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小学生でも分かる意匠法|意匠法第42条〜第45条 登録料・納付期限・追納・回復 ― 払わないと権利は生まれず、払い忘れると消える

小学生でもわかる意匠法 19:登録料(第42条〜第45条)

小学生でも分かる意匠法 / B. 出願・審査・登録の手続 #19

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意匠権は、審査に合格しただけでは発生しません。「登録料」を納めて初めて設定登録され、権利が生まれます。そのあとも毎年の登録料を納め続けないと、権利は消えてしまいます。この記事では、登録料をいつまでに納めるのか、遅れたらどうなるのか、消えた権利を取り戻せるのかを、特許法・実用新案法と比べながら整理します。政令で決まっている実際の金額は本記事では扱いません。

条文:意匠法第42条〜第45条(第43条の2・第44条の2・第44条の3を含む)関連:意匠法第20条・第21条対比:特許法第107条〜第112条の3、実用新案法第31条〜第34条参照時点:2026年9月
目次

LEVEL 1イメージでつかむ

合格しただけでは、権利はもらえない

あなたが考えた新しいデザインの椅子について、特許庁の審査に合格したとします(「登録査定」といいます)。でも、この時点ではまだ「意匠権」という権利は生まれていません。合格の通知が届いてから30日以内に、1年目の「登録料」を納めると、はじめて登録され、権利が生まれます。

登録料は、スポーツクラブの会費に似ています。入会するときに1年分を払い、そのあとは毎年、次の年の分を前もって払います。払い続けているあいだだけ、権利を持っていられます。

合格の通知 (登録査定)

30日以内に納付

登録・権利発生 1年目の分を納付

2年目 3年目 4年目… 毎年、次の年の分を「前の年まで」に納付

出願日から 25年で終了

もし払い忘れたら? ① 期限のあと6か月 2倍払えば間に合う (追納) → ② それも過ぎた 権利は「期限の時」に さかのぼって消える → ③ わざとでなければ 期限内に2倍払えば 取り戻せる(回復)

第1年分の納付期間(登録前) 第2年以後の各年分(毎年くり返す) 払い忘れたときの3段階

図は左右にスクロールできます。

【図1】登録料の流れ。上段が通常の納付、下段が払い忘れたときの3段階。丸=時点、横長の帯=期間。(時間軸は縮尺なし)(2026年9月時点の意匠法による)

払い忘れたら、どうなる?

2年目以降の登録料を期限までに払い忘れても、すぐには消えません。期限のあと6か月のあいだは、「本来の登録料」と「同じ額の割増(罰金のようなもの)」をあわせて払えば、間に合います。これを「追納(ついのう)」といいます。

その6か月も過ぎてしまうと、権利は「期限が切れた時点にさかのぼって」消えたことになります。ただし、わざと払わなかったのでなければ、決められた期間のうちに「登録料+割増」を払って、権利を取り戻す(回復する)ことができます。取り戻した権利には、消えていたあいだに他の人がしたことについて、少しだけ効かない範囲があります。

合格しただけでは権利なし → 1年目の登録料を納めて登録
2年目からは「前の年まで」に納める
忘れても6か月は追納できる(2倍)
それも過ぎると消える。わざとでなければ回復できる
レベル1のまとめ

  • 登録料=権利をもらい、持ち続けるための毎年の「会費」。1年目の分を納めてはじめて権利が生まれる。
  • 払い忘れても6か月は「2倍払い」で追納できる。それも過ぎると、期限の時にさかのぼって消える。
  • わざとでなければ、決められた期間内に払って取り戻せる(回復)。

※日数の細かい数え方、割増がいらない場合、回復できる期間と回復後の権利の制限は、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。

LEVEL 2条文の骨格

全体の並び

条文 見出し ひとことで
意匠法第42条 登録料 誰が・いくらの上限で・どう納めるか
意匠法第43条 登録料の納付期限 第1年分は30日以内、第2年以後は前年以前。延長と、責めに帰することができない理由による救済
意匠法第43条の2 利害関係人による登録料の納付 利害関係人は本人の意に反しても納付できる
意匠法第44条 登録料の追納 期限後6月以内の追納、割増登録料、みなし消滅
意匠法第44条の2 登録料の追納による意匠権の回復 故意でなければ、一定期間内の追納で回復
意匠法第44条の3 回復した意匠権の効力の制限 追納期間経過後・回復登録前の物や行為には及ばない
意匠法第45条 特許法の準用 既納の登録料の返還(特許法第111条の準用)

