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小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第31条〜第33条の2 登録料 ― 「出願と同時に3年分」を払わなければ登録されない

小学生でもわかる実用新案法:登録料(31条〜33条の2)

小学生でも分かる実用新案法 / B. 出願・登録・評価の手続 #15

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実用新案権をもらうには、国に「登録料」というお金を払います。特許と大きく違うのは、出願するときに、最初の3年分を一度に払うことです。4年目からは1年ごとに前もって払い、払い忘れても6か月以内なら「割増」つきで払えます。それでも払えなかったときの「回復」のしくみまで、条文の順にたどります。

条文:実用新案法第31条、第32条、第32条の2、第33条、第33条の2関連:第34条〜第36条、特許法第107条・第108条・第112条・第112条の2参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

実用新案の登録は「入り口で3年パスを買う」しくみ

遊園地に入るには、入場券を買いますね。実用新案の世界では、権利をもらうために国に払うお金を登録料(とうろくりょう)といいます。

特許の場合は、まず特許庁がしっかり中身を調べて「合格」と決めてから、お金を払います。ところが実用新案は、中身をくわしく調べずに早く登録するしくみなので、出願する(申しこむ)ときに、最初の3年分の登録料をいっしょに払うことになっています。「入り口で3年パスを買ってから入場する」イメージです。

出願(申しこみ) 願書・図面など + 3年分の登録料 ① 特許庁の入り口 書き方などをチェック (中身はくわしく調べない) ② 登録 実用新案権が発生 登録料がついていないと、入り口を通れない

図は左右にスクロールできます。

凡例
特許庁で行われるチェック
登録(実用新案権の発生)
点線の枠=注意点
①②矢印の順番

【図1】実用新案は「出願と同時に3年分の登録料」を納めるしくみ。特許のように「合格してから払う」のではない。※第1年・第2年・第3年の分をまとめて一時に納付する(実用新案法第32条第1項)。※説明の都合上、出願の変更・分割のときは「その変更・分割と同時に」納付する点(同項括弧書き)は図に描いていない。(2026年9月時点)

4年目からは「毎年、前の年までに」払う

3年パスが切れる前に、4年目のパスを買っておきます。つまり、4年目以降の分はその年になる前に払っておきます。払い忘れると、権利は消えてしまいます。

でも、うっかり忘れることはありますよね。そこで法律は、期限をすぎても6か月のあいだは、ふつうの登録料と同じ金額の「割増(わりまし)登録料」をたして払えばセーフ、というルールを用意しています。さらに、それすらできなかったときも、「わざとではなかった」なら、決められた期間のうちに払えば権利を元にもどせます(回復)。

レベル1のまとめ

  • 実用新案権をもらうには「登録料」を国に払う。金額のこまかい決まりは政令(せいれい=内閣がつくるルール)にある。
  • 最初の3年分は、出願と同時にまとめて払う。払っていないと登録されない。
  • 4年目からは前の年までに払う。忘れても6か月以内なら、同じ金額の割増をたして払える。それもできなかったとき、「わざとではない」なら回復の道がある。

※「6か月」「同じ金額の割増」「回復」には、それぞれ細かい条件があります。正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

第31条:登録料は「いくら」「だれが」「何で」払うか

項 内容(要旨) ポイント
第1項 設定登録を受ける者または実用新案権者は、設定登録の日から存続期間(第15条)の満了の日までの各年について、1件ごとに、18,100円を超えない範囲内で政令で定める額に、1請求項につき900円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額を納付する 条文にあるのは「上限額」。実際の額は政令(実用新案法施行令)が定める
第2項 第1項は、国に属する実用新案権には適用しない 国は登録料を払わない
第3項 国、または第32条の2もしくは他の法令による減免を受ける者を含む者との共有で、持分の定めがあるときは、国以外の各共有者ごとに登録料に持分の割合を乗じた額を合算した額とし、国以外の者が納付する 持分の定めがあることが条件
第4項 第3項で算定した額に10円未満の端数があるときは切り捨てる
第5項 納付は経済産業省令で定めるところにより特許印紙で行う。ただし省令で定める場合は現金で納めることができる 原則印紙、例外現金

