小学生でも分かる意匠法 / C. 意匠権の効力・実施権・侵害 #21
意匠権は「登録意匠」だけでなく「これに類似する意匠」にも及びます(意匠法第23条)。では、その登録意匠の「範囲」は何を元に決まり、「似ているかどうか」はだれの目で判断するのでしょうか。意匠法第24条は、この2つの物差しを定めた条文です。審査(新規性・先願)でも侵害訴訟でも、類否判断の出発点はここにあります。
レベル2条文の骨格 ― 第1項(範囲の決め方)、第2項(類否判断の基準)
レベル3要件・例外・試験での問われ方 ― 審査基準の類否判断手法、部分意匠、特許法第70条との対比
LEVEL 1イメージでつかむ
意匠権は「そっくりさん」にも効く
たとえば、あなたが「とっ手が星の形をしたコップ」のデザインを意匠登録したとします。意匠権は、まったく同じコップだけでなく、「似ている」コップにも効きます。だから「似ているかどうか」を決めるルールがとても大事になります。
意匠法第24条は、そのルールを2つ決めています。
- 何を見て決めるか → 出願のときに出した書類(願書)と図面を見て決める(第1項)。
- だれの目で決めるか → デザイナーの目でも、審査官の目でもなく、そのコップを買う人(需要者=お客さん)の目で決める(第2項)。
図は左右にスクロールできます。
【図1】登録意匠の円(内側)と「これに類似する意匠」の円(外側)の中に、個々のコップを置いたもの。似ているかどうかは、お客さん(需要者)の目で見比べて決める。物品は架空の例で、円の大きさや重なりの度合いは実際の類似の範囲の広さを表すものではない。
なぜ「図面」が決めるの?
特許は「文章」(特許請求の範囲)で発明を説明しますが、デザインは文章では正確に伝えられません。だから意匠は、願書に書いたことと、添えた図面(または写真・ひな形・見本)に現れたデザインそのものを「登録意匠」として扱います。頭の中で考えていたデザインではなく、「紙に現れたもの」が全てです。
なぜ「お客さんの目」なの?
デザインの価値は、お店でそれを見て「いいな」と感じる人によって決まります。デザイナー本人なら「ここが違う」と細かい差に気づくかもしれませんが、買う人がパッと見て「同じような感じ」と思うなら、それは似ているといえます。だから法律は「需要者の視覚を通じて起こさせる美感」=お客さんが目で見て感じる「感じ」を物差しにしました。
見る人=需要者(お客さん)
見方=目で見て感じる「感じ」(美感)
- 登録意匠の範囲は、出願のときに出した願書と図面などを元に決める(第1項)。
- 似ているかどうかは、そのデザインを買う人(需要者)が目で見て感じる「感じ」で決める(第2項)。
※「需要者」に誰が含まれるか、「似ている」をどんな手順で判断するか、部分意匠の場合はどうかなど、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。
LEVEL 2条文の骨格
第1項 ― 登録意匠の範囲は何で決めるか
登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。
図は左右にスクロールできます。
【図2】第24条第1項の構造。「願書の記載」と「図面等に現れた意匠」の両方に基づいて範囲を定める。
| 条文の要素 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| 登録意匠の範囲は | 意匠権の対象となる「登録意匠」がどこまでかという範囲 | 意匠権の効力(第23条)の出発点 |
| 願書の記載 | 願書に書かれた事項(意匠に係る物品・建築物・画像の用途など) | ただし出願人・創作者の氏名等は除く(〔表2〕) |
| 願書に添附した図面に記載され | 図面に描かれた意匠 | 図面は第6条第1項で添付が必要 |
| 又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠 | 図面の代わりに提出した写真・ひな形・見本に現れた意匠 | 第6条第2項で図面に代えて提出できる |
| に基いて定めなければならない | これらを基礎にして決める(義務規定) | 頭の中の構想や、出願後に作った製品は基礎にならない |
〔表1〕第24条第1項の分解。
「願書の記載」から除かれるもの
意匠法第9条の2の括弧書きは、「願書の記載」から一定の事項を除くと定め、その読み方が第24条第1項でも「同じ」だと明記しています。
願書の記載(第六条第一項第一号及び第二号に掲げる事項並びに同条第二項の規定により記載した事項を除く。第十七条の二第一項及び第二十四条第一項において同じ。)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があつた後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
| 除かれる事項 | 根拠 | 内容(第6条の原文による) | 第24条第1項の「願書の記載」に |
|---|---|---|---|
| 出願人の氏名等 | 第6条第1項第1号 | 「意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所」 | 含まれない |
| 創作者の氏名等 | 第6条第1項第2号 | 「意匠の創作をした者の氏名及び住所又は居所」 | 含まれない |
| 写真・ひな形・見本の別 | 第6条第2項 | 「写真、ひな形又は見本の別を願書に記載しなければならない」 | 含まれない |
