小学生でも分かる意匠法 / B. 出願・審査・登録の手続 #18
意匠権には「有効期限」があります。現行の意匠法では、意匠登録出願の日から25年で終わります。令和元年改正の前は「設定登録の日から20年」だったので、数え始める日(起算点)と長さの両方が変わりました。関連意匠は、自分の出願日ではなく「基礎意匠」の出願日から数える点も大切です。
レベル2条文の骨格 ― 第1項(原則)、第2項(関連意匠)、発生(第20条)と登録料(第42条)とのつながり
レベル3要件・例外・試験での問われ方 ― 改正前/現行、起算点の遡及、他法との対比、消滅事由
LEVEL 1イメージでつかむ
デザインの権利にも「期限」がある
あなたが新しい形のコップをデザインして、特許庁に「意匠登録出願」という書類を出したとします。審査に合格して登録されると、そのデザインを独り占めできる意匠権がもらえます。でも、ずっと独り占めできるわけではありません。出願した日から25年たつと、権利は終わり、だれでもそのデザインを使えるようになります。
ここで大切なのは、25年を数え始めるのが「登録された日」ではなく「出願した日」だということです。審査に1年かかっても3年かかっても、終わる日は変わりません。
図は左右にスクロールできます。
【図1】意匠権の存続期間のイメージ。出願の日から25年で終わる(意匠法第21条第1項)。権利そのものは設定登録の日に生まれる(同法第20条第1項)。凡例は図中に記載。審査にかかる期間の長さは架空の例。(2026年9月時点の意匠法による)(時間軸は縮尺なし)
「きょうだいデザイン」(関連意匠)は、本家の日付で数える
本家のデザイン(基礎意匠)に似た「きょうだいデザイン」(関連意匠)は、本家より後に出願できます(本家の出願日から10年たつ前まで)。でも、きょうだいの権利の期限は、きょうだい自身の出願日からではなく、本家(基礎意匠)の出願日から25年です。つまり、本家ときょうだいの権利は、同じ日に一緒に終わります。後から出したきょうだいの分だけ期限が延びる、ということはありません。
ほかの権利とくらべると
実用新案権:出願の日から10年
意匠権:出願の日から25年(いちばん長い)
商標権:登録の日から10年(何度でも更新できる)
- 意匠権は、出願の日から25年で終わる。数え始めは「登録の日」ではなく「出願の日」。
- 関連意匠(きょうだい)は、基礎意匠(本家)の出願日から25年。本家と一緒に終わる。
- 特許(20年)・実用新案(10年)より長い。商標のような更新はない。
※改正前に出願した意匠権の期間、分割・変更出願のときの「出願の日」、登録料を払わないと途中で消えることなどは、正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。
LEVEL 2条文の骨格
第21条第1項 ― 原則:出願の日から25年
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。
第21条第2項 ― 関連意匠:基礎意匠の出願の日から25年
関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。
| 項 | 対象 | 起算点 | 長さ | 終わり方 |
|---|---|---|---|---|
| 第1項 | 意匠権(関連意匠の意匠権を除く) | その意匠の「意匠登録出願の日」 | 25年 | 「をもつて終了する」(更新なし) |
| 第2項 | 関連意匠の意匠権 | 「その基礎意匠の意匠登録出願の日」 | 25年 | 同上 |
〔表1〕意匠法第21条の分解。
「基礎意匠」は、意匠法第10条第7項で「当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠」と定義された用語です。関連意匠が連鎖している場合(関連意匠にのみ類似する関連意匠。意匠法第10条第4項)でも、起算点は連鎖の途中の本意匠ではなく、いちばん最初の基礎意匠の出願日です。
逐条解説は、第2項が平成10年の一部改正で新設された規定であるとし、本意匠とその関連意匠の意匠権については権利の重複部分が生ずることとなることから、関連意匠の意匠権の設定の登録が本意匠の意匠権に遅れた場合でも権利の重複部分に関して権利の実質的な延長が生じないようにするために設けられたものだと説明しています。その後、令和元年の一部改正で存続期間を意匠登録出願の日から25年に変更したこと、および第10条第7項で本意匠のうち最初に選択されたものを基礎意匠と定義したことに伴い、基礎意匠の意匠登録出願の日から25年とする改正が行われた、とされています(特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕』1311頁〜1312頁)。
timeline
