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小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第17条の2 実用新案権の移転の特例 ― 「盗まれた権利」を本当の持ち主に返してもらう

小学生でもわかる実用新案法:移転の特例(17条の2)

小学生でも分かる実用新案法 / C. 実用新案権の効力・実施権・侵害 #18

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自分の考案を他人が勝手に出願して実用新案権を取ってしまった(冒認出願)、あるいは共同で出願すべきなのに一人で出願してしまった(共同出願違反)。そんなとき、本当の権利者は「その実用新案権を自分に移してください」と請求できます(第17条の2第1項)。移転の登録があると、その実用新案権は初めから本当の権利者のものだったことになります(第2項)。特許法第74条の「実用新案版」で、無効審判(第37条)とセットで理解する条文です。

条文:実用新案法第17条の2関連:実用新案法第37条第1項第2号・第5号・第2項、第11条第1項(特許法第38条の準用)、第26条(特許法第73条・第79条の2の準用)、特許法第74条参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

自分の考案を、他人が勝手に登録してしまったら?

あなたが「ふたつき筆箱」を考えたのに、それを見た友だちのCさんが、こっそり自分の名前で実用新案の出願をして、登録されてしまったとします。これを法律の言葉で冒認(ぼうにん)出願といいます(「本当は権利がない人の出願」という意味です)。

以前は、こういうときに本当の持ち主ができることは、おもに「その登録をこわす(無効にする)」ことでした。でも、こわしてしまうと権利は消えるだけで、あなたのものにはなりません。そこで、「その権利を自分に返して(移して)ください」と請求できるしくみが作られました。それが第17条の2です。

Cさん(冒認者)が 実用新案権をもっている 本当の持ち主(あなた)が どちらの道を選ぶか 道A:無効にする(第37条) 登録はなくなる でも、あなたの権利にはならない (誰の権利でもなくなる) 道B:移転を請求する(第17条の2) 権利をあなたに「移してもらう」 移転の登録があれば 初めからあなたのものだったことになる

図は左右にスクロールできます。

凡例
いまの登録名義(冒認者Cさん)
道A:無効審判(第37条)
道B:移転請求(第17条の2)
本当の持ち主が選べる道

【図1】冒認された実用新案権に対して本当の持ち主がとれる2つの道(2026年9月時点)。2つの道は同じ大きさの箱・同じ長さの矢印で並べた。第17条の2は「道B」を用意した規定。道Aの無効審判(第37条)は、冒認等を理由とするものは本当の持ち主だけが請求できる(第37条第2項ただし書)。※説明の都合上、両方の道の手続の細部は省略した。

「初めから自分のもの」になるのがポイント

移転の登録がされると、その実用新案権は「Cさんのものだったけれど、今日からあなたのもの」ではなく、「登録されたときから、ずっとあなたのものだった」ことになります(第2項)。これを「みなす」といいます。まるで、はじめからあなたの名前で登録されていたかのように扱われる、ということです。

また、いったん本当の持ち主に移された実用新案権は、「冒認だった」という理由ではもう無効にされません(第37条第1項第2号・第5号の括弧書き)。返してもらった権利が、あとから「もともと冒認だったからダメ」と言われてこわされたら意味がないからです。

レベル1のまとめ

  • 自分の考案を他人が勝手に登録してしまった(冒認)とき、または共同で出願すべきなのに一人で登録してしまったとき、本当の持ち主は「その実用新案権を自分に移してください」と請求できる(第17条の2第1項)。
  • 移転の登録があると、その権利は初めから本当の持ち主のものだったことになる(第2項)。
  • 返してもらった権利は、「冒認だった」という理由ではもう無効にされない。

※請求できる人、請求できる場面、共有のときの特別ルール、善意で実施していた人の扱いなど、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

第17条の2の3つの項

実用新案法第17条の2第1項実用新案登録が第三十七条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その実用新案登録が第十一条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は第三十七条第一項第五号に規定する要件に該当するときは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その実用新案権者に対し、当該実用新案権の移転を請求することができる。
実用新案法第17条の2第2項前項の規定による請求に基づく実用新案権の移転の登録があつたときは、その実用新案権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。
実用新案法第17条の2第3項共有に係る実用新案権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、第二十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない。
項 内容 キーワード
第1項 実用新案登録が(a)第37条第1項第2号の要件に該当するとき(特許法第38条〔共同出願〕違反の場合に限る)、または(b)第37条第1項第5号の要件(権利を有しない者の出願=冒認)に該当するときは、実用新案登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、実用新案権者に対し移転を請求できる 共同出願違反/冒認、真の権利者、移転請求
第2項 請求に基づく移転の登録があったときは、その実用新案権は初めから登録を受けた者に帰属していたものとみなす 遡及的帰属のみなし
第3項 共有の実用新案権の持分を移転する場合、第26条で準用する特許法第73条第1項(持分譲渡には他の共有者の同意が必要)は適用しない 共有者の同意不要