〔表1〕意匠法第42条〜第45条の構成。

第42条 ― 登録料

意匠法第42条(原文)
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
2 前項の規定は、国に属する意匠権には、適用しない。
3 第一項の登録料は、意匠権が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項に規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第一項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
項 要点 注意
第1項 納付する人=「意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者」。対象=「第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年」。単位=「一件ごとに」。額=「一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額」 条文にあるのは上限額。実際の年額は政令(意匠法関係手数料令等)で定められ、本記事では扱わない。特許法のような「一請求項につき」の加算はない。
第2項 国に属する意匠権には適用しない 国は納付不要。
第3項 国と国以外の者の共有で持分の定めがあるときは、国以外の者の持分割合を乗じた額を、国以外の者が納付 特許法第107条第3項には「減免を受ける者」を含む計算があるが、意匠法にはない(意匠法に減免制度がないため)。
第4項 10円未満の端数は切り捨て 第3項の計算に伴う端数処理。
第5項 特許印紙で納付。省令で定める場合は現金も可 特許法第107条第5項と同じ構造。

〔表2〕第42条の項ごとの要点。

「各年」の起点登録料の年数は、設定登録日を基準に数えます。特許庁は、納付期限を「設定登録年月日に納付済年分を加えた日」と案内しています。例えば、2026年4月1日に設定登録され、第1年分を納めている場合、第2年分の納付期限は2027年4月1日です(閉庁日に当たれば翌開庁日)。一方、意匠権の存続期間は原則として出願日から25年です。登録料の年数と権利の存続期間では、起点が異なります。出典:特許庁「権利維持のための料金納付」、意匠法第21条・第42条・第43条。

逐条解説による第42条の説明:青本〔第22版〕は、登録料の年区分と金額について次のような改正経緯を説明しています(青本〔第22版〕意匠法1350〜1351頁)。

  • 平成18年の一部改正で存続期間が15年から20年に延長された際、第16年から第20年までの登録料は第11年から第15年までと同額とされた。その理由として、意匠権は技術ではなく美的な物品のデザインに対して与えられる権利であり、権利を早期に手放すことを促進する政策的必要性は特許権に比較して強くないと考えられたため、と説明しています。
  • 平成23年の一部改正では、第11年目以降の登録料を引き下げて第4年から第10年目までと同額とした。その背景として、ロングライフデザインが重視される一方で累積的に増加する登録料の後年度負担が重かったこと、諸外国と比べて後年度の負担が高額であったことを挙げています。
  • 令和3年の一部改正で、特許料と同様に、年限の区分ごとに各号で金額を定める形式をやめ、上限額のみを法定し、具体的な金額は政令で定める形式に改めた、と説明しています。本記事で条文上の上限額だけを示し、実額を扱わないのはこのためです。

第43条 ― 登録料の納付期限

意匠法第43条(原文)
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
3 特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間を延長することができる。
4 登録料を納付する者がその責めに帰することができない理由により第一項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその登録料を納付することができないときは、第一項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
意匠法第20条第1項・第2項(原文)
意匠権は、設定の登録により発生する。
2 第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付があつたときは、意匠権の設定の登録をする。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
flowchart LR
  A["登録査定/審決の
謄本の送達"] --> B["第1年分の登録料
送達日から30日以内
(第43条第1項)"] B -. "請求により
30日以内を限り延長
(第43条第3項)" .-> B2["延長後の期間"] B -. "責めに帰することができない理由
理由がなくなつた日から14日(在外者は2月)以内
かつ期間経過後6月以内
(第43条第4項)" .-> B3["救済期間"] B --> C["設定の登録
(第20条第2項)"] B2 --> C B3 --> C C --> D["意匠権の発生
(第20条第1項)"] D --> E["第2年以後の各年分
前年以前に納付
(第43条第2項)"]

図は左右にスクロールできます。

【図2】第1年分の納付から意匠権の発生まで。凡例:実線=必ず通る経路(原則)/点線=請求・要件を満たしたときに使える経路(期限の延長・救済)。(2026年9月時点の意匠法による)

項 何の期間か 長さ 起算点
第43条第1項 第1年分の納付期限 30日以内 登録査定又は審決の謄本の送達があった日
第43条第2項 第2年以後の各年分の納付期限 前年以前 (各年の開始前まで)
第43条第3項 第1項の期間の延長(請求による) 30日以内を限り 特許庁長官が延長
第43条第4項 責めに帰することができない理由による第1年分の救済 理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ、期間経過後6月以内 第1項の期間(延長後の期間)

