登録料は「10年分まとめばらい」か「5年分ずつの2回ばらい」。特許や意匠のような「毎年ばらい」ではない。
  • 2回目をはらいわすれても、6か月はまだはらえる(お金は原則2倍)。それでもはらわないと、のこり5年になる日にさかのぼって権利が消える。
  • わざとでなければ、元にもどせることがある。

※ 「しめきり」「少しだけ待ってもらえるしくみ」「お金は2倍」「元にもどせる」は、正確にはそれぞれ条件や例外があります(→レベル3)。「続けます」の届け(更新登録の申請)のときの登録料にも、同じ2つのはらい方があります(→レベル2)。「おくれ料」は本記事作成者のたとえで、法律の言葉は「割増登録料」です。

LEVEL 2条文の骨格

8つの条の役割分担

商標法の第4章第3節「登録料」には、第40条から第43条まで、枝番号の条を入れて8つの条があります。まず全体の地図を見ます。

条見出し何を決めているか
商標法第40条登録料設定の登録のとき(第1項)と、更新登録の申請のとき(第2項)の登録料。国の特例(第3項〜第5項)。はらう方法(第6項)
商標法第41条登録料の納付期限一括納付の期限。延長、期間経過後の納付、責めに帰することができない理由の救済。更新のときは申請と同時
商標法第41条の2登録料の分割納付前期分割登録料・後期分割登録料。後期分の追納と、納付がないときの消滅
商標法第41条の3後期分割登録料等の追納による商標権の回復消滅したものとみなされた商標権を、追納で元にもどす
商標法第41条の4後期分割登録料等の追納により回復した商標権の効力の制限回復した商標権の効力がおよばない行為
商標法第41条の5利害関係人による登録料の納付利害関係人が代わりに納付できること、費用の償還
商標法第42条既納の登録料の返還返してもらえる登録料と、請求の期限
商標法第43条割増登録料期限におくれたときに上乗せしてはらう、登録料と同額のお金

〔表1〕商標法第40条〜第43条の役割一覧。見出しはe-Gov掲載の条見出し、右欄は本記事作成者による要約です。

第40条:いくらはらうのか ― 「区分の数」をかける

商標法第40条第1項・第2項(原文) 商標権の設定の登録を受ける者は、登録料として、一件ごとに、三万二千九百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分(指定商品又は指定役務が属する第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分をいう。以下同じ。)の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
2 商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、登録料として、一件ごとに、四万三千六百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
部品第1項(設定の登録)第2項(更新登録)
だれが商標権の設定の登録を受ける者商標権の存続期間の更新登録の申請をする者
単位一件ごとに
いくら「三万二千九百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数「四万三千六百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数
何年分か条文に「何年分」という言葉はありません。ただし、存続期間は設定の登録の日から10年(商標法第19条第1項)、更新も10年単位なので、結果として10年分を1回ではらう形になります。特許庁の案内ページも「商標:10年分を一時に納付(5年ごとの分割納付も可能)」と説明しています。

〔表2〕商標法第40条第1項・第2項の部品分解。

ポイント:条文に書かれているのは「上限の額」です。実際にはらう額は政令で決まります。特許法や意匠法の特許料・登録料は「各年について」定められていますが(特許法第107条第1項、意匠法第42条第1項)、商標法第40条には「各年について」という言葉がなく、かわりに「区分の数を乗じて」とあります。区分=商品やサービスをグループ分けした番号のことです。
2026年9月21日に確認した料金は、1区分あたり設定登録32,900円、更新43,600円です。分割納付は設定の前期・後期が各17,200円、更新の前期・後期が各22,800円です。法律の上限額と実際の納付額を区別します。2022年3月31日以前に前期分を納付した等の旧料金適用の場合、後期分にも経過措置があります。料金一覧・2022年料金改定案内。

第41条:いつまでにはらうのか

商標法第41条第1項・第2項・第5項(原文) 前条第一項の規定による登録料は、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、前項に規定する期間を延長することができる。
5 前条第二項の規定による登録料は、更新登録の申請と同時に納付しなければならない。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。第3項・第4項はレベル3で引用します。
項内容期間
第1項設定の登録のときの登録料の納付期限商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内
第2項請求による期間の延長30日以内を限り
第3項期間が経過した後の納付経済産業省令で定める期間内(商標法施行規則第18条第4項:期間の経過後2月)
第4項責めに帰することができない理由があるときの救済理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、第3項の期間の経過後6月以内
第5項更新登録のときの登録料更新登録の申請と同時

〔表3〕商標法第41条の項ごとの役割。数値は商標法第41条および商標法施行規則第18条第4項(e-Gov、2026年9月参照)による。

flowchart TB
  A["商標登録をすべき旨の査定又は審決
謄本の送達"] --> B{"はらい方を選ぶ"} B -- "一括納付" --> C["商標法第40条第1項の登録料
送達があった日から30日以内
(商標法第41条第1項)"] B -- "分割納付" --> D["前期分割登録料
送達があった日から30日以内
(商標法第41条の2第1項)"] C --> E["商標権の設定の登録
(商標法第18条第2項)"] D --> E E --> F["商標権の発生
(商標法第18条第1項)"] E --> G["商標掲載公報の発行
(商標法第18条第3項)"] D -.-> H["後期分割登録料
存続期間の満了前5年までに納付"] style E fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style F fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:商標権が生まれるところ(設定の登録・商標権の発生)
  • 点線の矢印:分割納付を選んだ場合に、後になって納付するもの

【図2】登録査定から設定の登録までの流れ。商標法第18条・第41条・第41条の2を本記事作成者がフロー化したもの。期間の延長・期間経過後の納付は省略しています(→図5)。

商標法第18条第2項は、第四十条第一項の規定による登録料又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。と定めています。つまり、分割納付を選んだ場合は、前期分割登録料をはらった時点で設定の登録がされます。設定の登録と商標掲載公報は既刊#21を参照してください。

第41条の2:分割納付 ― 「前期」と「後期」

商標法第41条の2第1項(原文) 商標権の設定の登録を受ける者は、第四十条第一項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。この場合においては、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に、一件ごとに、一万九千百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前五年までに、一件ごとに、一万九千百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。