title 基礎意匠と関連意匠の存続期間(意匠法第21条)
基礎意匠の出願日 : 基礎意匠の25年がスタート
関連意匠Aの出願日(基礎意匠の出願から3年後の例) : 関連意匠Aの25年も、基礎意匠の出願日から数える
関連意匠Bの出願日(同9年後の例) : 関連意匠Bも同じ
基礎意匠の出願日から25年 : 基礎意匠・関連意匠A・Bの意匠権が同時に終了
図は左右にスクロールできます。
【図2】基礎意匠と関連意匠の存続期間の終期は一致する(年数は架空の例。各段の見出しが時点、その右の記述がその時点で起きること)。根拠は意匠法第21条第2項。(2026年9月時点の意匠法による)(時間軸は縮尺なし)
存続期間と「権利の発生」「登録料」のつながり
第21条は「いつ終わるか」だけを決めています。「いつ始まるか」は第20条第1項、「期間中に何を払うか」は第42条第1項が決めています。
意匠権は、設定の登録により発生する。
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
図は左右にスクロールできます。
【図3】意匠権の「発生」「終期」「登録料」の相関図。中央の第21条を太い枠にしてある。凡例は図中に記載。(2026年9月時点の意匠法による)
- 第21条第1項:意匠権(関連意匠を除く)の存続期間は、意匠登録出願の日から25年をもつて終了する。
- 第21条第2項:関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもつて終了する。
- 権利の発生は設定登録(第20条第1項)。登録料は存続期間の満了までの各年分(第42条第1項)。
LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方
1. 改正前(令和2年3月31日以前の出願)/現行 の対比
令和元年法律第3号による改正で、第21条は起算点と長さの両方が変わりました。改正規定のほとんどは令和2年4月1日に施行されています(残る一部の規定は令和3年4月1日施行。出典:特許庁「令和元年意匠法改正特設サイト」、2026年9月参照)。改正解説書 第8章は、改正前の存続期間が「設定の登録の日から二十年」であったこと、この20年は「昭和34年の現行意匠法制定時の10年から15年に延長され、さらに平成18年改正で20年となった」経緯を述べています。
| 論点 | 改正前(令和2年3月31日以前の出願)*要旨 | 現行(令和2年4月1日以後の出願) |
|---|---|---|
| 起算点 | 意匠権の設定の登録の日 | 意匠登録出願の日 |
| 長さ | 20年 | 25年 |
| 関連意匠 | 関連意匠の存続期間の終期は本意匠の設定登録の日から起算する旨が規定されていた(青本〔第22版〕1311頁の説明による要旨。改正前条文の原文引用ではない) | 基礎意匠の意匠登録出願の日から25年(第21条第2項) |
| 審査期間の影響 | 審査が長引くほど終期が後ろにずれる | 終期は出願日で固定される |
| 登録料(第42条第1項) | 第20年分まで | 第25年分まで(改正解説書は、第20年分から第25年分までの額を第4年分から第20年分までと同額にしたと説明) |
〔表2〕第21条の改正前/現行の対比。改正前の欄は改正解説書 第8章および逐条解説〔第22版〕第21条の解説(1310頁〜1312頁)の記述に基づく要旨であり、改正前条文の原文引用ではない。
図は左右にスクロールできます。
【図4】改正前(設定登録の日から20年)と現行(出願の日から25年)の比較。施行日(令和2年4月1日。特許庁「令和元年意匠法改正特設サイト」、2026年9月参照)に縦の破線を1本引き、施行日より前に出願したケース①と施行日以後に出願したケース②を同じ形で2本並べ、下に結論を置いた。凡例は図中に記載。出願から設定登録までの長さ・満了の位置は架空の例。改正前の内容は改正解説書 第8章の記述に基づく要旨であり、改正前条文の原文引用ではない(〔表2〕と同じ)。令和元年法律第3号附則第2条第1項により、2020年4月1日以後の出願に新期間を適用する。(2026年9月時点の意匠法による)(時間軸は縮尺なし)
2. 改正の理由(改正解説書 第8章の説明)
改正解説書 第8章は、延長の理由として「企業特有のデザインコンセプトの開発を支援し、ブランド価値の向上を促進する観点からは、より長い意匠権の存続期間を設定することが望ましい」こと、および「欧州において、最長25年間の意匠権の存続期間が認められていることを踏まえれば、意匠の存続期間を20年から25年に延長することが、政策的に必要」であることを述べています。
