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【問題文】
【特許・実用新案】3
特許法に規定する総則に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 特許法において、「プログラム」の発明は、「物」の発明に含まれる。
(ロ) 特許権の存続期間の末日が、某年の1月1日に当たる場合、当該某年の1月4日が日曜日であれば、その特許権の存続期間は当該某年の1月5日に終了する。
(ハ) 特許法第173 条第1項に基づき再審を請求する者は、同条項に規定する再審を請求できる期間が経過した後であっても、特許法第4条の下、請求により、遠隔又は交通不便の地にある者であることを理由として、特許法第 173 条第1項に規定する再審を請求できる期間の延長を受けることができる。
(ニ) 日本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有する者であって手続をするものの委任による代理人は、 特別の授権を得なくとも、特許法第 41 条第1項の優先権の主張をすることができる。
(ホ) 当事者が不定期間の故障により審査の手続を続行することができないときは、特許庁長官は、決定で、その中止を命ずることができる。
1 1つ 2 2つ 3 3つ 4 4つ 5 5つ
出典:特許庁「令和8年度弁理士試験 短答式筆記試験問題」PDF4ページ・特許/実用新案第3問。原文の改行・字間を整えています。赤字・太字の強調は当ブログによるものです。
【解説】
情報確認日:2026年9月14日。
試験時点の確認に用いる2025年6月1日施行版と、確認日に表示された現行版を照合し、各肢の判断に直接用いる特許法2・3・4・5・8・9・24・42条及び173条、民事訴訟法131条の本文に差がないことを確認しました。青本は第22版(2022年)を参照しています。
第3問は、特許法の「総則」からの出題です。発明の分類、期間、代理人の権限、手続を止める仕組みを、一つずつ区別して考えます。今回は「正しいもの」の個数を数える問題です。
肢イ:プログラムの発明は「物」の発明に含まれる?
この肢は正しいです。 特許法2条3項1号は、物の発明について規定する際に、物に「プログラム等」を含むことを明示しています。同条4項には、プログラム等の定義があります。
日常語の「物」から、形があって手で触れられるものだけを連想すると迷います。しかし、法律が特別に用語の範囲を定めているときは、その定義に従います。特許法でいう「物」は、プログラムも含む概念です。
青本第22版の2条解説は、平成14年改正で、物にプログラム等が含まれることを明確にした経緯を説明しています。また、プログラム等について電気通信回線を通じて提供する行為も、同号の「譲渡等」に含まれます。記録媒体に保存して販売する場合だけが対象というわけではありません。
ただし、「プログラムならすべて特許になる」という意味ではありません。2条1項の発明に該当するか、新規性・進歩性などの要件を満たすかは別に判断します。本肢は、そのような特許要件全体ではなく、プログラムの発明が、物と方法のどちらに分類されるかを尋ねています。
根拠:特許法2条1項・3項1号・4項、青本第22版・印刷14~15ページ(PDF86~87ページ)。
肢ロ:存続期間の末日が正月休みなら、休日明けまで延びる?
この肢は誤りです。特許権の存続期間は、設問の1月1日に満了します。 1月4日が日曜日かどうかによって、1月5日まで延びることはありません。
特許法3条2項には、期間の末日が行政機関の休日に当たる場合に、その翌日を末日とする規定があります。しかし、対象は「特許に関する手続についての期間」です。すべての期間に休日の繰延べが適用されるわけではありません。
次の二つを分けてください。
| 期間 | 何についての期間か | 3条2項の休日の扱い |
|---|---|---|
| 特許庁に書類を提出するなど、手続をするための期間 | 手続を行える期限 | 同項の対象となる |
| 特許権の存続期間 | 権利そのものが存続する期間 | 同項によっては繰り延べられない |
青本第22版の3条解説も、特許権の存続期間等については、末日が休日でもその日に満了すると説明しています。手続期間の繰延べは、官庁の休みによって手続をする機会が失われることを避けるための仕組みです。特許権そのものを休日の日数分だけ長く存続させる仕組みではありません。
本肢は「1月1日」「1月4日が日曜日」という具体的な日付を示して、休日計算に意識を向けさせています。まず何の期間なのかを確認すれば、休日の並びを数える前に結論が出ます。
なお、特許権には別途、存続期間の延長登録に関する制度がありますが、本肢はその要件を問うものではありません。「延長登録」と「休日による末日の繰延べ」も区別しましょう。
根拠:特許法3条2項、青本第22版・印刷18~19ページ(PDF90~91ページ)。
肢ハ:再審の請求期間が過ぎた後でも、4条による延長を受けられる?