1回目を「前期分割登録料」(商標法第41条の2第2項で定義)、2回目を「後期分割登録料」(同条第5項で定義)と呼びます。後期分割登録料の期限は、原文では商標権の存続期間の満了前五年までにです。「設定の登録の日から5年以内」という書き方ではない点に注意してください。

項内容
第1項設定の登録のときの分割納付。前期=査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内、後期=存続期間の満了前5年までに
第2項前期分割登録料の納付期間の延長(請求により、30日以内を限り)。「前期分割登録料」の定義
第3項前期分割登録料の期間経過後の納付(経済産業省令で定める期間内。商標法施行規則第18条第5項:期間の経過後2月)
第4項前期分割登録料について、責めに帰することができない理由があるときの救済(14日・在外者2月/6月)
第5項後期分割登録料の追納(期間の経過後6月以内)。「後期分割登録料」の定義
第6項追納期間内に後期分割登録料と割増登録料の納付がなかったとき:商標権は「存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす」
第7項更新登録のときの分割納付。前期=更新登録の申請と同時、後期=存続期間の満了前5年までに
第8項第7項の後期分に、第5項・第6項を準用(「第一項」を「第七項」と読み替え)
第9項国の特例(商標法第40条第3項〜第5項)を分割納付に準用

〔表4〕商標法第41条の2の項ごとの役割(e-Gov、2026年9月参照)。

分割納付のタイムチャート(設定の登録のとき) 査定の 謄本送達 設定の 登録 存続期間の満了前5年 経過後 6月 存続期間の 満了の日 前期分割登録料 送達の日から 30日以内 第41条の2第1項 後期分割登録料の納付 「満了前五年までに」 割増登録料なし 第41条の2第1項 追納できる期間 後期分+同額の 割増登録料(原則) 第5項・第43条第3項 回復の手続 故意でない場合に限り 省令の期間内に追納 第41条の3第1項 追納できる期間内に納付がなかったとき(第41条の2第6項) 商標権は「存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす」― 6月が過ぎた日に消えるのではない

図は左右にスクロールできます。

  • 橙の枠:前期分割登録料(1回目)
  • 青緑の枠:後期分割登録料(2回目)の納付
  • 赤の枠・赤のおび:追納できる期間と、納付がなかったときの効果
  • 藍の枠:消滅したあとの回復の手続
  • 赤のたて線と矢印:存続期間の満了前5年の日と、消滅がさかのぼる先

【図3】分割納付のタイムチャート(模式図。目盛りの間隔は実際の長さに比例していません)。商標法第41条の2・第41条の3・第43条第3項を本記事作成者が図にしたもの。時間軸に縮尺はありません。

比べる点一括納付分割納付
根拠(設定の登録)商標法第40条第1項商標法第41条の2第1項
根拠(更新登録)商標法第40条第2項商標法第41条の2第7項
条文上の上限額(設定)「三万二千九百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数前期・後期それぞれ「一万九千百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数
条文上の上限額(更新)「四万三千六百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数前期・後期それぞれ「二万五千四百円を超えない範囲内で政令で定める額」× 区分の数
納付の回数1回2回(前期・後期)
2回目の期限―商標権の存続期間の満了前5年までに
2回目をはらわないと―追納期間(経過後6月)内にも納付がなければ、満了前5年の日に遡って消滅したものとみなす(商標法第41条の2第6項・第8項)

〔表5〕一括納付と分割納付の比較。上限額は商標法第40条・第41条の2の原文(e-Gov、2026年9月参照)。実際の額は、設定登録の一括が1区分32,900円、分割は各回17,200円、更新の一括が43,600円、分割は各回22,800円です。

第41条の5・第42条・第43条をひとことで

条だれが何をどうなる
商標法第41条の5利害関係人登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く)を、納付すべき者の意に反しても納付できる納付すべき者が現に利益を受ける限度で、費用の償還を請求できる
商標法第42条納付した者①過誤納の登録料、②一定の場合の後期分の登録料の返還を請求①は納付した日から1年、②は取消決定又は審決が確定した日から6月を過ぎると請求できない
商標法第43条期限におくれた者登録料のほか「その登録料と同額の割増登録料」を納付責めに帰することができない理由があるときは、割増登録料は不要(各項ただし書)

〔表6〕商標法第41条の5・第42条・第43条の骨格(e-Gov、2026年9月参照)。

レベル2のまとめ
  • 登録料は「政令で定める額 × 区分の数」。条文にあるのは上限額で、設定の登録(商標法第40条第1項)と更新登録(同条第2項)で別に定められている。
  • 設定の登録のときの期限は、査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内(商標法第41条第1項)。更新登録のときは申請と同時(同条第5項)。
  • 分割納付は設定の登録のとき(商標法第41条の2第1項)も更新登録のとき(同条第7項)も選べる。後期分は「存続期間の満了前五年までに」。
  • 分割納付では、前期分割登録料の納付で設定の登録がされる(商標法第18条第2項)。
  • 後期分を追納期間内にもはらわないと、満了前5年の日に遡って消滅したものとみなされる(商標法第41条の2第6項)。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 設定の登録のときの登録料 ― 期限を過ぎたあとの3段階

商標法第41条第3項・第4項(原文) 3 登録料を納付すべき者は、第一項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料を納付することができる。
4 登録料を納付すべき者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により登録料を納付することができる期間内にその登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。

商標法第41条第3項の「経済産業省令で定める期間」は、商標法施行規則第18条第4項が同条第一項に規定する期間(同条第二項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)の経過後二月とする。と定めています(e-Gov、法令ID 335M50000400013、2026年9月参照)。前期分割登録料についても同じ構造です(商標法第41条の2第2項〜第4項、商標法施行規則第18条第5項)。

段階根拠期間理由の要否割増登録料
① 本来の期間商標法第41条第1項(前期分:第41条の2第1項)査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内―なし
② 延長商標法第41条第2項(前期分:第41条の2第2項)30日以内を限り請求が必要。条文上、理由の限定なしなし
③ 期間経過後の納付商標法第41条第3項(前期分:第41条の2第3項)、商標法施行規則第18条第4項・第5項①(②の延長があれば延長後)の期間の経過後2月条文上「納付することができないとき」とあるだけで、理由の限定なし商標法第43条第1項〜第3項に、この場面は挙げられていない
④ 責めに帰することができない理由商標法第41条第4項(前期分:第41条の2第4項)理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、③の期間の経過後6月以内責めに帰することができない理由が必要同上

