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2026年度弁理士試験 短答・特許実用新案 第16問|分割出願と実用新案登録に基づく特許出願

2026年度短答・特許法第16問:分割出願と実用新案登録に基づく特許出願

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目次

【問題文】

特許出願の分割・変更等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正、訂正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。また、実用新案登録出願についても同様とする。

1特許出願の分割に係る新たな特許出願については、その特許出願の分割の日から30日を経過した後には、出願審査の請求をすることができる場合はない。

2拒絶理由通知において指定された期間内に分割出願をしようとしたが、期間を徒過してしまった。期間の徒過が、分割出願をしようとした者の責めに帰することができない理由による場合には、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、特許法第44条第7項の規定により、その分割出願をすることができる。

3特許出願について、一度も拒絶の理由が通知されることなく、特許をすべき旨の査定がされた場合、当該査定の謄本の送達があった日から30日以内であっても、当該特許出願の一部を分割して新たな特許出願とすることができない場合がある。

4甲は、自己の実用新案登録Yの請求項1に係る登録実用新案について、当該実用新案登録Yに係る実用新案登録出願の日から1年後に、実用新案技術評価の請求をした。乙は、その1年後に、当該実用新案登録Yの請求項2に係る登録実用新案について、実用新案技術評価の請求をした。甲は、特許庁長官より、実用新案技術評価の請求があった旨の通知を受け取った。この場合、甲は、当該通知から30日を経過する前に、特許請求の範囲に請求項2に係る登録実用新案と同じ内容の発明のみを記載すれば、当該実用新案登録Yに基づく特許出願をすることができる。

5特許出願Bは特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願としたものである。この場合、特許出願Aについて、特許法第50条の2の通知がされることはない。

出典:特許庁「令和8年度弁理士試験短答式筆記試験問題」【特許・実用新案】16(PDF20頁)。原文の改行・字間を整理し、赤字の強調を編集上追加しています。

公式問題PDF

【解説】

分割に関する「30日」でも、分割できる期間と審査請求できる期間は別です。期間が残っていても、他の要件まで満たすとは限りません。本問は、期間、救済の対象、実体的な要件、手続をした人を一つずつ区別して読みます。以下の表は判断に必要な範囲を整理した自作表です。法令は試験日(2026年5月17日)と2026年10月6日の対象規定を照合しています。

1 分割から30日が過ぎると、審査請求できなくなるか

この肢は誤りです。根拠は特許法48条の3第1項・第2項、44条2項です。

決め手は「分割の日から30日を経過した後には、できる場合はない」という断定です。48条の3第2項の30日は、同条1項の原則の期間を短くする規定ではありません。

分割出願は、適法な分割であれば原則として元の出願時に出願したものとみなされます。そのため、審査請求の原則の期限も元の出願日から3年です。例えば、元の出願から1年で分割し、その2か月後に審査請求する場合、分割から30日は過ぎていますが、元の出願から3年以内なので請求できます。

〔表1〕審査請求の原則と分割時の特例(48条の3第1項・第2項)

状況 審査請求の扱い
元の出願日から3年以内 原則の期間内として請求できる
元の出願日から3年を過ぎた後に分割 分割日から30日以内なら特例により請求できる
分割から30日経過、元の出願からは3年以内 30日経過だけでは請求できなくならない

青本第22版211頁は、分割できても審査請求できないという不合理を避けるための特例と説明しています。「分割には一律30日」と覚えると、原則の3年間を消してしまいます。

なお、審査請求期間を徒過した場合には48条の3第5項・第7項の回復制度もありますが、所定の期間・手続を要し、故意に請求しなかったと認められる場合は除かれます。本肢を誤りとするには、まず原則の3年間が残る例を挙げれば足ります。

2 拒絶理由通知の指定期間を過ぎた分割も、44条7項で救済されるか

この肢は誤りです。根拠は特許法44条1項1〜3号・7項、17条の2第1項です。

44条7項は、同条1項2号又は3号の期間を対象とする救済です。拒絶理由通知に対する指定期間内の分割は、補正ができる期間に分割する同項1号の場面なので、この救済の対象ではありません。

〔表2〕44条7項による救済の対象

分割する時・期間 44条1項の区分 7項の救済
補正できる時・期間(拒絶理由通知の指定期間など) 1号 対象外
所定の特許査定謄本の送達から30日以内 2号 対象
最初の拒絶査定謄本の送達から3月以内 3号 対象

対象となる2号・3号では、責めに帰することができない理由があり、その理由がなくなってから14日(在外者は2月)以内、かつ元の期間経過後6月以内という条件を満たす必要があります。青本第22版193頁も、救済を整備した対象を1項2号・3号としています。

本肢は救済の要件や期間の数字より前に、救済の対象となる期間が違うため誤りです。別の分割可能時期が後に到来するかという問題と、既に過ぎた指定期間を7項で回復できるかという問題も分けてください。

3 拒絶理由通知なしで特許査定されても、分割できない場合はあるか

この肢は正しいです。根拠は特許法44条1項本文・2号です。

特許査定の謄本送達から30日以内というのは、分割できる時期についての要件です。44条1項本文は、それとは別に、二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな出願とすることを求めています。