〔表3〕第43条の期間の整理。第4項の救済は第1年分(第1項の期間)についてのもので、第2年以後の各年分は第44条の追納で扱う。

逐条解説による第43条の説明:青本〔第22版〕は、旧意匠法施行規則では第1年から第3年までの分の登録料を納付すべきこととしていたが、意匠には流行に左右されるライフサイクルの短いものも相当にあり、一度に3年分の登録料を取るまでのこともないと考えられるので、設定の登録の際にも1年分の登録料を納付すればよいとした、と説明しています。その半面、特許料や実用新案の登録料のような納付の減免又は猶予(特許法第109条、実用新案法第32条の2)は認められない、としています。また、第4項は平成26年の一部改正で救済規定として新設され、平成27年の一部改正で第1項に規定する期間について明確化する修正が行われた、と説明しています(青本〔第22版〕意匠法1352〜1353頁)。〔表12〕の「第1年から第3年までの一括納付」「減免・猶予」が意匠法にない理由は、この説明に対応します。

第43条の2 ― 利害関係人による登録料の納付

意匠法第43条の2(原文)
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料を納付することができる。
2 前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。

たとえば実施権者(ライセンスを受けている人)は、意匠権者が登録料を払い忘れて権利が消えると困ります。そこで、利害関係人は意匠権者の意に反してでも納付でき、意匠権者が「現に利益を受ける限度」で費用の償還を請求できます。

特許法第110条との文言の違いは意図的なもの:特許法第110条第1項は「利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は」と定め、利害関係人以外の者も特許料を納付できます。これに対し意匠法第43条の2第1項は「利害関係人は」とだけ定めています(いずれも e-Gov で2026年9月参照)。青本〔第22版〕は、平成27年の一部改正で特許法第110条第1項を改正して利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者が特許料を納付できることとしたが、意匠権の登録料については従前のとおり利害関係人に限り納付を許容することとするため、改正前の第45条(特許法の準用)から切り離して第43条の2を新たに規定した、と説明しています(青本〔第22版〕意匠法1353頁)。

第44条 ― 登録料の追納

意匠法第44条(原文)
意匠権者は、第四十三条第二項に規定する期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
2 前項の規定により登録料を追納する意匠権者は、第四十二条第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。ただし、当該意匠権者がその責めに帰することができない理由により第四十三条第二項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。
3 前項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
4 意匠権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内にその登録料及び第二項の規定により納付すべき割増登録料を納付しないときは、その意匠権は、第四十三条第二項に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
項 要点
第1項 追納できるのは「第四十三条第二項に規定する期間」(第2年以後の各年分の期限)を過ぎた場合。期間経過後6月以内。
第2項 本来の登録料に加え「その登録料と同額の割増登録料」。ただし、責めに帰することができない理由で期間内に納付できなかったときは割増不要(例外)。
第3項 割増登録料も特許印紙(省令で定める場合は現金)。
第4項 追納期間内に登録料+割増登録料を納めないと、「第四十三条第二項に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす」。消滅の時点は追納期間の満了時ではなく、本来の期限の経過時。

〔表4〕第44条の項ごとの要点。

逐条解説による第44条の説明:青本〔第22版〕は、第44条の趣旨について特許法第112条の解説を参照するよう指示し、令和3年の一部改正により、特許法と同様に、意匠権者の責めに帰することができない理由により納付期間内に登録料を納付できなかった場合には割増登録料の納付を免除する規定を整備した、と説明しています(青本〔第22版〕意匠法1354頁)。参照先の特許法第112条の解説は、6月の追納期間は工業所有権の保護に関するパリ条約第5条の2に対応するものであること、第2項ただし書(割増の免除)は、災害等のやむを得ない理由で納付期間を徒過した場合にも必ず割増特許料を納付させるのは不合理であるとの声が多数寄せられたことを踏まえて令和3年改正で新設されたこと、を説明しています(青本〔第22版〕特許法417〜418頁)。