〔表7〕設定の登録のときの登録料(一括・前期分)の納付期間の4段階。数値は商標法第41条・第41条の2および商標法施行規則第18条第4項・第5項(e-Gov、2026年9月参照)。

ポイント(特許法・意匠法との違い):特許法第108条・意匠法第43条にも、請求による30日以内の延長(特許法第108条第3項、意匠法第43条第3項)と、責めに帰することができない理由の救済(特許法第108条第4項、意匠法第43条第4項)があります。しかし、商標法第41条第3項のような「期間経過後、省令で定める期間内なら納付できる」という項は、e-Gov掲載の特許法第108条・意匠法第43条には見当たりません。青本1696〜1697頁・1700頁は、商標のこれらの救済が平成27年改正によるものと説明しています。
改正の経緯(逐条解説〔第22版〕):特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』(令和4年10月。以下「逐条解説〔第22版〕」)は、商標法第41条第3項について、平成27年の一部改正により新設された規定であり、同書が挙げる商標法第9条第3項の規定と同趣旨により、第1項の規定による商標権の設定登録のための登録料の納付手続について救済措置を規定したものである、と説明しています(条番号は同書の記載。)。第41条の2第3項についても、同じく平成27年の一部改正により新設され、前期分割登録料の納付手続について同趣旨の救済措置を規定したものである、としています。
なお同書は、第41条第4項(平成27年の一部改正で新設。それ以前の第4項は平成26年の一部改正で設けられ、平成27年改正に伴い削除)についても、第1項に規定する期間の救済規定の整備として説明しています。また、後期分割登録料の追納に関する第41条の3については、STLT(商標法に関するシンガポール条約)第14条⑵の規定を実施するために救済措置を新たに規定したものである、と明記しています。
逐条解説〔第22版〕1696頁〜1697頁、1700頁、1703頁。

はらわなかったらどうなるか(設定の登録のとき)

商標法第18条第2項は、登録料の「納付があつたときは、商標権の設定の登録をする」と定めています。裏返せば、納付がなければ設定の登録はされず、商標権は発生しません(商標法第18条第1項)。これは条文上の帰結です。

さらに、商標法第77条第2項は特許法第18条を準用しています。特許法第18条第1項は、特許権の設定の登録を受ける者が第百八条第一項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。という内容を含みます(原文の後半部分を抜粋)。特許庁の案内ページ「設定登録の手続(設定登録料の支払い)」(2023年4月28日更新)は、「設定登録料納付書により設定登録料の納付がない場合は、法令に基づき出願却下処分になります」と説明しています。

関連する読替え(逐条解説〔第22版〕):逐条解説〔第22版〕は、商標法第77条第2項について、平成8年の一部改正で存続期間の更新の手続を「出願」から「申請」に改めたことおよび登録料の分割納付制度を導入したことに伴い、更新登録の申請と同時に納付すべき登録料・割増登録料を納付しないときを特許庁長官による補正命令の対象として追加するために、準用する特許法第17条第3項第2号を読み替えた、と説明しています(同書が掲げる第77条第2項の条文では、この読替えにより、商標法第40条第2項の登録料または第41条の2第7項により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料〔第43条第1項・第2項の割増登録料を含む〕を納付しないときが、補正命令の対象を定める号に追加される形になっています。現在の第77条第2項にも、この登録料未納を補正命令の対象とする読替えがあります)。
逐条解説〔第22版〕1882頁〜1884頁。
設定登録料を納付しない場合について、特許庁の登録実務Q&Aは、納付期間と第41条第3項の2月を過ぎると出願却下の対象になると説明しています。更新料不納に対する補正命令と、設定登録料不納の処理を同じものとして扱いません。商標法第77条第2項に明記されない「第108条→第41条」の逐語的な読替えを、引用条文として創作することもできません。特許庁「登録の実務Q&A」。
flowchart TB
  S["設定の登録のときの登録料
(一括納付 または 前期分割登録料)"] --> Q1{"送達の日から30日以内
(延長があれば延長後の期間内)
に納付したか"} Q1 -- "はい" --> OK1["商標権の設定の登録
割増登録料なし"] Q1 -- "いいえ" --> Q2{"その期間の経過後2月以内に
納付したか
(商標法施行規則第18条第4項・第5項)"} Q2 -- "はい" --> OK1 Q2 -- "いいえ" --> Q3{"責めに帰することが
できない理由があるか"} Q3 -- "ある" --> Q4{"理由がなくなった日から14日
(在外者は2月)以内で
2月の期間の経過後6月以内に
納付したか"} Q4 -- "はい" --> OK1 Q4 -- "いいえ" --> NG1["設定の登録はされない
手続の却下の対象
(商標法第77条第2項で準用する特許法第18条第1項)"] Q3 -- "ない" --> NG1 style OK1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style NG1 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:設定の登録がされる結論
  • 赤の箱:設定の登録がされない結論

【図4】設定の登録のときの登録料を期限までにはらわなかった場合の分岐図。商標法第41条・第41条の2第2項〜第4項・第77条第2項、商標法施行規則第18条を本記事作成者がフロー化したもの。

区分を減らして納付する

登録料は区分の数に比例するので、区分を減らせば登録料も減ります。商標法第68条の40第2項は、商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第四十条第一項又は第四十一条の二第一項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。と定めています。特許庁「登録の実務Q&A」(2026年8月25日更新)も、登録すべき旨の査定の後の区分の減縮をする補正は「納付と同時でなければできません」と案内しています。補正の詳細は関連記事(補正 #16)を参照してください。

