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小学生でも分かる特許法|特許法第100条・第101条 差止請求権・間接侵害 ― 「やめさせる」権利と、「部品を売る行為」も侵害とみなすルール

小学生でもわかる特許法:差止請求権・間接侵害(特許法第100条・第101条)

小学生でも分かる特許法 / C. 特許権の効力・実施権・侵害 #36

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特許権を侵害されたとき、特許権者が最初に使う武器が差止請求です(第100条)。さらに第101条は、特許発明そのものを実施していなくても、「その発明にしか使えない部品を売る」などの行為を侵害とみなします(間接侵害)。侵害の入口となる2条文です。

条文:特許法第100条、第101条関連:第68条、第2条第3項、第102条〜第104条の4、第105条〜第106条、民法第709条参照時点:2026年9月

LEVEL 1イメージでつかむ

まず「やめて」と言える

特許権を持っている人は、勝手に発明を使っている人に「やめてください」と言えます(差止請求)。すでに使っている人にはやめさせ、これから使いそうな人には「使わないで」と予防を求めることもできます。あわせて、侵害品を捨てさせたり、侵害に使った機械を取り除かせたりすることもできます。

「部品だけ」を売るのも、侵害とみなす

Aさんが「特別な消しゴム」の特許を持っています。Bさんは完成品の消しゴムは作らず、「その消しゴムを作るためにしか使えない専用の材料」だけを売っています。買った人が自分で消しゴムを作れば、それは特許の実施ですが、家庭で作る分には「業として」ではないので侵害になりません。するとAさんは誰にも文句が言えなくなってしまいます。

そこで第101条は、こういう「発明にしか使えない物」や「発明の課題解決に不可欠な物」を業として売る行為を、侵害とみなすことにしました(間接侵害)。

直接侵害(第68条) 特許発明の物を 業として生産・販売 → 差止め(第100条)・損害賠償 間接侵害(第101条) その物の生産にのみ用いる 部品・材料を業として販売 → 侵害とみなす → 差止め等が可能 完成品を作っていなくても、「その発明のためだけの部品」を売れば止められる

【図1】直接侵害と間接侵害。

レベル1のまとめ
  • 特許権者は侵害者に「やめて」(停止・予防)と言え、侵害品の廃棄や設備の除却も求められる(第100条)。
  • 発明にしか使えない物などを業として売る行為も侵害とみなす(第101条・間接侵害)。

※間接侵害の6つの類型、「知りながら」の要件、直接侵害がない場合の扱いなどは、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。

LEVEL 2条文の骨格

特許法第100条(原文)1 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)、2026年9月参照。
要素内容
誰が特許権者、専用実施権者(通常実施権者は含まれない)
誰に侵害する者(現に侵害)、侵害するおそれがある者(予防)
何を侵害の停止・予防(第1項)。廃棄・除却その他の予防に必要な行為(第2項:第1項の請求に際して)
過失の要否不要(損害賠償と異なり、故意・過失を問わない)

〔表1〕第100条の分解。第2項は独立の請求ではなく、第1項の請求に付随する。

特許法第101条柱書(原文)次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
号特許の種類行為(要旨)通称
第1号物の発明その物の生産にのみ用いる物を、業として生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出専用品型(のみ品)
第2号物の発明その物の生産に用いる物(国内で広く一般に流通しているものを除く)で、その発明による課題の解決に不可欠なものを、その発明が特許発明であること・その物が実施に用いられることを知りながら、業として生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出不可欠品型(多機能品型)
第3号物の発明その物を、業としての譲渡等または輸出のために所持所持型
第4号方法の発明その方法の使用にのみ用いる物を、業として生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出専用品型
第5号方法の発明その方法の使用に用いる物(汎用品を除く)で課題の解決に不可欠なものを、知りながら、業として生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出不可欠品型
第6号物を生産する方法の発明その方法により生産した物を、業としての譲渡等または輸出のために所持所持型

〔表2〕第101条各号(e-Gov、2026年9月参照)。「のみ」型(第1号・第4号)、「不可欠」型(第2号・第5号)、「所持」型(第3号・第6号)の3グループ×カテゴリー。

flowchart TB
  A["被疑侵害者の行為"] --> B{"特許発明そのものを業として実施しているか"}
  B -- "はい" --> D["直接侵害(第68条)→ 第100条"]
  B -- "いいえ" --> C{"第101条のいずれかに当たるか"}
  C -- "発明にのみ用いる物の生産・譲渡等(第1号・第4号)" --> E["間接侵害(みなし侵害)→ 第100条"]
  C -- "不可欠な物を、知りながら生産・譲渡等(第2号・第5号)" --> E
  C -- "侵害品・生産物の譲渡等・輸出のための所持(第3号・第6号)" --> E
  C -- "いずれでもない" --> N["侵害でない"]
  style D fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
  style E fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
  style N fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F

