MENU

小学生でも分かる実用新案法|実用新案法第42条〜第45条 再審 ― 「決まったはずの審決」をもう一度やり直す

小学生でもわかる実用新案法:再審(42条〜45条)

小学生でも分かる実用新案法 / D. 審判・訴訟 #28

PR この記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

審判の結論(審決)は、いったん確定すると原則として動かせません。けれども、うその証拠で審決が出ていたなど、よほどのことがあれば「やり直し」を求められます。それが再審です。実用新案法は、再審のしくみのほとんどを特許法から借りてきています(準用)。この記事では「特許法とどこが同じで、どこが違うか」を中心に見ていきます。

条文:実用新案法第42条、第43条、第44条、第45条関連:特許法第171条〜第176条、民事訴訟法第338条・第339条・第348条参照時点:2026年9月

目次

LEVEL 1イメージでつかむ

「審決」は、学校の運動会の「けっか発表」

実用新案の世界には、「この実用新案登録は本当に正しいのか?」を特許庁の審判官(しんぱんかん)が判断する審判というしくみがあります。その結論を審決(しんけつ)といいます。

審決が出て、もう不服(ふふく)を言える期間も過ぎると、審決は確定します。運動会のリレーで「1位は赤組!」と発表されて、その日が終わったようなものです。ふつうは、あとから「やっぱり白組が1位」とは言えません。

でも、「ズル」があったら?

ところが、あとになって「赤組の走者がコースをショートカットしていた」「審判が赤組の親せきだった」と分かったらどうでしょう。それでも結果を変えないのは、さすがに不公平です。

そこで法律は、よほど大きな問題があったときだけ、確定した審決をもう一度やり直せるようにしました。これが再審(さいしん)です。「もう一度(再)、審判する(審)」という意味です。

審判 「登録は正しい?」を判断 審決が確定 結果はもう動かない(原則) 再審 やり直し(例外) ① ② 再審に進める「ズル」の例(民事訴訟法) ・にせものの書類が証拠になっていた ・証人がうそを言っていた ・代理する権限のない人が手続をしていた ※ほかにもあります。全部で10種類(→レベル2) ふつうの不満では 再審はできない 「納得いかない」だけではダメ

図は左右にスクロールできます。

凡例
審判(もとの手続)
審決の確定(原則ここで終わり)
再審(例外)
必ず進む流れ
再審の事由があるときだけ進む枝
①矢印の順番

【図1】審判→審決の確定→再審の流れ。再審は「例外の中の例外」で、決まった理由(再審の事由)があるときだけ進める。※説明の都合上、再審の事由は代表的な3つだけを挙げた(全体は〔表2〕)。

「勝った人」と「負けた人」がグルになっていたら?

もうひとつ、変わったパターンがあります。審判をした2人(請求した人と、された人)がグルになって、まったく関係のない3人目に損をさせるために、わざと審決を出させた場合です。この場合、損をさせられた3人目の人が「やり直してほしい」と言えます(第43条)。運動会でいえば、赤組と白組が結託して、青組が不利になる結果をわざと作ったようなものです。

やり直しで権利がよみがえっても、「その間」のことは責めない

再審でやり直した結果、いったん「無効」とされた実用新案権がよみがえることがあります。でも、「無効」と決まっていた間に、それを信じて同じ物を作ったり買ったりした人がいたら? その人は何も悪くありません。そこで法律は、その間に知らずに作ったり買ったりした物には、よみがえった権利はおよばないとしています(第44条)。さらに、その間に知らずに事業を始めていた人は、その後も続けてよい(通常実施権)というルールもあります(第45条で特許法を借りています)。

レベル1のまとめ

  • 確定した審決は原則動かないが、大きな「ズル」があったときだけ再審でやり直せる(第42条)。
  • 審判の2人がグルになって3人目に損をさせたときは、その3人目が再審を求められる(第43条)。
  • 再審で権利がよみがえっても、その間に知らずに作った・買った物には権利がおよばない(第44条)。
  • 再審のこまかいルール(期限など)は、特許法を借りて使う(第45条)。