2. 後期分割登録料 ― 追納・消滅・回復・効力の制限

商標法第41条の2第5項・第6項(原文) 5 第一項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料(以下「後期分割登録料」という。)を納付すべき者は、後期分割登録料を納付すべき期間内に後期分割登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内に後期分割登録料を追納することができる。
6 前項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内に後期分割登録料及び第四十三条第三項の規定により納付すべき割増登録料の納付がなかつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
ポイント:後期分割登録料には、設定の登録のときのような「請求による30日以内の延長」や「経過後2月」の項はありません。かわりに「経過後6月以内の追納」(商標法第41条の2第5項)と割増登録料(商標法第43条第3項)の組合せになっています。これは、特許法第112条・意匠法第44条の追納、商標法第20条第3項の更新登録の申請と同じ型です。
商標法第41条の3第1項・第2項(原文) 前条第六項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、後期分割登録料及び第四十三条第三項の割増登録料を追納することができる。ただし、故意に、前条第五項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内にその後期分割登録料及び割増登録料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
2 前項の規定による後期分割登録料及び第四十三条第三項の割増登録料の追納があつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日の前日の経過の時に遡つて存続していたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。

「経済産業省令で定める期間」は、商標法施行規則第18条の2第1項が定めています。要旨は、後期分割登録料と割増登録料を納付することができるようになった日から2月、ただしその末日が追納できる期間(経過後6月)の経過後6月を超えるときは、その期間の経過後6月、です(e-Gov、法令ID 335M50000400013、2026年9月参照。要旨は本記事作成者の要約)。この期間内に、様式第8の2により作成した回復理由書を提出します(同条第2項)。更新登録の申請の回復(商標法第21条、商標法施行規則第10条第3項・第4項。既刊#22)と同じ構造です。

比べる点後期分割登録料の不納更新登録の申請をしなかった場合(既刊#22)
本来の期限存続期間の満了前5年までに(商標法第41条の2第1項・第7項)存続期間の満了前6月から満了の日まで(商標法第20条第2項)
経過後6月の手続追納(商標法第41条の2第5項・第8項)+割増登録料(商標法第43条第3項)更新登録の申請(商標法第20条第3項)+割増登録料(商標法第43条第1項・第2項)
それもしないと「存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす」(商標法第41条の2第6項)存続期間の満了の時に遡って消滅したものとみなす(商標法第20条第4項)
回復商標法第41条の3第1項。故意の場合を除く。省令の期間=商標法施行規則第18条の2第1項商標法第21条第1項。故意の場合を除く。省令の期間=商標法施行規則第10条第3項
回復の効果「存続期間の満了前五年の日の前日の経過の時に遡つて存続していたものとみなす」(商標法第41条の3第2項)商標法第21条第2項(既刊#22参照)
回復した商標権の効力の制限商標法第41条の4商標法第22条

〔表8〕後期分割登録料の不納と、更新登録の申請をしなかった場合の対比(e-Gov、2026年9月参照)。

条文の言葉に注意:消滅は「満了前五年の日に遡つて」(商標法第41条の2第6項)、回復は「満了前五年の日の前日の経過の時に遡つて」(商標法第41条の3第2項)と、原文の表現が異なります。本記事では原文をそのまま示すにとどめます。

回復した商標権の効力の制限(商標法第41条の4)

商標法第41条の4第1項(原文) 前条第二項の規定により回復した商標権の効力は、第四十一条の二第五項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後前条第二項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の使用
二 第三十七条各号に掲げる行為
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
回復した商標権の効力がおよばない期間(商標法第41条の4第1項) 存続期間の満了前5年 (後期分の期限) 追納できる期間 (経過後6月)の末日 存続していたものと みなされた旨の登録 追納できる期間 制限の対象期間に入らない 効力がおよばない期間 第1号の使用・第2号の行為が対象

図は左右にスクロールできます。

  • 青緑の枠:追納できる期間(効力の制限の対象期間に入らない)
  • 赤の枠:回復した商標権の効力がおよばない期間
  • 赤のたて線:存続期間の満了前5年の日(後期分の期限)

【図5】回復した商標権の効力がおよばない期間(模式図。間隔は実際の長さに比例していません)。商標法第41条の4第1項を本記事作成者が図にしたもの。第1号は「当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の使用」、第2号は「第三十七条各号に掲げる行為」で、商標法第22条(更新登録の申請の回復)と同じ2つの号の組合せです(既刊#22)。

制限の対象期間の始まりが「追納することができる期間の経過後」である点は、条文の文言どおりです。追納できる6月の間の第三者の行為は、商標法第41条の4第1項の対象期間に入りません。その間の行為の法的な評価には、本記事では踏み込みません(既刊#21・#22と同じ扱い)。更新登録のときの分割納付(商標法第41条の2第7項)の後期分についても、商標法第41条の3第3項・第41条の4第2項で同じ扱いになります。

flowchart TB
  S["後期分割登録料
(設定:商標法第41条の2第1項
更新:同条第7項)"] --> Q1{"存続期間の満了前5年までに
納付したか"} Q1 -- "はい" --> OK1["商標権は満了の日まで存続
割増登録料なし"] Q1 -- "いいえ" --> Q2{"その期間の経過後6月以内に
後期分と割増登録料を
追納したか"} Q2 -- "はい" --> OK2["商標権は存続
割増登録料は登録料と同額
(不責事由があれば不要:
商標法第43条第3項ただし書)"] Q2 -- "いいえ" --> X["満了前5年の日に遡って
消滅したものとみなす
(商標法第41条の2第6項・第8項)"] X --> Q3{"故意に納付しなかったと
認められるか"} Q3 -- "認められる" --> NG["回復できない
(商標法第41条の3第1項ただし書)"] Q3 -- "認められない" --> Q4{"省令の期間内に
回復理由書を提出し
後期分と割増登録料を追納したか
(商標法施行規則第18条の2)"} Q4 -- "はい" --> OK3["存続していたものとみなす
(商標法第41条の3第2項)
ただし効力の制限あり
(商標法第41条の4)"] Q4 -- "いいえ" --> NG2["消滅のまま"] style OK1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style OK2 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style OK3 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style X fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style NG fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style NG2 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

  • 緑の箱:商標権が存続する(回復する場合を含む)結論
  • 赤の箱:商標権が消滅する、または消滅したままになる結論

【図6】後期分割登録料をはらいわすれた場合の分岐図。商標法第41条の2〜第41条の4・第43条第3項、商標法施行規則第18条の2を本記事作成者がフロー化したもの。