【図2】直接侵害と間接侵害の判断の分岐図。

レベル2のまとめ
  • 第100条:特許権者・専用実施権者は、侵害者・侵害のおそれのある者に停止・予防を請求でき、廃棄・除却等も請求できる。過失不要。
  • 第101条:のみ品型・不可欠品型(知りながら)・所持型の3グループ×物/方法/物を生産する方法。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 「のみ」型と「不可欠」型の比較

のみ品型(第1号・第4号)不可欠品型(第2号・第5号)
対象物発明の実施にのみ用いる物(他の用途がない物)発明の実施に用いる物で、課題の解決に不可欠なもの(他の用途があってもよい)
汎用品の除外第2・5号のような明文の除外はない。「のみ」の要件を判断「日本国内において広く一般に流通しているもの」を明文で除外
主観的要件不要「その発明が特許発明であること」と「その物がその発明の実施に用いられること」を知りながら(二重の悪意)
導入昭和34年法平成14年改正(多機能品への対応)
「のみ」の解釈他の用途が「社会通念上、経済的・商業的・実用的な用途」として存在しないこと(裁判例の一般的整理)―

〔表3〕2つの類型の比較。

平成14年改正では、専用品以外にも、発明による課題解決に不可欠な物を一定の主観的要件の下で供給する行為が間接侵害に追加されました。「のみ」は、他に経済的・商業的・実用的な用途がないことを意味します。特許庁Q5。一太郎事件(知財高裁2005年9月30日、平成17年(ネ)第10040号)は、課題解決に不可欠な物を、従来技術にはない特徴的な技術手段を特徴付ける特有の構成等を直接もたらす物としました。裁判所判決。判決当時と現行法では号番号が異なるため、現行第101条第2号・第5号と区別します。

2. 直接侵害がない場合の間接侵害 ― 独立説と従属説

場面独立説(間接侵害は直接侵害の有無と無関係)従属説(直接侵害が成立する場合のみ)
買主が家庭内で実施(「業として」でない)間接侵害成立不成立
買主が試験・研究のために実施(第69条第1項)成立不成立
買主が実施権者(許諾・先使用権)成立しうる不成立
輸出用(国外で実施)成立不成立(国外の実施は日本の特許権の侵害でない)

〔表4〕独立説・従属説の対立点。裁判例は場面ごとに判断しており(折衷的)、一律にどちらとは言えない。試験では両説の帰結を示せるようにする。

3. 所持型(第3号・第6号)

平成18年改正で追加された類型で、侵害品を「譲渡等または輸出のために所持する」行為を侵害とみなします。譲渡前の在庫段階で差止め・廃棄ができるようにする趣旨です。「輸出」は第2条第3項の実施行為に同じ改正で追加されました。

4. 差止請求と関連する手続規定

条文内容(要旨)
第104条の2侵害訴訟で相手方の行為の具体的態様を否認するときは、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない
第104条の3特許が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは権利行使できない(無効の抗弁)
第105条〜第105条の3書類提出命令、査証制度(令和元年改正)、損害計算のための鑑定など
第105条の4〜第105条の7秘密保持命令、非公開審理
第106条信用回復の措置
民事訴訟法第6条特許権侵害訴訟の管轄(東京地裁・大阪地裁の専属管轄)

〔表5〕侵害訴訟の関連規定。特許法第104条の2〜第106条・民事訴訟法第6条に対応。第104条の2には具体的態様を明らかにできない相当の理由がある場合の例外がある。

5. 試験での問われ方

試験種別問われ方の傾向気をつける点
短答式「通常実施権者は差止請求できるか(不可)」「差止請求に過失は必要か(不要)」「第2号の主観的要件」「汎用品の明文除外はどの類型か(第2・5号)」「所持型の対象(譲渡等・輸出のため)」「方法の発明の実施にのみ用いる物の輸入」「輸出のための所持は第3号か」〔表1〕〔表2〕〔表3〕
論文式部品供給者の責任を、第101条各号の要件と独立説・従属説で論じさせる【図2】〔表4〕
口述「間接侵害の類型を挙げよ」「差止請求権者は」〔表2〕

〔表6〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

問10(イ)は「のみ」型の間接侵害、問12(ロ)(ハ)は外国譲渡後の権利行使と再生品の消尽が論点です。 公式正解番号:問10=1、問12=2。 公式問題/公式正解。
レベル3のまとめ
  • 第100条:特許権者・専用実施権者の停止・予防請求+廃棄・除却。過失不要。通常実施権者は不可。
  • 第101条:のみ品型(主観不要)・不可欠品型(汎用品除外+二重の悪意)・所持型の3グループ。物/方法/物を生産する方法で6号。
  • 直接侵害がない場合の扱いは独立説・従属説の対立。裁判例は場面ごとに判断。

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