〔表1〕実用新案法第31条の項ごとの内容(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。金額は条文に書かれた「上限額」であり、実際に納める額(政令で定める額)は本記事には載せていない。

実用新案法第31条第1項実用新案権の設定の登録を受ける者又は実用新案権者は、登録料として、実用新案権の設定の登録の日から第十五条に規定する存続期間の満了の日までの各年について、一件ごとに、一万八千百円を超えない範囲内で政令で定める額に一請求項につき九百円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額を納付しなければならない。
実用新案法第31条第3項第一項の登録料は、実用新案権が国又は第三十二条の二の規定若しくは他の法令の規定による登録料の軽減若しくは免除を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する登録料の金額にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

第32条:登録料は「いつ」払うか

項 対象 納付の時期(要旨)
第1項 第1年〜第3年分 実用新案登録出願と同時に一時に納付。出願の変更(第10条第1項・第2項)または出願の分割(第11条第1項で準用する特許法第44条第1項)があった場合は、その変更・分割と同時に
第2項 第4年以後の各年分 前年以前に納付
第3項 第1項の期間 特許庁長官は、納付すべき者の請求により、30日以内を限り延長できる
第4項 第3項で延長された期間内に納付できないとき 責めに帰することができない理由があれば、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、その期間の経過後6月以内に納付できる

〔表2〕実用新案法第32条の納付期限(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。

実用新案法第32条第1項前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に(第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更又は第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項の規定による出願の分割があつた場合にあつては、その出願の変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない。
実用新案法第32条第4項登録料を納付する者がその責めに帰することができない理由により前項の規定により延長された期間内にその登録料を納付することができないときは、第一項及び前項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。
flowchart TD
  A["実用新案登録出願"] --> B{"第1年〜第3年分の登録料を
出願と同時に納付したか"} B -- "はい(納付した)" --> C["方式・基礎的要件のチェック"] B -- "いいえ(納付していない)" --> E["× 納付がない状態 登録されない"] C -->|"方式・基礎的要件も満たす"| D["○ 設定登録 実用新案権の発生"] E -. "第2条の2第4項第3号" .-> G["補正命令"] G -->|"指定期間内に納付"| C G -->|"指定期間内に補正しない"| H["手続を却下できる(第2条の3)"] E -. "請求により30日以内の延長(第32条第3項)" .-> B E -. "責めに帰することができない理由(第32条第4項)" .-> B F["出願の変更・出願の分割"] -- "その変更・分割と同時に納付(第32条第1項括弧書き)" --> B style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 登録にたどり着く
× 登録されない状態
本来の手続の流れ
期間の延長・救済によって戻れる道
はい下へ進む/いいえ右へ出る

【図2】「登録料が払われなければ登録されない」フロー。第1年〜第3年分は出願(変更・分割のときはその時)と同時に納付する(実用新案法第32条第1項)。※納付がない場合は第2条の2第4項第3号の補正命令と第2条の3の却下の対象になる。※第32条第3項の延長は「第1項の期間」についてのもの。(2026年9月時点)

第32条の2:減免または猶予

実用新案法第32条の2(登録料の減免又は猶予)特許庁長官は、第三十一条第一項の規定により登録料を納付すべき者がその実用新案登録出願に係る考案の考案者又はその相続人である場合において貧困により登録料を納付する資力がないと認めるときは、政令で定めるところにより、登録料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。

見出しは「登録料の減免又は猶予」です。対象は考案者またはその相続人で、貧困により資力がないと認められる場合に、軽減・免除・猶予ができます。「猶予」があるため、あとで出てくる第33条第5項(猶予された登録料を追納しないときの効果)につながります。

第33条:遅れたら「6月以内に割増つきで追納」

項 内容(要旨)
第1項 第32条第2項の期間(第4年以後分の期限)または第32条の2による猶予後の期間内に納付できないときは、その期間の経過後6月以内に追納できる
第2項 追納する者は、登録料のほか、登録料と同額の割増登録料を納付する。ただし、責めに帰することができない理由により期間内に納付できないときは、割増登録料は不要
第3項 割増登録料の納付は特許印紙(省令で定める場合は現金)
第4項 追納期間内に第4年以後分の登録料と割増登録料を納付しないときは、実用新案権は第32条第2項の期間の経過の時に遡って消滅したものとみなす
第5項 追納期間内に猶予された登録料と割増登録料を納付しないときは、実用新案権は初めから存在しなかったものとみなす