改正の経緯(逐条解説〔第22版〕・令和3年改正解説書):逐条解説〔第22版〕は、商標法第41条の3について、平成27年の一部改正により新設され、令和3年に一部改正された規定であると説明しています。要旨は次のとおりです。
後期分割登録料の追納手続に類似する特許法第112条第1項に基づく特許料の追納手続については、PLT(特許法条約)第12条⑴の救済規定に倣い、平成23年の一部改正により「正当な理由」がある場合の救済措置の整備を行い、令和3年の一部改正により救済を認める要件を「正当な理由」から「故意でない」に転換し、併せて回復手数料を求める規定を設けた。後期分割登録料の追納手続についても、当該規定に倣って救済措置を改正した。STLT第14条⑵に規定する救済措置はPLT第12条⑴と同様のものであるため、期間を徒過したことについて故意でない場合の救済措置として本条を改正することにより、STLT第14条⑵の規定を実施できる。令和3年の一部改正では、第76条の別表に救済の申請に必要な手数料を規定した。なお同書は、第3項により第1項・第2項を準用することで、更新について存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料の追納手続(第41条の2第7項)にも同様の救済措置を講じた、としています。
特許庁「令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書」第1章は、回復手数料について、制度の濫用を防ぎ手続期間の遵守を引き続き促進するために徴収するものであり、金額の水準は消滅した権利を出願して再取得すると擬制した場合に特許庁に納付すべき金額(出願から権利化までに要する平均的な手数料額)に相当するものとし、上限額のみを法律に規定して具体的金額は政令で定めることとした、と説明しています。あわせて、災害や感染症等によって手続期間の徒過が出願人等の責めに帰することができない場合に回復手数料を免除する規定を設けたとしています。
逐条解説〔第22版〕1703頁/令和3年改正解説書 第1章 13頁(PDF p.5)。現行の回復手数料は86,400円です(免除の条件は本文参照)。
後期分割登録料の回復要件も、2023年4月1日以降に追納期間を徒過した手続から「故意によるものでないこと」に変わりました。同年3月31日以前に徒過した手続は「正当な理由」の旧基準です。回復手数料、回復理由書と、手続をできるようになった日から2月・追納期間経過後6月という期限も要します。特許庁の救済案内・回復申請の案内。

3. 割増登録料(商標法第43条)― 3つの場面

項場面だれが何に上乗せするかただし書(不要になる場合)
第1項商標法第20条第3項(経過後6月の更新登録の申請)又は第21条第1項(回復)により更新登録の申請をする場合更新登録の申請をする者商標法第40条第2項の登録料(一括)責めに帰することができない理由により、商標法第20条第2項に規定する期間内にその登録料を納付することができないとき
第2項上と同じ場面で、更新登録の登録料を分割納付する場合(商標法第41条の2第7項)前項に規定する者更新登録の申請と同時に納付すべき登録料(前期分)同上
第3項後期分割登録料の追納(商標法第41条の2第5項。同条第8項で準用する場合を含む)商標権者存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料(後期分)責めに帰することができない理由により、後期分割登録料を納付すべき期間内にその登録料を納付することができないとき
第4項割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより特許印紙で。ただし、経済産業省令で定める場合には現金で納めることができる。

〔表9〕商標法第43条の項ごとの整理(e-Gov、2026年9月参照)。額はいずれも「その登録料と同額」。

ポイント:割増登録料が問題になるのは、①更新登録の申請がおくれた場合(一括・分割)と、②後期分割登録料がおくれた場合です。設定の登録のときの登録料(一括・前期分)を商標法第41条第3項・第41条の2第3項により期間経過後に納付する場面は、商標法第43条第1項〜第3項に挙げられていません(条文上の帰結)。
Q. 商標法第41条の3で回復するときも、割増登録料は必要ですか。
A. 商標法第41条の3第1項は「後期分割登録料及び第四十三条第三項の割増登録料を追納することができる」と定めており、条文上、追納の対象に割増登録料が含まれています。第43条第3項ただし書の割増登録料免除と、回復手数料免除は別に判断されます。特許庁の回復手続案内FAQ2も、両方が免除される場合と回復手数料だけが免除される場合を分けています。免除を求めるときは、その対象となる期間について責めに帰することができない理由を説明し、所定の申出書と証明書類を提出します。

4. 国の商標権・国との共有(商標法第40条第3項〜第5項)

項内容(原文の要旨)
第3項前二項の規定は、国に属する商標権には、適用しない。
第4項国と国以外の者との共有で持分の定めがあるときは、登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付する
第5項第4項で算定した金額に10円未満の端数があるときは切り捨てる
準用分割納付の場合にも準用(商標法第41条の2第9項)。納付の際は、登録料納付書に持分の割合を記載し、持分を証明する書面を提出(商標法施行規則第18条第2項)

〔表10〕国に関する特例(e-Gov、2026年9月参照)。第3項の対象は「国」であり、条文に地方公共団体は挙げられていません。

ポイント:特許法第109条・第109条の2、実用新案法第32条の2には「減免又は猶予」の条がありますが、商標法第4章第3節(第40条〜第43条)には、減免・猶予の条はありません(e-Govの節単位の取得結果で確認)。

5. 利害関係人による納付(商標法第41条の5)

商標法第41条の5第1項は、利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。と定めています。括弧書により、更新登録の申請と同時に納付すべき登録料(商標法第40条第2項の登録料、商標法第41条の2第7項の前期分)は対象外です。存続期間は「商標権者の更新登録の申請により」更新するものであり(商標法第19条第2項)、登録料はその申請と同時に納付するものだからです(商標法第41条第5項。条文の組合せからの帰結)。

特許法第110条第1項は利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。と、主体を広げた書き方になっています。商標法第41条の5と意匠法第43条の2は「利害関係人は」のままです(いずれもe-Gov、2026年9月参照)。

立法趣旨(逐条解説〔第22版〕):条文に列挙はありませんが、逐条解説〔第22版〕は、本条が利害関係人(専用使用権者、通常使用権者、質権者等)による登録料の納付について規定したものであり、平成8年の一部改正前の第43条で準用していた特許法第110条と同趣旨の規定である、と説明しています(同書の掲げる例示は上記のとおりで、限定列挙かどうかまでは述べられていません)。
また同書は、更新登録の申請と同時に納付すべき登録料(一括納付または分割納付の前半分の更新登録料)が対象から除かれている理由を、平成8年の一部改正において更新登録の手続が商標権者の意図のみをもって行われ、登録料の納付を同時に行わなければならない申請とされたことから、利害関係人による納付を考慮する余地はないためである、と説明しています。これに対し、それ以外の登録料については、納付が可能となる時から納付期限に至るまでに一定の期間が設けられていること等により、利害関係人の納付を認める実益がある、とされています。
なお、同書は本条が平成27年の一部改正に伴い従来の第41条の3から条文移動したものである旨も付記しています。
逐条解説〔第22版〕1705頁。