〔表1〕第17条の2の項ごとの内容(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。

請求できる2つの場面:第37条第1項第2号・第5号

第1項が指している「第37条第1項第2号」「第5号」は、実用新案登録無効審判の無効理由です。第2号にはいろいろな理由がまとめて書かれていますが、移転請求の対象になるのは特許法第38条(共同出願)違反の場合だけです。

実用新案法第37条第1項第2号その実用新案登録が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条、第三条、第三条の二、第四条、第七条第一項から第三項まで若しくは第六項又は第十一条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされたとき(その実用新案登録が同項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
実用新案法第37条第1項第5号その実用新案登録がその考案について実用新案登録を受ける権利を有しない者の実用新案登録出願に対してされたとき(第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
特許法第38条(実用新案法第11条第1項で準用)特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
場面 無効理由の根拠 具体例(たとえ) 移転請求
共同出願違反 第37条第1項第2号のうち、第11条第1項で準用する特許法第38条違反 あなたとDさんが一緒に考えた筆箱を、Dさんが一人で出願して登録された できる(第17条の2第1項)
冒認出願 第37条第1項第5号 あなたが考えた筆箱を、Cさんが自分の名前で出願して登録された できる(第17条の2第1項)
第2号のそれ以外(新規性・進歩性・先願など) 第37条第1項第2号(特許法第38条違反以外) すでに知られていた筆箱が登録された できない(第17条の2の対象外)

〔表2〕移転請求ができる場面とできない場面。第2号のうち特許法第38条違反「に限る」という括弧書きがポイント。

発覚から移転登録までの流れ

flowchart TD
  subgraph L1["レーン1:真の権利者"]
    direction TB
    A["冒認出願・共同出願違反による実用新案登録が発覚"] --> B{"自分は『実用新案登録を受ける権利を有する者』か"}
    B -- "はい" --> C{"移転を請求するか 道B"}
    B -- "いいえ" --> X["× 移転請求はできない
無効審判の請求人にもなれない:第37条第2項ただし書"] C -- "はい" --> E["道B:実用新案権者に対し移転を請求
第17条の2第1項、経済産業省令で定めるところにより"] C -- "いいえ" --> D["道A:実用新案登録無効審判を請求
第37条第1項第2号・第5号"] end subgraph L2["レーン2:冒認者(登録上の実用新案権者)"] direction TB P["移転請求の相手方となる"] end subgraph L3["レーン3:特許庁"] direction TB F["移転の登録"] D2["無効審決が確定すれば登録は消滅
× 自分の権利にはならない"] end subgraph L4["移転の登録の効果"] direction TB G["○ 初めから真の権利者に帰属していたものとみなす
第2項"] H["○ 冒認・共同出願違反を理由とする無効理由から除外
第37条第1項第2号・第5号の括弧書き"] end E --> P P -->|"共同申請・承諾書又は判決に基づく登録申請"| F D --> D2 F --> G G --> H style X fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style D2 fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style G fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style H fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 真の権利者に権利が返る
× 真の権利者のものにならない
手続の流れ(「はい」は下、「いいえ」は右)

【図2】冒認出願等が発覚してから移転登録までのフロー図。主体ごとに3つのレーン(真の権利者/冒認者/特許庁)に分けた。省令は持分に応じた請求を定める。請求があれば自動的に登録されるのではなく、共同申請・承諾書による単独申請・判決による単独申請などの登録手続が必要となる。※説明の都合上、「何もしない」という選択と、無効審判の審理の細部は省略した。

移転請求と登録申請の手続省令が定めるのは、自己が有すると認める「実用新案登録を受ける権利」の持分に応じて移転を請求することです(実用新案法施行規則23条10項で準用する特許法施行規則40条の2)。添付書類は登録の原因を証明する書面と、第三者の許可・同意等が必要な場合の証明書面です。執行力のある判決を原因証明書とする場合には後者は不要です(準用特許登録令29条)。登録申請は別に、実用新案登録令施行規則3条3項が準用する特許登録令施行規則10条2項の様式第七の二を使います。申請は原則として登録権利者と登録義務者が共同で行い、義務者の承諾書を添付する場合や判決による場合は権利者が単独でできます(実用新案登録令7条で準用する特許登録令18〜20条)。実用新案法施行規則/実用新案登録令施行規則/実用新案登録令/特許登録令。
レベル2のまとめ