起算点を出願日に改めた理由としては、意匠登録出願と特許出願の間の出願変更が増える中で、「存続期間の終期の起算日が、意匠権では登録時、特許権では出願時と異なっていることに起因して、出願変更によって権利の存続期間が大幅に変更されることは、知的財産権の管理上不便」との声があったこと、また意匠には審査請求制度がないため「出願時を存続期間の終期の起算日としても、特段問題は生じない」と判断されたことを挙げています。
登録料については、改正解説書は「20年目から25年目までの登録料については、4年目から20年目までの登録料と同額とした。これは平成18年改正時と同様に、意匠権は、技術ではなく美的な物品のデザインに対して与えられる権利であることから、権利を早期に手放すことを促進する政策的必要性は特許権に比較して強くない」と説明しています。
逐条解説も、同じ趣旨を次のように説明しています。すなわち、令和元年の一部改正においては、意匠登録出願と特許出願の変更出願が増加する中、存続期間の終期の起算日が意匠権では設定登録時、特許権では出願時などと異なることに起因して知的財産権の管理上不便が生ずるおそれがあることから、特許権と同様に、意匠権の存続期間の終期の起算日を出願時に変更した。また、企業特有のデザイン・コンセプトの開発を支援し、ブランド価値の向上を促進する観点からは、より長い意匠権の存続期間を設定することが望ましいため、設定の登録の日から20年を意匠登録出願の日から25年に変更する改正を行った、としています(青本〔第22版〕1311頁)。
存続期間を長くしてよい理由についても、同書は、意匠は発明や考案の場合と異なり長期間の独占権を与えても技術開発を阻害する事態は生じないと考えられること(発明・考案は技術を公開する代償として権利が与えられるため存続期間を長くしすぎると技術の向上を阻害するのに対し、意匠は審美的な観点から保護されるため弊害が少ないこと)、外国の立法例も意匠権に通常15年以上の存続期間を認めており、例えばEUでは最長25年の保護が与えられていること(同書は令和4年7月1日時点と付記)、意匠権とある点で共通の性格を有する著作権はベルヌ条約加盟国では著作者の死後50年以上保護され、商標権は何回でも更新できる永久の権利と考えられていること、などを挙げています(青本〔第22版〕1310頁〜1311頁)。なお、存続期間の沿革は、旧法(大正10年法)で設定の日から10年、昭和34年制定の現行法で15年、平成18年の一部改正で20年、令和元年の一部改正で出願の日から25年、と説明されています(同1311頁)。
令和元年法律第3号附則第2条第1項は、第21条の新しい存続期間を2020年4月1日以後の出願に適用し、それより前の出願は従前の例によると定めています。したがって、同日前の出願が、後日登録されたという理由だけで25年へ延びることはありません。2007年4月1日〜2020年3月31日の出願は原則として設定登録から20年、それより前の出願は原則15年です。関連意匠の起算点には当時の本意匠に関する規定が適用されます。意匠法・令和元年改正附則第2条第1項/特許庁・登録の実務Q&A。
3. 「意匠登録出願の日」がずれる場合 ― 分割・変更・補正後の新出願・優先権
第21条の起算点は「意匠登録出願の日」ですが、出願の時が法律上さかのぼる(またはさかのぼらない)手続があります。
前項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす。
| 手続 | 出願の時の扱い | 存続期間の起算点への影響(条文上の帰結) |
|---|---|---|
| 分割出願(第10条の2) | もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす(第10条の2第2項本文) | もとの出願の日から25年 |
| 出願の変更(第13条) | 第13条第6項が「第十条の二第二項及び第三項の規定は、第一項又は第二項の規定による出願の変更の場合に準用する。」と定める(e-Gov、2026年9月参照) | もとの特許出願・実用新案登録出願の日から25年(改正解説書 第8章、および逐条解説〔第22版〕1311頁が、起算点を出願時に統一した理由として挙げた場面) |
| 補正後の新出願(第17条の3) | 第1項が「意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。」と定める(e-Gov、2026年9月参照) | 手続補正書を提出した時が出願の時とみなされる |
| パリ条約による優先権主張(第15条第1項で準用する特許法第43条) | 優先権の効果は新規性等の判断に及ぶが、第21条に優先日を起算点とする定めはない | 日本での意匠登録出願の日が起算点となる(第21条。優先日に遡らせる規定はない) |