第44条の2 ― 追納による意匠権の回復

意匠法第44条の2(原文)
前条第四項の規定により消滅したものとみなされた意匠権の原意匠権者は、同項に規定する登録料及び割増登録料を納付することができるようになつた日から二月以内で同条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後一年以内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料及び割増登録料を追納することができる。ただし、故意に、同項の規定により登録料を追納することができる期間内にその登録料及び割増登録料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
2 前項の規定による登録料及び割増登録料の追納があつたときは、その意匠権は、第四十三条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたものとみなす。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
要素 条文の文言 意味
誰が 「消滅したものとみなされた意匠権の原意匠権者」 消滅時の意匠権者(元の権利者)。
いつまで 「納付することができるようになつた日から二月以内で…追納することができる期間の経過後一年以内に限り」 「納付できるようになった日から2月」と「追納期間の経過後1年」の両方を満たす期間内。
何を 「その登録料及び割増登録料」 本来の登録料と割増登録料の両方。
除外(ただし書) 「故意に…納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない」 わざと納めなかったと認められると回復できない。
効果(第2項) 「第四十三条第二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたものとみなす」 消滅がなかったことになる(ただし第44条の3の制限あり)。

〔表5〕第44条の2の要素分解。

第44条の3 ― 回復した意匠権の効力の制限

意匠法第44条の3第1項・第2項柱書(原文)
前条第二項の規定により意匠権が回復したときは、その意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前に、輸入をし、若しくは日本国内において製造若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る物品若しくは画像記録媒体等、日本国内において建築若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る建築物又は日本国内において作成若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像には、及ばない。
2 前条第二項の規定により回復した意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。第2項各号は〔表6〕に要旨を示す。
号 対象 効力が及ばない行為(要旨)
第1号 意匠 当該意匠又はこれに類似する意匠の実施
第2号 物品 物品の製造に用いる物品・プログラム等・プログラム等記録媒体等について、その製造・譲渡・貸渡し・輸入・譲渡等の申出(イ)、プログラム等の作成・電気通信回線を通じた提供・その申出(ロ)
第3号 物品 物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為
第4号 建築物 建築物の建築に用いる物品・プログラム等・プログラム等記録媒体等について、第2号と同様の行為(イ・ロ)
第5号 建築物 建築物を譲渡又は貸渡しのために所有した行為
第6号 画像 画像の作成に用いる物品・画像・一般画像記録媒体等・プログラム等・プログラム等記録媒体等について、第2号と同様の行為(イ・ロ)
第7号 画像 画像を電気通信回線を通じた提供のために保有した行為、画像記録媒体等を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為

〔表6〕第44条の3第2項各号の要旨(物品・建築物・画像の3類型で号が立てられている。原文は e-Gov で確認)。

「追納期間の経過後」から「回復の登録前」までの空白期間に、意匠権が消えていると信じて物品を作った人や輸入した人を保護するための規定です。青本〔第22版〕は第44条の3の趣旨について特許法第112条の3の解説を参照するよう指示しており、参照先の解説は、一旦失効した権利が遡及的に回復する場合に、権利が消滅した後に実施をしていた第三者にまで回復後に遡って効力を及ぼすことは妥当でないため、追納期間の経過後から回復の事実が公示される回復の登録までの間の第三者の一定の行為には効力が及ばないこととした、と説明しています(青本〔第22版〕意匠法1357頁、特許法423頁)。対象が「物品」「建築物」「画像」に分かれているのは、令和元年改正で建築物・画像が意匠の対象になったことに対応するもので、青本〔第22版〕も、令和元年の一部改正で第1項を改正し第2項に第4号から第7号までを新設して建築物・画像についても物品と同様に効力の及ばない範囲を規定した、と説明しています(青本〔第22版〕意匠法1358頁。同シリーズ #1)。

第45条 ― 特許法の準用(既納の登録料の返還)

意匠法第45条(原文)
特許法第百十一条第一項(第三号を除く。)から第三項まで(既納の特許料の返還)の規定は、登録料に準用する。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。
特許法第111条(原文・第1項第1号・第2号と第2項・第3項)
既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
一 過誤納の特許料
二 第百十四条第二項の取消決定又は特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料
2 前項の規定による特許料の返還は、同項第一号の特許料については納付した日から一年、同項第二号及び第三号の特許料については第百十四条第二項の取消決定又は審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。
3 第一項の規定による特許料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。

出典:e-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000121)、2026年9月参照。第3号(存続期間の延長登録の無効)は意匠法に延長登録制度がないため準用から除かれている。
返還されるもの 請求できる期間 意匠法での読み方
過誤納の登録料(第1号) 納付した日から1年 そのまま準用。
無効審決が確定した年の翌年以後の各年分(第2号) 審決が確定した日から6月 意匠法に特許異議の申立て(特許法第114条第2項の取消決定)はないので、意匠登録無効審判の審決確定の場合として読む。
延長登録無効の場合(第3号) ― 準用されない(意匠法に存続期間の延長制度がない)。
責めに帰することができない理由(第3項) 理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ期間経過後6月以内 そのまま準用。