6. 既納の登録料の返還(商標法第42条)

商標法第42条第1項(原文) 既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
一 過誤納の登録料
二 第四十一条の二第一項又は第七項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料(商標権の存続期間の満了前五年までに第四十三条の三第二項の取消決定又は商標登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合に限る。)
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000127)、2026年9月参照。
号返還の対象請求できなくなる時(第2項)
第1号過誤納の登録料納付した日から1年を経過した後
第2号後期分の登録料。ただし、存続期間の満了前5年までに、登録異議の申立ての取消決定(商標法第43条の3第2項)又は無効審決が確定した場合に限る取消決定又は審決が確定した日から6月を経過した後
第3項責めに帰することができない理由により第2項の期間内に請求できないとき:理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、その期間の経過後6月以内

〔表11〕商標法第42条の整理(e-Gov、2026年9月参照)。

ポイント:第1項は「次に掲げるものに限り」返還すると定めています。第2号が対象にしているのは、分割納付の後期分(先にはらっていた場合)だけです。一括納付した登録料のうち後半の期間に当たる部分を返還する、という号はありません(条文上の帰結)。特許法第111条第1項第2号が、取消決定又は無効審決が「確定した年の翌年以後の各年分の特許料」を返還の対象としているのと対照的で、「各年分」という単位のない商標法ならではの形です。

7. 拒絶・登録異議・無効との関係

制度登録料の不納は理由になるかかわりに何が起こるか
拒絶理由(商標法第15条)非該当登録料の納付は査定・審決の後の手続。不納なら設定の登録がされない(商標法第18条第2項)、手続の却下の対象(商標法第77条第2項で準用する特許法第18条第1項)
登録異議の申立ての理由(商標法第43条の2)非該当―
無効理由(商標法第46条第1項)・除斥期間(商標法第47条)非該当後期分の不納は、無効審判によらず、法律上当然に消滅したものとみなされる(商標法第41条の2第6項)
更新登録のときの登録料の不納―商標法第77条第2項は、特許法第17条第3項に「手続について商標法第四十条第二項の規定による登録料又は同法第四十一条の二第七項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料(商標法第四十三条第一項又は第二項の規定により納付すべき割増登録料を含む。)を納付しないとき。」という号(二の二)を加える読替えをしている。つまり、補正を命じる対象になる

〔表12〕登録料の不納と、拒絶・登録異議・無効の関係。商標法第15条・第43条の2・第46条第1項・第47条の列挙に、商標法第40条〜第43条は含まれていません(e-Gov、2026年9月参照)。

8. 特許法・実用新案法・意匠法との比較 ― 「年金」と「10年分」

特許料や、実用新案・意匠の登録料は、実務上「年金」と呼ばれることがあります(実務上の呼称で、条文の言葉ではありません)。各年分を積み上げていく構造だからです。商標はここが根本的に違います。

納付の単位のちがい(設定の登録から10年目までを描いた模式図) 12345 678910 年目 特許法 第107条・第108条 第1年〜第3年分 一時に納付 第4年以後の各年分は「前年以前に」納付(存続期間の満了まで続く) 意匠法 第42条・第43条 第1年分は査定の謄本送達から30日以内、第2年以後の各年分は「前年以前に」納付 商標法(一括) 第40条・第41条 1回の納付で、存続期間(10年)の満了まで 商標法(分割) 第41条の2 前期分割登録料 後期分割登録料 後期分の期限=存続期間の満了前5年

図は左右にスクロールできます。

  • 藍の枠:特許法の納付の単位(各年分)
  • 橙の枠:意匠法の納付の単位(各年分)
  • 青緑の枠:商標法の納付の単位(10年分の一括/前期・後期)
  • 赤のたて線:後期分の期限(存続期間の満了前5年)

【図7】納付の単位の比較(模式図)。特許法第107条・第108条、意匠法第42条・第43条、商標法第40条〜第41条の2を本記事作成者が図にしたもの。特許・意匠は10年目より後も各年分の納付が続きます。存続期間そのものの違いは各法の記事を参照してください。

比べる点特許法実用新案法意匠法商標法
条の範囲特許法第107条〜第112条の3実用新案法第31条〜第36条意匠法第42条〜第45条商標法第40条〜第43条
額の決め方(条文)「各年について」一件ごとの額+一請求項ごとの額(特許法第107条第1項)「各年について」一件ごとの額+一請求項ごとの額(実用新案法第31条第1項)「各年について」一件ごとの額(意匠法第42条第1項)一件ごとに、政令で定める額 × 区分の数(商標法第40条第1項・第2項)
最初の納付第1年〜第3年分を、査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内に一時に(特許法第108条第1項)第1年〜第3年分を、実用新案登録出願と同時に一時に(実用新案法第32条第1項。例外あり)第1年分を、査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内に(意匠法第43条第1項)一括又は前期分を、査定・審決の謄本の送達があった日から30日以内に(商標法第41条第1項、第41条の2第1項)
その後の納付第4年以後の各年分を前年以前に(特許法第108条第2項。ただし書あり)第4年以後の各年分を前年以前に(実用新案法第32条第2項)第2年以後の各年分を前年以前に(意匠法第43条第2項)一括:なし。分割:後期分を存続期間の満了前5年までに。10年ごとに更新登録の申請と同時に納付(商標法第41条第5項)
追納と割増経過後6月以内、同額の割増特許料(特許法第112条第1項・第2項)経過後6月以内(実用新案法第33条第1項)経過後6月以内、同額の割増登録料(意匠法第44条第1項・第2項)後期分:経過後6月以内(商標法第41条の2第5項)、同額の割増登録料(商標法第43条第3項)
追納もしないと本来の納付期間の経過の時に遡って消滅したものとみなす(特許法第112条第4項。第5項・第6項に別の場面あり)実用新案法第32条第2項に規定する期間の経過の時に遡って消滅したものとみなす(実用新案法第33条第4項)意匠法第43条第2項に規定する期間の経過の時に遡って消滅したものとみなす(意匠法第44条第4項)存続期間の満了前5年の日に遡って消滅したものとみなす(商標法第41条の2第6項)
回復・効力の制限特許法第112条の2・第112条の3実用新案法第33条の2・第33条の3意匠法第44条の2・第44条の3商標法第41条の3・第41条の4(更新は商標法第21条・第22条)
減免・猶予の条あり(特許法第109条・第109条の2)あり(実用新案法第32条の2)節内に条見出しとしてはなし節内になし
納付すべき者以外の者の納付「利害関係人その他の…者以外の者」(特許法第110条)「利害関係人その他の…者以外の者」(実用新案法第36条で特許法第110条を準用)「利害関係人」(意匠法第43条の2)「利害関係人」。更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く(商標法第41条の5)