  • 第17条の2第1項:共同出願違反(第37条第1項第2号のうち特許法第38条違反に限る)または冒認(第37条第1項第5号)のとき、実用新案登録を受ける権利を有する者が実用新案権者に移転を請求できる。
  • 第2項:移転の登録があれば、初めから移転を受けた者に帰属していたものとみなす。
  • 第3項:共有持分の移転には、第26条で準用する特許法第73条第1項(他の共有者の同意)は適用しない。
  • 第37条第1項第2号・第5号の括弧書き:移転登録があった後は、その理由では無効にできない。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 要件の整理

要件 内容 根拠
対象となる登録 (a)第11条第1項で準用する特許法第38条に違反してされた実用新案登録、または(b)実用新案登録を受ける権利を有しない者の出願に対してされた実用新案登録 第17条の2第1項、第37条第1項第2号・第5号
請求権者 当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者 第17条の2第1項
相手方 その実用新案権者 第17条の2第1項
請求の内容 当該実用新案権の移転(共有の場合はその持分の移転:第3項) 第17条の2第1項・第3項
手続 経済産業省令で定めるところによる 第17条の2第1項
効果の発生時点 「移転の登録があつたとき」 第17条の2第2項

〔表3〕第17条の2の要件の整理(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。

2. 特許法第74条との対比

特許法第74条第1項特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
特許法第74条第2項前項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたときは、その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該特許権に係る発明についての第六十五条第一項又は第百八十四条の十第一項の規定による請求権についても、同様とする。
特許法第74条第3項共有に係る特許権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、前条第一項の規定は、適用しない。
項目 特許法第74条 実用新案法第17条の2 違いのポイント
対象となる無効理由の号 第123条第1項第2号(第38条違反に限る)・第6号 第37条第1項第2号(第11条第1項で準用する特許法第38条違反に限る)・第5号 号番号が違う(冒認は特許法では第6号、実用新案法では第5号)
共同出願の根拠 特許法第38条(直接) 実用新案法第11条第1項で準用する特許法第38条 実用新案法は準用
請求権者 特許を受ける権利を有する者 実用新案登録を受ける権利を有する者 置きかえのみ
第2項後段(補償金請求権) 第65条第1項(出願公開の補償金請求権)・第184条の10第1項(国際出願の補償金請求権)も同様に初めから帰属 相当する規定なし 実用新案法には出願公開制度・補償金請求権がないため
第3項(共有持分の移転) 「前条第一項」(特許法第73条第1項)を適用しない 「第二十六条において準用する特許法第七十三条第一項」を適用しない 実用新案法は準用の形で参照
善意の実施者の保護 特許法第79条の2(移転登録前の実施による通常実施権) 第26条で準用する特許法第79条の2 実用新案法は準用(内容は第26条の記事に譲る)

〔表4〕特許法第74条と実用新案法第17条の2の対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。最大の違いは、実用新案法に「補償金請求権も初めから帰属」の後段がないこと。

3. 無効審判(第37条)との接続:無効理由からの除外と請求人適格

実用新案法第37条第2項実用新案登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、実用新案登録が前項第二号に該当すること(その実用新案登録が第十一条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第五号に該当することを理由とするものは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
接続点 条文 意味
無効理由からの除外 第37条第1項第2号括弧書き・第5号括弧書き 第17条の2第1項の請求に基づき移転の登録があったときは、共同出願違反・冒認を理由とする無効理由に該当しなくなる
請求人適格の限定 第37条第2項ただし書 共同出願違反(特許法第38条違反に限る)・冒認を理由とする無効審判は、実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求できる(原則の「何人も」の例外)
両者の関係 第17条の2第1項と第37条第2項ただし書 移転請求権者と無効審判の請求人適格者が、いずれも「実用新案登録を受ける権利を有する者」で一致している

〔表5〕第17条の2と第37条の接続。改正解説書(平成23年改正)は、請求人適格を真の権利者に限定した理由を「真の権利者以外の者が特許無効審判を請求することにより特許が無効にされ、真の権利者が移転請求により特許権を取得する機会が失われる可能性」を排除するためと説明しています(特許法についての説明。実用新案法については「特許法と同様の改正」と説明されています)。

初めから真の権利者に帰属していたものとみなす(第2項) 実用新案登録出願 設定登録(名義は冒認者) 移転の登録 移転登録の前 移転登録の後 無効理由(第37条第1項第2号・第5号) 該当する ただし請求できるのは真の権利者のみ(第2項ただし書) 無効理由(第37条第1項第2号・第5号) 該当しない(括弧書きで除外) 他の無効理由(新規性等)は別 権利の帰属 登録上は冒認者等 真の権利者は移転を請求できる(第1項) 権利の帰属 初めから真の権利者に帰属とみなす 善意の実施者は特許法第79条の2の準用で保護