〔表7〕第45条で準用される既納登録料の返還。

レベル2のまとめ

  • 第42条:登録料は一件ごと・各年について、政令で定める額(上限1万6千9百円)。国は不要。特許印紙(省令で定める場合は現金)。
  • 第43条:第1年分は査定・審決の謄本送達日から30日以内(請求で30日以内延長可、責めに帰することができない理由なら14日/2月+6月の救済)。第2年以後は前年以前。第1年分の納付で設定登録(第20条第2項)。
  • 第43条の2:利害関係人は意に反しても納付でき、費用償還を請求できる。
  • 第44条:第2年以後の分は期限経過後6月以内に追納可。割増登録料は同額(責めに帰することができない理由なら不要)。追納しなければ期限経過時に遡って消滅。
  • 第44条の2:故意でなければ、納付できるようになった日から2月以内かつ追納期間経過後1年以内に追納すれば回復。第44条の3で効力制限。
  • 第45条:既納登録料の返還は特許法第111条第1項(第3号を除く)〜第3項を準用。

LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 第2年以後の登録料 ― 期限から回復までの全体図

flowchart TB
  A["第2年以後の各年分の納付期限
=前年以前(第43条第2項)"] --> B{"期限内に納付したか?"} B -- "いいえ" --> C["追納期間:期限経過後6月以内
登録料+同額の割増登録料
(第44条第1項・第2項)"] B -- "はい" --> OK["意匠権は存続"] C --> D{"追納期間内に
登録料+割増登録料を
納付したか?"} D -- "いいえ" --> E["期限経過の時に遡って消滅したものとみなす
(第44条第4項)"] D -- "はい" --> OK E --> F{"故意に納付しなかったと
認められるか?(第44条の2第1項ただし書)"} F -- "いいえ(故意でない)" --> G{"納付できるようになった日から2月以内
かつ 追納期間経過後1年以内に
登録料+割増登録料を追納したか?
(第44条の2第1項)"} F -- "はい(故意)" --> NG["回復できない"] G -- "はい" --> H["期限経過の時に遡って存続していたものとみなす
(第44条の2第2項)"] G -- "いいえ" --> NG style OK fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style H fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style NG fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

【図3】第2年以後の登録料の、納付期限から追納・消滅・回復までの分岐図。凡例:緑=意匠権が存続する結末/赤=意匠権が失われる結末。※責めに帰することができない理由により第43条第2項の期間内に納付できなかったときは、割増登録料は不要(第44条第2項ただし書)。ただし追納期間(6月)が延びるわけではない。※回復した意匠権には第44条の3の効力制限がかかる。(2026年9月時点の意匠法による)

起算点 時間 →(縮尺なし)

A. 第1年分(起算点=謄本の送達)

第1年分の納付 (第43条第1項) 30日以内

請求による期間の延長 (第43条第3項) 30日以内を限り

責めに帰することができない 理由による救済(第43条第4項) 期間経過後6月以内

B. 第2年以後(起算点=期限の経過)

第2年以後の各年分の納付 (第43条第2項) 前年以前

追納+割増登録料 (第44条第1項・第2項) 6月以内

回復のための追納 (第44条の2第1項) 追納期間の経過後1年以内

追納しなければ遡って消滅 (第44条第4項) この時点に遡って消滅する

原則の納付期間 請求・要件を満たせば使える期間 ×=この範囲では納付できない ●=時点

図は左右にスクロールできます。

【図4】登録料の期限を手続ごとの横棒にしたガント型の図。上段(A)は第1年分で、起算点は登録査定又は審決の謄本の送達があった日。下段(B)は第2年以後の各年分で、起算点は第43条第2項に規定する期間の経過。縦の破線は、それぞれの群の起算点を表す。丸=時点、横棒=期間。回復のための追納は、図の横棒(追納期間の経過後1年以内)に加えて「納付できるようになった日から2月以内」という条件も同時に満たす必要がある(第44条の2第1項)。※第44条第2項ただし書により、責めに帰することができない理由があるときは割増登録料が不要になるが、追納期間(6月)が延びるわけではない。※横棒の長さは配置の都合によるもので、期間の実際の長短の比ではない。(時間軸は縮尺なし)(2026年9月時点の意匠法による)