〔表3〕実用新案法第33条の項ごとの内容(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。第4項と第5項で「消える時点」が違う点に注意。

実用新案法第33条第1項実用新案権者は、第三十二条第二項に規定する期間又は前条の規定による納付の猶予後の期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
実用新案法第33条第2項前項の規定により登録料を追納する実用新案権者は、第三十一条第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。ただし、当該実用新案権者がその責めに帰することができない理由により第三十二条第二項に規定する期間又は前条の規定による納付の猶予後の期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。
実用新案法第33条第4項実用新案権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に第三十一条第一項の規定による第四年以後の各年分の登録料及び第二項の規定により納付すべき割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、第三十二条第二項に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。
実用新案法第33条第5項実用新案権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に前条の規定により納付が猶予された登録料及び第二項の規定により納付すべき割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

第33条の2:消えた権利を「回復」する

実用新案法第33条の2第1項(登録料の追納による実用新案権の回復)前条第四項の規定により消滅したものとみなされた実用新案権又は同条第五項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた実用新案権の原実用新案権者は、同条第四項又は第五項に規定する登録料及び割増登録料を納付することができるようになつた日から二月以内で同条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後一年以内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料及び割増登録料を追納することができる。ただし、故意に、同項の規定により登録料を追納することができる期間内にその登録料及び割増登録料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
実用新案法第33条の2第2項前項の規定による登録料及び割増登録料の追納があつたときは、その実用新案権は、第三十二条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。
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gantt
    title 登録料の期限の全体図(実用新案法第32条・第32条の2・第33条・第33条の2)
    dateFormat YYYY-MM-DD
    axisFormat %Y年%m月
    todayMarker off
    section ①第1〜3年分
    ◆ 出願と同時に一時に納付(第32条第1項) :milestone, m1, 2026-01-01, 0d
    ○ 請求により30日以内の延長ができる(第32条第3項) :done, a1, 2026-01-01, 30d
    ○ 責めに帰することができない理由の救済 14日〔在外者は2月〕以内かつ6月以内(第32条第4項) :done, a2, 2026-01-31, 2026-07-31
    section ②第4年以後
    ○ 前年以前に納付する(第32条第2項) :done, b1, 2026-01-01, 2027-01-01
    ◆ 納付期限=第32条第2項の期間の経過 :milestone, m2, 2027-01-01, 0d
    section ③追納6月
    △ 追納できる 期限の経過後6月以内(第33条第1項) :active, c1, 2027-01-01, 2027-07-01
    △ 割増登録料は登録料と同額(第33条第2項) :active, c2, 2027-01-01, 2027-07-01
    ◆ 追納期間の満了 :milestone, m3, 2027-07-01, 0d
    section ④みなし消滅
    × 納付がなければ第32条第2項の期間の経過の時に遡って消滅(第33条第4項) :crit, d1, 2027-01-01, 2028-07-01
    section ⑤回復
    ○ 回復のための追納ができる 追納期間の経過後1年以内(第33条の2第1項) :done, e1, 2027-07-01, 2028-07-01
    ○ かつ 納付することができるようになつた日から2月以内(同項) :done, e2, 2027-10-01, 2027-12-01
    ◆ 遡って存続していたものとみなす(第33条の2第2項) :milestone, m4, 2028-07-01, 0d

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ その手続ができる期間
△ 割増登録料を付けて追納できる期間
× 権利が消滅したものとみなされる範囲
◆期限・起算点となる時点
①〜⑤手続の群(左の見出し)

【図3】登録料の期限を1枚にまとめた図。群①は「実用新案登録出願」、群②〜⑤は「第4年以後の各年分の納付期限」を起算点としており、群ごとに起算点が違う。回復のための追納は「2月以内」と「1年以内」の両方を満たす必要がある(第33条の2第1項)。※日付は説明用の位置であり、金額(政令で定める額)は図に書いていない。※時間軸は縮尺なし。※説明の都合上、第32条の2(減免・猶予)と第33条第5項(猶予分の不納付=初めから存在しなかったものとみなす)、第33条の2第1項ただし書(故意の場合)は図に描いていない(→〔表3〕・【図5】)。(2026年9月時点)