※「どんなズルなら再審できるか」「いつまでに請求するか」には細かい条件があります。正確には条件があります(→レベル2・レベル3)。


LEVEL 2条文の骨格

4つの条文の役割分担

条文 見出し(e-Gov) 役割(要旨)
実用新案法第42条 (再審の請求) 誰が再審を請求できるか(当事者・参加人)と、どんな理由で請求できるか(民事訴訟法第338条第1項・第2項、第339条を準用)
実用新案法第43条 (見出しなし) 審判の請求人と被請求人が共謀して第三者を害する審決をさせたときの、第三者による再審
実用新案法第44条 (再審により回復した実用新案権の効力の制限) 再審で実用新案権が回復しても、その間の善意の物品・行為には効力が及ばない
実用新案法第45条 (特許法の準用) 再審の請求期間(特許法第173条)、審判規定の準用(同法第174条第3項・第5項)、通常実施権(同法第176条)を実用新案の再審に準用

〔表1〕実用新案法第42条〜第45条の役割分担(e-Gov法令検索、2026年9月参照、見出しは原文、役割は要旨)。第43条には見出しが付いていない。

第42条 ― 誰が、どんな理由で

実用新案法第42条第1項確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
実用新案法第42条第2項民事訴訟法第三百三十八条第一項及び第二項並びに第三百三十九条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。

ポイントは2つです。第1に、対象は「確定審決」だけです。特許法第171条第1項は「確定した取消決定及び確定審決」としていますが、実用新案法には特許異議の申立て(取消決定)の制度がないので、「確定審決」のみになっています。第2に、再審ができる理由(再審の事由)は実用新案法の中には書かれておらず、民事訴訟法第338条を借りてきます。

民事訴訟法第338条第1項の号 内容(要旨) グループ
第1号 法律に従って判決裁判所が構成されていなかった 手続・構成の欠陥
第2号 法律により判決に関与できない裁判官が関与した
第3号 法定代理権・訴訟代理権・必要な授権を欠いていた
第4号 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯した 犯罪がからむもの
(第2項:有罪判決の確定等が必要)
第5号 刑事上罰すべき他人の行為により、自白させられた/攻撃防御方法の提出を妨げられた
第6号 証拠となった文書等が偽造・変造されていた、または証拠となった電磁的記録が不正に作られていた
第7号 証人・鑑定人・通訳人・宣誓した当事者等の虚偽の陳述が証拠になった
第8号 判決の基礎となった裁判・行政処分が、後の裁判・行政処分により変更された 判断の前提・内容の問題
第9号 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があった
第10号 不服申立てに係る判決が、前に確定した判決と抵触する

〔表2〕民事訴訟法第338条第1項の再審事由(e-Gov法令検索 法令ID 408AC0000000109、2026年9月参照、要旨)。グループ分けは本記事作成者の整理。審判の再審に読み替えるとき、「判決裁判所」「裁判官」は「審判」「審判官」に対応させて読むことになる。

根拠資料との照合:第42条第2項は民事訴訟法第338条第1項と第2項の双方を準用しています。第1項ただし書により、通常の不服申立てでその事由を主張した場合や、知りながら主張しなかった場合は再審の理由にできません。また、第4号〜第7号の犯罪等の事由は、原則として有罪判決又は過料の裁判が確定したことが必要です。証拠がないこと以外の理由でその裁判を得られない場合も含みます。単に「証拠が偽造だ」と述べるだけで再審を請求できるわけではありません。実用新案法第42条/民事訴訟法第338条。

第43条 ― 「詐害審決」に対する第三者の再審

実用新案法第43条第1項審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
実用新案法第43条第2項前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。

第42条の再審は「当事者・参加人」が請求するものでした。第43条は、審判に加わっていなかった第三者が請求する再審です。「請求人と被請求人が共謀して」「第三者の権利又は利益を害する目的で」審決をさせたことが条件で、請求するときは2人を共同被請求人にしなければなりません。

審判の請求人 審判の被請求人 ①共謀(グル) 確定審決 第三者 権利・利益を害される ②害する目的 ③再審の請求 ③再審の請求 第三者は、2人を「共同被請求人」として再審を請求する(第43条第2項)

図は左右にスクロールできます。

凡例
審判の当事者(請求人・被請求人)=再審では共同被請求人
確定審決
第三者(権利・利益を害される人/再審の請求人)
手続の流れ
共謀の関係(手続ではない)
①できごとの順番