| 物品・建築物・画像の用途 | 第6条第1項第3号 | 「意匠に係る物品又は意匠に係る建築物若しくは画像の用途」 | 含まれる |
| 材質・大きさの記載 | 第6条第3項 | 通常の知識を有する者が意匠を認識できないときに記載 | 含まれる |
| 機能に基づく変化の説明 | 第6条第4項 | 変化の前後にわたる意匠について登録を受けようとするときに記載 | 含まれる |
〔表2〕第24条第1項の「願書の記載」に含まれる事項・含まれない事項(第9条の2の括弧書きによる整理)。氏名や住所はデザインの内容ではないので除かれる。
第2項 ― 類否判断の基準
登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。
| 条文の要素 | 意味 | レベル1での言い換え |
|---|---|---|
| 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は | 類否判断の場面(何と何を比べるか) | 登録したデザインと、ほかのデザインを比べるとき |
| 需要者の | 判断主体。審査基準は「需要者(取引者を含む)」と説明(レベル3) | 買う人・取引する人 |
| 視覚を通じて起こさせる美感に基づいて | 判断の観点。目で見て起こる美的な印象 | 目で見て感じる「感じ」 |
| 行うものとする | この基準で判断する | ― |
〔表3〕第24条第2項の分解。
flowchart LR A["意匠法第23条
意匠権の効力=登録意匠
+これに類似する意匠"] --> B["第24条第1項
登録意匠の範囲を
願書+図面等で確定"] A --> C["第24条第2項
類似か否かは需要者の
視覚を通じた美感で判断"] B --> D["結論:意匠権が及ぶ範囲"] C --> D
図は左右にスクロールできます。
【図3】第23条と第24条の関係。第23条が「効力の範囲」を宣言し、第24条がその範囲を確定する物差しを与える。
- 第1項:登録意匠の範囲=願書の記載+図面(または写真・ひな形・見本)に現れた意匠に基づいて定める。ただし氏名・住所などの事項は「願書の記載」から除かれる(第9条の2括弧書き)。
- 第2項:類否判断=需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行う。
LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方
1. 第24条が働く場面は「侵害」だけではない
第24条は「意匠権」の章に置かれていますが、「登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否か」という判断は、審査段階の新規性(第3条第1項第3号)や先願(第9条)でも同じ「類似」の概念が用いられます。意匠審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2.1 は、新規性判断における類否判断の主体について、意匠法第24条第2項の規定に基づき「需要者(取引者を含む)」の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うと説明しています。
| 場面 | 条文 | 何と何を比べるか | 第24条との関係 |
|---|---|---|---|
| 新規性の審査 | 意匠法第3条第1項第3号 | 出願意匠 vs 公知意匠 | 審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2 が第24条第2項の基準を用いる |
| 先願の審査 | 意匠法第9条 | 出願意匠 vs 先願・同日出願の意匠 | 同一又は類似の判断に同じ観点 |
| 意匠権の効力 | 意匠法第23条 | 登録意匠 vs 相手方の実施意匠 | 第24条の直接の適用場面 |
| 判定 | 意匠法第25条 | 登録意匠 vs 特定の意匠 | 登録意匠の範囲について特許庁が判定 |
〔表4〕類否判断が登場する場面の整理。
2. 審査基準の類否判断手法(第III部 第2章 第1節 2.2.2)
意匠審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2.2 は、対比する両意匠が「物品等の用途及び機能が同一又は類似」であり、かつ「形状等が同一又は類似」である場合に類似と判断する、という枠組みを示し、その手順を 2.2.2.1〜2.2.2.7 に整理しています。
flowchart TB
S["対比する2つの意匠"] --> P{"2.2.2.2
物品等の用途及び機能が
同一又は類似か?"}
P -- "はい" --> F["2.2.2.5
形状等の認定
共通点・差異点の認定"]
P -- "いいえ" --> N1["非類似"]
F --> E["2.2.2.6
共通点・差異点の個別評価
(注意を引く程度・先行意匠群との対比)"]
E --> T{"2.2.2.7
総合的な類否判断
意匠全体として異なる美感を
起こさせるか?"}
T -- "いいえ(異なる美感を起こさせない)" --> Y["類似"]
T -- "はい(異なる美感を起こさせる)" --> N2["非類似"]
style Y fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F
style N1 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