図は左右にスクロールできます。

凡例
移転登録の前(登録名義は冒認者)
移転登録の後(真の権利者)
さかのぼって帰属するとみなす向き(第2項)
移転の登録=前と後の境目

【図3】移転登録の前後で変わること(相関図と時間線)。上の時間線は、移転の登録があると権利が初めから真の権利者に帰属していたものとみなされること(第17条の2第2項)を示す。無効理由の除外と帰属のみなしが同時に働く。※時間軸は縮尺なし。※説明の都合上、移転の登録に至るまでの手続は【図2】に譲った。

4. 平成23年改正の位置づけ(改正解説書の説明)

第17条の2は、特許法第74条とともに平成23年改正で新設された規定です。改正解説書(特許庁「平成23年法律改正(平成23年法律第63号)解説書」第2章)は、改正前は真の権利者の対抗手段が無効審判の請求などに限られ、「真の権利者が自ら出願していなかった場合には、認められない可能性が高い」という制限があったことを指摘し、新制度では「真の権利者が自ら出願していたか否かにかかわらず」移転請求が可能とされたと説明しています。また、実用新案法については「実用新案法第17条の2として、『特許法と同様の改正』が行われ」、第37条の請求人適格も同様に限定されたと説明しています。施行期日については、平成24年4月1日から施行され、「この法律の施行の日以後にする特許出願について適用」されると説明されています。

時期 真の権利者の手段 備考(改正解説書の説明)
平成24年3月31日以前の出願 無効審判の請求、新規性喪失の例外の利用など 無効化はできても権利は取得できない。移転登録請求は「真の権利者が自ら出願していなかった場合には、認められない可能性が高い」
平成24年4月1日以後の出願 上記に加え、第17条の2による移転請求 「真の権利者が自ら出願していたか否かにかかわらず」移転請求可能。無効審判の請求人適格は真の権利者に限定

〔表6〕平成23年改正前後の比較。改正解説書の説明を整理したもので、解説書は特許法を中心に記述している。実用新案法も、平成23年法律63号附則3条6項により2012年4月1日以後の出願に適用され、それより前の出願は従前の例による。

実用新案についての経過措置平成23年法律63号附則3条6項は、17条の2を2012年4月1日以後にする実用新案登録出願に適用し、それより前の出願は従前の例によると定めています。基準は登録日や移転請求日ではなく、実用新案登録出願の日です。実用新案法の附則(平成23年法律63号)/青本1193〜1194頁。

5. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向(作成者の整理) 気をつける点
短答式 移転請求ができる無効理由の範囲(第2号のうち特許法第38条違反に限る・第5号)、移転登録の効果(初めから帰属)、共有持分の移転に同意が不要(第3項)、無効審判の請求人適格(第37条第2項ただし書) 実用新案法では冒認は第5号(特許法は第6号)。「第2号すべて」が対象と読ませる誤肢に注意。
論文式 冒認された実用新案権について真の権利者がとり得る手段(移転請求・無効審判)と、移転登録後の第三者(善意の実施者)の地位 特許法第74条第2項後段(補償金請求権)に相当する規定が実用新案法にはないことを、実用新案法の出願公開制度の不存在と結びつけて説明できるか。
口述 第17条の2の請求権者は誰か、効果はいつから生じるか(移転の登録があったとき、初めから帰属) 「移転の登録」が効果発生の要件であることを落とさない。

〔表7〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

令和8年度短答の関連問題問6は実用新案権に関する問題ですが、表示、刑事罰、登録料返還、公報掲載が対象で、第17条の2の移転請求を直接問う肢はありません。問6の公式正解は3です。 問題原文/公式正解。公式正解番号と、ここで示した肢の理由の条文照合は区別しています。
レベル3のまとめ

  • 第17条の2は特許法第74条の「実用新案版」。対象は共同出願違反(第37条第1項第2号のうち第11条第1項で準用する特許法第38条違反に限る)と冒認(第37条第1項第5号)。
  • 移転の登録があれば初めから真の権利者に帰属とみなされ(第2項)、同時に第37条第1項第2号・第5号の括弧書きにより無効理由から除外される。
  • 共有持分の移転には第26条で準用する特許法第73条第1項(他の共有者の同意)を適用しない(第3項)。
  • 特許法第74条第2項後段(補償金請求権も初めから帰属)に相当する規定は、実用新案法にはない。
  • 冒認・共同出願違反を理由とする無効審判は、実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求できる(第37条第2項ただし書)。

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