| 国際意匠登録出願(第60条の6) | 第1項が、国際公表がされた国際出願は「ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日にされた意匠登録出願とみなす」と定める(e-Gov、2026年9月参照) | 国際登録の日が「意匠登録出願の日」となる。第21条の期間が適用されるが、国際登録の消滅に伴う消滅の特則がある(第60条の14) |
〔表3〕出願日がずれる手続と存続期間の起算点。条文はe-Gov法令検索(法令ID 334AC0000000125)、2026年9月参照。「存続期間の起算点への影響」欄は、第21条の文言と各条の出願日の擬制から導いた条文上の帰結であり、審査基準や裁判例による裏付けを示したものではありません。
国際意匠登録出願も、第60条の6第1項により出願日とみなされる国際登録の日を基準に、第21条の存続期間を計算します。関連意匠は基礎意匠の出願日が基準です。第60条の6〜第60条の23に別の25年の起算点を置く規定はありません。ただし、第60条の14第2項・第3項により、基礎となった国際登録が消滅すれば、日本の意匠権もその消滅日から消滅したものとみなされます。第60条の21は個別指定手数料の規定です。意匠法第21条・第60条の6・第60条の14・第60条の21。
4. 終期の計算と、期間の途中で消える場合
期間の計算は、意匠法第68条第1項で準用する特許法第3条第1項によります。意匠法第68条第1項は「特許法第三条から第五条まで(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。」と定めています(e-Gov法令検索、法令ID 334AC0000000125、2026年9月参照)。特許法第3条第1項第1号は「期間の初日は、算入しない。」、第2号は「期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。」「月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。」と定めています。
たとえば2026年4月1日に出願した意匠の存続期間は、原則として2051年4月1日に満了します。初日を算入せず翌日から数えるので、出願日の25年後の前日ではありません。最後の月に対応する日がない場合は、その月の末日に満了します。これは第68条第1項で準用する特許法第3条の計算によるもので、特許庁も「出願日から25年経過した日まで」と説明しています。意匠法第21条・第68条/令和元年意匠法改正特設サイト。
意匠権者が第一項の規定により登録料を追納することができる期間内にその登録料及び第二項の規定により納付すべき割増登録料を納付しないときは、その意匠権は、第四十三条第二項に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。
| 意匠権が終わる場面 | 根拠 | いつ終わるか |
|---|---|---|
| 存続期間の満了 | 第21条 | 出願の日(関連意匠は基礎意匠の出願の日)から25年 |
| 登録料の不納 | 第44条第4項 | 第43条第2項の期間の経過の時に遡って消滅したものとみなす |
| 無効審決の確定 | 第48条・第49条 | 原則として初めから不存在。第48条第1項第4号の後発的無効は、その事由に該当した時から不存在とみなす |
| 放棄 | 第36条で準用する特許法の規定(要旨) | 放棄の登録による(要旨) |
〔表4〕意匠権の終了場面の整理。第21条は「満了」だけを定めており、他の場面は別条文による。「要旨」欄は本記事では原文未引用。
flowchart TB A["意匠登録出願"] --> B["設定登録(第20条第1項)
意匠権の発生"] B --> C{"存続期間中に何が起きるか"} C -- "各年分の登録料を納付し続ける" --> D["出願の日から25年で満了(第21条第1項)"] C -- "登録料を追納期間内にも納付しない" --> E["第43条第2項の期間経過時に遡って消滅(第44条第4項)"] C -- "無効審決が確定" --> F["原則、初めから不存在とみなす
後発的無効は第48条第1項第4号に該当した時から
(第49条)"] C -- "放棄" --> G["消滅(要旨)"] style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style F fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F style G fill:#FDEDED,stroke:#B23A3A,color:#22303F
図は左右にスクロールできます。
