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小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第5条・第6条 出願書類(図面必須)・記載要件・考案の単一性 ― 「設計図は必ず入れる」が実用新案のきまり

小学生でもわかる実用新案法:出願書類と単一性(5条6条)

小学生でも分かる実用新案法 / A. 登録要件・考案(実体規定) #5

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実用新案登録出願で特許庁に出す書類は、願書・明細書・実用新案登録請求の範囲・図面・要約書の5つ。特許出願とのいちばんの違いは、図面が「必要なら」ではなく「必ず」添付する書類だということです(実用新案法第5条第2項)。この記事では、第5条の各項が何を求めているか、どの項が「無効理由」になり、どの項が「基礎的要件(補正命令の対象)」になるのか、そして第6条「考案の単一性」を整理します。

条文:実用新案法第5条、第6条関連:実用新案法第6条の2第3号・第4号、第37条第1項第4号、特許法第36条第2項・第37条参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

応募セットは5つの紙でできている

学校の工作コンテストに応募するところを思いうかべてください。作品だけ持っていっても受け付けてもらえません。「応募用紙」「作品の説明書」「ここが自分の工夫です、というカード」「設計図」「ひとことで作品を説明するカード」――このセットをそろえて出します。

実用新案登録出願もこれと同じで、特許庁に出す書類は5つあります。

コンテストのたとえ 本当の名前 何を書く?
応募用紙 願書(がんしょ) 出す人の名前と住所、考えた人の名前と住所
作品の説明書 明細書(めいさいしょ) 作品の名前、図の説明、作品のくわしい説明
「ここが自分の工夫」カード 実用新案登録請求の範囲 守ってほしいアイデアを、番号をつけて書く
設計図 図面(ずめん) 作品の形・しくみを絵で示す。必ず入れる
ひとことカード 要約書(ようやくしょ) 作品のあらましを短く書く

〔表1〕実用新案登録出願で出す5つの書類(実用新案法第5条第1項・第2項をもとに、たとえで整理)。

特許との違いは「設計図が必ず要る」こと

特許出願にも同じような書類のセットがありますが、特許では設計図(図面)は「必要なときだけ」でよいことになっています。ところが実用新案は「物の形や構造やくみ合わせ」のアイデアを守るしくみなので、絵がないと何のアイデアか分かりません。だから実用新案では図面は必ず入れるきまりです。

特許出願 実用新案登録出願 願書 願書 ↓ 願書に添付する書類 ↓ 願書に添付する書類 明細書 明細書 特許請求の範囲 実用新案登録請求の範囲 △ 図面(必要な図面) ○ 図面(必ず添付) 要約書 要約書 特許法第36条第2項 実用新案法第5条第2項

図は左右にスクロールできます。

凡例
特許出願の書類
実用新案登録出願の書類
○ 太い枠=必ず添付する
△ 破線の枠=必要なときだけ添付する

【図1】特許出願(左)と実用新案登録出願(右)の書類セット。左右で書類の並び順・枠の大きさをそろえてあり、違うのは図面の段だけ。実用新案では図面が「必ず添付する書類」になっている(実用新案法第5条第2項)のに対し、特許では「必要な図面」でよい(特許法第36条第2項)。2026年9月時点。※説明の都合上、外国語書面出願などの特則は省略した。

「工夫カード」には書き方のルールがある

「ここが自分の工夫です」カード(実用新案登録請求の範囲)は、ただ書けばよいのではなく、「説明書に書いてあることを書く」「はっきり書く」「短く書く」といったルールがあります。このルールを守らないと、あとで「その登録は取り消し」と言われることがあります。

もうひとつ、「1回の応募には、つながりのあるアイデアだけを入れる」というルールもあります(第6条)。まったく別のアイデアを1つの応募セットに入れると、「分けて出してください」と言われます。

レベル1のまとめ

  • 実用新案登録出願で出す書類は、願書・明細書・実用新案登録請求の範囲・図面・要約書の5つ(実用新案法第5条)。
  • 特許と違って、図面は必ず付ける。
  • 「実用新案登録請求の範囲」には書き方のルールがあり、守らないと登録が取り消されることがある。
  • 1回の出願に入れられるのは、つながりのあるアイデアだけ(第6条)。

※「取り消される(無効になる)ルール」と「出願のときに直しなさいと言われるルール」は分かれています。正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

第5条の構造(第1項〜第7項)