style N2 fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
【図4】審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2.2 の類否判断手法をフロー化したもの。部分意匠では 2.2.2.3・2.2.2.4 の観点が加わる(〔表7〕)。凡例:緑=「類似」の結論/赤=「非類似」の結論。(項目番号は2026年9月参照の審査基準による)
| 項目番号 | 審査基準の見出し | 内容の要点 |
|---|---|---|
| 2.2.1 | 判断主体 | 「需要者(取引者を含む)」。第24条第2項の「需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うもの」であり、創作者の主観ではなく客観的な印象で判断 |
| 2.2.2.1 | 意匠の類否判断の観点 | 物品等の用途・機能の類否と、形状等の類否の両面から判断 |
| 2.2.2.2 | 物品等の用途及び機能の認定及び類否判断 | 「意匠に係る物品等の用途及び機能が同一又は類似であることを前提とする」。詳細な比較は要せず、形状等の価値を評価する範囲において用途及び機能に共通性があれば足りる |
| 2.2.2.3 | 部分意匠の当該部分における用途及び機能 | 部分意匠では「意匠登録を受けようとする部分」の用途・機能も対比 |
| 2.2.2.4 | 部分意匠の位置、大きさ、範囲 | 物品全体における当該部分の位置・大きさ・範囲を対比。ありふれた範囲内の差なら影響は小さい |
| 2.2.2.5 | 形状等の認定及び共通点・差異点の認定 | 「肉眼による視覚観察を基本」。全体の形状等(骨格的形状等、基本的構成態様)と各部の形状等を認定し、共通点・差異点を認定 |
| 2.2.2.6 | 形状等の共通点・差異点の個別評価 | 各共通点・差異点が対比観察時に注意を引く程度を評価。先行意匠群との対比も考慮(〔表6〕) |
| 2.2.2.7 | 総合的な類否判断 | 「意匠全体として両意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察した場合に、需要者に対して異なる美感を起こさせるか否か」を判断 |
〔表5〕審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2 の類否判断の構成(項目番号は2026年9月参照の審査基準による)。
| 個別評価で考慮される要素(2.2.2.6) | 意味 |
|---|---|
| 意匠全体に占める割合 | その部分が大きいほど、共通点・差異点が注意を引きやすい |
| 物品等の特性からみた視覚的影響 | その物品ではどこがよく見られるか(例:使用時に正面から見る部分) |
| 観察されやすさ | 通常の使用・取引の状態で目に入るか |
| 機能的必然性の有無 | 機能上そうならざるを得ない形状は、注意を引く程度が低く評価されやすい |
| 先行意匠群との対比 | ありふれた形状の共通点は評価が低く、新規な形状の共通点は評価が高い |
〔表6〕共通点・差異点の個別評価で考慮される要素(審査基準 2.2.2.6 の趣旨を整理)。
図は左右にスクロールできます。
【図5】物品等の類否と形状等の類否のマトリクス。両方が同一又は類似のときだけ「意匠として類似」となる(審査基準 2.2.2 の枠組み)。※形状等が「非類似」の列と、物品等が「非類似」の行は、いずれも意匠として非類似となる。(項目番号は2026年9月参照の審査基準による)
3. 部分意匠の類否
| 対比する観点 | 審査基準の項目 | 要点 |
|---|---|---|
| 物品等全体の用途・機能 | 2.2.2.2 | 全体意匠と同じく、意匠に係る物品等の用途・機能の同一・類似が前提 |
| 当該部分の用途・機能 | 2.2.2.3 | 「意匠登録を受けようとする部分」と公知意匠の対応部分の用途・機能の同一・類似 |
| 当該部分の位置・大きさ・範囲 | 2.2.2.4 | 物品全体における位置・大きさ・範囲の同一・類似。ありふれた範囲内であれば類否への影響は小さい |
| 当該部分の形状等 | 2.2.2.5〜2.2.2.7 | 「意匠登録を受けようとする部分」の形状等の同一・類似を、全体意匠と同じ手順で判断 |
〔表7〕部分意匠の類否判断で加わる観点。
4. 特許法第70条との対比
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
| 観点 | 意匠法第24条 | 特許法第70条 |
|---|---|---|
| 範囲の呼び方 | 「登録意匠の範囲」 | 「特許発明の技術的範囲」 |
| 範囲を定める基礎 | 「願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は…写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠」(第1項) | 「願書に添付した特許請求の範囲の記載」(第1項) |
| 解釈の補助資料 | 規定なし(願書の記載と図面等そのものが基礎) | 明細書の記載及び図面を考慮して用語の意義を解釈(第2項)。要約書は考慮してはならない(第3項) |