【図5】意匠権の発生から終了までの分岐図。主経路(存続期間の満了)を先に、それ以外の終了場面を後ろに並べた。凡例:緑=存続期間の満了による終了/赤=期間の途中で終了する場合。分岐は四択のため「はい/いいえ」ではなく、場面をそのままラベルにしている。〔表4〕のとおり、無効審決の確定・放棄は本記事では要旨のみで、例外もある。(2026年9月時点の意匠法による)
5. 関連意匠の存続期間 ― 連鎖と基礎意匠
改正解説書 第6章は、第21条の改正について「関連意匠に連鎖して段階的に類似する意匠についても、その意匠権の存続期間については、当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠である基礎意匠の意匠登録出願の日から25年で終了する」と説明しています。関連意匠は基礎意匠の出願日から10年を経過する日前まで出願できる(第10条第1項・第5項)ので、遅く出願した関連意匠でも、存続期間の終点は基礎意匠と同じです。出願から満了までは約15年以上ありますが、権利が発生するのは設定登録時なので、実際に権利を行使できる期間が15年以上になるとは限りません。
gantt
title 基礎意匠と関連意匠の存続期間(架空の例)
dateFormat YYYY-MM-DD
axisFormat %Y
section 基礎意匠
出願〜満了(25年) :k, 2021-04-01, 2046-04-01
section 関連意匠A(出願3年後)
出願〜満了(基礎意匠と同じ終期) :a, 2024-04-01, 2046-04-01
section 関連意匠B(出願9年後)
出願〜満了(基礎意匠と同じ終期) :b, 2030-04-01, 2046-04-01
section 関連意匠の出願可能期間
基礎意匠の出願日から10年 :milestone, m, 2031-03-31, 0d
図は左右にスクロールできます。
【図6】基礎意匠と関連意匠の存続期間のタイムチャート(手続名を左、期間を横棒にしたガント型。年月日は架空の例。満了日の計算は本記事「終期の計算」を参照)。凡例:横棒=存続期間/ひし形=時点(基礎意匠の出願日から10年を経過する日の前日にあたる日を架空の例で置いたもの)。(2026年9月時点の意匠法による)(時間軸は縮尺なし)
6. 他法との対比
特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。
実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する。
商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
| 権利 | 起算点 | 長さ | 延長・更新 | 関連意匠のような特則 |
|---|---|---|---|---|
| 特許権(特許法第67条) | 特許出願の日 | 20年 | 延長登録制度あり(特許法第67条第2項以下。要旨) | なし |
| 実用新案権(実用新案法第15条) | 実用新案登録出願の日 | 10年 | なし | なし |
| 意匠権(意匠法第21条) | 意匠登録出願の日 | 25年 | なし | 関連意匠は基礎意匠の出願日から(第2項) |
| 商標権(商標法第19条) | 設定の登録の日 | 10年 | 更新できる | なし |
〔表5〕四法の存続期間の対比。意匠権には延長も更新もない。
7. 試験での問われ方
| 試験種別 | 学習用の問いの例 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 短答式 | 「設定登録の日から25年」「関連意匠の出願日から25年」「本意匠の登録日から」のようなひっかけ。分割・変更出願の起算点。登録料の年分 | 起算点は出願の日、関連意匠は基礎意匠の出願の日。「本意匠」ではなく「基礎意匠」 |
| 論文式 | 関連意匠を含むデザイン展開の事例で、各意匠権の終期を答えさせる。特許出願から意匠登録出願への変更で存続期間がどうなるか | 変更出願は第13条第6項で準用する第10条の2第2項により、もとの出願の時にしたものとみなされる点を書く |
| 口述 | 「意匠権の存続期間は」「関連意匠の場合は」「改正前は」 | 原文どおり「意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する」 |
〔表6〕学習用の問いと確認点。出題実績や頻度の集計ではありません。
- 改正前は設定登録の日から20年、現行(令和2年4月1日以後の出願)は意匠登録出願の日から25年。経過措置は附則で確認。
- 分割出願はもとの出願の時にしたものとみなされる(第10条の2第2項本文)。変更出願も第10条の2を準用(要旨)。
- 関連意匠は連鎖の何段目でも基礎意匠の出願日から25年。基礎意匠と同時に終了する。
- 意匠権には延長も更新もない。登録料不納(第44条第4項)で期間途中に遡って消滅する。
関連記事