〔表13〕四法の料金規定の比較。いずれもe-Gov法令検索(特許法 334AC0000000121、実用新案法 334AC0000000123、意匠法 334AC0000000125、商標法 334AC0000000127)、2026年9月参照。特許・実用新案・意匠の回復期間は、納付できるようになった日から2月以内、かつ追納期間の経過後1年以内です(特許法施行規則第69条の2第1項、実用新案法第33条の2第1項、意匠法第44条の2第1項)。商標の後期分の回復は、納付できるようになった日から2月、かつ追納期間の経過後6月が上限です(商標法施行規則第18条の2第1項)。

9. 第40条〜第43条が適用されない・別建ての場面

場面扱い根拠
国際商標登録出願・国際登録に基づく商標権商標法第40条〜第43条は適用しない。かわりに「個別手数料」を国際事務局に納付する商標法第68条の30第1項〜第3項
防護標章登録に基づく権利登録料・納付期限・利害関係人による納付・返還が別に定められている商標法第65条の7〜第65条の10(防護標章の記事 #13 を参照)
納付の方法経済産業省令で定めるところにより特許印紙で。経済産業省令で定める場合は現金で納めることができる。登録料納付書は様式第17(設定)・様式第18(後期分)商標法第40条第6項、第43条第4項、商標法施行規則第18条第1項・第3項

〔表14〕適用除外と関連規定(e-Gov、2026年9月参照)。

10. 改正の経緯

本記事の条文は2026年9月時点のe-Gov掲載条文(現行)に基づいています。以下は、立法担当者による解説の要旨です。

①分割納付制度(商標法第41条の2)― 逐条解説〔第22版〕:同書は、本条が平成8年の一部改正により新設されたものであり、設定登録料および更新登録料をそれぞれ2回に分割して納付することができる旨を規定したものである、と説明しています。趣旨の要旨は次のとおりです。
改正前は商標登録の際の登録料が全て10年分一括払となっていたため、期間途中で商標の使用意思が失われても進んでこれを放棄する誘因が働きにくい状況にあった。登録料を前半と後半に分けて支払うことができる分割納付制度を一括払のほかの選択肢として導入すれば、短ライフサイクル商品に使用する商標や、一つの商品のために考えられた多数出願・登録された商標の案のうち結果的に採択されなかった商標等、使用見込みのない商標について、後半分の登録料納付を契機として商標権維持の要否をチェックする誘因を商標権者に与えることができ、商標権者にとっても従来より低廉な料金で登録ができることになる。そこで、登録時には前半5年分の料金を納付し、5年満了時点までに後半分の継続の必要性を判断したうえで料金納付ができる分割納付制度を導入した。
同書はあわせて、前半・後半の2回分の合計額が一括納付に比べて割高となっているのは、5年間の金利や2回に分けて登録料が納付されることによる登録原簿を管理する事務コスト等の事情を勘案したものであること、分割納付制度は料金の納付方法を多様化しただけのものであって、これを利用した場合でも制度上は商標権の存続期間自体は10年であることに変わりがなく、権利期間自体が短縮されるものではないことを述べています。後半分について納付の始期を定めなかった理由は、納付の時期を早い段階から弾力的に認めることで商標権者の便宜に供するためであるとされています。なお、平成20年の一部改正において、分割納付制度の利用促進の観点から分割納付額の重点的な引下げが行われた旨も記されています。
逐条解説〔第22版〕1699頁〜1701頁。
①の補足 ― 逐条解説〔第22版〕の〔参考〕欄:同書は、第41条の2の〔参考〕として次の3点を挙げています。(ⅰ)前半分と後半分の登録料を同額とした理由。前半分を安くするのも一方策ではあるが、前半分と後半分が異なっていると10年ごとに更新された場合に高い料金と安い料金が交互に適用されることになり料金体系が不自然になるため、10年の存続期間を料金の支払期間としては5年ずつに区切り、登録料も同額として分かりやすく利用しやすい制度にした。(ⅱ)後半分の登録料の納付に、正当な理由(あるいは本人の責めによらない理由)に基づく6月の猶予期間を設けていない理由。分割納付制度を利用する者はとりあえず5年間登録が維持されれば十分との見通しを持っていると考えられ、後半分の納付は前半5年間のいつでもでき、さらに5年の期間満了時までに納付されなかった者にも6月の追納期間が設けられているため、選択を変更する期間としては十分であるから。(ⅲ)防護標章登録に基づく権利の登録料に分割納付制度を採用しない理由。防護標章は著名商標をフリーライドから保護しようとするものであり、その権利の性格上、10年の存続期間の途中で権利の維持を見直す必要性はないと考えられるから。
なお、この(ⅱ)は平成8年の一部改正で分割納付制度を導入した当時の考え方を述べたものと読めます。現行法には、平成27年の一部改正で新設された商標法第41条の3(後期分割登録料等の追納による商標権の回復)があり、同条により後期分割登録料等の追納期間の経過後も一定の要件の下で追納が認められます。青本1701頁の導入時の説明と1702〜1703頁の後の救済制度の説明を、時点を分けて読んでいます。
逐条解説〔第22版〕1701頁〜1702頁。
②商標法第41条第3項・第41条の2第3項:本記事のレベル3「第41条:いつまでにはらうのか」の解説欄のとおり、逐条解説〔第22版〕は平成27年の一部改正により新設されたものと説明しています(1696頁〜1697頁、1700頁)。
③登録料の上限額 ― 逐条解説〔第22版〕・令和3年改正解説書 第5章:逐条解説〔第22版〕は、商標法第40条が登録料の上限額について定めたものであるとしたうえで、令和3年の一部改正前は登録料そのものが法定されており、昭和45年、昭和50年、昭和53年、昭和56年、昭和59年、昭和62年および平成5年の各種手数料等の改定に伴う改正によりそれぞれ引き上げてきたが、平成20年および平成27年には引き下げたこと、令和3年の一部改正では登録料の上限額を規定して具体的な金額は政令で定めることとしたうえで、上限額については引き上げたことを説明しています。
特許庁「令和3年法律改正(令和3年法律第42号)解説書」第5章「特許料等の料金改定」は、改正の必要性として、特許料等が特許特別会計の歳入超過を踏まえて累次に引き下げられてきたところ、近年は審査負担の増大等により歳出が増加して財政状況が逼迫しており、歳入全体に占める割合が大きい特許料・商標登録料の引上げが不可欠であること、および、将来的に収支に余力が生じた場合に柔軟に料金を引き下げる等の対応を可能とするため、具体的な金額を政令に委任する必要があることを挙げています。商標法第40条については、過去の料金水準を踏まえ、全体として特許行政に係る総経費を支弁し中長期的な収支均衡を図るため、平成20年6月から平成28年3月までに法定されていた金額と、改正前(平成28年4月から改正法施行まで)の料金の中間の金額を上限額に設定したうえで具体的な金額を政令に委任したものであり、これは日本の料金水準が国際的に高額とならないよう特許に比べて引上げ幅を抑制したものである、と説明されています。第41条の2(分割納付)については、一括納付による設定登録料・更新登録料と同じ割合で引き上げた額を上限額に設定した、とされています。
逐条解説〔第22版〕1694頁〜1695頁/令和3年改正解説書 第5章(原本印刷頁73頁〜79頁の範囲。PDF p.1〜p.7)。実際に納付する額は、本文の現行料金と区別して示しています。
参考 ― 登録料を区分の数ごととした理由(逐条解説〔第22版〕の〔参考〕欄):同書は、平成8年の一部改正で登録料を単純に区分数ごととしたのは、複数の区分にわたって登録する場合、改正前は区分ごとに別出願とされており登録料も当然に区分数に比例した料金が必要であったのであるから、一出願多区分制の導入後も区分数に比例した料金を徴収することとしても登録を受ける者の料金負担が増加することはない、という理由によるものであり、むしろ一出願多区分制によって納付手続等が簡素化されることから実質的な負担は軽減されている、と説明しています。
逐条解説〔第22版〕1695頁。
平成8年法律第68号附則第15条第2項は、旧制度の「更新登録の出願」に係る登録料について、新法の登録料・分割納付等の規定を読み替えて準用する経過措置です。施行規則第18条第3項がこの登録料を挙げるのは、その経過措置を受けたものです。現在の通常の更新申請を、旧制度の更新出願と取り違えないようにします。同法附則第15条。また、現行の回復要件への変更日は2023年4月1日です。