2. 期間の一覧

場面 期間 起算点 条文
第1年分の納付 30日以内 査定又は審決の謄本の送達があった日 意匠法第43条第1項
第1年分の期間延長 30日以内を限り 請求による長官の延長 意匠法第43条第3項
第1年分・責めに帰することができない理由 理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内、かつ期間経過後6月以内 第1項の期間(延長後の期間)の経過 意匠法第43条第4項
第2年以後の納付 前年以前 ― 意匠法第43条第2項
追納 6月以内 第43条第2項の期間の経過 意匠法第44条第1項
回復のための追納 納付できるようになった日から2月以内、かつ追納期間経過後1年以内 ― 意匠法第44条の2第1項
過誤納の返還請求 納付した日から1年 納付日 意匠法第45条で準用する特許法第111条第2項
無効審決確定後の翌年以後分の返還請求 6月 審決が確定した日 同上

〔表8〕登録料に関する期間の一覧(2026年9月時点の意匠法による)。

3. 割増登録料が要らない例外と、回復の要件(令和3年改正)

割増登録料の例外:意匠法第44条第2項ただし書により、「その責めに帰することができない理由」で第43条第2項の期間内に納付できなかったときは、追納の際に割増登録料は不要です。追納そのものは第1項の6月以内という期間で行う必要があります(例外は「割増が要らない」だけで、追納期間が延びるわけではない)。

回復の要件:意匠法第44条の2第1項ただし書は「故意に…納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない」と定めます。つまり、故意でない限り回復の追納ができます。e-Gov法令検索の改正履歴によれば、意匠法は令和3年法律第42号(特許法等の一部を改正する法律)による改正を令和5年4月1日に施行しています。

時期 回復の要件(第44条の2第1項) 根拠
平成23年改正前 責めに帰することができない理由があること 令和3年改正解説書 11頁(日本の権利等の回復制度の経緯として説明)
平成23年改正後〜令和3年改正前 正当な理由があること(特許法条約(PLT)の相当な注意基準を採用) 同 11頁
現行(令和3年改正後) 故意に納付しなかったと認められる場合を除く(故意でない基準) 意匠法第44条の2第1項ただし書(e-Gov、2026年9月参照)、令和3年改正解説書 12・23〜24頁

〔表9〕回復の要件の変遷。令和3年改正解説書は特許庁の法律改正解説書(令和3年法律第42号の解説)第1章「特許権等の権利回復の要件の変更」を指す。頁は原本の印刷頁(PDF p.3〜5、p.14〜16)。

改正の理由:令和3年改正解説書は、日本では特許庁の処分が後に行政争訟の対象となることも念頭に「正当な理由」を慎重に解して運用してきた結果、権利回復の判断基準・立証負担が欧米諸国に比して厳格に過ぎるとの指摘を受け、認容率も突出して低かったことから、要件を、手続をすることができなかったことについて正当な理由があること、から、手続をしなかったことが故意によるものでないこと、に改めた、と説明しています。あわせて、制度の濫用を防ぐため回復手数料を徴収することとした、としています(令和3年改正解説書 12〜13頁)。意匠法第44条の2第1項については、特許法第112条の2第1項と同趣旨で要件を改正した、と説明しています(同 24頁)。

※令和3年改正解説書の記述は、特許庁公表PDFの抽出テキストに基づく要約です。原文の言い回しは原本の該当頁でご確認ください。青本の記述は原本PDFの該当頁と照合済みです(2026年9月21日)。

故意でないことによる回復は、2023年4月1日以後に追納期間が経過して、消滅したものとみなされる意匠権に適用されます。同日前に追納期間を過ぎた場合は、従前の「正当な理由」の基準によります(令和3年法律第42号附則第4条第5項)。通常の登録料納付期限と、その後6月の追納期限を取り違えないことが大切です。本記事は2026年9月の現行制度を説明しています。意匠法・令和3年改正附則/特許庁の回復手続案内。

4. 第44条の3 ― 回復した意匠権の効力が及ばない範囲

期間 回復した意匠権の効力
本来の期限〜追納期間の満了(6月) 回復により「遡って存続していた」ので効力あり(第44条の3の制限対象外)。
追納期間の経過後〜回復の登録前 この間に輸入・製造・取得された物品等、建築・取得された建築物、作成・取得された画像(第1項)、およびこの間の実施・製造準備・所持等の行為(第2項各号)には及ばない。
回復の登録後 通常どおり効力あり。

