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2026年度弁理士試験 短答・特許実用新案 第13問|特許異議の申立て

2026年度短答試験・特許実用新案第13問、特許異議の申立て

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目次

【問題文】

特許異議の申立てに関し、次のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ) 特許異議の申立てについての審理は原則として書面審理によるが、審判長は、特許権者、特許異議申立人又は参加人の意見を聴いて、職権で口頭審理によるものとすることができる。

(ロ) 特許法には、同一の特許権に係る二以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合には、併合することができるとの規定がある。

(ハ) 特許が条約に違反してされたことを理由として特許無効審判を請求することはできるが、当該理由で特許異議の申立てをすることはできない。

(ニ) 特許異議の申立ては、特許権者からの意見書(特許法第120条の5第1項に規定する意見書)の提出後は、当該特許権者の承諾を得た場合に限り、取り下げることができる。

(ホ) 特許異議の申立てがされた後、申立期間が経過しなければ、審理を開始することができない。

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2 2つ

3 3つ

4 4つ

5 5つ

出典:特許庁「令和8年度弁理士試験短答式筆記試験問題」、特許・実用新案第13問(PDF17頁)。改行・字間を整理し、赤字の強調を編集上追加しています。

【解説】

特許異議の申立ては、特許庁が特許処分を見直すための制度です。特許無効審判と似た言葉が出てきますが、審理の方式や取下げの扱いまで同じではありません。以下は試験日である2026年5月17日を基準に説明します。

(イ)審判長が口頭審理へ切り替えられるか

根拠:特許法118条1項。青本第22版・印刷431〜432頁。

この肢は誤りです。特許異議の申立ての審理は、全件、書面審理によります。118条1項は書面審理を定め、審判長の判断で口頭審理に変更する例外を設けていません。「原則として」と「職権で口頭審理にできる」が、本肢の誤りを見つける箇所です。

書面審理とは、提出された書面などに基づいて審理を進める方式です。異議申立制度では、特許処分の見直しを利用しやすくし、手続に対応する負担を抑えるため、この方式を採っています。権利者や申立人の意見を聴いたというだけで、条文にない切替えが可能になるわけではありません。

〔表1〕異議申立ての審理方式を読む

着目点 試験で押さえる内容
118条1項の方式 書面審理による
口頭審理への切替え 本肢のような例外はない
書面審理に統一する理由 対応負担を抑え、簡易で利用しやすい制度にする

表の根拠:118条1項、青本第22版432頁。基準日:2026年5月17日。証拠調べ等の個別手続は省略しています。

青本は、過去の異議申立制度では口頭審理にする余地があったことと、新たな制度では全件書面審理としたことを分けて説明しています。古い制度の説明を、現在の試験問題へそのまま持ち込まないようにします。意見聴取の有無ではなく、118条1項が定める方式から判断する肢です。

(ロ)複数の申立てを併合するのは、特別な場合だけか

根拠:特許法120条の3第1項・第2項。青本第22版・印刷435頁。

この肢は誤りです。同一の特許権について二以上の異議申立てがあるときは、特別の事情がある場合を除き、審理を併合するのが原則です。本肢は「特別の事情」の位置を逆にしています。

併合とは、別々に申し立てられた事件の審理をまとめることです。同じ特許権を対象にした複数の申立てをまとめて扱えば、特許権者も一体的に対応でき、特許の見直しを効率よく進められます。単に審判官が好みに応じて、併合するかどうかを自由に選ぶという規定ではありません。

〔表2〕原則と例外の向き

場合 審理の扱い
同一の特許権に二以上の申立てがあり、特別の事情がない 併合する
併合すると審理の続行が困難になる、著しく遅延するおそれがあるなど 併合しない例外を検討する
併合後に同様の事情が生じた 分離が認められる場合がある

表の根拠:120条の3、青本第22版435頁。基準日:2026年5月17日。特別の事情は例示であり、網羅ではありません。

たとえば、申立ての一つが却下され、その却下決定に対する訴えが提起された場合などが、青本に挙げられています。なお、2項は併合後の分離を認めていますが、青本は、これもいつでも自由に分離できる意味ではないと説明しています。「特別の事情があるから併合できる」ではなく、「特別の事情がなければ併合する」と読みます。

(ハ)条約違反は、異議申立ての理由にならないか

根拠:特許法113条3号、123条1項3号。青本第22版・印刷425〜426頁。

この肢は誤りです。「その特許が条約に違反してされたこと」は、113条3号に、特許異議の申立ての理由として明記されています。123条1項3号にも同趣旨の無効理由があるため、本肢の前半は正しいものの、後半が誤りです。

異議申立てと無効審判では、利用できる人や時期、理由の範囲が異なります。しかし、異なる制度だからといって、理由が全く重ならないわけではありません。本肢では、条約違反がそれぞれの条文に列挙されているかを確かめれば判断できます。

〔表3〕「条約に違反してされた特許」の扱い

制度 根拠と扱い
特許異議の申立て 113条3号の申立理由になる
特許無効審判 123条1項3号の無効理由になる
両制度の利用条件 理由が共通でも、申立期間・請求人適格等まで共通にはならない