試験での問われ方

条文の数字と「だれが・いつ・どうなる」を区別して整理します。まぎれやすい点を整理します。

まぎれやすい点条文上の整理
後期分の期限は「設定の登録の日から5年以内」か原文は「商標権の存続期間の満了前五年までに」(商標法第41条の2第1項・第7項)
後期分の不納で、いつ消滅するか「存続期間の満了前五年の日に遡つて」(商標法第41条の2第6項)。追納期間の末日ではない
分割納付は設定の登録のときだけか更新登録のときも可(商標法第41条の2第7項)
分割納付では、いつ設定の登録がされるか前期分割登録料の納付があったとき(商標法第18条第2項)
設定の登録のときの登録料の延長・期間経過後の納付に割増登録料は要るか商標法第43条第1項〜第3項に挙げられていない
国と国以外の者の共有の特例の条件「持分の定めがあるとき」(商標法第40条第4項)。第3項・第4項の対象は「国」
利害関係人は更新登録の登録料を納付できるか更新登録の申請と同時に納付すべき登録料は除かれる(商標法第41条の5第1項括弧書)
返還請求の期限過誤納=納付した日から1年、後期分=取消決定又は審決が確定した日から6月(商標法第42条第2項)

〔表15〕まぎれやすい点の整理(本記事作成者が条文から作成。e-Gov、2026年9月参照)。

令和8年度【商標】問7の公式正解は5です。肢1は国と国以外の者との共有に係る更新登録料、肢2は期間経過後の更新申請を扱います。第40条第4項による持分割合に応じた納付は、国と国以外の者との共有で「持分の定めがあるとき」の制度です。肢1は持分の定めがない事例なので、半額で足りるという記述は誤りです。 公式問題・公式解答。
分割納付の後期分には、6月の追納期間と第41条の3の回復制度があります。青本1701〜1702頁の「さらに不責事由による回復を設けない」という記述は平成8年の制度導入時の説明で、平成27年に新設された回復制度を否定する現行ルールではありません。青本1702〜1703頁・現行第41条の3。
レベル3のまとめ
  • 設定の登録のときの登録料(一括・前期分):30日以内 → 請求による延長(30日以内)→ 期間経過後2月(商標法施行規則第18条第4項・第5項)→ 責めに帰することができない理由の救済。割増登録料の規定はない。はらわなければ設定の登録はされない。
  • 後期分割登録料:満了前5年までに → 経過後6月の追納(割増登録料は同額。不責事由があれば不要)→ 満了前5年の日に遡って消滅 → 故意でなければ回復(商標法第41条の3、商標法施行規則第18条の2)→ 回復した商標権の効力の制限(商標法第41条の4)。
  • 割増登録料は3場面(商標法第43条第1項〜第3項)。すべて「その登録料と同額」。
  • 返還は「次に掲げるものに限り」(商標法第42条第1項)。第2号は分割納付の後期分だけを対象にしている。
  • 国際登録に基づく商標権には商標法第40条〜第43条を適用しない(商標法第68条の30第3項)。
  • 特許・実用新案・意匠は「各年分」、商標は「10年分一括、又は前期・後期の分割」(例外あり)。

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