第34条〜第36条:見出しだけ確認

条 見出し 要旨
第34条 既納の登録料の返還 過誤納の登録料、出願却下処分が確定した場合の登録料、無効審決確定の翌年以後分、存続期間満了の翌年以後分に限り、請求により返還(第1項)。請求期間は1年または6月(第2項)。責めに帰することができない理由による救済(第3項)
第35条 (削除) 現行法では削除されている
第36条 特許法の準用 特許法第110条(特許料を納付すべき者以外の者による特許料の納付)を登録料について準用

〔表4〕実用新案法第34条〜第36条の見出しと要旨(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。

レベル2のまとめ

  • 第31条:登録料の額は「上限額(1件18,100円+1請求項900円)を超えない範囲で政令が定める額」。国は不適用、共有は持分割合で合算(持分の定めがある場合)、10円未満切捨て、特許印紙(例外:現金)。
  • 第32条:第1年〜第3年分は出願(変更・分割はその時)と同時に一時納付、第4年以後は前年以前。第1項の期間は30日以内の延長可、延長期間内に責めに帰することができない理由で納付できないときは14日(在外者2月)・6月の救済。
  • 第32条の2:考案者・相続人が貧困で資力がないときの軽減・免除・猶予。
  • 第33条:期限後6月以内に追納。割増登録料は同額(責めに帰することができない理由なら不要)。追納しないと、第4年以後分は期間経過時に遡って消滅(第4項)、猶予分は初めから存在しなかったものとみなす(第5項)。
  • 第33条の2:故意でなければ、納付できるようになった日から2月以内かつ追納期間経過後1年以内に追納すれば回復し、遡って存続していたものとみなす。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 特許法第107条〜第112条の3との対比

論点 特許法(特許料) 実用新案法(登録料) 違いの要点
上限額 1件61,600円+1請求項4,800円を超えない範囲内で政令で定める額(第107条第1項) 1件18,100円+1請求項900円を超えない範囲内で政令で定める額(第31条第1項) 数字が違う。どちらも実額は政令
対象年 設定登録の日から第67条第1項の存続期間(延長されたときは延長期間を加えたもの)の満了まで(第107条第1項) 設定登録の日から第15条の存続期間の満了の日まで(第31条第1項) 実用新案には存続期間の延長制度がないため延長分の記載がない
第1年〜第3年分の納付時期 特許をすべき旨の査定または審決の謄本の送達があった日から30日以内に一時に(第108条第1項) 実用新案登録出願と同時に一時に(変更・分割のときはその時)(第32条第1項) 最大の違い。実用新案は無審査登録なので「査定」が起点にならない
第4年以後 前年以前(第108条第2項本文。延長登録に関するただし書あり) 前年以前(第32条第2項) 実用新案にはただし書がない
期間の延長 請求により30日以内(第108条第3項、要旨) 請求により30日以内(第32条第3項) 同じ
責めに帰することができない理由 理由がなくなった日から14日(在外者2月)以内で期間経過後6月以内(第108条第4項、要旨) 同じ枠組み(第32条第4項) 同じ
減免・猶予 第109条、第109条の2(第112条第1項の引用から確認) 第32条の2 実用新案は1か条
追納期間 期間経過後6月以内(第112条第1項) 期間経過後6月以内(第33条第1項) 同じ
割増 同額。責めに帰することができない理由なら不要(第112条第2項) 同額。責めに帰することができない理由なら不要(第33条第2項) 同じ
みなし消滅 第112条第4項(遡って消滅)、第5項(延長分)、第6項(初めから存在しなかった)(要旨) 第33条第4項(遡って消滅)、第5項(初めから存在しなかった) 実用新案には延長分の項がない
回復の期間 「経済産業省令で定める期間内に限り」(第112条の2第1項) 「納付することができるようになつた日から二月以内で…追納することができる期間の経過後一年以内に限り」(第33条の2第1項) 書き方は異なるが期限は同じ(特許法施行規則第69条の2第1項)
回復の主観的要件 故意に納付しなかったと認められる場合を除く(第112条の2第1項ただし書) 同じ(第33条の2第1項ただし書) 同じ
回復後の効果 遡って存続していたもの/初めから存在していたものとみなす(第112条の2第2項) 同じ(第33条の2第2項) 同じ