| 「類似」の範囲 | 意匠権は類似する意匠にも及ぶ(第23条)ため、類否判断の基準を第2項が明示 | 特許権は「特許発明」の実施に及ぶ(特許法第68条)。均等論は判例法理であり条文上の規定はない |
| 判断主体の明示 | あり(「需要者」) | なし |
〔表8〕意匠法第24条と特許法第70条の対比。実用新案登録請求の範囲については、実用新案法第26条が、特許法第69条第1項・第2項、第70条から第71条の2まで(特許権の効力が及ばない範囲及び特許発明の技術的範囲)等を実用新案権に準用しています(出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000123)、2026年9月参照)。
5. 拒絶理由・無効理由との関係
第24条自体は、拒絶理由(意匠法第17条)にも無効理由にも掲げられていません。第24条は「判断の物差し」であり、それを使って第3条第1項第3号(類似する意匠の新規性)や第9条(先願)の該当性が判断される、という関係です。意匠法第17条第1号は「第三条、第三条の二、第五条、第八条、第八条の二、第九条第一項若しくは第二項…」を列挙しており、第24条は含まれていません。
6. 逐条解説(青本)による説明
特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』(令和4年10月刊。以下「青本〔第22版〕」)は、第24条について次のように説明しています。
第1項について。逐条解説は、意匠は物品の外観であることから、登録意匠の範囲は、願書に添付された図面・写真・ひな形又は見本により現された意匠と、願書の記載(意匠に係る物品、意匠に係る物品の説明及び意匠の説明の欄の記載)に基づいて定められる、と説明しています。そのうえで、特許発明・登録実用新案の範囲は特許請求の範囲・実用新案登録請求の範囲という文言による記載に基づいて定められる(いわゆるクレーム制度。特許法第70条及び実用新案法第26条)のに対し、意匠は意匠登録請求の範囲を文言で記載する方法を採っていない、という対比を示しています(青本〔第22版〕1315頁)。〔表2〕の「願書の記載」から氏名等が除かれる整理は、この説明と対応しています。
第2項について。逐条解説は、第2項は平成18年の一部改正において、意匠の類否判断を明確化するために、最高裁判例等の説示に基づいて規定されたものである、と説明しています(青本〔第22版〕1315頁)。逐条解説は、第24条の見出しと第2項のそれぞれに平成18年法律第55号による改正・追加である旨を付記しており、第2項が平成18年改正で追加されたことはここからも確認できます。
「需要者」の意味について。逐条解説は〔字句の解釈〕において、「需要者」は取引者及び需要者を意味するとしています。そして、最高裁の判例上は意匠の類否判断の視点が一般需要者とされていたが、その後、類否判断の視点を取引者・需要者とする裁判例が多く存在すること等を考慮して、意匠法では一般需要者ではなく需要者に起こさせる美感の共通性の有無に基づいて判断するものと規定した、と説明しています(青本〔第22版〕1315〜1316頁)。審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2.1 が判断主体を「需要者(取引者を含む)」とするのは、この理解と一致します。
※上記は逐条解説(立法担当者による解説であり、有権解釈ではありません)の内容の要約です。青本原本PDFの該当頁と照合したうえでの要約です(2026年9月21日照合)。
青本が挙げる判例は、最高裁第三小法廷昭和49年3月19日判決(昭和45年〔行ツ〕第45号・可撓性伸縮ホース事件)です。判決は、一般需要者の立場でみた美感の類否と、当業者の立場でみた創作容易性は別の判断だと説明しています。現行の第24条第2項は前者の類否判断の基準です。当時の第3条第2項の公知資料の範囲を、そのまま現在の制度として読むものではありません。最高裁判決・2頁。
7. 試験での問われ方
| 試験種別 | 学習用の問いの例 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 短答式 | 「類否判断は創作者の視覚を通じて…」「登録意匠の範囲は図面のみに基づいて定める」などの言い換えの正誤。侵害事例で「美感の共通性がない場合」の実施該当性 | 第1項は「願書の記載」も基礎に含む。第2項の主体は「需要者」 |
| 論文式 | 侵害事例で、登録意匠の範囲を確定した上で類否判断を論じさせる。部分意匠の場合の観点 | 第23条→第24条第1項→第24条第2項→審査基準の手順の順で論じる |
| 口述 | 「登録意匠の範囲は何に基づいて定めるか」「類否判断の基準を述べよ」 | 原文どおり暗唱できるようにする |
〔表9〕学習用の問いと確認点。出題実績や頻度の集計ではありません。
- 第24条は侵害場面だけでなく、新規性・先願の審査でも同じ類否判断の物差しとして機能する(審査基準 第III部 第2章 第1節 2.2)。
- 審査基準の手法:物品等の用途・機能の類否 → 形状等の認定と共通点・差異点の認定 → 個別評価 → 総合的な類否判断。部分意匠では当該部分の用途・機能、位置・大きさ・範囲の観点が加わる。
- 特許法第70条との違い:意匠は「願書の記載+図面等」が基礎、特許は「特許請求の範囲」が基礎で明細書・図面は解釈の補助。判断主体を明示するのは意匠法のみ。
- 第24条は拒絶理由・無効理由そのものではない。
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