【図2】実用新案法第43条の構造。①請求人と被請求人が共謀し、②第三者の権利又は利益を害する目的で審決をさせ、③その第三者が2人を共同被請求人として再審を請求する(第43条第1項・第2項)。※説明の都合上、再審の請求期間(特許法第173条の準用)は省略した(→【図3】)。

第44条 ― 回復した実用新案権の効力の制限

実用新案法第44条第1項無効にした実用新案登録に係る実用新案権が再審により回復したときは、実用新案権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し、又は日本国内において製造し、若しくは取得した当該登録実用新案に係る物品には、及ばない。
実用新案法第44条第2項無効にした実用新案登録に係る実用新案権が再審により回復したときは、実用新案権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
第44条第2項の号 原文 イメージ
第1号 当該考案の善意の実施 知らずに作った・売った・使った
第2号 善意に、当該登録実用新案に係る物品の製造に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為 知らずに「作るための部品・道具」を作った・売った・輸入した・売ろうとした
第3号 善意に、当該登録実用新案に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為 知らずに売る・貸す・輸出するために持っていた

〔表3〕実用新案法第44条第2項各号(e-Gov法令検索、2026年9月参照、原文)。「善意」=審決が確定して権利がなくなったと信じて(再審のことを知らないで)という意味合いで使われる語。

「当該審決が確定した後」から「再審の請求の登録前」までの間の、善意の物品・行為が守られます。実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」に係る考案(実用新案法第1条)を対象とするので、特許法第175条にある「方法の発明」に関する号(同条第2項第4号・第5号)は実用新案法第44条にはありません。

第45条 ― 特許法を借りる(準用と読替え)

実用新案法第45条第1項特許法第百七十三条(再審の請求期間)、第百七十四条第三項及び第五項(審判の規定等の準用)並びに第百七十六条(再審の請求登録前の実施による通常実施権)の規定は、再審に準用する。この場合において、同法第百七十四条第三項中「第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文」とあるのは「実用新案法第三十八条第一項、同法第三十八条の二第一項本文」と、「第百三十四条第一項、第三項及び第四項」とあるのは「同法第三十九条第一項、第三項及び第四項」と、「から第百六十八条まで」とあるのは「、第百六十七条の二、同法第四十条」と読み替えるものとする。
実用新案法第45条第2項特許法第四条の規定は、前項において準用する同法第百七十三条第一項に規定する期間に準用する。
準用される特許法の条文 見出し(原文) 実用新案の再審での意味(要旨)
特許法第173条 (再審の請求期間) 再審の理由を知った日から30日以内、審決確定から3年以内 など
特許法第174条第3項 (審判の規定等の準用) 無効審判の確定審決に対する再審に、審判の手続規定(請求書、答弁書、審理、審決など)を準用。実用新案法第38条・第38条の2・第39条・第40条に読み替える
特許法第174条第5項 (同上) 民事訴訟法第348条第1項(本案の審理及び裁判)を準用。再審の審理は不服申立ての限度で行う
特許法第176条 (再審の請求登録前の実施による通常実施権) 善意で事業をしていた者・準備をしていた者に通常実施権
特許法第4条(第45条第2項) (期間の延長等) 遠隔又は交通不便の地にある者のため、特許庁長官が第173条第1項の期間(30日)を延長できる

〔表4〕実用新案法第45条により準用される特許法の条文(e-Gov法令検索 法令ID 334AC0000000121、2026年9月参照。見出しは原文、意味は要旨)。

再審の請求期間(特許法第173条の準用)

特許法第173条第1項(実用新案法第45条第1項で準用)再審は、請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。
特許法第173条第4項(実用新案法第45条第1項で準用)取消決定又は審決が確定した日から三年を経過した後は、再審を請求することができない。
gantt
    title 再審の請求期間(特許法第173条・実用新案法第45条第1項で準用)
    dateFormat YYYY-MM-DD
    axisFormat %Y-%m
    todayMarker off
    section 起算点
    ● 審決の確定(共通の基準線)            :milestone, m0, 2026-01-01, 0d
    section 確定から3年(第173条第4項)
    請求できる外枠の3年                     :done, a1, 2026-01-01, 1095d
    × 3年の経過後は請求できない             :crit, a2, 2029-01-01, 240d
    section 知った日から30日(第173条第1項)
    ● 再審の理由を知った日(仮の例)        :milestone, m1, 2026-06-01, 0d
    請求できる30日                          :active, b1, 2026-06-01, 30d
    × 30日の経過後は原則請求できない        :crit, b2, 2026-07-01, 240d