この肢は誤りです。 再審を請求できる期間が4条の延長対象であることと、期間が過ぎた後に延長を受けられることは別の問題です。
特許法4条は、遠隔又は交通不便の地にある者のために、特許庁長官が請求又は職権によって、列挙された法定期間を延長できると定めています。その対象には、173条1項に規定する再審の請求期間も含まれます。
したがって、「再審の請求期間は4条の対象ではないから誤り」と判断するのは不正確です。本肢の誤りは「期間が経過した後であっても」という部分です。
青本第22版の4条「字句の解釈」2〈延長〉は、法定期間が経過する前に延長の処分が必要であり、期間経過後には4条は適用されないと説明しています。期限後に請求すれば、過ぎた期間を4条でさかのぼって延ばせるという制度ではありません。
ここで5条3項と混同しないことが大切です。5条は、特許庁長官等が指定した期間についての規定であり、同項は対象となる指定期間に限り、所定の期間内であれば経過後の延長請求を認めています。4条の法定期間の延長と、5条3項の指定期間経過後の延長は別の制度です。
また、再審について別の救済規定が適用できるかどうかと、本肢の「4条の下で、遠隔・交通不便を理由に期限後の延長を受けられるか」という問いも分けます。本肢の結論は、あらゆる事情における救済を否定するものではありません。
根拠:特許法4条・5条3項、青本第22版・印刷20~23ページ、特に23ページ〈延長〉(PDF92~95ページ)。
肢ニ:国内の出願人の代理人なら、特別の授権なしで国内優先権を主張できる?
この肢は誤りです。41条1項の優先権主張には、特別の授権が必要です。
特許法9条は、日本国内に住所又は居所(法人の場合は営業所)を有する者の、委任による代理人について定めています。同条は、特別の授権がなければできない手続の一つとして、41条1項の優先権の主張及びその取下げを挙げています。
「特別の授権」は、通常の手続を任せることに加えて、その重要な行為をする権限を本人から与えてもらうことです。代理人が選任されているというだけで、9条に列挙された手続まで自由にできるわけではありません。
優先権の主張は出願人に有利な行為に見えるため、「なぜ特別の授権が必要なのか」と疑問に思うかもしれません。41条1項の国内優先権には、先の出願を基礎に優先権を主張することで、その先の出願が原則として後に取り下げられたものとみなされる仕組みがあります。優先権の利益を得るだけでなく、先の出願に影響を与える行為なのです。
青本第22版の9条解説も、主張の場合には先の出願のみなし取下げ、主張の取下げの場合には優先権の利益の喪失という効果があることを、特別の授権を必要とする理由として挙げています。
設問がわざわざ国内に住所等を有する者と書いている点にも注意しましょう。在外者の特許管理人についての8条と、国内居住者等の委任代理人についての9条では、代理権の定め方が異なります。まず本肢が9条の場面であることを確認してから、列挙された手続を照合します。
根拠:特許法9条、青本第22版・印刷33~34ページ(PDF105~106ページ)。
肢ホ:当事者が不定期間の故障で手続できない場合、長官が中止を命じられる?
この肢は正しいです。 特許法24条が準用する民事訴訟法131条1項が根拠です。
「準用」とは、別の場面の規定を、必要な読み替えをして適用することです。民事訴訟法131条1項は、当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行できない場合、裁判所が決定で中止を命じることができると定めています。特許法24条は、この規定を審査の手続にも準用し、同条の「裁判所」を「特許庁長官又は審判官」と読み替えます。
そのため、審査において、本肢のように当事者が手続を続けられない場合には、特許庁長官が決定で中止を命じることができます。
「故障」は、機械が壊れるという日常的な意味だけで読まないでください。この文脈では、当事者が手続を進められない障害を指します。「不定期間」は、その障害がいつまで続くかが定まらないことです。ただし、単に忙しい、手続を後回しにしたいというだけで、この要件を満たすと説明することはできません。
もう一つの鍵は「命ずることができる」です。本肢は、中止が当然に発生するとも、長官が必ず中止しなければならないとも書いていません。決定によって中止を命じることができるという規定です。
「中断」と「中止」も区別します。青本第22版の22条解説では、中断は、当事者側で手続を進める者の交代が必要になった場合に、その利益を保護するための制度として説明されています。一方、中止は、官庁や当事者に手続を進められない障害があるなどの場面に関係します。本肢は、当事者の不定期間の故障による中止を問うています。
根拠:特許法24条、民事訴訟法131条1項、青本第22版・印刷71ページ、73ページ(PDF143ページ、145ページ)。
復習のポイント
- 日常語の印象より、特許法独自の定義を先に確認する。
- 期間の問題では、まず「手続期間」か「権利の存続期間」かを分ける。
- 期間を延ばせる規定があっても、経過前・経過後の条件を別に確認する。
- 代理権の問題では、本人の国内・在外の別と、具体的な手続を確認する。
- 準用規定は、準用先の本文、適用される手続、読み替え後の主語まで読む。
本問は定義と総則の手続規定が中心なので、条文と青本を主な参照先としています。審査基準・審判便覧は、実際に確認した内容が解説に必要となる場合に用います。本記事は公開資料に基づく試験学習用の解説で、AIを調査・執筆の補助に利用しています。
【解答】
正しいものはイ・ホの2つで、解答は「2」です。
| 肢 | 正誤 | 決め手 |
|---|---|---|
| イ | 正しい | 2条3項1号の「物」にはプログラム等を含む |
| ロ | 誤り | 存続期間に3条2項の休日繰延べは適用されない |
| ハ | 誤り | 4条の延長は法定期間の経過後には適用されない |
| ニ | 誤り | 国内優先権の主張には9条の特別の授権が必要 |
| ホ | 正しい | 24条が準用する民訴131条1項により、決定で中止を命じられる |
特許庁の公式正答表の「特許・実用新案 第3問」の正答「2」と一致します。
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