〔表10〕第44条の3の効力制限の時間的範囲。

特許法第112条の3との違い特許法第112条の3第1項は「その特許が物の発明についてされているときは」当該物に及ばないとし、第2項各号は物の発明・方法の発明・物を生産する方法の発明で号を分けています。意匠法第44条の3は「物品若しくは画像記録媒体等」「建築物」「画像」で分け、さらに「当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠」と、類似の範囲まで含めて書かれています(意匠権の効力が類似の範囲に及ぶこと〔意匠法第23条、同シリーズ #20〕と対応)。

5. 特許法・実用新案法との対比表

項目 意匠法 特許法 実用新案法
納付の単位 「一件ごとに」(第42条第1項) 一件ごとの額に「一請求項につき」の額を加算(第107条第1項) 一件ごとの額に「一請求項につき」の額を加算(第31条第1項)
法定の上限額 「一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額」 「六万千六百円を超えない範囲内で政令で定める額に一請求項につき四千八百円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額」 「一万八千百円を超えない範囲内で政令で定める額に一請求項につき九百円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額」
各年の起点 「第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年」(起点の明記なし) 「特許権の設定の登録の日から」 「実用新案権の設定の登録の日から」
最初に納める分 第1年分(第43条第1項) 第1年から第3年までの各年分を一時に(第108条第1項) 第1年から第3年までの各年分を一時に(第32条第1項)
最初の納付期限 査定・審決の謄本送達日から30日以内 査定・審決の謄本送達日から30日以内 「実用新案登録出願と同時に」(出願変更・分割の場合はその時)
期限の延長(請求) 30日以内を限り(第43条第3項) 30日以内を限り(第108条第3項) 30日以内を限り(第32条第3項)
責めに帰することができない理由による救済(最初の分) 14日(在外者2月)+期間経過後6月(第43条第4項) 14日(在外者2月)+期間経過後6月(第108条第4項) 「延長された期間内に」納付できないときに14日(在外者2月)+6月(第32条第4項)
減免・猶予 規定なし 第109条(資力を考慮)、第109条の2(中小企業者・試験研究機関等) 第32条の2(考案者等の貧困)
第三者による納付 「利害関係人は、納付すべき者の意に反しても」(第43条の2第1項) 「利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても」(第110条第1項) 特許法第110条を準用(第36条)
追納期間 期限経過後6月以内(第44条第1項) 期限(猶予後の期間を含む)経過後6月以内(第112条第1項) 期限(猶予後の期間を含む)経過後6月以内(第33条第1項)
割増 同額の割増登録料。責めに帰することができない理由なら不要 同額の割増特許料。責めに帰することができない理由なら不要 同額の割増登録料。責めに帰することができない理由なら不要
追納しなかったときの効果 期限経過時に遡って消滅(第44条第4項) 期限経過時に遡って消滅(第112条第4項)、延長登録の場合の特則(第5項)、猶予分不納なら初めから存在しなかったものとみなす(第6項) 期限経過時に遡って消滅(第33条第4項)、猶予分不納なら初めから存在しなかったものとみなす(第5項)
回復の要件 故意でないこと(第44条の2第1項ただし書) 故意でないこと(第112条の2第1項ただし書) 故意でないこと(第33条の2第1項ただし書)
回復の追納期間 「納付することができるようになつた日から二月以内で…追納することができる期間の経過後一年以内」 「経済産業省令で定める期間内」(第112条の2第1項。平成27年改正で省令委任) 「納付することができるようになつた日から二月以内で…追納することができる期間の経過後一年以内」(第33条の2第1項)
回復後の効力制限 第44条の3(物品・建築物・画像) 第112条の3(物・方法・物を生産する方法) 第33条の3(物品)
既納料金の返還 第45条で特許法第111条第1項(第3号を除く)〜第3項を準用 第111条(第1項第1号〜第3号) 第34条(第1項第1号〜第4号。出願却下の場合・存続期間満了年の翌年以後分の返還を含む)

〔表11〕三法の登録料・特許料規定の対比(各条文は e-Gov で2026年9月参照)。

回復の追納期間は、特許法だけ書き方が違う(平成27年改正による):特許法第112条の2第1項は、回復のための追納期間を「経済産業省令で定める期間内に限り」と定め、具体的な期間を省令に委ねています。これに対し、意匠法第44条の2第1項と実用新案法第33条の2第1項は、「納付することができるようになつた日から二月以内で…追納することができる期間の経過後一年以内に限り」と、期間を法律で直接定めています。三法の条文は e-Gov の条単位取得で2026年9月に改めて確認し、この違いは現行条文どおりです。