図は左右にスクロールできます。

凡例
●ひし形=時点(起算点・できごと)
▭横棒=期間(左端が起算点)
×「×」付きの横棒=請求できない期間
仮「仮の例」=説明のために置いた日付

【図3】再審の請求期間。左端の「審決の確定」を共通の基準線(30日の起算点は理由を知った日)とし、上段に「確定から3年」(第173条第4項)、下段に「理由を知った日から30日」(第173条第1項)を重ねた。実用新案には取消決定がないため、「審決」についてのみ読む。30日の期間には責めに帰することができない理由による救済(第173条第2項:理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で期間経過後6月以内)があり、確定審決との抵触を理由とする再審には第1項・第4項が適用されない(第173条第6項)。日数・期間は特許法第173条(2026年9月参照)による。※図中の日付は説明のための仮の例であり、実際の日付ではない。※時間軸は縮尺なし。

レベル2のまとめ

  • 第42条:確定審決に対し、当事者・参加人が再審を請求できる。再審事由は民事訴訟法第338条第1項・第2項、第339条を準用。
  • 第43条:請求人と被請求人が共謀して第三者を害する審決をさせたときは、第三者が、2人を共同被請求人として再審を請求できる。
  • 第44条:再審で回復した実用新案権は、審決確定後・再審請求の登録前の善意の物品(第1項)・行為(第2項第1号〜第3号)には及ばない。
  • 第45条:特許法第173条(請求期間:知った日から30日、確定から3年)、第174条第3項・第5項(手続規定の準用)、第176条(通常実施権)を準用。第4条(期間延長)も第173条第1項の期間に準用。


LEVEL 3要件・例外・試験での問われ方

1. 特許法第171条〜第176条との対比

項目 特許法 実用新案法 違いの理由(本記事作成者の整理)
再審の対象 第171条第1項:「確定した取消決定及び確定審決」 第42条第1項:「確定審決」 実用新案法に特許異議の申立て(取消決定)がない
請求人 第171条第1項:当事者又は参加人 第42条第1項:当事者又は参加人 同じ
再審事由 第171条第2項:民事訴訟法第338条第1項・第2項、第339条を準用 第42条第2項:同じ 同じ
詐害審決に対する第三者の再審 第172条 第43条 文言同一(取得原文どおり)
請求期間 第173条(本体規定) 第45条第1項で第173条を準用 準用で対応
審判規定の準用 第174条第1項(取消決定)、第2項(拒絶査定不服審判)、第3項(無効審判・延長登録無効審判)、第4項(訂正審判)、第5項(民事訴訟法第348条第1項) 第45条第1項で第3項と第5項のみ準用 実用新案は無審査登録のため拒絶査定不服審判がなく、特許異議・訂正審判もない。再審の対象となる確定審決は実質的に無効審判の審決
回復した権利の効力の制限 第175条第1項(物の発明)、第2項第1号〜第5号(方法の発明を含む) 第44条第1項、第2項第1号〜第3号 実用新案は物品の考案のみ。「拒絶審決後に再審で登録された場合」の文言もない(拒絶査定不服審判がないため)
再審請求登録前の実施による通常実施権 第176条 第45条第1項で第176条を準用 準用で対応
期間延長(遠隔・交通不便の地) 第4条が第173条第1項を直接列挙 第45条第2項で第4条を準用 準用で対応

〔表5〕特許法第171条〜第176条と実用新案法第42条〜第45条の対比(e-Gov法令検索、2026年9月参照)。「違いの理由」列は条文から読み取れる制度上の対応関係を本記事作成者が整理したもの。