実用新案法第5条は全部で7項あります。まず項ごとの役割を表で見て、そのあと原文を読みます。

項 対象書類 内容(要旨)
第1項 願書 出願人の氏名・住所等(第1号)、考案者の氏名・住所等(第2号)を記載した願書を特許庁長官に提出する
第2項 添付書類 願書には明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付する(図面は必須)
第3項 明細書 考案の名称(第1号)、図面の簡単な説明(第2号)、考案の詳細な説明(第3号)を記載する
第4項 明細書(考案の詳細な説明) 当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載する(いわゆる実施可能要件)
第5項 実用新案登録請求の範囲 請求項に区分し、考案を特定するために必要と認める事項のすべてを記載する。請求項どうしが同一の考案になってもよい
第6項 実用新案登録請求の範囲 第1号 サポート要件/第2号 明確性要件/第3号 簡潔性要件/第4号 経済産業省令で定める記載方法(委任省令要件)
第7項 要約書 考案の概要その他経済産業省令で定める事項を記載する

〔表2〕実用新案法第5条の項ごとの内容(e-Gov法令検索、2026年9月参照。「要旨」欄は本記事の整理)。

実用新案法第5条第1項(柱書・各号)実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 実用新案登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 考案者の氏名及び住所又は居所
実用新案法第5条第2項願書には、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付しなければならない。
実用新案法第5条第3項前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 考案の名称
二 図面の簡単な説明
三 考案の詳細な説明
実用新案法第5条第4項考案の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない。
実用新案法第5条第5項第二項の実用新案登録請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに実用新案登録出願人が実用新案登録を受けようとする考案を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る考案と他の請求項に係る考案とが同一である記載となることを妨げない。
実用新案法第5条第6項第二項の実用新案登録請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること。
二 実用新案登録を受けようとする考案が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
実用新案法第5条第7項第二項の要約書には、明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した考案の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

特許法第36条第2項との違い ― 「必要な図面」と「図面」

特許法第36条第2項は「必要な図面」、実用新案法第5条第2項は「図面」と書かれています。この一語の違いが、「特許は図面が任意、実用新案は図面が必須」という違いになります。

特許法第36条第2項願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
特許法第36条第2項 実用新案法第5条第2項
条文の文言 「明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書」 「明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書」
図面の位置づけ 必要なときに添付(任意) 常に添付(必須)
請求の範囲の名称 特許請求の範囲 実用新案登録請求の範囲
背景(本記事の整理) 方法の発明など、図で示せない発明もある 保護対象が「物品の形状、構造又は組合せ」に係る考案に限られる(実用新案法第6条の2第1号の文言参照)ため、図で示せる

〔表3〕特許法第36条第2項と実用新案法第5条第2項の対比(両条文はe-Gov法令検索、2026年9月参照)。「背景」欄は条文の文言から本記事が整理したもので、逐条解説の記述の確認は編集メモ参照。

第6条 ― 考案の単一性

第6条は、「つながりのある一群の考案なら、1つの願書でまとめて出願できる」という規定です。特許法第37条とほぼ同じ文言で、「発明」が「考案」に、「特許出願」が「実用新案登録出願」に置き換わっています。

実用新案法第6条二以上の考案については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより考案の単一性の要件を満たす一群の考案に該当するときは、一の願書で実用新案登録出願をすることができる。
特許法第37条二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

記載要件はどこでチェックされるか ― 「無効理由」と「基礎的要件」

実用新案は実体審査なしで登録される制度なので、第5条の要件は2つのルートでチェックされます。1つは出願のときに特許庁長官がチェックする基礎的要件(第6条の2)、もう1つは登録後に無効審判で争われる無効理由(第37条第1項)です。

flowchart TD
  A["実用新案登録出願"] --> B{"基礎的要件のチェック
実用新案法第6条の2"} B -->|"問題なし"| D["○ 設定登録"] B -->|"第5条第6項第4号違反
第6条違反
著しい記載不備 など"| C["補正命令"] C -->|"必要な補正で不備を解消"| D C -->|"指定期間内に補正なし"| E["× 出願却下"] D -.->|"請求があったときだけ"| F{"無効審判
実用新案法第37条第1項"} F -->|"第5条第4項違反
第5条第6項第1号〜第3号違反"| G["× 登録無効"] style C fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F style G fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 設定登録(主経路の終端)
× 出願却下・登録無効(例外処理の終端)
例外処理(補正命令)
必ず行われる手続
請求があったときだけ行われる手続(任意)

【図2】第5条・第6条の要件がチェックされる2つのルート(出願時の基礎的要件と登録後の無効審判)。「問題なし」を下(主経路)、違反の枝を右(例外処理)に統一した。補正命令から却下までの流れは審査基準 第X部第1章「3. 基礎的要件違反の場合の取扱い」の記述による(2026年9月時点)。