例えば、元の出願が一つの発明しか包含していなければ、30日以内でも「二以上の発明を包含する」という要件を満たしません。拒絶理由が一度も通知されていないことも、この要件を免除する理由にはなりません。

〔表3〕分割の時期と内容は別に確認する(44条1項)

確認する点 本肢で分かること
時期 特許査定謄本の送達から30日以内
分割対象 二以上の発明を包含する出願の一部である必要がある
結論 時期を満たしても、分割対象の要件を満たさない場合がある

「特許査定されたのだから内容の要件も全部満たす」と考えないことが大切です。特許を受けられるかという審査と、その出願から分割できるかという判断は同じではありません。また、請求項の数と発明の数を機械的に同一視しないようにしてください。

共通前提には「査定又は審決が確定しておらず」とあります。本肢では、その前提と整合するよう、登録後の場面を持ち出さず、44条1項本文の要件から判断できます。したがって、「できない場合がある」は正しい記述です。

4 自分で請求項1の技術評価を請求した後、請求項2だけを特許出願できるか

この肢は誤りです。根拠は特許法46条の2第1項2号・3号です。

甲は、乙の請求よりも先に、自分の実用新案登録Yについて技術評価を請求しています。その時点で同項2号に該当するため、Yに基づく特許出願はできません。

この制限は、評価を請求した請求項1だけにかかるものではありません。青本第22版201頁は、一部の請求項について本人が評価を請求した場合も、評価を請求していない請求項に基づく特許出願はできないと説明しています。本人の選択で技術評価を求めた後に、特許審査まで重ねて行うことを防ぐ趣旨です。

〔表4〕甲・乙の技術評価請求を時系列で確認する(46条の2第1項)

出来事 Yに基づく特許出願への影響
出願から1年後、甲が請求項1の評価を請求 本人請求による2号の制限がかかる
その1年後、乙が請求項2の評価を請求 先に生じた2号の制限は消えない
甲が通知を受けてから30日以内 請求項2だけを対象にしても、2号により不可

第三者だけが評価を請求した場合は、同項3号の「最初の通知を受けた日から30日」が問題になります。しかし、3号の期間を過ぎていないことは、既に2号に該当する状態を解消しません。出願から3年以内である点も同様です。各号の制限は、どれか一つでも該当すれば特許出願を妨げます。

本肢は、本人請求と第三者請求を混ぜ、さらに請求項ごとに制限を分けられるとした点で誤りです。

5 50条の2の通知は、分割された元の出願には来ないか

この肢は誤りです。根拠は特許法50条の2です。

50条の2は、分割出願にだけ通知する規定ではありません。対象の出願と他の出願の少なくとも一方に44条2項が適用され、同時に出願されたこととなっている関係を対象にしています。

本肢のBがAの適法な分割出願なら、Bに44条2項が適用されることで、AとBは同時に出願したものとされます。Bについて先に通知された拒絶理由と同一の拒絶理由をAに通知する場面では、Aに50条の2の通知をすることがあります。

〔表5〕50条の2の通知が問題になる出願の関係

今回審査する出願 他の出願 対象となり得るか
子の分割出願B 親の出願A なり得る
親の出願A 子の分割出願B なり得る(本肢)
同じ元の出願から分割した一方の出願 もう一方の分割出願 なり得る

ただし、関係があるだけで必ず通知されるわけではありません。拒絶理由が同一であることに加え、他の出願の通知の内容を、今回の出願の審査請求前に出願人が知り得る状態になかったものは除外されます。Aへの通知を考えるなら、基準はAの審査請求前です。

青本第22版224〜225頁は、子から親の方向を含む関係と、この知得可能性の条件を説明しています。同じ拒絶理由を繰り返す不要な分割を抑える制度であり、通知を受けると17条の2第5項・第6項の補正制限が問題になります。「親だから対象外」とする本肢は誤りです。

確認した資料

【解答】

正答は3です。

〔表6〕各肢の正誤(○=正しい、×=誤り)

肢 正誤 判断の決め手
1 × 分割から30日後でも、原則の3年間が残る場合がある
2 × 44条7項は1項2号・3号の期間の救済である
3 ○ 時期を満たしても、二以上の発明の一部という要件が必要
4 × 本人の技術評価請求は、評価未請求の請求項にも制限を及ぼす
5 × 親の出願にも、要件を満たせば50条の2の通知がされる

5肢のうち、いくつ自信を持って判定できましたか

正答を選べたかだけでなく、根拠条文を思い浮かべて判定できた肢の数で、次に取り組むことを選んでください。

〔表7〕分割・実用新案登録に基づく特許出願の自己診断

自信を持って判定できた肢 今の状態 次にやること
5肢すべて 期間の種類、分割の実体要件、本人の技術評価請求の効果を区別できている 次の問題へ進む
3〜4肢 30日の対象や、救済が及ぶ範囲にあいまいな部分がある あいまいだった肢だけ、枝別の過去問で潰す
2肢以下 分割・審査請求・実用新案から特許への移行がまだつながっていない 過去問を回す前に、流れを一度整理する

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