2. 第174条第3項の読替え ― 実用新案法のどの条文に置き換わるか

特許法第174条第3項(読替え前の原文)第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項、第二項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十二条まで、第百五十四条、第百五十五条第一項から第三項まで、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条から第百六十八条まで、第百六十九条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第百七十条の規定は、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審に準用する。
特許法第174条第3項の文言 実用新案法第45条第1項による読替え後 置き換わる実用新案法の条文の見出し
「第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文」 「実用新案法第三十八条第一項、同法第三十八条の二第一項本文」 第38条(審判請求の方式)、第38条の2(審判請求書の補正)
「第百三十四条第一項、第三項及び第四項」 「同法第三十九条第一項、第三項及び第四項」 第39条(答弁書の提出等)
「から第百六十八条まで」 「、第百六十七条の二、同法第四十条」 読替え後は「第百六十七条、第百六十七条の二、同法第四十条」となる。第40条(訴訟との関係)

〔表6〕実用新案法第45条第1項の読替え表。読替え後の文言は原文どおり。各条の見出しはe-Gov法令検索(2026年9月参照)の原文。

flowchart TD
  A["実用新案法第45条第1項"] --> B["○ 特許法第173条
再審の請求期間"] A --> C["○ 特許法第174条第3項
無効審判の審決に対する再審に審判規定を準用"] A --> D["○ 特許法第174条第5項
民事訴訟法第348条第1項を準用"] A --> E["○ 特許法第176条
再審請求登録前の実施による通常実施権"] A -. "準用しない" .-> X["× 特許法第174条第1項(取消決定)
× 第2項(拒絶査定不服審判)
× 第4項(訂正審判)"] C --> C1["読替え:特許法第131条第1項等 → 実用新案法第38条第1項等"] C --> C2["読替え:特許法第134条第1項等 → 実用新案法第39条第1項等"] C --> C3["読替え:第167条から第168条まで → 第167条、第167条の2、実用新案法第40条"] F["実用新案法第45条第2項"] --> G["○ 特許法第4条
第173条第1項の30日を延長できる"] style A fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style F fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style B fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style C fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style D fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style E fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style G fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style C1 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style C2 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style C3 fill:#ECEBF8,stroke:#4A4F9C,color:#22303F style X fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 準用する条文
× 準用されない条文
読替えの内容(第45条第1項後段)
準用する
準用しない

【図4】実用新案法第45条の準用関係。特許法第174条第1項(取消決定)・第2項(拒絶査定不服審判)・第4項(訂正審判)は準用されない。読替えの詳細は〔表6〕を参照。

3. 請求期間の全体像(特許法第173条第1項〜第6項)

項 内容(要旨) 実用新案の再審での読み方
第1項 審決確定後、再審の理由を知った日から30日以内 「取消決定又は審決」のうち審決のみ該当。実用新案法第45条第2項により特許法第4条の延長の対象
第2項 責めに帰することができない理由で30日内に請求できないときは、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、期間経過後6月以内 そのまま
第3項 法律の規定に従って代理されなかったことを理由とする再審は、請求人又は法定代理人が送達により審決があったことを知った日の翌日から起算 そのまま
第4項 審決確定日から3年経過後は請求不可 そのまま
第5項 再審の理由が審決確定後に生じたときは、第4項の期間はその理由が発生した日の翌日から起算 そのまま
第6項 第1項・第4項は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審には適用しない そのまま(期間制限なし)

〔表7〕特許法第173条の各項(e-Gov法令検索、2026年9月参照、要旨)。「実用新案の再審での読み方」は本記事作成者の整理。

特許法第173条第2項(実用新案法第45条第1項で準用)再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
特許法第173条第6項(実用新案法第45条第1項で準用)第一項及び第四項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。

4. 回復した権利と善意の第三者 ― 第44条と特許法第176条の使い分け

特許法第176条(実用新案法第45条第1項で準用)取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

特許法第176条は「特許」「発明」の文言のまま準用されており、実用新案法第45条第1項には第176条についての読替え規定は置かれていません。実用新案の再審では、「無効にした実用新案登録に係る実用新案権が再審により回復したとき」の場面で、「登録実用新案」「考案」に対応させて読むことになります(準用の根拠は第45条第1項。第44条の回復場面と第176条の事業範囲の規定を照合した要旨)。