〔表5〕特許法第107条〜第112条の2と実用新案法第31条〜第33条の2の対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照。「要旨」と記した箇所以外は取得した原文に基づく)。回復した実用新案権の効力は第33条の3により制限される。追納期間の経過後から回復登録前までに輸入・製造・取得された登録実用新案に係る物品や、同期間中の実施、生産に用いる物の生産・譲渡等、譲渡・貸渡し・輸出のための所持などには効力が及ばない。

回復の期限は特許と同じ現行法でも、実用新案法33条の2第1項は、納付できるようになった日から2月以内、かつ追納期間経過後1年以内と直接定めています。特許法112条の2第1項は省令に委任し、特許法施行規則69条の2第1項が同じ期限を定めています。表現の違いであり、期間の長さの違いではありません。実用新案法33条の2/特許法施行規則69条の2。
特許法第108条第1項前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
特許法第112条の2第1項前条第四項若しくは第五項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第六項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、同条第四項から第六項までに規定する特許料及び割増特許料を追納することができる。ただし、故意に、同条第一項の規定により特許料を追納することができる期間内にその特許料及び割増特許料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。

2. なぜ「出願と同時」なのか

実用新案法は、実体審査をせずに登録する制度です。特許庁の知的財産権制度入門テキスト(2025年版)第2節は、平成6年より「形式的な要件を満たしているか否かのみを判断して早期に権利付与を行う早期登録制度(無審査登録制度)に移行」したと説明し、登録料について「第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に一時に納付しなければならない」と規定されている点が特許出願と異なると説明しています。特許法第108条第1項のように「特許をすべき旨の査定」を起点にできないため、出願時に納付させる構造になっています。

特許(特許法第108条第1項) 特許出願 実体審査 特許査定謄本の送達 設定登録 30日以内に3年分 実用新案(実用新案法第32条第1項) 実用新案登録出願 基礎的要件のチェック × 実体審査はない 設定登録 出願と同時に3年分

図は左右にスクロールできます。

凡例
特許のレーン(特許料)
実用新案のレーン(登録料)
縦の点線=上下で対応する段(同じ位置にそろえてある)
●時点 ×その手続がないこと

【図4】第1年〜第3年分の納付の起点の違いを、上下同じ形・同じ位置で並べたもの。特許は「査定謄本の送達から30日以内」、実用新案は「出願と同時」。実用新案には「査定」がないので、納付の起点が「出願」になる。※上下の段は対応する手続をそろえて並べたもので、実際にかかる時間の長さを表すものではない。※時間軸は縮尺なし。(2026年9月時点)

出願時に登録料を納めなかった場合第1〜3年分を納付しない場合は、2条の2第4項第3号により補正命令の対象となります。命令で指定された期間内に補正しなければ、2条の3により手続を却下できます。直ちに登録や権利の消滅が生じるわけではありません。実用新案法2条の2・2条の3。

3. 第33条第4項と第5項:「いつの時点で消えるか」の分岐

flowchart TD
  A["追納期間内に登録料と割増登録料の納付がない"] --> B{"どの登録料か"}
  B -- "第4年以後の各年分(第33条第4項)" --> C["× 第32条第2項の期間の経過の時に
遡って消滅したものとみなす"] B -- "第32条の2で猶予された登録料(第33条第5項)" --> D["× 初めから存在しなかったものとみなす"] C --> E{"故意に納付しなかったと認められる場合に
当たらないか(第33条の2第1項ただし書)"} D --> E E -- "はい(当たらない)" --> F["納付することができるようになった日から2月以内
かつ 追納期間の経過後1年以内に追納(第33条の2第1項)"] E -- "いいえ(故意)" --> H["× 回復できない"] F --> G["○ 遡って存続していたもの
または 初めから存在していたものとみなす(第33条の2第2項)"] style C fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style D fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style G fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style H fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 権利が戻る(回復)
× 権利が消える・回復できない
はい下へ進む/いいえ右へ出る

【図5】みなし消滅の時点と回復の分岐図(実用新案法第33条第4項・第5項、第33条の2)。回復のための追納は「2月以内」と「1年以内」の両方を満たす必要がある。※期間の全体像は【図3】を参照。(2026年9月時点)