レベル2のまとめ

  • 実用新案法第5条:第1項 願書、第2項 添付書類(図面必須)、第3項 明細書の記載事項、第4項 実施可能要件、第5項 請求項の記載、第6項 請求の範囲の4つの要件、第7項 要約書。
  • 特許法第36条第2項は「必要な図面」、実用新案法第5条第2項は「図面」。実用新案では図面が必ず要る。
  • 実用新案法第6条(考案の単一性)は特許法第37条と同じ構造。
  • 第5条の要件は「出願時の基礎的要件(第6条の2)」と「登録後の無効理由(第37条第1項)」に振り分けられている。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 無効理由になる項・ならない項(第37条第1項第4号)

実用新案法第37条第1項第4号は、第5条のうち第4項と第6項(第4号を除く)の違反だけを無効理由としています。

実用新案法第37条第1項第4号その実用新案登録が第五条第四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたとき。
第5条の項・号 要件の内容 無効理由(第37条第1項第4号) 基礎的要件(第6条の2)
第4項 実施可能要件 該当する 該当しない(ただし「著しく不明確」なら第4号の対象になり得る)
第6項第1号 サポート要件 該当する 該当しない
第6項第2号 明確性要件 該当する 該当しない(「著しく不明確」なら第4号の対象になり得る)
第6項第3号 簡潔性要件 該当する 該当しない
第6項第4号 委任省令要件(請求項の記載形式) 該当しない(「第四号を除く。」) 該当する(第6条の2第3号)
第6条 考案の単一性 該当しない 該当する(第6条の2第3号)
第5条第1項〜第3項、第5項、第7項 願書の記載事項、添付書類、明細書の記載事項、請求項の記載、要約書 該当しない 明細書・請求の範囲・図面についての著しい記載不備は第6条の2第4号。願書・要約書の方式不備は第2条の2第4項等による

〔表4〕第5条・第6条の各要件の「振り分け」。無効理由は実用新案法第37条第1項第4号、基礎的要件は第6条の2第3号・第4号の文言による(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。「著しく不明確」の該当例は審査基準 第X部第1章 2.5 の記述による。

第5条・第6条の要件 第5条第4項 実施可能 第5条第6項第1号 サポート 第5条第6項第2号 明確性 第5条第6項第3号 簡潔性 第5条第6項第4号 委任省令 第6条 考案の単一性 無効理由 実用新案法第37条第1項第4号 「第五条第四項又は第六項 (第四号を除く。)」 登録後に無効審判で争う 基礎的要件 実用新案法第6条の2第3号 補正命令 → 未補正なら却下

図は左右にスクロールできます。

凡例
登録後に無効審判で争う要件(無効理由)
出願時に特許庁長官がチェックする要件(基礎的要件)
要件から行き先への矢印(交差しないように並べた)

【図3】第5条・第6条の要件の振り分け(2026年9月時点)。要件を左に縦に積み、行き先を右の2つの枠に固定した。第6項第4号と第6条は無効理由にならず、基礎的要件として出願時にチェックされる。※第6条の2第4号「著しい記載不備」は、内容によっては第5条各項にまたがって問題になるため、図では矢印を引いていない。

2. 基礎的要件(第6条の2第3号・第4号)と審査基準 第X部第1章

実用新案法第6条の2(柱書・第3号・第4号)特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
(第一号・第二号略)
三 その実用新案登録出願が第五条第六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

審査基準 第X部第1章「基礎的要件」は、無審査登録制度のもとで「実質的に出願書類の体をなしていない出願がそのまま登録され」ることなどを防ぐために基礎的要件があると説明し、判断項目を次のように整理しています。

審査基準の節 対応する条文 判断の内容(審査基準の記述の要旨)
2.3 実用新案登録請求の範囲に関する委任省令要件違反 第5条第6項第4号 → 第6条の2第3号 請求項ごとに行を改めて一の番号を付し、記載順に連続番号とすること、他の請求項の引用は番号で行い引用する請求項より前に記載されていること、など請求項の形式的な記載方法が省令に合っているか
2.4 考案の単一性違反 第6条 → 第6条の2第3号 基礎的要件の審査では先行技術調査を行わないので、「特別な技術的特徴」は「明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて認定される」
2.5 明細書等の著しい記載不備 第6条の2第4号 「必要な事項が記載されていない」例:技術的事項でない事項(販売地域等)のみの記載、考案の目的・作用・効果のみの記載。「著しく不明確」の例:請求項の記載が技術的に理解できない、一の請求項に異なる考案が複数記載されている、など。「一見して不明確であると判断される場合」が対象
3. 基礎的要件違反の場合の取扱い 第6条の2、第2条の3 補正命令 → 指定期間内に補正がされないときは出願を却下することができる

〔表5〕審査基準 第X部第1章「基礎的要件」2.3〜2.5 および 3 の要点(特許庁、10_0100.pdf、2026年9月参照)。引用符内は審査基準の文言、それ以外は要旨。