flowchart TD
  S["無効審決が確定 → 再審で実用新案権が回復"] --> Q1{"審決の確定後・再審の請求の登録前
の物品・行為か?"} Q1 -- "はい" --> Q2{"善意か?"} Q1 -- "いいえ" --> N["× 実用新案権の効力が及ぶ(通常どおり)"] Q2 -- "はい" --> Q3{"何を守るか(次の3つから選ぶ)"} Q2 -- "いいえ" --> N Q3 -- "その間に日本国内に輸入し、又は日本国内で製造・取得した物品" --> A1["○ 第44条第1項:その物品には効力が及ばない"] Q3 -- "その間の実施・部品等の生産・所持などの行為" --> A2["○ 第44条第2項第1号〜第3号:その行為には効力が及ばない"] Q3 -- "その間に日本国内で始めた実施事業・事業の準備をその後も続けたい" --> A3["○ 特許法第176条の準用:実施又は準備した考案及び事業目的の範囲内で通常実施権"] style A1 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style A2 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style A3 fill:#E6F5F3,stroke:#1F8A83,color:#22303F style N fill:#FFF3E8,stroke:#D9782D,color:#22303F

図は左右にスクロールできます。

凡例
○ 実用新案権の効力が及ばない/通常実施権が認められる
× 実用新案権の効力が及ぶ(守られない)
はい下へ進む
いいえ右へ出る(結論)

【図5】再審で回復した実用新案権と善意の第三者の分岐図。判断は「はい」を下、「いいえ」を右にそろえた。第44条は「過去の物品・行為」を守り、特許法第176条の準用は「将来の事業継続」を守る。最後の分岐は3つの場面から選ぶもので、順番を表すものではない。

5. 第174条第5項 ― 再審の審理の範囲

特許法第174条第5項(実用新案法第45条第1項で準用)民事訴訟法第三百四十八条第一項(審理の範囲)の規定は、再審に準用する。
民事訴訟法第348条第1項裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。

再審は「不服申立ての限度で」審理されます。再審が認められたからといって、審判の全部を最初から自由にやり直すのではありません。

6. 試験での問われ方

試験種別 問われ方の傾向 気をつける点
短答式 再審の請求期間(30日・3年・14日・2月・6月)、請求人の範囲(当事者・参加人・第三者)、第43条の共同被請求人、第44条の善意の範囲 実用新案法では「取消決定」がないこと。特許法第174条のうち準用されるのが第3項・第5項のみであること。特許法第4条による延長の対象が第173条第1項の期間であること
論文式 無効審決の確定後に再審で権利が回復した場面での、第三者の物品・行為・事業の取扱い(第44条、特許法第176条の準用) 第44条(過去の物品・行為)と特許法第176条(将来の事業)を分けて論じる。「審決確定後・再審請求の登録前」「善意」という要件を落とさない
口述 「実用新案法における再審の請求期間は」「第43条の再審は誰を被請求人とするか」など条文の直接確認 準用元の特許法条文番号(第173条、第174条第3項・第5項、第176条)を言えるようにする

〔表8〕試験での問われ方の整理。傾向の記述は本記事作成者の整理であり、出題を保証するものではありません。

根拠資料との照合:問3の正解は2(正しい肢が二つ)です。肢ハの、第173条第1項の再審請求期間を経過した後に第4条によって延長できるとする記述は誤りです。第4条の遠隔地等を理由とする延長と、第173条第2項の責めに帰せない理由による追完は異なります。実用新案では第45条第2項が前者を準用します。問5・問6・問16には再審の記述はありません。 令和8年度の問題/公式解答。肢ごとの説明は条文との照合によるもので、公式解答が示す正解番号と区別しています。
レベル3のまとめ

  • 実用新案法第42条は特許法第171条から「確定した取消決定」を除いた形。再審事由は民事訴訟法第338条第1項・第2項、第339条の準用。
  • 第43条(詐害審決に対する第三者の再審)は特許法第172条と同文。請求人・被請求人を共同被請求人とする。
  • 第44条は特許法第175条の実用新案版。物品の考案のみなので第2項は第1号〜第3号まで(方法に関する号はない)。拒絶審決後の回復の場面もない。
  • 第45条第1項は特許法第173条、第174条第3項・第5項、第176条を準用し、第174条第3項を実用新案法第38条第1項・第38条の2第1項本文・第39条第1項、第3項、第4項・第40条に読み替える。第174条第1項・第2項・第4項は準用されない。
  • 第45条第2項は特許法第4条を第173条第1項の期間(知った日から30日)に準用。

関連記事・参考条文


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次