  • いつ違いが生じたか:青本〔第22版〕は、特許法第112条の2について、平成23年の一部改正で救済の要件を正当な理由とし、救済手続による納付が可能な期間を理由がなくなった日から2月以内でその期間の経過後1年以内に拡大したこと、その後平成27年の一部改正で、この救済に係る手続期間を(特許法第5条第3項と同じ理由により)経済産業省令で定める期間内として規定したこと、を説明しています(青本〔第22版〕特許法420〜421頁)。意匠法第44条の2には平成27年改正の付記がなく(平成23年改正・令和3年改正の付記のみ。青本〔第22版〕意匠法1355頁)、意匠法側は平成23年改正時の「2月以内・1年以内」の書き方が維持されています。
  • 令和3年改正との関係:令和3年改正は、三法とも回復の要件(正当な理由→故意でない)を改めたもので、期間の書き方は変えていません。令和3年改正解説書は、改正後の特許法第112条の2第1項を省令委任の形で、意匠法第44条の2第1項・実用新案法第33条の2第1項を2月以内・1年以内の形で掲げ、意匠法・実用新案法は特許法第112条の2第1項と同趣旨で要件を改正した、と説明しています(令和3年改正解説書 22〜24頁)。

特許法側の具体的な期間は経済産業省令(特許法施行規則)で定められています。本記事では省令の該当条文を確認していないため、具体的な期間は記載しません(特許法の記事または特許法施行規則でご確認ください)。

6. 意匠法に特有の点(特許法と比べて「ない」もの)

特許法にあって意匠法にないもの 理由・関連条文
請求項ごとの加算 意匠登録に請求項がない。「一件ごとに」(第42条第1項)。
第1年から第3年までの一括納付 意匠法は「第一年分」のみ(第43条第1項)。
減免・猶予(特許法第109条・第109条の2) 意匠法に該当規定なし。第42条第3項の共有の計算にも「減免」の文言がない。
存続期間の延長登録に関する特則(特許法第108条第2項ただし書・第112条第5項・第111条第1項第3号) 意匠法に延長登録制度がない。第45条は第111条第1項第3号を除いて準用。
猶予分不納による「初めから存在しなかったものとみなす」(特許法第112条第6項) 意匠法に猶予がないので該当規定なし。
特許異議の申立ての取消決定を理由とする返還(特許法第111条第1項第2号の一部) 意匠法に異議申立制度がない(同シリーズ #32)。

〔表12〕意匠法の登録料規定に「ない」もの。

7. 試験での問われ方

試験種別 学習用の問いの例 気をつける点
短答式 「第1年から第3年分を一時に納付」「意匠権は追納期間の満了時に消滅する」「利害関係人は意に反して納付できない」等の正誤。回復の要件(故意でない)と期間(2月/1年)。回復後の効力が及ばない範囲。 特許法との違い(一括納付の年数、減免の有無、第111条第3号の除外)と、消滅の遡及時点(本来の期限の経過時)を正確に。
論文式 登録料不納で意匠権が消滅した事例で、回復の可否、回復後の第三者の行為に対する権利行使の可否を問う。 第44条第4項→第44条の2→第44条の3の順で条文を追う。関連意匠の意匠権との関係(同シリーズ #9)にも注意。
口述 「意匠法の登録料の納付期限を述べよ」「割増登録料が不要となるのはどのような場合か」 「責めに帰することができない理由」(割増不要)と「故意でない」(回復)を混同しない。

〔表13〕学習用の問いと確認点。出題実績や頻度の集計ではありません。

過去問での登場例:令和8年度短答式〔意匠〕問9(公式正解1)の枝イは、本意匠が関連意匠の出願日に存続していたものの、関連意匠の設定登録時には登録料不納で消滅していた場合を扱います。これは第10条の関連意匠の登録要件と第44条の消滅を組み合わせた問題です。出典:公式問題・公式解答。正解番号は問題全体の答えです。
レベル3のまとめ

  • 第2年以後の登録料は、期限→追納6月→(不納なら期限経過時に遡って消滅)→故意でなければ「2月以内かつ1年以内」の追納で回復、の流れ。
  • 「責めに帰することができない理由」は割増登録料を不要にするだけで追納期間を延ばさない。「故意でない」は回復の要件。
  • 回復した意匠権は、追納期間経過後〜回復の登録前の物品・建築物・画像と行為には及ばない(第44条の3)。
  • 特許法と比べ、意匠法には請求項加算・第1〜3年一括納付・減免猶予・延長登録関連の規定がない。第45条は特許法第111条第1項第3号を除いて準用。

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