補正命令の指定期間内に必要な補正をしない場合の却下は、実用新案法第2条の3によります。請求項の形式は施行規則第4条(連続番号・番号による引用・先に記載した請求項の引用・マルチマルチクレームの禁止など)、単一性の技術的関係は同第7条の2です。後者は、同一又は対応する特別な技術的特徴を有することにより、単一の一般的考案概念を形成するように関連していることを求めます。 実用新案法第2条の3 施行規則第4条・第7条の2

3. 単一性の判断 ― 特許審査との違い

flowchart LR
  subgraph P["特許出願(特許法第37条)"]
    direction TB
    P1["先行技術調査を行う"] --> P2["先行技術との対比で
特別な技術的特徴を認定"] --> P3["単一性違反は拒絶理由
(無効理由ではない)"] end subgraph U["実用新案登録出願(実用新案法第6条)"] direction TB U1["先行技術調査は行わない"] --> U2["明細書・請求の範囲・図面の記載と
出願時の技術常識で認定"] --> U3["単一性違反は基礎的要件
→ 補正命令 → 却下
(無効理由ではない)"] end style P1 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style P2 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style P3 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style U1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style U2 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style U3 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
特許出願側(特許法第37条)
実用新案登録出願側(実用新案法第6条)

【図4】単一性の判断の流れの対比。左右のレーンは段の数(3段)と各段の役割(調査 → 認定 → 違反したときの扱い)をそろえ、色は制度の別だけを表す。実用新案側は審査基準 第X部第1章 2.4 の記述による。特許法第37条違反は第49条第4号の拒絶理由であり、第123条第1項の無効理由には含まれない。実用新案法第6条違反は第6条の2第3号の補正命令の対象で、第37条第1項の無効理由には含まれない。

4. 特許法との対比 ― まとめ表

論点 特許法 実用新案法 違いのポイント
出願書類 第36条第2項:明細書、特許請求の範囲、必要な図面、要約書 第5条第2項:明細書、実用新案登録請求の範囲、図面、要約書 図面が必須か任意か
実施可能要件 第36条第4項第1号 第5条第4項 いずれも無効理由
請求の範囲の記載要件 第36条第6項第1号〜第4号 第5条第6項第1号〜第4号 実用新案では第4号違反が基礎的要件(第6条の2第3号)。第1号〜第3号違反が無効理由(第37条第1項第4号)
単一性 第37条 第6条 実用新案では基礎的要件(第6条の2第3号)。どちらも無効理由ではない
要件不備の処理 審査官による拒絶理由通知・拒絶査定 特許庁長官による補正命令・却下(基礎的要件)/無効審判(無効理由) 無審査登録制度ゆえの二本立て

〔表6〕特許法第36条・第37条と実用新案法第5条・第6条の対比。特許法第36条第4項第1号・第6項、実用新案法第5条第4項・第6項の現行条文と照合。特許法も委任省令要件(第36条第6項第4号)の違反は無効理由から除かれる(第123条第1項第4号)。

5. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向 気をつける点
短答式 「実用新案登録出願には図面の添付を省略できる」型の正誤、第5条第6項第4号・第6条違反が無効理由になるかどうか、基礎的要件(第6条の2各号)の対象の区別 第37条第1項第4号の「(第四号を除く。)」を落とさない。第6条違反は無効理由でも拒絶理由でもなく基礎的要件
論文式 無審査登録制度における記載要件の担保のしくみ(基礎的要件と無効審判の役割分担)を説明させる形 第6条の2(補正命令)→ 却下の流れと、第37条第1項第4号の範囲を条文番号つきで書けるように
口述 特許法第36条第2項との文言の違い(「必要な図面」と「図面」)を問う形 理由(保護対象が物品の形状・構造・組合せに限られること)まで言えるように

〔表7〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

令和8年度短答式の問5(イ)は明細書・請求の範囲・図面の記載が著しく不明確な場合の補正命令と、出願却下後の不服申立てを扱います。本記事の記載不備の説明とつながる肢です。公式正答は4です。 令和8年度問題 公式解答

レベル3のまとめ

  • 無効理由になるのは第5条第4項・第6項第1号〜第3号の違反(実用新案法第37条第1項第4号)。第6項第4号と第6条の違反は無効理由ではない。
  • 第5条第6項第4号・第6条の違反は基礎的要件(第6条の2第3号)。著しい記載不備は第6条の2第4号。補正命令に応じなければ出願却下。
  • 基礎的要件の審査では先行技術調査を行わず、単一性の「特別な技術的特徴」は出願書類の記載と技術常識で認定する(審査基準 第X部第1章 2.4)。
  • 特許法第36条第2項「必要な図面」に対し、実用新案法第5条第2項は「図面」。実用新案では図面が必須。

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