納付しなかった登録料 根拠 消滅の時点 回復したときの効果
第4年以後の各年分+割増登録料 第33条第4項 第32条第2項に規定する期間の経過の時に遡って消滅 その時に遡って存続していたものとみなす(第33条の2第2項)
第32条の2で猶予された登録料+割増登録料 第33条第5項 初めから存在しなかったものとみなす 初めから存在していたものとみなす(第33条の2第2項)

〔表6〕みなし消滅の2類型と回復後の効果。特許庁の「特許(登録)料について」は、第1〜3年分の実用新案登録料について免除又は猶予の制度を案内している。猶予期間は納付すべき期間の経過の日から3年以内(実用新案法施行令第2条第4項)。猶予分の追納不履行の効果は第33条第5項が定める。

4. 要件の整理:責めに帰することができない理由/故意

場面 条文 基準 効果
延長された期間内に納付できない 第32条第4項 責めに帰することができない理由 理由がなくなった日から14日(在外者2月)以内で期間経過後6月以内に納付できる
追納するとき 第33条第2項ただし書 責めに帰することができない理由 割増登録料の納付が不要になる(追納自体は6月以内)
みなし消滅後の回復 第33条の2第1項ただし書 故意に納付しなかったと認められる場合は不可 故意でなければ、2月以内かつ1年以内の追納で回復
返還請求の期間経過 第34条第3項 責めに帰することができない理由 理由がなくなった日から14日(在外者2月)以内で期間経過後6月以内に請求できる

〔表7〕「責めに帰することができない理由」と「故意」の使い分け。回復(第33条の2)だけが「故意でないこと」を基準にしている。

5. 共有の場合の計算(第31条第3項・第4項)

第3項が適用されるのは、共有者に国または減免を受ける者が含まれ、かつ持分の定めがあるときです。このとき、登録料は「国以外の各共有者ごとに、登録料の額×持分の割合」を合算した額になり、10円未満は切り捨てます(第4項)。国の持分に対応する部分は、国が納付しないことから、合算に入りません(第3項の「国以外の各共有者ごとに」という文言による整理)。

6. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向 気をつける点
短答式 納付時期(出願と同時/前年以前)、追納期間(6月)、割増の要否、みなし消滅の時点(遡って/初めから)、回復の期間と「故意」基準、返還(第34条)の対象と期間 特許法と数字・起点が同じ箇所と違う箇所を分けて覚える。「変更・分割と同時に」のかっこ書を落とさない
論文式 実用新案権が消滅したとみなされた後の回復と、その間の第三者との関係(特許法第112条の3に相当する規定の有無)を含めた事例 第33条の3。追納期間経過後から回復登録前までの物品・行為について効力が制限される
口述 第1年〜第3年分の納付時期が特許と違う理由、第33条第4項と第5項の効果の違い 「無審査登録だから査定が起点にならない」と説明できるようにする

〔表8〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

令和8年度短答の関連問題問6の肢4は登録料の返還対象年を扱います。「返還請求をした年」の翌年ではなく、無効審決が確定した年の翌年以後の分が対象です(第34条第1項第3号)。この肢は誤りで、問6の公式正解は3です。 問題原文/公式正解。公式正解番号と、ここで示した肢の理由の条文照合は区別しています。
レベル3のまとめ

  • 特許との最大の違いは第1年〜第3年分の納付時期。特許は査定謄本送達から30日以内(特許法第108条第1項)、実用新案は出願と同時(変更・分割はその時)(実用新案法第32条第1項)。
  • 追納6月・割増同額・責めに帰することができない理由なら割増不要、という枠組みは特許法第112条と共通。
  • みなし消滅は「第4年以後分の不納付=期間経過時に遡って消滅」(第33条第4項)と「猶予分の不納付=初めから存在しなかった」(第33条第5項)の2類型。
  • 回復(第33条の2)は「故意でないこと」が基準。期間は現行法で「納付できるようになった日から2月以内かつ追納期間経過後1年以内」。回復すると遡って存続していた/初めから存在していたものとみなす。
  • 登録料の実額は政令で定められ、条文には上限額のみがある。

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