表の根拠:113条・123条。基準日:2026年5月17日。他の申立理由・無効理由の列挙は省略しています。

異議申立ては、何人も、特許掲載公報の発行の日から6か月以内に行える制度です。条約違反を理由とする無効審判は、利害関係人に請求人適格があり、異議申立てと同じ6か月の制限はありません。この違いと、理由が両制度に共通することを分けて覚えます。

また、本肢は、特許がされた後に条約違反になった場合を述べているのではありません。後発的な条約違反は123条1項7号という別の無効理由です。本問の「条約に違反してされたこと」は、異議申立ても無効審判も対象にしています。

(ニ)意見書提出後でも、権利者が承諾すれば取り下げられるか

根拠:特許法120条の4第1項・120条の5第1項。青本第22版・印刷436〜437頁。

この肢は誤りです。異議申立ては、取消理由の通知があった後は、特許権者の承諾があっても取り下げられません。 取下げができなくなる区切りは、特許権者の意見書提出ではなく、その前の取消理由通知です。

120条の5第1項の意見書は、審判長が取消理由を通知し、特許権者等に意見を述べる機会を与えたことに対応するものです。本肢の意見書が提出された段階では、既に取消理由が通知されています。「意見書が出ている」という条件から、取下げ禁止の時点を過ぎていると分かります。

〔表4〕取下げの可否を分ける時点

手続の段階 異議申立ての取下げ
取消理由通知前、申立てが係属している 取り下げられる
取消理由通知後 取り下げられない
通知に対する権利者の意見書提出後 既に通知後なので、承諾があっても取り下げられない

表の根拠:120条の4第1項、120条の5第1項。基準日:2026年5月17日。手続順の整理であり、経過時間の縮尺はありません。

取消理由の通知に至った段階では、特許に取り消すべき問題がある可能性が具体化しています。そこで申立人と特許権者の意思だけで審理を終えられると、特許処分を公益的に見直す目的を果たせなくなるためです。

混同しやすいのは、審判請求の取下げに関する155条2項です。同項は、134条1項の答弁書提出後に相手方の承諾を必要とする規定ですが、本問の異議申立てにそのルールを持ち込むことはできません。「答弁書提出後は承諾が必要」と「取消理由通知後は承諾があっても不可」は、別の規律です。

(ホ)6か月の申立期間が終わるまで、必ず待つのか

根拠:特許法113条、青本第22版・印刷435〜437頁。審判便覧67-08「特許異議申立期間経過前の審理」。

この肢は誤りです。申立期間が過ぎる前に、審理が始まる場合があります。「経過しなければ開始できない」という、一切の例外を認めない表現が強すぎます。

通常は、特許掲載公報の発行の日から6か月という申立期間の経過を待ち、複数の申立てを原則としてまとめて審理します。一方、特許権者にとっては、特許が維持されるかどうかを早く明らかにしたい場合もあります。そのため、特許権者が申立書の副本を受け取った後、審判長に期間経過前の審理を希望する上申書を提出したときは、期間の経過前に審理を開始します。申立人から同じ希望を出しても受け付けられません。

〔表5〕申立期間と審理開始の関係

場面 審理開始の扱い
通常の審理 申立期間の経過を待って開始
権利者が副本受領後に、審判長へ早期審理希望の上申書を提出 申立期間の経過前に開始する
早期審理中に別の異議申立てがあった場合 原則として併合。先行事件の進行状況等による例外あり

表の根拠:青本第22版435〜437頁、審判便覧67-08。基準日:2026年5月17日。申立期間そのものの短縮を示す表ではありません。

ここで、早く審理を始めても、他の人が異議申立てをできる期間が短くなるわけではありません。また、早期審理で取消理由が通知されれば、6か月の申立期間内であっても、その申立ての取下げはできなくなります。(ニ)の区切りが「申立期間の満了」ではなく「取消理由通知」だったこととつなげて整理できます。6か月は申立てのできる期間であり、審理開始を例外なく禁止する待機期間ではありません。

確認した一次資料

条文確認日:2026年10月3日。本稿は2026年5月17日の試験問題の解説です。保存済みの試験日時点のe-Gov条文と、10月3日に取得した現行条文で、本問に関係する7条の一致を確認しました。

【解答】

正答は「5」(誤っているものは5つ)です。 (イ)〜(ホ)は、すべて誤りです。

〔表6〕各肢の正誤と決め手

肢 正誤 判断を分ける箇所
イ × 全件書面審理であり、本肢の口頭審理への切替えはない
ロ × 特別の事情がある場合を除き、併合する
ハ × 条約に違反してされたことは、113条3号の申立理由
ニ × 取消理由通知後は、承諾があっても取下げ不可
ホ × 権利者の希望により申立期間経過前に審理を開始する場合がある

出典:特許庁「令和8年度弁理士試験短答式筆記試験問題解答」、特許・実用新案第13問。正答番号は保存済み公式資料で照合しています。

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